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京料理とは 特徴や歴史、代表的な料理も合わせて紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/10/19
更新日:2022/12/13
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目次

素材本来の味を引き出す上品な味わいが人気の京料理。京料理は長い歴史の中で調理技術や食材が発展し、現在に伝承されています。歴史を深掘りすると京料理への理解が深まり、より京料理を楽しめるでしょう。

この記事では京料理の特徴や歴史や伝統料理などを解説いたします。

京料理の特徴や種類について解説

京料理は長い歴史の中で培われた日本料理の五体系のことをさします。伝統と技術の調理法で作り出される料理を美しく盛り付け、配膳し客人をもてなすところまでを含めて京料理と呼びます。京料理では出汁が重要視され、素材本来の旨味を引き出します。

【日本料理の五体系】

  • 大饗料理(だいきょうりょうり)

   平安時代の貴族社会で発展した京料理。味付けは塩や酢で各自味付けをして食べられていました。

  • 精進料理(しょうじんりょうり)

   肉や魚などの動物性食品を使用しない、野菜や豆類、穀物を中心とした料理。
   仏教には戒律として不殺生の実践があるため、精進料理が発展しました。

  • 本膳料理(ほんぜんりょうり)

   室町時代の武家が客人をもてなすために作られた一汁三菜を基本とした料理。

  • 懐石料理(かいせきりょうり)

   本膳料理と同様に一汁三菜が基本で、茶道と共に発展した料理。
   お茶を楽しむため料理の量は少なめです。

  • 有職料理(ゆうそくりょうり)

   大饗料理と本膳料理の影響を受け公家社会で発展した料理。

【四季がある】

   春は筍が主役。若竹煮や筍ご飯を香り豊かな木の芽と楽しみます。
   こごみやふきのとう、タラの芽などの山菜も春にしか味わえない食材です。

   京料理の伝統食材である鱧は夏の風物詩です。職人の手によって丁寧に骨切りされた鱧は湯引き
   や鱧しゃぶ、天ぷらなどで食べられています。鱧のほかに、鮎も夏が旬の魚です。

   秋は松茸の季節。松茸ご飯や土瓶蒸しで香りを楽しみます。栗や子持ち鮎も秋の代表的な食材です。
   器に紅葉をあしらい秋を表現します。

   冬はカニやフグをつかった料理がふるまわれます。そのほか、京野菜の聖護院かぶらを使った蕪蒸しが体を温めてくれます。

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京料理の歴史と伝統料理を紹介

京都は緑豊かな山々に囲まれ、清流に恵まれています。良質な水と肥沃な土により育まれた食材と、長い歴史の中で発展した食文化や技術が融合して京料理は形成されています。

京料理の歴史

【奈良時代】
奈良時代は現在とほぼ同じ魚が出揃っており、魚を干物として食べるのが一般的でした。また、刺身も食べられており、新鮮な刺身はごちそうとして捉えられていました。食材の切り方や盛り付けが発達し、奈良時代の伝統技術が現在に受け継がれています。

【平安時代】
平安時代になるとおもに節会と呼ばれる祝日に、包丁式という儀式が行われるようになります。包丁式とは大きなまな板で魚や鶏を手で触れずに、包丁刀とまな板箸を使いおめでたい形を表すものです。

【鎌倉時代】
鎌倉時代には中国から禅宗が伝えられ、精進料理が広まりました。植物性の限られた食材でさまざまな調理法を実践するうちに、食材の加工技術や、出汁が発達しました。そして鎌倉時代にすり鉢が普及し、味噌が調味料として使われるようになり、味噌汁や田楽が誕生したのです。

【室町時代】
室町時代に入ると幕府が京都に移り、これまでの宮廷料理や精進料理が武家に受け継がれ、京料理が誕生します。日本料理の原型である本膳料理ができました。また、茶道の発達により懐石料理が誕生したのも室町時代です。

【江戸時代】
本膳料理や懐石料理などの形式にとらわれないアレンジ料理が登場し、宴会などで提供される会席料理が広まりました。また、自宅で婚礼を行っていたため、仕出料理の需要が高まります。さらに屋台文化により、寿司や天ぷら、そば、おでんなどが庶民の間で広がりました。

地域別の伝統料理

【黒豆煮】
おせち料理に欠かすことのできない黒豆煮。おもに南丹地域、中丹地域、丹後地域に伝承されています。黒豆の栽培の歴史は古く、五穀の記述がある古事記にも取り上げられています。

【ばらずし】
酢飯の上に甘辛く煮つけた鯖のおぼろをちらし、干し椎茸や錦糸卵、紅生姜、季節の食材などをちらした丹後地方の郷土料理。丹後地域では鯖がよくとれたことから大衆魚として親しまれてきました。

【千枚漬け】
京野菜の聖護院かぶを使った漬物です。旬の時期である11月頃に、漬物業者による大きな樽で仕込み作業の光景は冬の風物詩となっています。千枚漬けはおもに京都市に伝承されています。

よく使われる食材や特徴

【豆腐】
京都は豊かな自然に囲まれているため良質な地下水に恵まれており、水質が軟水で豆腐作りに適しているのです。豆腐の約8割は水分でできていることから、良質な水がおいしさにつながります。さらに軟水は昆布の旨味を引き出し、おいしい出汁がとれるため湯豆腐が有名です。

【京野菜】
京野菜は京みず菜や賀茂なす、伏見とうがらし、聖護院かぶなどが代表的ですが、定義はなく京都府内で採れた野菜は京野菜と位置付けられています。良質な水と農家の技術により美味しい京野菜が生産されています。

【鱧(はも)】
その昔、京都は内陸盆地のため魚は玄界灘や瀬戸内から運ばれていました。鱧は生命力が強く、京の都まで鮮度を保つことができたことから、鱧は重宝されました。骨切りの技術が発達し、7月頃に旬を迎える鱧は夏の風物詩となりました。

飲み物やスイーツ

【くずきり】
京都発祥のくずきりは吉野葛と水が原料のシンプルな甘味です。黒蜜でいただくのが一般的。京都にはくずきりを提供する有名店が点在しています。

【宇治抹茶】
京都名物の宇治抹茶を使った、パフェやケーキわらびもちなどの抹茶スイーツがカフェや甘味処で味わうことができます。

【豆乳】
前述したとおり、京都はおいしい豆腐が作れます。したがって豆乳も良質です。豆乳を使ったソフトクリームやスイーツ、豆乳ラテなどのドリンクもたくさんのカフェで提供されています。

【ワイン】
丹波には、京都の食文化に合うワイン造りがコンセプトのワイナリーがあり、丹波ワインという名称で販売されています。国内外での受賞歴があり、繊細な味わいです。

おもな京料理を紹介

【湯豆腐】
きめの細かい良質な豆腐と出汁を使った湯豆腐は名物料理です。また、京都の水は軟水で昆布だしをひくのに適しています。

【肉豆腐】
京都の良質な水で作られる豆腐と京野菜の九条ネギ、牛肉をすき焼き風にした冬の定番料理。

【万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん】
京野菜の万願寺とうがらしとじゃこを使った煮物で、夏のおばんざいとして親しまれています。

【賀茂なすの田楽】
なすの女王と呼ばれる京野菜の賀茂なすを使った田楽。賀茂なすは油との相性がよく、きめの細かい身が詰まっているため歯ごたえが良く食感を楽しめます。

【栗ご飯】
京都の名産の丹波栗は大粒で甘味があり、秋にしか食べられない食材。昆布出汁と塩で炊き上げた栗ご飯は上品な味わいです。

【にしんそば】
海が遠い京都では海産物は貴重な食材であり、おもに干魚が食べられていました。身欠きにしんと呼ばれる干魚のにしんをおいしく食べられるようにと考案されたのがにしんそば。身欠きにしんを甘露煮にしてそばの具にしたそばは現在、京都を代表する料理となりました。

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まとめ

京都ならではの素晴らしい食材や伝統料理が豊富にある京料理は、長い歴史の中で発展してきました。
食文化や伝統、技術などは現在に伝承され、京料理は京都府無形文化財に指定されています。素材本来のおいしさを引き出した上品な味わいが醍醐味の京料理をぜひ味わってください。

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