京料理とは 特徴や歴史、代表的な料理も合わせて紹介
素材本来の味を引き出す上品な味わいが人気の京料理。京料理は長い歴史の中で調理技術や食材が発展し、現在に伝承されています。歴史を深掘りすると京料理への理解が深まり、より京料理を楽しめるでしょう。
この記事では京料理の特徴や歴史や伝統料理などを解説いたします。
京料理の特徴や種類について解説
京料理は長い歴史の中で培われた日本料理の五体系のことをさします。伝統と技術の調理法で作り出される料理を美しく盛り付け、配膳し客人をもてなすところまでを含めて京料理と呼びます。京料理では出汁が重要視され、素材本来の旨味を引き出します。
【日本料理の五体系】
- 大饗料理(だいきょうりょうり)
平安時代の貴族社会で発展した京料理。味付けは塩や酢で各自味付けをして食べられていました。
- 精進料理(しょうじんりょうり)
肉や魚などの動物性食品を使用しない、野菜や豆類、穀物を中心とした料理。
仏教には戒律として不殺生の実践があるため、精進料理が発展しました。
- 本膳料理(ほんぜんりょうり)
室町時代の武家が客人をもてなすために作られた一汁三菜を基本とした料理。
- 懐石料理(かいせきりょうり)
本膳料理と同様に一汁三菜が基本で、茶道と共に発展した料理。
お茶を楽しむため料理の量は少なめです。
- 有職料理(ゆうそくりょうり)
大饗料理と本膳料理の影響を受け公家社会で発展した料理。
【四季がある】
- 春
春は筍が主役。若竹煮や筍ご飯を香り豊かな木の芽と楽しみます。
こごみやふきのとう、タラの芽などの山菜も春にしか味わえない食材です。
- 夏
京料理の伝統食材である鱧は夏の風物詩です。職人の手によって丁寧に骨切りされた鱧は湯引き
や鱧しゃぶ、天ぷらなどで食べられています。鱧のほかに、鮎も夏が旬の魚です。
- 秋
秋は松茸の季節。松茸ご飯や土瓶蒸しで香りを楽しみます。栗や子持ち鮎も秋の代表的な食材です。
器に紅葉をあしらい秋を表現します。
- 冬
冬はカニやフグをつかった料理がふるまわれます。そのほか、京野菜の聖護院かぶらを使った蕪蒸しが体を温めてくれます。
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京料理の歴史と伝統料理を紹介
京都は緑豊かな山々に囲まれ、清流に恵まれています。良質な水と肥沃な土により育まれた食材と、長い歴史の中で発展した食文化や技術が融合して京料理は形成されています。
京料理の歴史
【奈良時代】
奈良時代は現在とほぼ同じ魚が出揃っており、魚を干物として食べるのが一般的でした。また、刺身も食べられており、新鮮な刺身はごちそうとして捉えられていました。食材の切り方や盛り付けが発達し、奈良時代の伝統技術が現在に受け継がれています。
【平安時代】
平安時代になるとおもに節会と呼ばれる祝日に、包丁式という儀式が行われるようになります。包丁式とは大きなまな板で魚や鶏を手で触れずに、包丁刀とまな板箸を使いおめでたい形を表すものです。
【鎌倉時代】
鎌倉時代には中国から禅宗が伝えられ、精進料理が広まりました。植物性の限られた食材でさまざまな調理法を実践するうちに、食材の加工技術や、出汁が発達しました。そして鎌倉時代にすり鉢が普及し、味噌が調味料として使われるようになり、味噌汁や田楽が誕生したのです。
【室町時代】
室町時代に入ると幕府が京都に移り、これまでの宮廷料理や精進料理が武家に受け継がれ、京料理が誕生します。日本料理の原型である本膳料理ができました。また、茶道の発達により懐石料理が誕生したのも室町時代です。
【江戸時代】
本膳料理や懐石料理などの形式にとらわれないアレンジ料理が登場し、宴会などで提供される会席料理が広まりました。また、自宅で婚礼を行っていたため、仕出料理の需要が高まります。さらに屋台文化により、寿司や天ぷら、そば、おでんなどが庶民の間で広がりました。
地域別の伝統料理
【黒豆煮】
おせち料理に欠かすことのできない黒豆煮。おもに南丹地域、中丹地域、丹後地域に伝承されています。黒豆の栽培の歴史は古く、五穀の記述がある古事記にも取り上げられています。
【ばらずし】
酢飯の上に甘辛く煮つけた鯖のおぼろをちらし、干し椎茸や錦糸卵、紅生姜、季節の食材などをちらした丹後地方の郷土料理。丹後地域では鯖がよくとれたことから大衆魚として親しまれてきました。
【千枚漬け】
京野菜の聖護院かぶを使った漬物です。旬の時期である11月頃に、漬物業者による大きな樽で仕込み作業の光景は冬の風物詩となっています。千枚漬けはおもに京都市に伝承されています。
よく使われる食材や特徴
【豆腐】
京都は豊かな自然に囲まれているため良質な地下水に恵まれており、水質が軟水で豆腐作りに適しているのです。豆腐の約8割は水分でできていることから、良質な水がおいしさにつながります。さらに軟水は昆布の旨味を引き出し、おいしい出汁がとれるため湯豆腐が有名です。
【京野菜】
京野菜は京みず菜や賀茂なす、伏見とうがらし、聖護院かぶなどが代表的ですが、定義はなく京都府内で採れた野菜は京野菜と位置付けられています。良質な水と農家の技術により美味しい京野菜が生産されています。
【鱧(はも)】
その昔、京都は内陸盆地のため魚は玄界灘や瀬戸内から運ばれていました。鱧は生命力が強く、京の都まで鮮度を保つことができたことから、鱧は重宝されました。骨切りの技術が発達し、7月頃に旬を迎える鱧は夏の風物詩となりました。
飲み物やスイーツ
【くずきり】
京都発祥のくずきりは吉野葛と水が原料のシンプルな甘味です。黒蜜でいただくのが一般的。京都にはくずきりを提供する有名店が点在しています。
【宇治抹茶】
京都名物の宇治抹茶を使った、パフェやケーキわらびもちなどの抹茶スイーツがカフェや甘味処で味わうことができます。
【豆乳】
前述したとおり、京都はおいしい豆腐が作れます。したがって豆乳も良質です。豆乳を使ったソフトクリームやスイーツ、豆乳ラテなどのドリンクもたくさんのカフェで提供されています。
【ワイン】
丹波には、京都の食文化に合うワイン造りがコンセプトのワイナリーがあり、丹波ワインという名称で販売されています。国内外での受賞歴があり、繊細な味わいです。
おもな京料理を紹介
【湯豆腐】
きめの細かい良質な豆腐と出汁を使った湯豆腐は名物料理です。また、京都の水は軟水で昆布だしをひくのに適しています。
【肉豆腐】
京都の良質な水で作られる豆腐と京野菜の九条ネギ、牛肉をすき焼き風にした冬の定番料理。
【万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん】
京野菜の万願寺とうがらしとじゃこを使った煮物で、夏のおばんざいとして親しまれています。
【賀茂なすの田楽】
なすの女王と呼ばれる京野菜の賀茂なすを使った田楽。賀茂なすは油との相性がよく、きめの細かい身が詰まっているため歯ごたえが良く食感を楽しめます。
【栗ご飯】
京都の名産の丹波栗は大粒で甘味があり、秋にしか食べられない食材。昆布出汁と塩で炊き上げた栗ご飯は上品な味わいです。
【にしんそば】
海が遠い京都では海産物は貴重な食材であり、おもに干魚が食べられていました。身欠きにしんと呼ばれる干魚のにしんをおいしく食べられるようにと考案されたのがにしんそば。身欠きにしんを甘露煮にしてそばの具にしたそばは現在、京都を代表する料理となりました。
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まとめ
京都ならではの素晴らしい食材や伝統料理が豊富にある京料理は、長い歴史の中で発展してきました。
食文化や伝統、技術などは現在に伝承され、京料理は京都府無形文化財に指定されています。素材本来のおいしさを引き出した上品な味わいが醍醐味の京料理をぜひ味わってください。
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シェアダイン編集部
大阪府の郷土料理について 特産品やレシピも合わせて紹介
「食いだおれ」や「天下の台所」といわれる大阪には、たくさんの美味しい食べ物があります。
大阪は、観光庁の発表した訪日外国人の観光・レジャー目的の訪問率(2019年)で1位となっており、国内外から人気の高い観光地です。
大阪の料理の代表格はお好み焼きやたこ焼きなど、知らない人はいないほど有名ですが、その他の郷土料理や特産品のイメージが思い浮かぶ人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、大阪府の生産高が高い農作物や大阪府のさまざまな郷土料理についてご紹介します。
大阪府の生産高が高い農作物を紹介
大阪府で盛んに生産されている野菜を紹介
大阪府で盛んに生産されている農産物には、春菊、ふき、水なす、たでなどがあります。
以下にご紹介いたします。
・春菊
全国の生産量の約11%の生産量を占めています。11月頃から出回る冬野菜の一つで、鍋で使用されることも多いです。
・ふき
旬は3〜5月の春野菜。府内では主に泉州地域で生産されています。春の香りと苦味を楽しむ野菜で、数少ない日本原産の野菜です。
・水なす
旬は夏、水分が多く柔らかいのが特徴です。又、あくが少なく生でも食べられますので、漬物などに使用されます。
泉州の水なすは有名で知っている人も多いでしょう。
・たで
名前を聞いただけでは、姿を想像できる人は少ないのではないでしょうか。
刺身のツマに使われることが多く、貝割れの先のような姿をしており、ピリッとした辛みがあるのが特徴です。
たでは日本全国で福岡と大阪の2県でしか生産されていません。全国生産量のほとんどを福岡が占めますが、約3%は大阪での生産です。
大阪府の米生産について解説
平坦部では「ひのひかり」の生産が盛んで、10月中旬頃より収穫されます。艶があり、もちもち感や粘りがあり香りに優れた品種です。
山間部では「このひかり」の生産が盛んで、9月中旬頃より収穫されます。炊き上がりの白さや輝きが「絹」のように美しいことが名前の由来です。パラッとしたソフトな粘り気が特徴で、寿司などにも使用されます。
大阪府を代表する畜産物を紹介
「なにわ黒牛」は、大阪で一つの農場しか飼育していない、市場には出回らない希少価値の高いブランド牛です。
雄牛100%、通常出荷まで25ヶ月のところを30ヶ月以上肥育しているのが特徴です。
通販でも販売されていますが、その値段は高級肉の値段といえるでしょう。
大阪府の水産業について解説
大阪府で捕れる水産品としては、くろだいやしらすが有名です。
以下にご紹介いたします。
・くろだい
関西ではチヌとも呼ばれています。旬は12月〜3月です。
刺身や塩焼きとして調理されることが多いですが、白身で淡白な味わいですので、どんな調理法にも合うでしょう。
・しらす
大阪湾で漁業されるしらすは、4〜5月が旬です。
本来の旨味が味わえる生しらすや、獲れたてのしらすを釜で茹であげた釜揚げしらすとして食べられることが多いです。
大阪府の郷土料理を紹介
土手焼き
牛すじ肉を味噌やみりんで長時間煮込む、甘辛い味付けの料理です。
鍋の内側に土手状に味噌を盛り、中央で牛すじと野菜を焼き、溶けてきた味噌を煮込むことから「土手焼き」と名前が付いたといわれています。
作り方は、牛すじを下茹でしアクを抜き、串に刺した牛すじと味噌やみりん、出汁で煮込みます。食べる際に山椒や練り辛子を添えても美味しくいただけます。
紅生姜天
紅生姜の薄切りを天ぷらにしたものです。
梅をつける酢を捨てるのがもったいないと、再利用するために生姜をつけたことが紅生姜の始まり。それが天ぷらになったのはどういった経緯かは不明ですが、天ぷら自体は室町時代にポルトガルから室町時代に日本に伝わったとされています。
作り方は、紅生姜の水気を切り、小麦粉と冷水を混ぜたボウルに紅生姜を入れかき混ぜます。170度くらいに温めた油で揚げて完成です。玉ねぎを一緒に入れても美味しくなります。
お好み焼き
小麦粉の生地に、豚肉やイカ、キャベツなどを入れ鉄板で焼いたものです。
安土桃山時代に千利休がお茶菓子として好んだ「麩の焼」がルーツ。麩の焼は、水で溶いた小麦粉を焼き、味噌などを塗り食されていました。
お好み焼きの作り方は、だしで溶いた小麦粉に細かく切ったキャベツを入れて生地を作ります。鉄板で豚肉やえび、いかをのせて、その上に生地を丸く乗せて焼きます。仕上げに甘めのソースと鰹節、青のりやマヨネーズをかけていただきます。
チーズや明太子など、好みに合わせて様々な具材と楽しめるのも特徴です。
バッテラ
しめ鯖で作られた寿司のことをさします。
明治24年に誕生し、当時は大阪湾で大量に獲れた「コノシロ」を日持ちさせるために、酢で〆て寿司にしたのがきっかけのようです。
「バッテラ」という名は、「コノシロ」の形が小舟に似ており、貿易が盛んに行われていたポルトガルの言葉で小舟を意味する「バッテーラ」から変化していったと言われています。
簡単に作る方法は、しめ鯖を購入し、白板昆布を甘酢で煮ます。炊いたご飯に酢飯の酢を混ぜ込み、木箱にしめ鯖、白板昆布、酢飯の順番に詰め、ひっくり返して完成です。木箱がない場合には、お弁当箱などで代用すると良いでしょう。
かやくご飯
野菜や鶏肉などを混ぜた炊き込みご飯を大阪では「かやくご飯」といいます。
室町時代に、僧侶や上流階級の間で流行った、ご飯に野菜やすまし汁をかけて食べる「法飯」が、時代と共に形を変えて広がりました。
漢方で主成分に効能を加えて効能を上げることを「加薬」といい、かやくご飯についても、米に野菜や肉を混ぜて栄養価を上げて食されるため、この名前がついたとの説があります。
作り方は簡単で、洗ったお米に肉や野菜、調味料を入れて炊飯器で炊くだけです。
まとめ
今回は、大阪の郷土料理について紹介いたしました。
大阪の生産高の高い農畜産物には、春菊やなす、大阪梅ビーフやなにわ黒牛、しらすなどがあります。
郷土料理は、メジャーなたこ焼きやお好み焼き以外にも、土手焼きやかやくご飯などの料理があるため、大阪にお出かけの際には様々な郷土料理を楽しむのも良いかと思います。
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香川県の郷土料理について 作り方や特産品も合わせて紹介
香川県は中国地方に位置し、全国で最も狭い面積の県です。1年を通して日照時間が長く小雨の温暖な気候で、自然災害も少ないのが特徴。「うどん県」として名高い香川ですが、うどん以外にも様々な食の楽しみ方があります。
本記事では、香川県の生産高の高い農作物、郷土料理について紹介いたします。
香川県の生産高の高い農作物を紹介
香川県で盛んに生産されている野菜を紹介
香川県のにんにくは、全国シェアの4%を占めており、全国2位の生産量を誇ります。
出荷時期は4月中旬〜8月上旬。おもな生産地は琴平町、善通寺町、さぬき町などです。
肉厚で香り豊かなのが特徴。
香川県のブロッコリーは、全国シェアの9.0%を占めており、全国3位の生産量を誇ります。
ブロッコリーの生育温度が15〜20度と香川県の気候に適しており、収穫時期は10月〜翌6月。
香川県全域で生産されており、生産量も年々増加しています。ぎゅっと詰まった頂部と、やわらかい茎が特徴です。
香川県のレタスは、全国シェアの7.8%を占めており、全国5位の生産量を誇ります。
「らりるレタス」という愛称で、大阪や東京にも多く出荷されています。
専用の肥料で統一されており、徹底した土作りでこだわって作られており、旬は10月中旬〜3月頃です。
糖度が高く自然の甘みで濃い味と感じる人もおり、時間が経ってもみずみずしく、シャキシャキとした食感が特徴です。
香川県のオリーブは、全国シェアの87.4%を占め、全国1位の生産量を誇ります。
オリーブの木は香川県の県木に指定され、小豆島町、土庄町、三富市などで栽培されています。
日本で初めて品種登録された「香オリ3号」「香オリ5号」は香川県が開発した品種です。
オリーブにはフラボノイドのルテオリンや苦味成分のオレウロペインなど、オリーブの種子から絞られるオリーブ油には、オレイン酸が含まれています。これらの成分は、高血圧の予防やコレステロール値を下げる効果が期待されています。
香川県の米生産について解説
平成元年に宮崎県の「黄金晴」と「コシヒカリ」をかけ合わせて誕生したのが「ヒノヒカリ」です。
香川県では、平成5年より良食味米(食用作物に置いて「おいしさ」を構成するいくつかの判断指標を総合して示される「食味」が優れている品種)として栽培されています。
独特の甘みがあり、ソフトな食感のお米です。
香川県を代表する畜産物を紹介
高品質の黒毛和牛として有名な讃岐牛に、オリーブオイル搾取後の果実を肥料として与え誕生したのが「オリーブ牛」です。
味はコクがありますが、さっぱりとしています。
オリーブの種子に含まれるオレイン酸やグルタミン酸などの旨味成分や抗酸化作用が、他の和牛と比較しても多く含まれているのがオリーブ牛の特徴です。
香川県の水産業について解説
香川県のハマチは、全国シェアの4%を占めており、全国7位の収穫量を誇ります。
世界で初めてハマチの養殖に成功したことでも有名で、平成7年にも県魚に指定されています。
「オリーブハマチ」と呼ばれる、香川県の特産であるオリーブの葉を粉末にして餌に混ぜて飼育したハマチが商標登録されています。
オリーブの葉は抗酸化作用が強いため、オリーブハマチは色鮮やかな身で鮮度が落ちにくいのが特徴。旬は冬です。
香川県の郷土料理を紹介
小豆島発祥「しょうゆ豆」
炒ったそら豆を醤油や砂糖で煮た料理です。
香川県でのしょうゆ豆作りは江戸時代が初めといわれており、醤油の醸造が始まった小豆島が発祥の地とされています。
乾燥させたそら豆をフライパンで炒り、砂糖・醤油・唐辛子・水を沸かした鍋に入れて、一晩寝かせて味を染み込ませます。
ホロっとした食感が特徴です。
フナの酢味噌和え「てっぱい」
フナを酢じめにして大根と白味噌を使った酢味噌で和えたものです。
池の淡水魚であるフナは讃岐平野に点在し、鉄砲と呼ばれていることから、「てっぱい」という名前がついたといわれています。
三枚おろしにしたフナに塩をして15分ほど置き、5ミリ幅に切り酢に漬けておきます。短冊切りにした大根と人参に塩を振り、水分を出して絞り、砂糖と白味噌と酢を合わせた調味料に具材を全て入れて、和えたら完成です。
寒い時期にピッタリ「しっぽくうどん」
野菜と油揚げを煮干しの出し汁で煮込み、うどんの具材にした料理。秋、冬によく用いられる食べ方です。
煮干しの原料であるカタクチイワシの収穫量が多いこと、香川県の温暖な気候がうどんの材料に適した小麦の栽培に適していたことが、郷土料理として普及した要因でしょう。
名前の由来は、しっぽくを漢字で書くと「卓袱」と書き、食卓をおおうふろしきを意味し、大皿に盛られたコース料理の中に具沢山のうどんが含まれていたことから、しっぽくうどんの名が付いたという説があります。
作り方は、秋から冬に獲れる野菜(大根、人参、ねぎ、里芋など)と油揚げを煮干しのだし汁で煮込み、茹でうどんにかけて完成です。
サワラの押し寿司「カンカンずし」
酢じめにしたサワラを、押し寿司のようにして食べる料理です。さぬき市鴨部地域で、江戸時代から伝わる郷土料理。
すし箱に酢飯を詰め、その上に酢で締めたサワラを並べ、蓋をして木枠を楔で打ち込みます。その音がカンカンと聞こえることが、名前の由来です。
作り方として、まず、サワラを三枚おろしにし塩をつけた後、酢に漬けて締めます。木箱の中に酢飯をびっしりと詰めて固め、酢に漬けたサワラを酢飯の上に均等に並べ、上から蓋をして木枠に組み付けます。少し寝かせて木箱から取り出して食べやすい大きさに切ったら完成です。酢で締めているため、2〜3日間の保存ができます。
まとめ
本記事では、香川県の生産高の高い農作物と郷土料理について紹介いたしました。
香川県の特産品としては、香川県の県章にもなっている「オリーブ」や、オリーブを肥料に飼育された「オリーブ牛」などが有名です。
郷土料理は、名前がユニークな「てっぱい」や「しっぽくうどん」、保存がきく「カンカンずし」など、昔の人の知恵の詰まった料理が楽しめます。
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兵庫県の郷土料理について 作り方や特産品も合わせて紹介
兵庫県は、47都道府県の中では12番目に広く、近畿地方の西部に位置しています。北は日本海、南は瀬戸内海とふたつの海に面しているため、日本海で獲れる魚と瀬戸内海で獲れる魚の両方を一つの県で楽しめます。さらに六甲山など山の自然も豊かな県です。
本記事では、兵庫県の生産高の高い農作物、郷土料理について紹介いたします。
兵庫県の生産高の高い農作物を紹介
兵庫県で生産が盛んな野菜を紹介
兵庫県のたまねぎ生産量は全国3位です。
知名度が高いのが「淡路島たまねぎ」で、その名の通り淡路島で生産されています。
日本一長い期間をかけて育てているため、甘くて柔らかいのが特徴です。
旬は春で、たまねぎサラダやオニオンスープなどで美味しくいただけます。
兵庫県のみずな生産量は全国5位です。神戸市西区のほぼ全域で、年間を通して栽培されています。
鍋での使用から、サラダなど生食での使用が多くなり、大株から小株の生産が増えています。
アクが少なく、カルシウムも多い野菜です。
兵庫県のレタスは全国4位の生産量で、県の南部で生産されています。おもな出荷時期は春と冬です。
新鮮な状態で届けるために、真空予冷装置でレタスの品温を下げてストックして鮮度を保持しています。
兵庫県の米生産について解説
兵庫県の北部に位置する自然豊かな地域のたじま産のコシヒカリは、「食味ランキング」と呼ばれる日本穀物協会検定の評価で、平成25年産から最高評価「特A」を獲得しています。粘り強い食感が特徴で、冷めても美味しいお米です。
兵庫県を代表する畜産物を紹介
神戸ビーフは、兵庫県で生産された「但馬牛」からとれる枝肉が一定の基準を満たした場合に、「但馬牛」の呼称の代わりに用いることができる牛肉のブランド名で、日本三大和牛の1つとされています。肉繊維とサシの入りが細かく、上品な甘みが特徴です。
2009年アメリカのオバマ大統領が、来日時に神戸ビーフが食べたいと希望したというほど、海外での知名度もあるといえるでしょう。
淡路ビーフは、日本食肉格付協会が定めた規格の「上」以上に相当する淡路牛のみが、純粋に淡路ビーフを名乗ることができ、その割合は1%にも満たないため、伝説の味ともいわれています。筋繊維が細かく、柔らかいのが特徴です。
兵庫県の水産業について解説
兵庫県の南側、淡路市の北側に位置する明石市は、タコの生産地として有名です。
明石市で獲れるタコは「マダコ」と呼ばれており、高級品として扱われています。
明石海峡周辺に生息しているマダコは、カニ・えび・貝などを餌にしているため、身が甘く育っており、プリプリとした歯ごたえが特徴です。旬は6〜8月。
クロダイは、別名チヌとも呼ばれ、主要産地は神戸市、姫路市、南あわじ市です。
淡白な味で刺身や煮付けなどの和食の他に、ムニエルなどの洋食にも向いています。
年間をかけて市場に並びますが、おもな旬は冬から春先にかけてです。
ズワイガニは日本海側でしか獲れないため、但馬地方で漁獲されます。
雄のズワイガニを「松葉ガニ」と呼び、身が詰まっており、茹でたては身がほくほくとし、冷めてもカニの甘みが感じられるのが特徴です。旬は11月〜3月。
兵庫県の郷土料理を紹介
出汁香る「明石焼き」
見た目はたこ焼きと似ている料理です。もともとは「玉子焼き」という名称でしたが、市の職員が明石のPRになるようにと「明石焼き」と名付け、その名が広まりました。たこ焼きとの違いは、食べる時にソースではなく、出汁に付けて食べるところです。
当時、装飾品の明石玉という人工サンゴを作る際に、卵の白身を使用していたことから、余った黄身とタコを合わせて焼いたことから始まったといわれています。
小麦粉とじん粉(小麦粉からグルテンというたんぱく質成分を取り除き、デンプンを精製した粉)、卵とだし汁を合わせた生地にタコを入れて焼きます。じん粉は加熱しても硬くならないため、ふんわりとした焼き上がりになります。
漁師飯「イカナゴのくぎ煮」
2月末から4月が旬のイカナゴを使った料理です。
できあがった姿が、錆びたくぎが曲がった形に似ていることが「くぎ煮」の由来。
元々は漁業関係者の家庭で作られていたものが、味付けの改良を行ったことで1980年代以降、一般家庭にも普及していったと言われています。
醤油、砂糖、生姜を鍋で沸騰させ、水で洗ったイカナゴを入れます。汁気がなくなるまでしっかりと煮詰めて完成です。
生姜醤油がポイント「姫路おでん」
辛子を付けて食べるのが一般的なおでんですが、姫路おでんは生姜醤油をかけて食べます。
地元姫路では一般的であったおでんの食べ方ですが、2006年6月に町おこしを考えるグループが一般的なおでんと素別化を図るため、その名を考案しました。
関東煮と呼ばれる濃い味付けのおでんの味付けを整えるために、生姜醤油をかけて食べたのがきっかけといわれています。
加古川市民のソウルフード「かつめし」
加古川市民のソウルフードで、ご飯の上にビーフカツをのせ、デミグラスソースをかけた洋食の料理です。
戦後、ナイフとフォークがなくても食べられる洋食として、考えられたのがきっかけとのことです。
ビーフだけでなく、チキンやえび、ポークなど、様々なかつをのせた新たなかつめしもお店によって登場しています。
牛もも肉に衣付けを行い、油で揚げます。洋皿に盛ったご飯の上にビーフカツをのせて、市販のデミグラスソースにケチャップやウスターソースで味を整えて、上からかけて完成です。
まとめ
兵庫県は日本海と瀬戸内海に面しているため、両方の海で漁獲される魚介類を楽しめます。
農作物や畜産でも地域の名称のついた、全国的に有名な食材があるのも特徴です。
特産品を使用した郷土料理には、明石焼き、イカナゴのくぎ煮などがあり、全国に共通しているおでんの食べ方にも、兵庫の特色が目立ちます。
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山口県の特産物と郷土料理を紹介
本州の最西端に位置する山口県は三方を海に囲まれているため、美味しい海の幸がたくさんあります。沿岸部や山間部には変化に富んだ地形と多様な自然に恵まれ、様々な野菜や果物が生産されており、海の幸だけではなく、山・川・里の幸も豊富で、昔から美食の文化が栄えた地域として知られています。
今回の記事では、山口県の郷土料理についてご紹介いたします。
山口県の農産物を使った美味しい郷土料理について理解を深めていただければ幸いです。
山口県の生産高が高い農産物の紹介
山口県で生産が盛んな野菜を紹介
山口県で生産される野菜の中で、多く生産されているのは、蓮根、大根、キャベツ、玉ねぎ、白菜、トマトなどです。
中でも蓮根の生産量は全国で第5位。実に全国の4.7%ものシェアを占めているのです。
農林水産省により、2年に1度生産量が調査される「地域特産野菜」によると、らっきょうが1番多く生産されており、生産量は23トン、全国第10位の量です。続いてオクラ(11トン、第32位)、わけぎ(5トン、11位)と続きます。「わけぎ」とは、長ねぎと見た目がよく似ている野菜で、ねぎと玉ねぎの雑種です。
果物は、みかんや梨などが多く生産されており、栗の生産量が全国8位で、全国シェアは3.3%です。
柑橘類以外の特産果実としては、イチジク(37.1トン、24位)、ブルーベリー(9.9トン、32位が多く生産されています。
柑橘類の特産果実は、夏みかんが338.4トンで全国10位、柚子が286トンで全国9位です。そして、セトミが273.3トンの生産量で、全国1位の生産量を誇ります。その他、いよかん、ポンカンの生産量も多いことで知られています。セトミとは、山口県オリジナルの柑橘で、1981年に清見と吉浦ポンカンを交配して作られた品種。
その他、穀物類では米、小麦、はだか麦、大豆の生産が多いことで知られています。
山口県を代表する水産物を紹介
水産物ではカタクリイワシ、マアジ、ブリ、サバなどが多く獲れています。
中でも、アマダイの漁獲量は全国1位、23.6%の全国シェアを占めているのが特徴です。
また、サザエの漁獲量は全国2位、12.9%の全国シェア、ナマコ、キダイ、イサキは全国3位の漁獲量を誇ります。
山口といえばフグですが、漁獲量は全国4位、全国シェアは5.6%という多さです。
養殖も盛んで、海苔、わかめ、フグ、クルマエビが多く生産されているのも特徴の1つ。
養殖フグの生産量は全国8位、全国シェアは3%。また、養殖クルマエビは全国4位の生産量で、6.6%の全国シェアとなっています。
山口県の郷土料理を紹介
山口県の代表的な郷土料理をご紹介いたします。
岩国寿司
山口県の最東部に位置する岩国市の名物として知られる「岩国寿司」は、かつては岩国城内でも食べられていたとされる歴史あるお寿司です。岩国寿司は押し寿司の一種で、広島や島根でも作られている「角寿司」と呼ばれるもの。
岩国寿司は作り方に他の角寿司とは違う特徴があります。酢飯にほぐした魚のみを入れ、大きな型枠に詰めて、穴子、味付け椎茸、岩国蓮根、錦糸卵、でんぶ、大葉などの具材を飾り、芭蕉の葉をしきりに使います。その上に何層にも重ね、木の蓋をして重しをのせて仕上げるので、見た目は色とりどりで非常に鮮やかです。
ボリュームも満点で、お城で食べられていたことから「殿様寿司」との呼び名もあるほどです。岩国藩主に命じられた料理番によって考案され、山の頂にある岩国城へ運んだり保存したりするのに便利な料理として重宝されていたようです。1つの岩国寿司には4~5升もの米を使って作る、贅沢で豪快なところも魅力です。
おばいけ
クジラの尾びれと身の間の部分のことを「おばいけ」といいます。名前の由来は、羽のような形であることで、漢字にすると「尾羽毛」と書きます。
クジラの部位の中で最も美味しいといわれ、カロリーは低くコラーゲンたっぷりなのが魅力。食感はシャワシャワとしていて、山口県外でも昔からよく食べられています。山口県では、昔はクジラの漁も盛んだったため、山口県の郷土料理として今も親しまれています。
酢味噌で和えて食べるのが最もポピュラーな食べ方です。酢味噌以外では、わさび醤油やわさび味噌などを付けたり、辛味噌やキムチのタレなどで味付けする食べ方も美味しいです。
いとこ煮
山口県の荻地方で食べられてきた郷土料理の「いとこ煮」は、今では山口県内のいろいろなエリアで食べられています。他の地域にもいとこ煮と呼ばれる小豆とかぼちゃを似た料理がありますが、山口県のいとこ煮は一味違います。
小豆の形が崩れないように煮ふくめて、昆布出汁を加えて一晩置き、そこに白玉、シイタケ、銀杏などを加えます。
いとこ煮という名前の由来は、煮えにくいものから順番に入れて作ることから、順番(追々)、おいおい、甥甥とつながって、「いとこ煮」という名前がついたそうです。
小豆が入っているので、一見ぜんざいのような甘味をイメージしますが、冠婚葬祭の際などの懐石料理として出されることがよくあります。
けんちょう
大根を使った郷土料理で、「けんちょう煮」や「けんちょう炊き」とも呼ばれています。
精進料理だったものが、段々と家庭料理として食べられるようになりました。
大根と豆腐を炒め、醤油や酒で味付けしたシンプルなものから、人参や椎茸、蓮根、ごぼう、こんにゃく、鶏肉などを入れる具沢山なものまで、具材や作り方、味付けは様々です。汁を多めに入れて作り、けんちん汁と似ている「けんちょう汁」と呼ばれるものもあります。
名前の由来には諸説ありますが、鎌倉時代の日常食として食べられていた野菜と豆腐を炒めた汁物が元になっているとする説とそのうちの1つ。けんちん汁も鎌倉の建長寺発祥だといわれているので、鎌倉建長寺説が有力視されています。
瓦そば
瓦そばは、山口県下関市豊浦町周辺の郷土料理です。
熱く熱した石州瓦の上に、鉄板などで炒めた茶そばを載せ、錦糸卵や細切れにした牛肉などをトッピングした料理。
薬味として刻んだ小ねぎ、海苔、スライスしたレモン、もみじおろしなどを添え、麵つゆにつけて食べます。
西南戦争で、熊本城を囲む薩摩郡の兵士達が、戦の合間に瓦を使って野草や肉などを焼いて食べていたことをヒントに考案された料理です。
家庭では瓦ではなく、フライパンやホットプレートを使って焼いて食べられています。紅葉おろしや錦糸卵で飾り付けて、色鮮やかに仕上げて味わうこともあります。
まとめ
山口県の農産物や郷土料理についてご紹介しました。本州の最西端に位置する山口県には、あまり訪れる機会が少ないかもしれませんが、魅力的な郷土料理がたくさんあり一度訪れてみるのもよいかと思います。
また、レシピを見ながらご家庭で山口県の郷土料理を味わってみるのもよいでしょう。
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長崎県の特産品と郷土料理について解説
シェアダイン編集部
福岡県の郷土料理と特産品について解説
福岡県といえば九州地方の中では最も人口が多く、福岡市と北九州市の2つの政令指定都市があることから、栄えているイメージを持っている人が多いと思います。実際、博多市はとても都会的で人も多くにぎやかです。一方で、東京や大阪、名古屋に比べると物価や地価は安いことが魅力。また、九州地方の北部に位置する福岡は、本州と九州を結ぶ交通の要であるだけではなく、朝鮮半島や中国大陸にも近く、日本の玄関といえる県でもあります。博多以外の地域では、豊かな自然に恵まれ、農林水産業も盛んで、県内総生産は約18兆円で九州の約4割を占めています。
今回の記事では、福岡県の郷土料理についてご紹介します。
福岡県の特産品を紹介
福岡県は自然条件に恵まれ、多種多様な農業が盛んに行われています。福岡県の耕地面積は8万1400haで、水田の割合が約80%です。水田の割合の全国平均は54%なので、福岡県はだいぶ高いのがわかります。
「夢つくし」「元気つくし」などの米のブランドや、イチゴの「あまおう」、ラーメン用小麦の「ラー麦」などが全国的に有名で人気が高い品種です。
生産量が全国5位以内に入るおもな農産物には、小麦、イチゴ、水菜、キウイフルーツ、二条大麦、冬春ナスなどがあります。また、林産物では、タケノコ、ブナシメジ、エノキタケなどが全国5位以内に入ります。福岡県は森林の面積も22万2000haと広く、県土面積の45%をも占めているのです。
そして、筑前海、有明海、豊前海などの海域や、河川および湖沼において、多種多様な漁業や養殖業も盛んに行われています。そこでは、全国有数の生産量を誇るマダイやノリなどが水揚げされているのも特徴。全国上位に入る水産物には、他にガザミ類やイサキもあります。
福岡県の郷土料理を紹介
福岡県といえば、多くの人が豚骨で有名な博多ラーメンやもつ鍋を思い浮かべるのではないでしょうか。その他にも福岡県ならではの美味しい郷土料理は数多くありますので、その中から代表的なものをいくつかご紹介します。
がめ煮
寄せ集めることを意味する博多の方言「がめくりこむ」が名前の由来とされ、豊臣秀吉のおこした文禄の役で朝鮮に出兵した兵士が、当時は「どぶかめ」と呼ばれていたスッポンと、あり合わせの材料を煮込んで食べたのが始まりだといわれています。
現在は、スッポンではなく一般的に鶏肉を入れ、正月料理や祭り、結婚式などのお祝いの席や、精進料理として作られることが多いです。しかし、特別な料理ということはなく、普段からおかずや酒の肴としてよく食べられています。
具材を最初にすべて炒めて、だし汁や調味料を加えて野菜に火が通るまで煮ます。野菜は季節によって異なり、福岡市の志賀島では具材の種類を必ず奇数にするという風習があるのです。また、しょうがやさやえんどうを添えることもあります。
がめ煮は筑前煮とほとんど同じですが、筑前煮は骨なしの鶏肉を使うのに対して、がめ煮では骨付きの鶏肉を使うこともあるという特徴があります。具沢山で野菜も豊富。栄養バランスもよい料理です。
かしわめし
「かしわ」とは、九州地方で鶏肉のこと。福岡では昔から鶏肉を使った料理がたくさんあるのです。ごはんにかしわや具材を煮詰めたものを混ぜたものが「かしわめし」で、昔から福岡県の各地域の家庭や食堂で親しまれている定番の郷土料理です。
運動会や祭りなどの行事やハレの日にもよく食べられています。駅弁としても有名で、テレビ番組などで見たことがある人もいるのではないでしょうか。冷えても美味しく食べられるので、おにぎりとしても人気があります。
かしわめしによく使われている鶏肉は、福岡県の地鶏「はかた地どり」。筋肉質で、歯切れのよさや、噛むほどに旨味が増すところが魅力。はかた地どりのむね肉には、認知機能の低下を抑止する効果があるアンセリンやカルノシンが含まれており、消費者庁の機能性表示食品として認定もされています。
にぐい
おもに豊前地域で食べられている「にぐい」は、鶏肉が入らない精進料理が始まりといわれています。仏事や結婚式などのお祝い事にも作られます。
里芋、こんにゃく、人参、しいたけ、油揚げ、蓮根などの中から奇数の材料を選び、それぞれの材料を四分角くらいに切ります。醤油と塩に隠し味程度の砂糖を加え、具沢山のお吸い物のような味付けのだし汁で煮ると完成。にぐいは、他の煮物よりも具材が小さいのが特徴で、一口サイズの大きさに切り、たっぷりの汁で煮ます。
最初は汁物として食べ、時間が経ち汁気が少なくなったら二度目の煮物として数えることから「二度食う」=「にぐい」と名付けられました。築豊地方では「だぶ」とも呼ばれ、仕上げにくず粉や片栗粉でとろみをつけて食べられています。水をたくさん入れてざぶざぶ作ることから「ざぶ」→「だぶ」と呼ばれるようになりました。
家庭料理の定番でもありながら、祭りや冠婚葬祭には欠かせない料理で、一緒に鶏飯や鶏のスープを作ることが多くありました。
元々は、祝い事や法事の際に作ったがめ煮やちらし寿司から出る野菜の切れ端を使った賄い料理が始まりです。
あちゃら漬け
あちゃら漬けとは、刻んだ季節の野菜に赤唐辛子を加えた酢の物です。ゴボウや蓮根のような歯ごたえのある根菜類も合いますが、根菜類は皮むきやあく抜き、下茹でなどの下処理に手間がかかるため、現在は下処理が済んだカット野菜や水煮、冷凍野菜などを使って作られることも多くあります。
さわやかな甘みと酸味に、赤唐辛子の辛みがよいアクセントになり、夏場に日持ちする料理としてよく作られてきました。
漢字で書くと“阿茶羅漬け”となり、ポルトガル語の“achar(アチャール)”が語源とされています。アチャールとは、野菜や果物の漬物のこと。博多湾は昔から貿易の拠点として栄えてきたので、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて行われてきた南蛮貿易によって伝わったとされています。あちゃら漬けに欠かせない赤唐辛子も、同時期に日本に伝来したといわれています。
おきゅうと
おきゅうとは、昔からおもに朝ごはんのおかずとして食べられてきました。
名前の由来には諸説あり、「飢餓のときに非常食として多くの人を救ったことから御救人(きゅうと)と呼ばれるようになった」「漁師が海藻から偶然生み出したことから沖人(おきうど)と呼ばれるようになった」「沖で採れるウド」「キューっと絞る手順があることから」などといわれています。
食物繊維が豊富で低カロリーなので、ダイエット食としても人気があり、最近は朝ごはんに食べることは少なくなり、居酒屋では酒のおつまみの定番です。イギスやエゴノリなどの海藻から作られ、食感はところてんに似ています。ところてんよりも磯の香りが強いのが特徴。エゴノリを干して煮溶かし、小判型に固めたものを千切りにし、酢醤油やマヨネーズなどをかけて食べます。
まとめ
福岡県の代表的な郷土料理をご紹介しました。
豊富な農産物を材料にした、具沢山の料理が多いです。それぞれの料理に歴史があるので、福岡に訪れた際はそれぞれの料理の歴史にも触れながら味わいたいものです。
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シェアダイン編集部
長崎県の特産品と郷土料理について解説
長崎県は温暖多雨で、対馬暖流の影響を受けて冬は比較的暖かく、夏は涼しい海洋性の気候に恵まれています。複雑な地形をいかし、様々な農産物が生産されています。
また、江戸時代の初期まで朱印船貿易の港として、ポルトガルや、オランダ、イギリスなど、外国との交易が行われていた長崎では、様々な国の文化が混ざり合って、食文化も独自の進化をしてきました。
この記事では、長崎県の農産物や郷土料理について紹介いたします。
長崎県の生産高が高い農産物の紹介
長崎県で生産が盛んな農産物を紹介
野菜では、ジャガイモ、レタス、玉ねぎなど、果物では、びわ、イチゴ、ミカンなどが多く生産されています。中でも、びわの生産量は全国一位で、江戸時代からびわ栽培の歴史があります。長崎びわは露地栽培がおもでしたが、寒害から果樹を守るために、近年ではハウス栽培も積極的に行われるようになりました。
また、「紅まどか」と「ゆうこう」という柑橘類は長崎県が全国シェア100%です。
長崎県の米生産について解説
長崎県では、山間部で自然の採光と、日中と夜間の温度差をいかして棚田での米作りをされている地域があります。
県内では、コシヒカリをさらにおいしくなるよう品種改良された、「長崎ひのひかり」が最も多く生産されています。
味や触感はコシヒカリに似ていますが、少し小粒で厚みがあり、良質な味が特徴です。
長崎県を代表する畜産物を紹介
肉用牛が最も多く生産されており、次いで豚やブロイラーも多く生産されています。
また、長崎市では、有害鳥獣として駆除しているイノシシを活用して、長崎市の特産品「うまかぼたん」として販売。イノシシ肉は牛肉と比較して、低カロリー・高タンパク質で鉄分を多く含みヘルシーな肉とされ、昨今注目を集めています。平成17年度より、「うまかぼたん処理販売組合」を通じて、安心・安全に、衛生管理に配慮しながら加工に取り組んでいます。
長崎県の水産業について解説
長崎県は、漁業生産量は北海道に次いで全国2位、漁獲できる魚種は250種類以上で全国1位です。
変化に富んだ海岸線から広がる広大な海域には、対馬暖流、済州島方面からの黄海冷水、九州からの沿岸水などが流入していることで、多くの島々や複雑な海底地形により好漁場が形成されています。
アジ、ブリ、タイ、イサキ、サザエ、サバ、イワシ、アマダイなどが全国でも上位の漁獲量で、フグやクロマグロの養殖も盛んです。また、水産加工品ではイワシの煮干し品も全国トップの生産量です。
長崎県の郷土料理
その名はすでに全国区に「ちゃんぽん」
全国的にも知名度の高い、長崎名物の麺料理です。
1899年に、中華料理店の店主が中国人留学生に安くて栄養があるものを食べさせようと考え、野菜や肉の切れ端などを炒め、そこに中華麺を入れてスープで煮込んだボリュームたっぷりの料理を作ったのが始まりとされています。
名前の由来は諸説あり、中国福建省の日常的なあいさつ「吃飯(シャポン、直訳するとごはんを食べましたかの意味)」からきているという説や、当時の中国人の呼び名である「チャン」と日本人の「ポン」からという説など様々です。
一般的には豚肉と紅白かまぼこ、キャベツ、ネギ、モヤシなどの野菜類と、イカ、エビ、アサリなどの魚介類を入れ、麺とスープと一緒に煮込んで作ります。
高級食材いぎすを使った「いぎりす」
乾燥させたイギスという紅藻類の海藻を、米のぬか汁や大豆のゆで汁等で煮溶かし、人参や魚、ピーナッツなどの具を練り込んでから羊羹状に固めた郷土料理です。
「いぎりす」という名称は国名のイギリスとは関係がなく、原材料のイギスが訛ったものとされています。
昔は家庭でも作られていましたが、作るのに手間がかかる上に、原料のイギスが高級食材化したことで、作る家庭が少なくなっています。
「地獄炊き」
「五島うどん」は、長崎県の最西端にある五島列島の古くからの特産品です。島の特産である食用の椿油を塗布しながら、棒状の生地を2本の箸にかけて引き延ばしては束ねるという作業を繰り返して、紐状の細い麺にし、熟成を重ねたあと、乾燥させて作られます。
地獄炊きは、五島うどんの乾麺を鉄鍋でぐつぐつと茹でて、五島沖で獲れたトビウオを使ったアゴ出汁で食べます。
地獄炊きの名前の由来は、初めて食べた旅人が「しごくおいしい」と褒めた言葉を、「地獄おいしい」と聞き間違えたという説が有力です。
味にアクセントをつけるために、ネギ、かつお節、しょうゆを入れて溶いた卵に麺を絡めて食べることもあります。
アレンジ豊かな「かんころ餅」
長崎県の五島地方に古くから伝わる郷土料理です。五島地方ではさつま芋を薄くスライスして天日干ししたものを「かんころ」と呼び、「かんころ」を餅米に混ぜてつきあげたものが「かんころ餅」です。
昔、もち米はとても高価な物でしたが、家族で沢山食べられるようにかんころを混ぜて作ったことが始まりで、五島地方の冬期の保存食として今も各家庭で作られます。
シンプルなかんころのみの味から、ヨモギ入りや紫芋入りのものなどもあり、食べる時にはスライスして焼くのが一般的ですが、最近ではバターをのせたり天ぷらにしたりと、様々な食べ方をされています。
歴史深い「具雑煮」
島原藩領だった島原半島一帯で作られている郷土料理です。
江戸時代初期に起こった島原の乱で、総大将の天草四郎が籠城した際に、兵糧の餅と山の幸、海の幸を合わせて煮て作った料理が始まりとされています。
だし汁に丸餅や、鶏肉、白菜、人参、ごぼう、干し椎茸、などを入れて煮込んで作られます。
まとめ
長崎県は温暖多雨で、冬は比較的暖かく、夏は涼しく、複雑な地形を生かし、様々な農産物が生産されています。また、ポルトガルや、オランダ、イギリスなど、様々な国の文化が混ざり合って、食文化も独自の進化をしてきました。歴史のある郷土料理も豊富にあり、海と山の幸をふんだんに使った料理が楽しむことができるでしょう。
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福岡県の郷土料理と特産品について解説
大分県の特産物や郷土料理について解説
宮崎県を代表する特産品や郷土料理を紹介
熊本県の郷土料理と生産が盛んな農産物を紹介
佐賀県の郷土料理について 作り方や佐賀県を代表する農産物を紹介
シェアダイン編集部
佐賀県の郷土料理について 作り方や佐賀県を代表する農産物を紹介
佐賀県は伊万里焼や有田焼などの陶磁器の産地や温泉が有名ですが、玄界灘と有明海に面した地域で、温暖な気候なため、農作物の栽培に適した土地です。
この記事では、佐賀県の農産物や郷土料理について解説いたします。
佐賀県の生産高が高い農産物の紹介
佐賀県で生産が盛んな農産物を紹介
野菜では、玉ねぎ、れんこん、アスパラガスの収穫量が全国でも上位です。
果物では、温州ミカン、すだち、いよかん、ポンカンなどの柑橘類の生産が盛ん。ハウスみかんの収穫量は全国一位になっています。また、佐賀県で生まれた「さがほのか」というイチゴも有名です。佐賀県農業試験研究センターで「大錦」と「とよのか」を交配して誕生し、2001年に品種登録されました。佐賀県をはじめとして、おもに九州地方で栽培されています。
佐賀県の米生産について解説
九州でも有数の米どころである佐賀県には、広大な佐賀平野が広がっており、米の食味ランキングなどでも高評価を得ているブランド米を生産しています。
佐賀米には「さがびより」「夢しずく」「天使の詩」「たんぼの夢」「佐賀よかもち」などがありますが、中でも「あがびより」と「夢しずく」が有名です。
「さがびより」は、日本穀物検定協会が行っている「米の食味ランキング」で、10年連続最高ランクの特A評価を獲得している高品質のお米として知られています。
佐賀県を代表する畜産物を紹介
佐賀県にはブランド牛やブランド豚などが存在します。
肉牛の産出額が最も多いですが、特に有名なのが佐賀牛です。
温暖な気候と美味しい水、澄みきった空気で育てられた佐賀牛は、高品質の牛肉を安定して供給できるということで、全国から注目されています。非常にやわらかく、ジューシーで甘みがあり、上質な脂身が特徴です。
佐賀県の水産業について解説
アサリやアワビなどの貝類や、養殖のフグやマダイが多く生産されています。なかでも、「呼子のイカ」と「佐賀のり」は全国的にも有名です。
「呼子のイカ」は、東松浦半島北部の唐津市呼子町は玄界灘に面した港町で水揚げされるケンサキイカのことです。昔から漁業が盛んな呼子で、玄海灘の対馬海流、黒潮にもまれて育ったイカは、プリプリとした食感と上品な、ほどよい甘みで「日本一美味しい」とも称されます。
佐賀県は海苔の生産量と販売額が、どちらも日本一。日本での主な海苔の産地は、伊勢湾や瀬戸内海などがありますが多くの川が流れ込む有明海で採れる海苔は、凝縮された旨みと豊かな香り、なめらかな口どけで、贈答品としても重宝されてきました。
佐賀県の郷土料理を紹介
佐賀版筑前煮「がめ煮」
全国的には「筑前煮」と呼ばれる、佐賀県の郷土料理です。福岡・博多をはじめとして、九州の他の地域でも郷土料理として愛されています。お祭りやお祝いの席に欠かせない郷土料理で、正月にはおせち料理のひとつとして食卓に並び、氏神の祭りである「おくんち(お九日)」の定番のご馳走です。
たくさんの根菜と鶏肉を炒めて煮含める料理で、もともとは豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に、宿営していた博多の入り江などにいたスッポンを野菜と煮て食べていました。スッポンは川亀や泥亀と呼ばれたことから、がめ煮という名になったそうです。現在では、スッポンの代わりに鶏肉を使うのが一般的。
冠婚葬祭の場に出される「だぶ」
唐津市の旧浜玉町や七山村などのお祝いや憂いの時に、集落の人が共同で作ってきた郷土料理です。煮くずれしやすい食材は使わずに、水を多く入れて「ざぶざぶ」と作ることから、「ざぶ」が訛って「だぶ」と呼ばれるようになったという説があります。
冠婚葬祭などのお客様を招待する場面で振る舞われる料理で、慶弔によって材料や切り方が異なり、お祝いなどのハレの日は四角、憂いなどのケ(褻)の日には三角に切ります。
下処理をしたこんにゃくや鶏肉、根菜、焼き豆腐などの具材を切り、だしに入れやわらかく煮て、塩や薄口醤油で味をつけ、仕上げに片栗粉でとろみをつけて完成です。
伝統のおやつ「ゆでだご」
昔からおやつとして親しまれているお菓子で、平たく伸ばした小麦粉の生地を茹で、黒砂糖をかけるのが一般的です。
生地に茹でたかぼちゃやほうれん草、ヨモギを混ぜたり、中にあんこを包むこともあります。
昔は農作業の合間に食べられていたおやつで、食事が足りない時の補食でよく食べられていました。
ムツゴロウの蒲焼を使った「須戸ずし」
白石町須古地区で、祭りの時や地元の寺院にお参りに来た人などへのご馳走として振る舞われていた郷土料理である、ムツゴロウの蒲焼を使った押し寿司です。
作り方としては、米を炊く時に塩や根昆布を入れ、炊きあがった米に合わせ酢を加えて酢飯を作り「もろふた」と呼ばれる木箱に詰めます。四角形に切り目を入れてから、ムツゴロウの蒲焼や、錦糸卵、タケノコ、奈良漬などの具材を乗せ、薬味を飾って完成です。
近年ではムツゴロウが昔よりも獲れないため、代わりに、鰻やエビを使うこともあります。
夏にピッタリ「にいもじ」
里芋の一種である「みずいも」を使って作られる酢の物です。
みずいもの皮をむいて、二杯酢や三杯酢で漬ける料理で、夏の日常食として日頃から食べられています。暑い夏によく冷やして食すことが多く、みずいものシャキシャキとした食感を残して作るのが定番ですが、作る人や食べる人の好みによってやわらかく茹でて仕上げる場合も。
地域によっては「ずいき」という名称でも呼ばれている料理です。
まとめ
佐賀県は伊万里焼や有田焼などの陶磁器の産地や温泉が有名ですが、玄界灘と有明海に面した地域で、温暖な気候なため、農作物の栽培に適した土地です。
「さがほのか」というイチゴや「あがびより」と「夢しずく」という米が有名で、佐賀牛や呼子のイカ、佐賀海苔など、農産物も畜産・水産物も豊富に生産されています。
豊かな食材で作られる、古くから伝わる様々な郷土料理を楽しむことができます。
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山口県の特産物と郷土料理を紹介
福岡県の郷土料理と特産品について解説
大分県の特産物や郷土料理について解説
宮崎県を代表する特産品や郷土料理を紹介
熊本県の郷土料理と生産が盛んな農産物を紹介
長崎県の特産品と郷土料理について解説
シェアダイン編集部
熊本県の郷土料理と生産が盛んな農産物を紹介
古来より「火の国」と呼ばれてきた熊本県では、豊かな自然と平坦地から高冷地まで恵まれた立地条件や気候をいかして、様々な農林水産物が生産されています。トマトやスイカ、イチゴ、阿蘇のあか牛、赤いマダイやクルマエビなど、「赤色」の食材を「くまもとの赤」ブランドとして全国へ発信する取り組みも盛んです。
この記事では、熊本県の農産物や郷土料理について解説いたします。
熊本県の生産高が高い農産物の紹介
熊本県で生産が盛んな農産物を紹介
野菜では、トマト、ナス、たけのこなどの収穫量が多いです。
果物では、イチゴ、キウイフルーツ、橙、日向夏、イチジクなどの生産が盛んです。中でもイチゴは、大粒で甘味と酸味のバランスがとれた上品な味が特徴の「ゆうべに」と、鮮やかな赤色と上品な甘味が特徴の「ひのしずく」が熊本県のオリジナル品種「くまもとの赤」にブランド登録されています。
熊本県の米生産について解説
「森のくまさん」「くまさんの力」「わさもん」「華錦」「くまさんの輝き」という5品種が熊本県で開発されました。
中でも「くまさんの輝き」は熊本県農業研究センターにて15年の歳月をかけて育成され、平成28年に誕生、平成30年本格デビューした新しい品種です。「くまさんの輝き」という名前は公募の中から選ばれ、「熊本で生まれたツヤ(輝き)の美しいお米」という意味が込められています。
熊本県を代表する畜産物を紹介
熊本県には、「くまもと黒毛和牛」「くまもとの厳選味彩牛」「くまもとの味彩牛」「くまもとあか牛」「くまもと火の里牛」の5つのブランド牛が存在します。その中でも「くまもとあか牛」が「くまもとの赤」にブランド登録されています。赤身が柔らかく、適度な霜降りで、旨み成分を豊富に含み、しっかりとした味わいかつ余分な脂肪が少ないヘルシーな牛肉です。
また、馬肉の生産量が日本一で、郷土料理の馬刺をはじめとして、肉じゃがや、おでんの具など、様々な料理に使われます。「桜肉」とも呼ばれており、牛肉や豚肉と比べて低カロリーでコレステロールが少ないのが特徴です。
くまもとけんの水産業について解説
熊本県では、四季を代表する17種類の地魚を「くまもと四季のさかな」として選定しています。
「くまもとの赤」ブランドにもなっている、マダイや車エビ、マダコのほか、あさり、ひらめ、ブリなど、様々な魚が獲れることで有名です。
熊本県の郷土料理を紹介
歴史深い「からしれんこん」
体が病弱だった肥後細川家初代藩主を心配した羅漢寺の和尚が、熊本城の外堀に非常食として栽培していた、栄養のある蓮根でからしれんこんを作ったことが始まりとされる、300年以上の歴史がある郷土料理です。
蓮根は増血剤として優れているうえに、辛子には食欲増進作用があり、明治維新以降には一般家庭でも作られ熊本名物のひとつになりました。
熊本の名産・桜肉を使った「馬刺し」
馬肉生産量が日本一の熊本の名物で、薄く切った生の馬肉を薄切りのたまねぎやおろししょうが、にんにくなどの薬味と一緒に甘口の醤油をつけて食べます。ハラミ、フタエゴ、タテガミ、赤身、各部位によって食感と味わいは多様です。切り口が桜色になる事から、「桜肉」とも呼ばれています。
発祥は諸説ありますが、熊本藩の初代藩主の加藤清正が朝鮮出兵した際に、食料が底をつき、しかたなく軍馬を食べたところ、非常に美味しかったので、朝鮮半島からの帰国後も馬刺しや馬肉を好んで食べたというのが始まりとされています。
季節の野菜がたっぷり入った「だご汁」
小麦粉もしくは米粉を水で練ってしばらく寝かせた後に、手で延ばし、ちぎった団子を入れた汁のことで、味噌や醤油で味付けして食べます。
具材は季節の野菜を入れますが、里芋やごぼう、人参、白菜などのほか、鶏肉や貝類、山菜などが入る地域もあります。九州全般で食されていますが、熊本ではだんごにさつまいもを使用する地域が多いです。
昔、農作業で忙しい農家の人々が、食事の手間と時間を節約するために作られた料理で、気軽に食べられるうえに腹持ちが良いという特徴がありました。「だご」とは熊本弁で「だんご」を意味する言葉で、だんご汁とも呼ばれます。
アレンジは様々「いきなり団子」
「生のさつまいもをいきなり包んで団子にする」ことが名前の由来となっている、輪切りにしたさつまいもを小麦粉の生地で包んで蒸した郷土おやつです。「いきなり団子」の「いきなり」というのは、熊本弁で「簡単・手早く・すぐに」という意味である通り、短時間で簡単につくることができます。
元々はさつまいもだけが入っていましたが、数十年前から具に小豆あんも入るようになり、今ではこちらが主流になっています。さらに最近では生地に黒砂糖を混ぜたり、具に紫芋を使ったり、栗やくるみを入れたりと、様々なアレンジがされている上、本来はできたてを食べる温かいおやつですが、冷やして食べるいきなり団子なども登場しました。
骨まで食べれる「このしろの姿ずし」
棒状にしたすし飯の上に、背開きにした頭付きの『このしろ』をのせて押し固めた寿司です。
縁起のよい料理で、正月や祭り、祝い事など家族や親せきが集まる場に欠かせないとして八代海沿岸部、天草灘、有明海に面した地域で江戸時代から受け継がれています。
このしろに塩をした後、甘酢で締めているのでほどよい塩味と酸味が付いており、酢で骨や頭もやわらかくなっているので、骨ごと食べられます。
まとめ
熊本県は古来より「火の国」と呼ばれ、豊かな自然と平坦地から高冷地まで恵まれた立地条件や気候を活かして、様々な農林水産物が生産されています。
大粒で甘味と酸味のバランスがとれた上品な味が特徴の「ゆうべに」、鮮やかな赤色と上品な甘味が特徴の「ひのしずく」というオリジナル品種のイチゴや、「くまもとあか牛」「マダイ」などの赤い食材が「くまもとの赤」ブランドとして全国へ発信中です。
300年以上の歴史のあるからしれんこんをはじめ、豊かな自然が生み出す食材を使った郷土料理を楽しむことができます。
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福岡県の郷土料理と特産品について解説
大分県の特産物や郷土料理について解説
宮崎県を代表する特産品や郷土料理を紹介
佐賀県の郷土料理について 作り方や佐賀県を代表する農産物を紹介
長崎県の特産品と郷土料理について解説
シェアダイン編集部
宮崎県を代表する特産品や郷土料理を紹介
宮崎県は九州の南東部に位置しており、温暖な気候に恵まれています。恵まれた気候を活用して、農業は標高0m~1000m間に広がる農地を活用して営まれ、全国屈指の農業県です。「日本のひなた宮崎県」というキャッチフレーズの通り、温暖な気候で育つ豊かな食材や暖かい県民性が特徴です。
この記事では、そんな宮崎県の農産物や郷土料理について解説します。
宮崎県の生産高が高い農産物の紹介
宮崎県を代表する農産物を紹介
野菜では、きゅうり、ピーマン、ゴーヤ、さといも、らっきょうなどが多く収穫されているほか、「日向かぼちゃ」とも呼ばれる黒皮かぼちゃも特産品として人気を得ています。
果物では、たんかん、ぽんかん、みかんの他に、パッションフルーツやマンゴー、パパイヤなどの南国フルーツが多く収穫されています。
中でもマンゴーは「太陽のタマゴ」というブランドマンゴーが有名です。太陽のタマゴは、樹上で100%完熟させてから収穫をしているという点が特徴で、宮崎で収穫される完熟マンゴーのなかでも、約15%程度となっています。元々は宮崎市や西都市などの、県内でも平野なところで中心に栽培されていましたが、近年では中山間地でも栽培をされるようになりました。
宮崎県の米生産について解説
「陽の光(ひのひかり)」を意味した名前がついている、宮崎ヒノヒカリは、コシヒカリの交配種で、黄金晴と呼ばれるお米とかけ合わせて宮崎県総合農業試験場で研究された品種です。淡泊な味で、料理を選ばずいろいろなものと合わせて楽しむことができます。
ヒノヒカリの後継種として、「おてんとそだち」という品種も登場しました。粘り、つや、うまみ、香りのバランスが良いお米で、もっちりとした食感が特徴かつ、冷めても美味しいと人気です。
宮崎県で生産が盛んな畜産物を紹介
宮崎県は、飼養頭羽数で、ブロイラー(鶏肉)が全国1位、豚が全国2位、肉用牛が全国3位など、畜産が非常に盛んです。
畜産のブランドとして、宮崎牛、宮崎ブランドポーク、みやざき地頭鶏が高い評価を得ています。
また、宮崎県で生産された肉用子牛の品質は日本全国で高く評価されており、県内で生産された子牛のうちの、約4割もの子牛が県外に出荷され、全国各地のブランド牛の素牛として活躍しています。
宮崎県の水産業について解説
宮崎県の海岸線の総延長は約400kmで、その沖を南から北に向け黒潮が流れ、岸近くでは豊後水道から南向きの流れが入ってきます。
黒潮にのって移動するカツオやマグロ類などのほか、黒潮より沿岸で漁獲されるイワシ類、アジ類、サバ類、沿岸部にいるマダイ、ヒラメ、オオニベ、カサゴなど、様々な水産物が水揚げされています。
また、ブリ、カンパチ、マダイの海面の養殖や、うなぎ、コイ、鮎の内水面の養殖も盛んです。
宮崎県の郷土料理を紹介
延岡市発祥「チキン南蛮」
延岡市発祥で知られるチキン南蛮は、昭和30年代に延岡市内の洋食店で、賄い料理としてつくられたのが始まりとされています。
チキン南蛮の「南蛮」とは、戦国時代に来日したポルトガル人や、その文化を表す言葉です。「南蛮漬け」という唐辛子入りの甘酢に食材を漬けてつくられる料理を鶏肉で応用して作られたため「チキン南蛮」と呼ばれるようになりました。
鶏肉に小麦粉を振って卵液を絡めたものを揚げてから、甘酢に浸して作りますが、甘酢だけで味わうパターンと、さらにタルタルソースをかけて食べるパターンがあります。
夏にもサッパリ「冷や汁」
魚のすり身に、炙った味噌やすりごまなどを合わせたものを、魚の頭や骨、昆布などでとっただし汁で伸ばして豆腐を加え、冷えた麦ご飯にかけて食べる郷土料理です。
昔は農民が夏の重労働の際に、時間や食欲のない時でも充分な栄養補給をして体力を回復させるために、サッと食べられる料理として広まりました。
使う魚は様々ですが、一般的にはタイやアジ、トビウオ、カマスなどが使われます。
摘みたての新芽を使った「お茶の葉天ぷら」
新茶ができた時に食べられる郷土料理です。
宮崎県は、温暖な気候と適度な雨、肥沃な大地に恵まれていることから、お茶の栽培に最適な環境で、荒茶の生産量が全国上位に位置しています。
摘みたての新芽を軽く水で洗い、薄く天ぷらの衣を付けて、サッと揚げ、揚げたてに軽く塩を振って食べます。
県民のごちそう「魚ずし」
サバやアジなどを使ってつくる姿ずしのことで、一般にいうサバずしやアジずしのことをさす郷土料理です。
各家庭によって味付けが異なり、お祝い事のごちそうや、お盆、正月、お祭りの際などに作られることが多いです。
中でも、脂がのって身の旨味がある寒サバのみを使ったサバの魚ずしは、贅沢で絶品だと評価されています。
もともとは高知の姿寿司が発祥とされていますが、四国から宮崎に移り住んだ人が広めたという説もあります。
二度こねた「ふたたびだんご」
宮崎県の東北部にあり、東は日向灘に面し五つの川が流れる自然豊かな延岡市の郷土料理です。
名前の通り、通常のだんごづくりはこねる作業は一回ですが、一度こねてからよもぎの新芽を入れて蒸して、再び生地をついて作ることで、ふわっと柔らかい食感に仕上がります。最後に、でき上がった生地にあんこを包み、きな粉をふりかけたら完成です。
昔ほどよもぎの葉がとれなくなったこともあり、家庭で作られる機会は減っています。
まとめ
宮崎県は九州の南東部に位置しており、温暖な気候に恵まれています。
「日本のひなた宮崎県」というキャッチフレーズの通り、温暖な気候で育つ豊かな食材や暖かい県民性が特徴です。
マンゴーやパッションフルーツなどの南国フルーツも多く収穫でき、野菜や米の収穫も多いほか、畜産も非常に盛んです。
飼養頭羽数で、ブロイラー(鶏肉)が全国1位、豚が全国2位、肉用牛が全国3位になっており、さらに畜産のブランドとして、宮崎牛、宮崎ブランドポーク、みやざき地頭鶏が高い評価を得ています。
ポルトガルから伝わった食文化が融合した郷土料理なども楽しむことができます。
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