長野県の郷土料理を解説 特産品や伝統料理レシピも紹介
目次
長野県は都道府県で全国第4位の面積があり、中央分水嶺が通る「日本のどまんなか」の県としても知られています。
県域は南北212km、東西120kmにおよび、自然が豊かで地域によって気象条件が大きく異なることから、畜産農業も盛んです。
本記事では、長野県を代表する農産物と郷土料理をご紹介します。
長野県の生産高が高い農産物の紹介
中部地方の内陸に位置する長野県は標高が高く気候は寒冷で日照時間が長いため、ハクサイやキャベツ、レタス、セロリなど高原野菜の栽培が盛んです。レタスとセロリは長野県が全国1位の生産量を誇り、東京や名古屋、大阪など大都市圏に出荷されています。
また、標高が高い長野県は冷涼な気候を好む「そば」の栽培にも最適で、生産量は北海道に次ぐ全国第2位。風味豊かな「信州そば」は全国的にも有名です。フルーツではプルーンとブルーベリーの生産高が第1位。リンゴとブドウの生産量が2位となっています。
米も県内全域で栽培されており、品種ではコシヒカリが約7割。ほかにも、あきたこまちやミルキークイーンなど人気のブランド米をはじめ、平成25年に品種登録された長野県のオリジナル米「風さやか」も高い評価を受けています。
また、日本酒の原料となる酒米(酒造好適米)の生産量も全国弟3位。人気の「山田錦」をはじめ、長野で生まれた「しらかば錦」や「たかね錦」「美山錦」など7品種の酒米が栽培されています。
長野県は寒暖差が大きく降水量が少ないために稲の病害虫が少なく、農薬の使用量が少ないメリットがあります。品質の評価も高く、長野県で生産される玄米の90パーセント以上が1等米。家庭用はもちろん外食業界や給食用の業務用米としても人気です。
冷涼で自然が豊かな長野県の気候風土は酪農生産にも理想的です。肉牛では高級ブランド肉の信州和牛が人気。最上級の「信州プレミアム牛肉」は肉に含まれる脂肪交雑の等級とオレイン酸の含有率が高く、豊かな香りと繊細な食感が楽しめます。
豚肉ではJAグループが出荷販売する「信州ポーク」が人気です。長野の豊かな自然と農家の愛情に育てられた豚はJAグループの徹底した品質管理のもとに安心安全な食肉として県内の精肉店に出荷されています。
水産物では水田養殖の「佐久鯉」が全国的に有名です。水田養殖とは鯉の稚魚を水田に放流して育てる養殖方法のこと。鯉が水田の泥がかき回して雑草の生育を抑制するため稲作にも良い効果があり、江戸時代には鯉に年貢がかかりませんでした。
そのため古くから水田養鯉が盛んに行われていました。明治以降になると養蚕業も発展。蚕のさなぎを飼料として鯉に与えることで生産量がさらに増え、「佐久鯉」の名は全国に知られるようになりました。
戦後になると農薬の普及や食生活の多様化などにより鯉の水田養は縮小傾向が顕著になりましたが、近年のオーガニックブームもあって「佐久鯉」にも人気復活のきざしが見えています。
長野県ではニジマスの養殖も盛んです。なかでも、長野県水産試験場が生み出した信州サーモンは県内の養殖場だけで生産される長野のオリジナル品種。信州の美しい水で育まれた信州サーモンは鮮やかな赤い身と濃厚な脂が持ち味です。
長野県の郷土料理を紹介
ここでは、長野県の郷土料理の中から代表的なものをいくつか紹介いたします。
ジャガイモのお酢和え「いもなます」
「いもなます」は、飯山市をはじめ北信地方に伝わる郷土料理。じゃがいもを酢で和えた「なます」です。
北信地方は中部地方屈指の豪雪地帯。冬になると新鮮な野菜の確保が難しいため、保存のきくジャガイモをなますにする習慣が生まれました。
日本においてじゃがいも料理が一般化したのは明治時代以降とされていますが、北信地方では江戸時代から栽培されており、いもなますは冬の冠婚葬祭や精進料理として食されたほか、冬場の家庭料理としても親しまれています。平成19年には、いもなますが飯山市の選択無形民俗文化財に指定されました。
<作り方>
皮をむいて千切りにしたじゃがいもを水にさらしてデンプンを取り除きます。2時間ほど置いてから水を切り、油でさっと炒めて酢を加えます。酢をなじませるように混ぜながら砂糖と塩を順番に加えて、中火で水分が飛ぶまで炒めるとできあがりです。
鯉の味噌煮込み「鯉こく(こいこく)」
「鯉こく」は長野県佐久市で養殖される「佐久鯉」を使った伝統料理。「佐久鯉」は一般的な養殖鯉よりも育成期間が長く、千曲川の冷たく澄んだ流水により脂が乗ったなめらかな舌触りと引き締まった食感の肉質となります。臭みはほとんどありません。
佐久地方では「鯉こく」が縁起の良い正月料理として、一年の健康を願って食べられます。
<作り方>
コイは鱗を取らず、筒切り(輪切り)にして、臭みを取るため熱湯に4~5分つけるか、湯をかけ回します。水を切った切り身を鍋に並べて日本酒、味噌、砂糖を入れて煮込みます。好みでねぎや山椒、凍み豆腐、ゆでた芹などを加えていただきましょう。
間食に最適「にらせんべい」
にらせんべいは北信地域の伝統料理です。水で溶いた小麦粉に、にらやねぎなどをまぜて焼いたもの。
北アルプスのふもとに位置する長野県北部は急傾斜地が多く、稲作には不向きでおもに麦が栽培されました。米は貴重な食糧であったため、節約のために小麦粉を使う「粉もの」の料理が主食となりました。
にらは冬以外はいつでも収穫できるため、年間を栽培されました。「にせせんべい」は子どものおやつや「おこびれ」と呼ばれる午後の中間食として食されました。
<作り方>
にらを良く洗って15mmほどの長さに刻みます。ボウルに小麦粉(薄力粉)と水、にらと、味噌または醤油、砂糖を加えてよく混ぜ合わせます。次にフライパンにサラダ油を引いて中火にかけ、溶いた具材を薄く広げます。焼き色がついたら裏返して両面を焼いて完成です。
まとめ
本州中央部の内陸に位置する長野県はハクサイやキャベツ、レタス、セロリや稲作が盛んです。
畜産業では牛や豚の品質に定評があり、養殖の鯉やサーモンも特産品。伝統料理も多く、いもなますや鯉こく、ニラせんべいなどが知られています。
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