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精進料理について解説 特徴も合わせて紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/18
更新日:2022/12/13
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目次

精進料理と聞くと、仏教やお寺など普段の食生活ではあまり想像できない厳粛なものをイメージする人も多いでしょう。
近年、健康ブームということもあって、精進料理を食べることができるお店が増えてきました。
この記事では、精進料理について詳しく解説いたします。
精進料理とはどんなものなのか、食べてみる、作ってみる上で、事前に知識を深めてみると、より精進料理を楽しむことができるでしょう。

精進料理の特徴や種類

精進料理とはどういう料理か

精進料理とは肉や魚を一切利用しない料理のことで、仏教と大きく結びついています。
「精進」は、雑念を去り、仏道修行に専念すること、肉食を断って菜食にするなどの意味を持つ言葉です。
仏教の戒律でも「殺生」や「煩悩」を避けるように厳しく定められています。
このことからも精進料理の大きな特徴は、動物を殺生しないということといえるでしょう。

精進料理の種類

精進料理で使うことができる食品は、植物性のものなので、野菜類、穀類、海藻類、豆類、木の実、果実などが精進料理に使うことができます。
使える食品は少ないのですが、野菜や豆、穀物などを工夫して、様々な種類の精進料理が作られています。

精進料理と仏教

精進料理は、仏教と結びつきが強いことから、日本や韓国、中国で親しまれている料理です。
植物を用いて作られる料理という共通点を持ちますが、仏教の宗派によって精進料理の系統に少し違いがあるようです。
実は、日本の味噌や醤油などの和食で定番の調味料が生まれたのは、この精進料理からだと言われています。

精進料理の食べ方

精進料理の基本的な作法として、食べ物を口に入れたら箸を置いて、音を立てないという食べ方も大きな特徴です。
また食べる姿勢としては正座をして、器を両手で扱います。食べ終わったらお米も無駄にしないように、器にお湯やお茶を入れて最後まで飲みます。
食べる際は、目の前の食べ物と向き合い、感謝をして、食べることに集中することも精進料理の食べ方の特徴です。

精進料理の魅力

精進料理には、仏教に関わる点だけではなく、食べ物として沢山の魅力があります。
まずは野菜中心のメニューなので、低カロリーです。ダイエットしている人も取り入れると良いでしょう。
また、野菜から摂れるビタミン、ミネラル、大豆から摂れるタンパク質、過剰になりにくい糖質など、栄養バランスが良いメニューが多いです。
健康を考える上でも、精進料理を取り入れることで、魅力的な食生活作りができるでしょう。
さらに、肉や魚を使っていないので、海外の宗教やベジタリアンの方も食べることができます。
仏教徒に関わらず、健康や嗜好のために、精進料理を試してみるのもおすすめです。

精進料理とは

精進料理の歴史

精進料理とは、鎌倉時代に中国から禅宗と一緒に、日本に伝わってきました。
曹洞宗を開いた道元が中国から禅宗と一緒に持ち帰った料理の手法が精進料理だったとされています。
道元により、調理の心得を「典座教訓」、食事の心得を「赴粥飯法」にまとめられ、精進料理の軸になるルールが作られました。
肉類は一切食べることを禁止され、菜食となりましたが、味付けについてはしっかりしているのが特徴的です。これは、身体を酷使して塩分を欲した武士や庶民に配慮した料理だからといわれております。
懐石料理は精進料理から派生したものとも言われ、日本料理との結びつきはとても大きいものです。

よく使われる食材や特徴
使われる食材

豆類

代表的なものは大豆です。
肉や魚を使うことができないので、豆類は大事なタンパク源とされており、その中でも大豆は色々な用途に使いやすい食材なので重宝されます。
大豆はそのままの状態で使うだけではなく、湯葉やがんもどきなど加工することによって、肉や魚のような味に見立てることもあり、満足感も高く使うことができるのが多用される理由です。
大和芋や豆腐なども駆使して、マグロや鰻などの食感を作り出すこともあります。
大豆以外にも、小豆、インゲン豆、空豆などもよく使われ、豆料理は季節の料理の定番です。

野菜類

精進料理では野菜中心の料理となるため、沢山の野菜を使い、盛り付けも工夫することで、より満足感の得られる料理を作ることが大事です。
季節の野菜を中心に、飾り切りなどを駆使して見た目にも美しい野菜料理を仕上げます。
だしは、魚由来の鰹節は使えないため、干し椎茸や昆布などでとることも特徴の1つといえます。

玄米

日常的に精進料理を食べるのであれば、タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富な玄米を使うことが多いです。なぜなら、動物由来のタンパク質やビタミンが不足しやすいため、その分を様々な食材で補強する必要があるためです。
特に鉄分やビタミンB群は、肉類を食べないことで不足しやすくなるので、精進料理を食べ続けるのであれば、玄米を食べて栄養を補強するとよいでしょう。

使ってはいけない食材

動物性の食材、肉、魚、魚介、卵はもちろん、バターやチーズ、牛乳などの乳製品も動物から摂取しているものなので、精進料理では、使わないことが基本とされています。
また野菜類の中でも「五葷」と呼ばれる匂いが強い野菜、ニンニク、にら、ねぎ、らっきょう、ノビルなどねぎの仲間を指し、欲情や怒りの心を起こすとして禁じられているので、注意が必要でしょう。

主な精進料理の品目を紹介

具体的に精進料理にはどのような料理があるのでしょう。いくつか代表的なものを紹介いたします。

野菜の煮物や天ぷら

野菜の煮物や天ぷらもよく精進料理に使われます。だしは動物性のだしを使わないのが特徴です。季節の野菜を彩りよく仕上げるので、精進料理のメインメニューと言っても過言ではありません。
煮物の場合、がんもどきなどの豆腐料理と合わせて作ることもあります。
カボチャの煮物や高野豆腐と合わせて煮た料理は、精進料理でよく登場します。
野菜の天ぷらは「精進揚げ」と言われ、卵を避けて揚げることが特徴です。

けんちん汁

汁物の中でも、けんちん汁は精進料理の代表的なものです。
根菜がメインの汁物ですが、食材を無駄なく使えるのが利点とされています。

豆腐ハンバーグ

木綿豆腐を潰して、玉ねぎなどの野菜と一緒に混ぜてフライパンで焼くシンプルな料理です。歯応えとボリュームがあるため、メイン料理となりやすいです。
精進料理では、料理が単調にならないように、お肉のような歯応えをプラスするために、豆腐やがんもどきの調理方法を工夫することが大事とされています。

ごま豆腐

ごま豆腐とは、ごまをすりつぶして、水溶き葛粉と合わせて固めたものです。
豆腐とは違う食感や風味を味わうこともでき、ごまの栄養も摂ることができます。
ごまの香りが特徴的な料理で、単調となってしまいがちな、献立のアクセントとしてもよく使われます。

まとめ

精進料理とは、肉や魚などの動物性の食品を使わない、野菜中心の料理のことです。仏教と結びつきが強く、日本へは鎌倉時代に、曹洞宗を開いた道元が中国から禅宗と一緒に持ち帰った料理とされています。
宗教的な部分だけではなく、低カロリーで健康にも良いのも特徴の1つです。
大豆などの豆製品、季節の野菜などが精進料理ではよく使われます。
禁じられている食品は、動物性食品はもちろん「五葷」と呼ばれるネギ類は精進料理で使うことを禁じられています。
精進料理でよく作られる料理は、野菜の煮物、揚げ物、けんちん汁、ごま豆腐などです。
どの料理も彩りや形、食感を変えたりして、見るのも美しく、飽きない工夫がされています。
年々、健康ブームの影響で、気軽に精進料理を食べられるようになってきています。
精進料理で大事にされている、「感謝し、食べることに集中する」という行為は、疲れやすい現代人を心と体ともに健康にしてくれそうですね。

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