福岡県の郷土料理と特産品について解説
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福岡県といえば九州地方の中では最も人口が多く、福岡市と北九州市の2つの政令指定都市があることから、栄えているイメージを持っている人が多いと思います。実際、博多市はとても都会的で人も多くにぎやかです。一方で、東京や大阪、名古屋に比べると物価や地価は安いことが魅力。また、九州地方の北部に位置する福岡は、本州と九州を結ぶ交通の要であるだけではなく、朝鮮半島や中国大陸にも近く、日本の玄関といえる県でもあります。博多以外の地域では、豊かな自然に恵まれ、農林水産業も盛んで、県内総生産は約18兆円で九州の約4割を占めています。
今回の記事では、福岡県の郷土料理についてご紹介します。
福岡県の特産品を紹介
福岡県は自然条件に恵まれ、多種多様な農業が盛んに行われています。福岡県の耕地面積は8万1400haで、水田の割合が約80%です。水田の割合の全国平均は54%なので、福岡県はだいぶ高いのがわかります。
「夢つくし」「元気つくし」などの米のブランドや、イチゴの「あまおう」、ラーメン用小麦の「ラー麦」などが全国的に有名で人気が高い品種です。
生産量が全国5位以内に入るおもな農産物には、小麦、イチゴ、水菜、キウイフルーツ、二条大麦、冬春ナスなどがあります。また、林産物では、タケノコ、ブナシメジ、エノキタケなどが全国5位以内に入ります。福岡県は森林の面積も22万2000haと広く、県土面積の45%をも占めているのです。
そして、筑前海、有明海、豊前海などの海域や、河川および湖沼において、多種多様な漁業や養殖業も盛んに行われています。そこでは、全国有数の生産量を誇るマダイやノリなどが水揚げされているのも特徴。全国上位に入る水産物には、他にガザミ類やイサキもあります。
福岡県の郷土料理を紹介
福岡県といえば、多くの人が豚骨で有名な博多ラーメンやもつ鍋を思い浮かべるのではないでしょうか。その他にも福岡県ならではの美味しい郷土料理は数多くありますので、その中から代表的なものをいくつかご紹介します。
がめ煮
寄せ集めることを意味する博多の方言「がめくりこむ」が名前の由来とされ、豊臣秀吉のおこした文禄の役で朝鮮に出兵した兵士が、当時は「どぶかめ」と呼ばれていたスッポンと、あり合わせの材料を煮込んで食べたのが始まりだといわれています。
現在は、スッポンではなく一般的に鶏肉を入れ、正月料理や祭り、結婚式などのお祝いの席や、精進料理として作られることが多いです。しかし、特別な料理ということはなく、普段からおかずや酒の肴としてよく食べられています。
具材を最初にすべて炒めて、だし汁や調味料を加えて野菜に火が通るまで煮ます。野菜は季節によって異なり、福岡市の志賀島では具材の種類を必ず奇数にするという風習があるのです。また、しょうがやさやえんどうを添えることもあります。
がめ煮は筑前煮とほとんど同じですが、筑前煮は骨なしの鶏肉を使うのに対して、がめ煮では骨付きの鶏肉を使うこともあるという特徴があります。具沢山で野菜も豊富。栄養バランスもよい料理です。
かしわめし
「かしわ」とは、九州地方で鶏肉のこと。福岡では昔から鶏肉を使った料理がたくさんあるのです。ごはんにかしわや具材を煮詰めたものを混ぜたものが「かしわめし」で、昔から福岡県の各地域の家庭や食堂で親しまれている定番の郷土料理です。
運動会や祭りなどの行事やハレの日にもよく食べられています。駅弁としても有名で、テレビ番組などで見たことがある人もいるのではないでしょうか。冷えても美味しく食べられるので、おにぎりとしても人気があります。
かしわめしによく使われている鶏肉は、福岡県の地鶏「はかた地どり」。筋肉質で、歯切れのよさや、噛むほどに旨味が増すところが魅力。はかた地どりのむね肉には、認知機能の低下を抑止する効果があるアンセリンやカルノシンが含まれており、消費者庁の機能性表示食品として認定もされています。
にぐい
おもに豊前地域で食べられている「にぐい」は、鶏肉が入らない精進料理が始まりといわれています。仏事や結婚式などのお祝い事にも作られます。
里芋、こんにゃく、人参、しいたけ、油揚げ、蓮根などの中から奇数の材料を選び、それぞれの材料を四分角くらいに切ります。醤油と塩に隠し味程度の砂糖を加え、具沢山のお吸い物のような味付けのだし汁で煮ると完成。にぐいは、他の煮物よりも具材が小さいのが特徴で、一口サイズの大きさに切り、たっぷりの汁で煮ます。
最初は汁物として食べ、時間が経ち汁気が少なくなったら二度目の煮物として数えることから「二度食う」=「にぐい」と名付けられました。築豊地方では「だぶ」とも呼ばれ、仕上げにくず粉や片栗粉でとろみをつけて食べられています。水をたくさん入れてざぶざぶ作ることから「ざぶ」→「だぶ」と呼ばれるようになりました。
家庭料理の定番でもありながら、祭りや冠婚葬祭には欠かせない料理で、一緒に鶏飯や鶏のスープを作ることが多くありました。
元々は、祝い事や法事の際に作ったがめ煮やちらし寿司から出る野菜の切れ端を使った賄い料理が始まりです。
あちゃら漬け
あちゃら漬けとは、刻んだ季節の野菜に赤唐辛子を加えた酢の物です。ゴボウや蓮根のような歯ごたえのある根菜類も合いますが、根菜類は皮むきやあく抜き、下茹でなどの下処理に手間がかかるため、現在は下処理が済んだカット野菜や水煮、冷凍野菜などを使って作られることも多くあります。
さわやかな甘みと酸味に、赤唐辛子の辛みがよいアクセントになり、夏場に日持ちする料理としてよく作られてきました。
漢字で書くと“阿茶羅漬け”となり、ポルトガル語の“achar(アチャール)”が語源とされています。アチャールとは、野菜や果物の漬物のこと。博多湾は昔から貿易の拠点として栄えてきたので、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて行われてきた南蛮貿易によって伝わったとされています。あちゃら漬けに欠かせない赤唐辛子も、同時期に日本に伝来したといわれています。
おきゅうと
おきゅうとは、昔からおもに朝ごはんのおかずとして食べられてきました。
名前の由来には諸説あり、「飢餓のときに非常食として多くの人を救ったことから御救人(きゅうと)と呼ばれるようになった」「漁師が海藻から偶然生み出したことから沖人(おきうど)と呼ばれるようになった」「沖で採れるウド」「キューっと絞る手順があることから」などといわれています。
食物繊維が豊富で低カロリーなので、ダイエット食としても人気があり、最近は朝ごはんに食べることは少なくなり、居酒屋では酒のおつまみの定番です。イギスやエゴノリなどの海藻から作られ、食感はところてんに似ています。ところてんよりも磯の香りが強いのが特徴。エゴノリを干して煮溶かし、小判型に固めたものを千切りにし、酢醤油やマヨネーズなどをかけて食べます。
まとめ
福岡県の代表的な郷土料理をご紹介しました。
豊富な農産物を材料にした、具沢山の料理が多いです。それぞれの料理に歴史があるので、福岡に訪れた際はそれぞれの料理の歴史にも触れながら味わいたいものです。
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