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奈良の郷土料理について解説 特産品や伝統料理のレシピも紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/26
更新日:2022/12/20

目次

奈良県の特徴は南北に長く、四方を山に囲まれていることです。
平坦な盆地の大和平野や丘陵地帯の大和高原があり、地域によって気候の差も大きく、全国3番目に湿度が高い県です。
大和平野は雨が少ない瀬戸内型気候で年間を通じて温暖な気候ですが、大和高原は標高が高く冬は寒さが厳しいことが特徴。
奈良県の気候はおおむね温暖で、地域の特徴を生かした農作物が作られています。

この記事では、奈良県の農作物の紹介と、奈良の食材を使った郷土料理を紹介いたします。

奈良県の生産高が高い農産物を紹介

奈良県の地域別の農作物を紹介いたします。

大和平野地域では、雨が少ないことから、古くよりため池が多く作られてきました。
水田が中心で農業用水が確保されているため、米をはじめ、ナスやトマト、イチゴなども作られています。
大和高原地域では冷涼な気候に向いている、ほうれん草や水菜の生産、肉用牛など畜産も盛んです。
五條・吉野地域では、梅、柿、養鶏、養豚も行われています。

奈良伝統の「大和野菜」

奈良県全体では、「大和野菜25品目」に、鮎やアマゴ(養殖含む)も盛んです。
「大和野菜」は、奈良県農林部が認定した奈良で生産され、特産品としてアピールされている野菜のこと。
大和まな、大和いも、大和丸なすなど、25種類もの野菜が「大和伝統野菜」として栽培されているのです。
歴史や文化を受け継ぎ、独自の栽培方法により「味、香り、形態、来歴」に特徴があります。

奈良ブランドの畜産

奈良県では、以下のブランド牛、豚の畜産が盛んです。

・奈良県のブランド牛 「大和牛」
ストレスの少ない環境とバランスのよい飼料で飼育され、厳しい要件を満たした黒毛和牛です。
大和牛は、オレイン酸が豊富で口溶けのよさと風味が豊かな特徴があります。

・奈良ブランド豚肉 「ヤマトポーク」
奈良が育てたブランド豚肉。口の中で脂が溶けるほど身は柔らかくジューシーと評判の豚肉です。

奈良県の郷土料理を紹介

奈良県には、次世代に伝えたい大切な味があります。
奈良県の郷土料理の中から四品を、以下にご紹介いたします。

特別な日に「柿の葉寿司」

「柿の葉寿司」は、塩で締めたサバを酢飯と合わせて、柿の葉で包んだ押し寿司のことです。

五条・吉野地域は、紀ノ川から河口へ材木を運ぶ航路が発達しており、海産物や塩も運ばれてきました。海から離れている地域にとって、海からの塩や魚介類はとても貴重なものでした。そのため、柿の葉寿司は、夏祭りや田植えが終わった後など、特別な日に食べられており、現在も祭りなどの行事で作られています。

柿の葉寿司には渋柿の葉が使われており、タンニンとビタミンCが豊富です。柿の葉を巻くことで、酢飯を乾燥から防ぐ役割と保存性を高めることができます。一晩寝かせると、サバの旨味と柿の葉の香りが酢飯に移るので、翌日に食べるのがおすすめです。

<作り方>

  1. 柿の葉はきれいに洗い、水気は拭き取る
  2. 酢、塩、砂糖で合わせ酢を作る
  3. 塩サバの骨を取り、1時間ほど酢で締める。薄皮を取り、薄くそいでおく
  4. 酢飯を作る
  5. 酢飯が冷めたら俵型に握る
  6. 柿の葉の上にサバを置いて、握った酢飯を乗せて包む(キャラメル包)
  7. 寿司箱にきっちり詰めて重石を乗せて一晩寝かす

農家の知恵が詰まった「いもぼた」

「いもぼた」は、里芋が入ったぼた餅です。

もち米が貴重な頃に、うるち米に里芋を加えて粘りを利用し、もち米で作られたようなぼた餅が作られていました。
お彼岸や秋の祭りなどに作られていましたが、現在でも家庭で作られており、郷土食として継承されています。

里芋は消化によく、たくさん食べても胃もたれしないのが特徴で、いもぼたは、農家の人たちの生活の知恵から生まれた料理です。お米と里芋で作られているので、冷めても柔らかくてモチモチの食感が楽しむことができます。

<作り方>

  1. 里芋は皮をむいて一口大に切り、米、塩、水と一緒に炊く
  2. 炊きあがったら、すり鉢に入れて里芋の形が無くなるまでよく潰す
  3. 潰したご飯を俵型にして小豆の餡子で包む

奈良伝統の栄養食「奈良茶飯」

「奈良茶飯」は、米と大豆をほうじ茶で炊き上げたものです。
東大寺で行われる「お水取り」の練行衆の献立に茶粥と共にあった「ゲチャ」と呼ばれるものが茶飯の原点。

庶民の間では普及せず、茶飯を気に入った旅人から江戸に広まり、浅草寺付近の奈良茶飯の店で知られるようになりました。
茶飯は、米と大豆がバランスよく入り、栄養食として腹持ちもよいため、明治以降に再び奈良県で広まり、全国各地で広く知られるようになりました。

現在は家庭でも作られますが、学校給食でも食べられています。

<作り方>

  1. ほうじ茶を煮だし、冷ましておく
  2. 大豆を表面の皮が割れるまで弱火で炒り、水に浸して皮を取る
  3. 米を大豆と塩を入れて、ほうじ茶で通常の水加減で入れて炊く

奈良の精進料理「奈良のっぺ」

里芋や大根などの野菜を使った具だくさんの煮物のことです。
「奈良のっぺ」は、昆布出汁と干ししいたけの戻し汁で煮た、野菜の旨味を味わう精進料理としても有名。

全国にある「のっぺい汁」は片栗粉や小麦粉でとろみをつけますが、奈良の「のっぺ汁」は里芋が煮くずれることで汁にとろみがつくのが特徴です。現在でも、家庭や学校の給食でも食べられています。

<作り方>

  1. 干ししいたけは水で戻す
  2. 昆布で出汁を準備する
  3. 里芋は下ゆでしておく
  4. 大根、人参切っておく
  5. 厚揚げは熱湯をかけて油の抜き、こんにゃくは下ゆでする
  6. 干しシイタケの戻し汁と昆布出汁に、3~4の材料を入れ柔らかくなるまで煮る
  7. 柔らかくなったら、塩、しょうゆで味を調えて完成

まとめ

奈良県は、四方を山に囲まれており、内陸にある県です。東大寺など有名な寺院も多く、歴史的にも仏教と深いつながりがあることで知られています。鹿で有名な奈良公園をはじめ、訪れてみたい観光名所が数多くある魅力ある場所です。

奈良県の気候は、おおむね温暖ではありますが、地域によって気温も違うので、作られるものも変化に富んでいます。
奈良はハウス柿の生産も多く、柿の葉を使った「柿の葉寿司」は、保存食としても食べられてきました。
農家の知恵で作られた「いもぼた」、東大寺で行われる「お水取り」の練行衆の献立が原点の「奈良茶飯」、具だくさんの精進料理「奈良のっぺ」など、さまざまな郷土料理があります。

奈良を訪れた方は、名所めぐりだけではなく、奈良の郷土料理を堪能してみるのも良いでしょう。

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