離乳食における「だし」と「和食」のキーポイント3つ

前回に引き続き、「和食まるごとBOOK」で伝えたいたった3つのこと。その2!

  1. 『だし』は、子どもの味覚への最高のプレゼント 
  2. 『だしを用いた和食』は、難しく考えなくていい!
  3. 実は、大人の料理と調理プロセスを途中まで共通に、効率化できるんです。(coming next)
和食まるごとBOOK

農林水産省「「ベビーへの味覚の贈り物 和食まるごとBOOK」。農林水産省ウェブサイトからフリーダウンロードできる

だしを簡単にとってみよう

たった7分でできるかつおと昆布の合わせだし

図では、かつおぶしと昆布だしの、取り方というオーソドックスなものから、昆布を水に浸けて冷蔵庫in!なものまで紹介していて、いずれも保存可能です。離乳食開始と同時(生後5~6か月ごろ)から始めて構いません。十倍粥のようにまずは素材だけではじめて、少しでもあれ、食べ飽きてきたかな?食が進まないかも?と思った段階ですぐ、だしを試してください。なお、冷やした「おだし」のストックがあれば、炊き立て、もしくはレンジでチンしたばかりの熱すぎるおかゆにかけることですぐ冷ますこともできて、さらに便利です。

出典:農林水産省「ベビーへの味覚の贈り物 和食まるごとBOOK」

だしの組み合わせ。ざっくりいうと、肉魚系 + 野菜系 という2種類

かつおぶしと昆布だしを組み合わせよう、とよく言うけど、なぜなんでしょうね? 煮干し+昆布だしも同様ですが、これは2種類の旨味の元を組み合わせることで、1+1が3にも4にもなる相乗効果があるからなんです。

  具体的には、

  • イノシン酸(という名の、ざっくりいうと肉魚系の旨味。これはこれ単体で美味い)と
  • グルタミン酸(という名の、ざっくりいうと海藻・野菜系の旨味。代表格は昆布だが、いろいろな野菜に少しずつ含まれる)

この①(肉・魚系)、②(海藻・野菜系)の組み合わせだしというのは、

  • 和食のだしが、①かつおぶし+②昆布だし、①にぼし+②昆布だし、であるように、
  • 水炊きのような鍋料理を、②昆布だしの中に、①白身魚や鶏肉を入れて食べるように
  • しゃぶしゃぶを、②昆布だしの中に、①豚肉や牛肉スライスを泳がせて食べるように
  • イタリア料理のミートソースを、①ひき肉+②トマトを煮込んで食べるように

知らぬ間に生活に浸透ている組み合わせなのです。カレーやシチューもいろいろ肉や野菜やいれるとおいしくなりますし。ひとくちにだしといっても、食材(特に野菜)を積極的に料理に取り入れていくことで、作る側も楽しくなってきますよ。そんな肩肘はるような難しいものでもないんです。かつおぶしと昆布だしに捉われずいろいろ試してみてください。


スロー食育・食材研究家 片岡修平

食への関心から、京都大学農学部食品生物科学科に進学、同卒。育児経験や、農林水産省への出向経験も踏まえた、「こどもの味覚を育てる食のポイント」の外部講演を都内随所で行う。テレビ朝日系「お願いランキングGOLD」に食の専門家50人として出演。共同研究には、離乳食・こども食へのだしの活用をうたう『和食まるごとBOOK』の冊子製作・広報効果測定を行った「平成27年度農政施策の候補による女性の消費行動変化調査事業」がある。
プライベートでは1児の父。(元々、自炊能力はある方だとの自負はあったものの、妻の料理能力の高さに完敗してからは、出すぎないように心がけている)。


スロー食育記 過去の記事

スロー食育記】こめ編。まずは十倍粥をつくってみる

スロー食育記】だし編 。だしは子どもへの味覚のプレゼント