和食料理人になるためのステップと和食料理人の仕事内容とは
目次
日本が世界有数の長寿国といわれる理由の一つは食生活で、お米と魚・野菜中心の和食は体に優しくヘルシーで海外からも注目されています。近くのアジアをはじめ、欧米・北米・中南米などでも多くの日本食レストランが営業しており世界各地に日本の文化が広まり実際に日本に観光に来られる機会も増えました。
和食といっても一言で伝えることが難しいほど種類は多岐にわたり特徴もさまざまです。
そこでこの記事では、和食料理の概要をはじめ、必要なスキルや資格だけでなく実際の働き口や給与相場まで解説いたします。
和食料理人になるためには
実際に飲食店で働き技術を盗んで覚えることが一番大事といわれています。
和食料理人を目指す場合、学歴は関係ありません。厚生労働省の職業情報提供サイトによると高卒の割合は60%を超えていて、続いて専門学校卒業が46%の割合で高卒未満でも14%という結果です。
就職先にもよりますが、この結果を見てわかるように必ず専門学校へ行かないといけない、高校を卒業していないとなれないということはありません。
ただ厳しい世界としても有名で下積み10年ともいわれており、視野を広く、常に研究心を持つことが大切です。飲食業界は離職率が高いことでも知られており、修行や実際に就職しても早い段階で断念することが多く、料理人になる前に諦めてしまうことも珍しくありません。ただそこで乗り越えることができたら技術は身についてくるので次のステップアップへ繋げることができます。和食料理人になることは簡単ではありませんが、もしなれた際は一生の手に職を持つことができます。
参考:
日本料理調理人(板前) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(日本版O-NET) (mhlw.go.jp)
和食料理人/日本料理人になるには京都調理師専門学校 (kyoto-chorishi.ac.jp)
和食料理とは
和食の基本は一汁三菜で、四季折々の食材を使用し栄養バランスに優れている日本の代表料理です。もともとは一汁一菜だったといわれており、江戸時代に入ったころに一汁三菜の料理が用意されるようになったといわれています。一汁三菜の菜は野菜のことでなくおかずのことを指していて一般的に煮物・焼き物・刺身や酢の物でも構いません。それとご飯とお汁・香の物(漬物)が加わりできています。和食といえばよく耳にする割烹料理や会席料理というものがありますが、割烹料理の割烹は材料を切って煮るという意味があり、決まった順番で出てくるわけでなく一品づつの提供をしていて日本料理の基本ともいわれています。また会席料理はお酒をたしなむ料理のことを指していて、ご飯とお汁が食事の最後に提供されるおもてなしの一汁三菜の食事になっています。
日本は昔から魚種が多いことが知られているほか、山の幸も豊富にとれる恵まれた環境だったことも今の和食に繋がっているといえます。2012年には和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録され、今では世界に認められる存在に。
料理だけでなく器や繊細な盛り付けにこだわっていることも特徴の一つで大切なお客様をもてなすという気持ちを大事にしているところも世界から評価されているポイントです。
必要なスキルや資格
和食料理人になる際に必ず必要な資格はありませんが、調理師免許は持っておいて損はありません。ほとんどの和食料理人は調理師免許を保有しているといわれています。調理師免許は専門学校へ行くと最短1年で取得可能で学校へ行かない場合は現場で2年以上実務経験を積んだ後、試験を受けることができます。調理師免許を持っていることである程度の知識をもっているとアピールにもつながり就職する際有利になります。
また調理師のほかにもふぐを取り扱うお店で働く場合、ふぐ処理師免許を持っていると優遇されることも。
スキルについては実際に現場で働くことによって徐々についてくるため最初からスキルを必要とされることは少ないですが、転職の場合には経験があると強みになることも。
調理スキルは最初から持っていなくても問題ありませんが、コミュニケーション能力や気配りができることなどが必要となります。実際に和食料理人として働いた際、お客様から食材や料理のことで質問された時に対応できることが求められるからです。和食料理は日本人のみならず外国の方からも人気が高く、お店に来られる機会も多くみられます。最初から調理技術をもっていなくても、自分が今できることから心がけていきましょう。
仕事内容
和食料理人といってもどこで働くかによって仕事内容は大きく異なりますが、最初はまかないを担当することが多くみられます。大きなお店では役割を振り分けられることも珍しくないため、刺身・焼き物・揚げ物・煮物・蒸し物・吸い物などそれぞれに担当がいる場合も。大手チェーン店などではマニュアルが用意されていることが多く慣れるまでの時間は早いことがメリットですが、技術習得を目指す場合は個人の専門店などがおすすめです。その場合最初は食材を触ることすら難しい場合もあり、時間はかかりますが高度な専門技術を身につけることができるため、将来開業を目指す場合は地道に修行することもおすすめします。
基本のだしの取り方や包丁の扱い方など、和食料理ならではの技術取得も必要になりますが、最初からできるわけではないので日常的にこなしていくことで身についていきます。また、出来上がった料理を美しく盛り付けることも重要視されている和食料理ですが、お皿や料理の細かな向きや高さ・天ぷらの敷き紙の折り方などルールも多いです。
就職先・給与相場
和食料理人といっても働く場所の選択肢は多いですが、将来自分がどこを目指しているのか明確にしたうえで就職先を選ぶことをオススメします。ホテルや旅館など宿泊施設に入っている和食料理店や寿司・うなぎ・ふぐ・天ぷら・焼き鳥などの専門店、料亭や割烹料理店など種類は豊富です。その他にも居酒屋や大手チェーン店など和食料理を提供しているお店は多く手軽においしい和食料理が食べられることで需要が高いことも特徴の一つです。
いずれ自分のお店を出すことが目標の場合どんなお店を出したいのか、ホテルの料理長になりたいのか自分の理想とする未来図を思い浮かべ、その夢に向かって就職先を選びましょう。また実際にお店に足を運び提供する料理や空間を体験した上で、ここで学びたいと感じてエントリーする方も少なくありません。そして雇う側としても実際に食べにきてここで是非修行させてほしいといわれることに悪い印象を持つことはないでしょう。
厚生労働省が平成27年に行った調査の結果によると、日本料理人の給与は月額22.8万円となっていて年収は332.9万円となっています。
実際の求人募集をみてみても月額18万円〜35万円と幅は広く、大手や個人など働く環境によって大きく給与は違うので勤務時間や日数・内容をしっかり見て納得した上で就職活動しましょう。
日本料理調理人(板前) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(日本版O-NET) (mhlw.go.jp)
日本料理調理人の求人 | ハローワークの求人を検索 (hellowork.careers)
まとめ
和食料理とは繊細な技術とおもてなしの心を大切にしているだけでなくヘルシーで体にも優しい日本の代表料理。和食料理人になるためには実際に現場で働き技術を見て吸収することが一番大切といわれています。
必ず必要な資格はありませんが、調理師免許をもっているとある程度知識を持っている証明になり就職活動に有利になるため状況によっては取得しておくといいでしょう。また働く場所によってはふぐ処理師免許を持っていると強みになります。
就職先の選択肢は広いため将来どうなりたいかを考えて自分に合った就職先を見つけましょう。