鹿児島県の郷土料理について 特産品や伝統料理のレシピも合わせて紹介
目次
郷土料理は、各地の気候や歴史や文化によって育まれ、地域の人々に脈々と受け継がれ、親しまれてきた伝統料理です。離島が多い鹿児島県は、北から南まで600キロに及ぶことから、温帯、亜熱帯、冷温帯と3つの気候帯がある世界的にも珍しい県となっています。生産量日本一を誇るさつまいもは、鹿児島県の郷土料理に多く使われていますが、特産品の芋焼酎の材料として使われたり、さつま豚の飼育用の餌にも混ぜて使われるなど、鹿児島県の食文化を支える農作物となっています。
この記事ではそんな鹿児島の郷土料理をご紹介いたします。
鹿児島県の生産高が多い食材とその特色
鹿児島県は、全土が温暖な気候であるため、お茶や園芸などの農業や畜産業が盛んです。主要農産物のさつまいも、オクラ、牛肉は全国シェアでもトップを誇る生産高となっています。「桜島だいこん」は、桜島の火山灰土壌で育つ大根で、重さは30キロにもなることからギネスブックに登録されています。
鹿児島県では、食材のブランド化を推進し、県内の19品目25産地を「かごしまブランド産地」として指定し、この産地で生産された農畜産物には「かごしまブランドマーク」を付けて認証しています。代表的な「かごしまブランド」には、さつまいも、オクラ、かごしま茶、紅甘夏、さつま地鶏、かごしま黒豚、鹿児島黒牛などがあります。
今回は、鹿児島を代表する食材であるさつまいもや鶏肉を使った郷土料理3品をご紹介します。
鹿児島県の郷土料理3品
さつま汁
さつま汁は江戸時代から続く郷土料理です。鹿児島県では江戸時代に薩摩武士が士気を高めるため盛んに鶏闘を行っていたという記録が残っていますが、さつま汁は、鶏闘で負けた鶏を味噌汁の具にしたことが始まりの料理と言われています。古くから、鶏は鹿児島県の家庭で自給食材として育成されていたこともあり、様々な郷土料理の材料に鶏肉が使われています。鶏肉の入った具沢山の味噌汁は、鹿児島県の代表的な郷土料理として地元の人々に親しまれています。
材料(4人前)
とりもも肉 60g
こんにゃく 1/4枚
かぼちゃ 100g
厚揚げ 1/4枚
干し椎茸 3~4枚
ごぼう 50g
人参 30g
小ねぎ 2~3本
大根 50g
里芋 小2個
【A】(だし汁と調味料)
出汁 椎茸の戻し汁+水4カップ
油 適量
みりん 少々
酒 少々
砂糖 少々
味噌 50g
作り方
(下準備)
・鶏肉を1.5㎝~2㎝角に切る。
・人参と大根はいちょう切りにし、ごぼうは薄切りのささがきにする。
・こんにゃくは下茹でして短冊切りに、厚揚げはさいの目切りに、かぼちゃと里芋は食べやすい大きさに切っておく。ねぎは小口切りに刻む。
・干し椎茸を水で戻して千切りにする。水は出し用に捨てずにとっておく。
① 鍋に油を熱し、鶏肉を炒め、色が変わったら固い野菜から順番に鍋に入れて炒める。
② ①のなべに【A】の出汁(椎茸の戻し汁と水)を入れて中火で煮る。
③ 火が通って、野菜が柔らかくなったら、【A】残りの材料を鍋にいれてさらに中火で煮る。
④ 味を調え、ねぎを盛る。
(お料理のポイント)
豚肉を使って、豚汁にしても美味しくいただけます。
がね
「がね」は鹿児島の代表的な郷土料理の一つで、サツマイモ入りのかき揚げの形が「カニ」(鹿児島弁で「がね」と呼ばれます)に似ていることから、その名前がついた料理です。お正月に欠かせない郷土料理ですが、普段でもお酒の肴や子ども達のおやつとしても親しまれています。
材料(10~15枚)
さつまいも 200g
人参 100g
にら 4~5本
【A】衣
小麦粉 100g
もち米粉 50g
砂糖 40g
卵 1個
水 1/2カップ弱
醤油 大さじ1と1/2
塩 少々
揚げ油 適量
(下準備)
・さつまいも、人参は皮をむいて千切りにし、にらは4~5センチに切っておく。
作り方
① 【A】の衣の材料を大きめのボールの中で混ぜ合わせ、さつまいも、人参、にらを入れて軽く混ぜる。
② ①を食べやすい大きさにまとめ、170度に熱した油で揚げる。
(お料理のポイント)
野菜の千切りは太目に切ることがポイントです。油を高温にしすぎないことがポイントです。
(お料理のポイント)
地域や家庭によって、さつまいも以外に使う野菜が違うことがあります。黒砂糖を使うと甘みがでます。
きいこん
きいこん(切いこん)は、材料を切り込んで調理する料理です。「切り込む」が「切いこん」の名前の由来と言われています。きいこんは、お正月料理やお祝いの料理として親しまれています。
材料
地鶏(骨付き)ぶつ切り300g
大根 200g
人参 100g
こんにゃく100g
里芋100g
厚揚げ100g
ごぼう50g
干し椎茸 4~5枚
絹さや 4~5枚
【A】調味料
しょうゆ 1/2カップ弱
みりん 1/2カップ弱
水 3カップ
油 適量
作り方
(下準備)
・干し椎茸を水で戻す。
・こんにゃくを下茹でする。こんにゃく、厚揚げは2センチ角に切る。その他の材料は一口大に乱切りにする。
・きぬさやはさっとゆでておく。
① 鍋に油を入れて鶏肉を炒める。
② 鶏肉の表面の色が変わったら、①の鍋に【A】の水を加え、大根、人参、ごぼう、干し椎茸を入れる。次にこんにゃく・里芋・厚揚げ・しょうゆ・みりんを加えて煮込む。アクがでてきたら取り除く。
③ 材料に味がしみ込んだら皿に盛り、ゆでた絹さやを添える。
まとめ
鹿児島県は日本の最南端に位置することから、食文化においても薩摩藩領だった琉球や海外文化の影響を受けた料理やお菓子があります。郷土料理に豚を使った料理が多く見られるのも、琉球や中国の食文化の影響であると言われています。
また、今回ご紹介した郷土料理の「がね」を始め、鹿児島の多くの郷土料理に使われているさつまいもは、1600年代に種子島の島主が琉球に使いを出して持ち帰ったことから鹿児島全域に広がったと言われています。
「がね」は、鹿児島県で親しまれている代表的な郷土料理の一つです。おうちの冷蔵庫の中にある材料で簡単に作れる料理です。おつまみやお子様のおやつにもなるお料理ですので、ぜひ挑戦してみてください。