イタリア料理といえばこれ!代表的なイタリア料理と地域別の特色
目次
イタリア料理は日本人にも馴染みの深い西洋料理です。ピッツァやパスタなど、レストランや家庭でも手軽に食べられている身近な料理で、食卓になくてはならないほどメジャーになっています。
この記事では、イタリア料理の特徴やおすすめの料理の紹介をいたします。記事を通して、イタリア料理の魅力を深く理解することができます。
代表的なイタリア料理とは
日本でもよく食べられているピッツァやパスタは、イタリアでも日常的に食べられている国民食です。地域やお店、家庭により多種多様なピッツァやパスタが存在します。米料理ではリゾットが定番で、野菜やチーズで作られます。
イタリアでは、肉、魚どちらも好まれ、肉料理では牛肉のカルパッチョ、魚料理ではアクアパッツァなどがよく知られています。生ハムの本場でもあり、産地により味わいの異なる生ハムを楽しむことができます。チーズの生産も多く、チーズ料理の種類も豊富です。牛や羊のチーズが多く見られます。
イタリアといえばワインも有名で、イタリア全20州で生産され、食事とのマリアージュが楽しまれています。
食事の最後には甘いドルチェを食べることが習慣とされており、ティラミスやジェラートなどのドルチェも有名です。
イタリア料理の特徴
彩り豊かな野菜
イタリアは農業が盛んな国で、気候の特性を生かして野菜や果物が栽培されています。色が濃く味の強い野菜や果物が採れ、料理にふんだんに使われています。たっぷりの野菜を使用したトマト煮込みの「カポナータ」や、『具沢山のスープ』という意味で、野菜やパスタ、米などを入れて作られる「ミネストローネ」、『熱いソース』を意味し、にんにくやアンチョビ、オリーブオイルで作られた温かいソースに野菜をディップして食べる「バーニャカウダ」などが有名です。
イカやタコなどの魚介類
地中海に囲まれたイタリアは、漁業が盛んで、料理に魚介類が使われます。イカやエビ、貝などの魚介類を使ったトマトソースのパスタである「ペスカトーレ」、白身魚や貝をトマトやオリーブと煮込む「アクアパッツァ」などが有名で、他にもマリネやカルパッチョ、トマト煮込み、パスタにも魚介類が使用されます。
オリーブオイルとトマト
オリーブオイルとトマトの組み合わせはイタリア料理に多く見られますが、特にイタリア南部の地域でよく料理に使用されています。南部、中部ではオリーブ、トマトの栽培が盛んで、オリーブオイルが料理の基本に使われ、様々な料理にトマトがふんだんに使われます。
貴族の料理と庶民の料理
イタリア料理はかつて貴族が食べていた料理と庶民が食べていた料理の2つの系譜があると言われています。中世ヨーロッパでは、貴族と庶民では食事内容に大きな差があったようです。
貴族、庶民ともに主食は穀物の加工品でしたが、貴族の食卓にはパン焼き機で焼かれた小麦粉のパンが並んでいたのに対して、庶民は、手引きした雑穀をポリッジと呼ばれるおかゆにして食べるか、固いパンに調理してスープや飲み物とともに食べていました。
肉は貴重で高価な食品で、庶民はめったに食べられませんでしたが、家畜の豚などを食すときは、内蔵や頭、しっぽなどまで、残さず調理していたようです。肉が食べられない時は、豆類を主にたんぱく源としていました。
庶民の食事には野菜を使った料理もよく食べられており、スープや煮込み料理として食卓に並んでいました。
このような暮らしや食文化が現在も食べられている郷土料理のルーツに少なからず影響しているとみられています。
様々な郷土料理
イタリアは南北に細長い国で、地域によって気候や地形が異なり、生産されている農作物や畜産品、水産物も様々であることから、食べられている料理の特徴も地域により大きく異なっています。加えて、イタリア人は自分たちの地域の郷土料理を大切にする気質を持っており、地域ごとに独自の文化が発展していったようです。
「イタリアにイタリア料理はない」といわれるように、イタリア料理は地域ごとの郷土料理が集まったものを指しています。
また、イタリアの郷土料理の源は「マンマの味」です。日本でいう「おふくろの味」で、イタリアのマンマ(お母さん)たちが趣向を凝らして作る家庭料理が、イタリア各地の郷土料理を形成しています。
地方別の特徴と代表的な料理
南部(ナポリ)
地中海に囲まれた南部は、夏は高温・乾燥、冬は温暖・湿潤が特徴の地中海性気候の地域で、地中海式農業が行われています。夏は乾燥に強いオリーブ、ブドウ、オレンジが盛んに栽培され、冬はヤギ、羊の放牧や小麦の栽培が行われています。海に囲まれているため、漁業も盛んです。
このような特徴から、オリーブオイルやトマトをふんだんに使用した料理や魚介類を用いた料理、乾燥パスタを使用した料理が有名で、素材を活かしたシンプルな料理が多く見られます。代表的な郷土料理に、厚い生地でもちもちとしたピッツァの「マルゲリータ(ナポリピザ)」 、トマト、モッツァレラチーズ、バジルを使用した前菜「カプレーゼ」、魚介の煮込み「アクアパッツァ」、魚介のトマトパスタ「ペスカトーレ」、「ペペロンチーノ」などがあります。
北部(ミラノ、ヴェネツィア)
アルプス山脈に近い北部は、温暖湿潤気候であり、年中雨が降ることを利用して、小麦の栽培や畜産が盛んに行われています。ヨーロッパでは珍しく、米の栽培もされています。冷涼な山間部では酪農が盛んで、チーズを始め、バターやクリームなどが作られています。
このような特徴から、米料理や生パスタの料理、肉料理、乳製品を使用したこってりした料理などが多く見られます。代表的な郷土料理に「ミラノ風リゾット」、「ミラノ風カツレツ」、仔牛のすね肉の煮込み「オッソ・ブーコ」、生の牛肉のスライスにチーズやソースをかけて食べる「カルパッチョ」、マスカルポーネチーズを使ったデザートの「ティラミス」などがあります。
中部(ローマ、フィレンツェ)
中部は地形や気候が地域により様々で、南部と北部の両方の特徴を併せ持った料理が多く存在します。
代表的な郷土料理は、卵、チーズ、ベーコンを使用したパスタの「カルボナーラ」、ベーコン、チーズを使用するトマトパスタ「アマトリチャーナ」、薄くてクリスピーな生地が特徴の「ローマ風ピッツァ」、「フィレンツェ風ステーキ」、イタリアのアイスクリームの「ジェラート」などです。
イタリア料理の基本的なコース構成
日本では、イタリア料理はカジュアルに食べられることが多いイメージですが、きちんとしたレストランや本場イタリアの料理店では、コースが構成されています。お店により多少の違いはありますが、基本のフルコースの順番、内容は以下の通りです。
①アペリティーボ(食前酒)
アペリティーボは、食事の前に飲むお酒のことです。胃を刺激して食欲を増進させ、消化を促す役割があります。シャンパンやスパークリングワイン、カクテルなど、アルコール度数が高すぎず、口当たりの良い軽めの飲み物が飲まれます。
②アンティパスト(前菜)
アンティパストは、メイン料理が出てくるまでの腹ごなしとして楽しむ料理で、生ハムメロンやカプレーゼなど、シンプルで簡単なものが多いです。
③プリモ・ピアット(主菜)
プリモ・ピアットは『第1のお皿』という意味で、パスタやリゾットなどの炭水化物やスープが基本です。プリモ・ピアットが複数出される場合は、軽いものから順に提供されます。
④セコンド・ピアット(主菜)
セコンド・ピアットは『第2のお皿』という意味で、肉か魚の料理で、メインディッシュになります。両方出される場合は魚→肉の順で提供されます。牛肉のタリアータやアクアパッツァなど、焼き物や煮込み料理などが出されます。
⑤コントルノ(副菜)
コントルノはセコンド・ピアットと一緒に提供されることが多い、付け合わせの野菜料理です。野菜やきのこのソテー、サラダなどが一般的です。
⑥ドルチェ(デザート)
食後のデザートには、フルーツやティラミス、ジェラートなどの甘いドルチェが提供されます。ドルチェとともに、エスプレッソを飲むことが多いです。
⑦ディジェスティーヴォ(食後酒)
ディジェスティーヴォは食後に飲むお酒のことです。消化を助ける役割があり、アルコール度数の高いものが飲まれます。グラッパやリモンチェッロなどが有名です。
おすすめの前菜
カプレーゼ
アンティパストの定番のカプレーゼは、トマト、モッツァレラチーズ、バジルを切って並べ、オリーブオイル、塩、黒コショウをかけて食べるシンプルな料理です。トマトの赤、モッツァレラチーズの白、バジルの緑がイタリアの国旗と同じ配色であり、イタリアを象徴する料理として親しまれています。
ブルスケッタ
ブルスケッタはスライスしたパンをトーストし、にんにくとオリーブオイルを刷り込ませ、好みの具材をトッピングした料理です。定番はトマトのブルスケッタで、味付けは塩と黒コショウのみでシンプルに仕上げるのが基本です。
フリッタータ
フリッタータは、イタリア風のオムレツのことで、キッシュに似た卵料理です。日本でよく知られるオムレツのように具材を卵でくるっと包むのではなく、フライパンに卵の生地と野菜などの具材を合わせて流し入れ、コンロやオーブンなどで焼き固めて作られます。具材に決まりはなく、野菜や肉、魚介類、チーズ、パスタなど好みの物を入れています。熱々のまま、または冷ましてから切り分けて食べます。
キッシュとの違いは、パイやタルトの有無です。キッシュはパイやタルト生地の型の中に材料を流し入れてオーブンで焼いて作る料理です。
おすすめの主菜
パスタ
パスタはイタリアの国民食で、イタリア全土で食べられています。イタリアの郷土料理の特徴が地域により様々であることはパスタにも表れており、パスタ料理の種類は多く存在します。パスタの種類は主にロングパスタとショートパスタに分類されます。ロングパスタには、日本人にも馴染みの深い「スパゲッティ」や平たい形状の「フェットチーネ」など、ショートパスタには、穴の開いた筒状の「マカロニ」やペン先のような形の「ペンネ」などのがあり、数百種類にものぼると言われています。気候や地形の特徴から、パスタの原材料は地域により様々で、乾燥パスタか生パスタかの違いもあります。
イタリア南部で有名なパスタは、ニンニク、オリーブオイル、唐辛子の3つで作られる「ペペロンチーノ」、魚介のトマトソースパスタ「ペスカトーレ」、アサリなどの二枚貝を使用したトマトソースの「ボンゴレロッソ」、二枚貝を白ワインで蒸して出汁をソースとした「ボンゴレビアンコ」などがあります。素材を活かしたシンプルな味付けや、オリーブオイルやトマト使ったパスタが多いことなどが特徴です。
北部で有名なパスタには、バジルで作られたソースを絡ませた「ジェノベーゼ」、ヴェネツィア発祥で真っ黒な見た目の「イカスミパスタ」、ひき肉をトマトやワインと煮込み、きしめん状の平たいパスタのタリアテッレに絡めて食べる「ボロネーゼ」などがあります。生パスタが使われることが多く、バターや生クリーム、チーズを使用したこってりとしたパスタが多く見られます。
中部で有名なパスタは、卵、ペコリーノチーズ(羊の乳からできたチーズ)、グアンチャーレ(豚ほほ肉の塩漬け)またはパンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)で作られ、黒コショウをたっぷりとかけて食べる、濃厚でクリーミーな「カルボナーラ」、グアンチャーレと玉ねぎのトマトソースにペコリーノチーズをかける「アマトリチャーナ」、トマトと多めの唐辛子で作られる辛さが特徴の「アラビアータ」などがあります。
リゾット
イタリアの米料理の代表ともいえるリゾットは、米をバターやオリーブオイルで炒め、ブイヨン、白ワインなどで煮て作られる、北イタリアの料理です。代表的なリゾットに、パルミジャーノチーズを使用し、サフランで色付いた黄色い見た目が特徴のミラノ風リゾット「リゾットアッラミラネーゼ」、ゴルゴンゾーラチーズのリゾット、ポルチーニ茸のリゾットなどがあります。野菜、きのこ、チーズなどの様々な具材で作られています。
アクアパッツァ
ナポリ発祥のアクアパッツァは、焼いた白身魚と貝類やトマト、オリーブを水や白ワインで煮込み、オリーブオイルで仕上げた、魚介の旨味たっぷりの煮込み料理です。白身魚は鯛や鱈などの淡白な魚が使われます。元々は漁師料理で、船の上で残った魚を使って作られていたといいます。コンソメやブイヨンを使わなくとも魚介の出汁が効いたシンプルなスープがアクアパッツァの一番の特長です。
ミラノ風カツレツ
ミラノ風カツレツは、「コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ」といい、仔牛肉を叩いて薄く大きく伸ばし、チーズとパン粉をつけて、バターやオリーブオイルで揚げ焼きにした料理です。食べる直前にレモンをかけて食べます。チーズやバターのこってりとした味わいにレモンのさわやかさが合わさって、よりおいしさが引き立ちます。
おすすめのデザート
ティラミス
ティラミスは、マスカルポーネチーズで作られたクリーム、コーヒーを染み込ませたスポンジまたはビスコッティ、ココアパウダーの3つが層になった、ほろ苦くクリーミーなドルチェです。ティラミスとはイタリア語で『私を元気づけて』という意味で、食べる人を元気づける国民的なドルチェとして有名です。
ジェラート
ジェラートはイタリア語で『凍った』という意味を持つ、イタリアのアイスクリームです。日本のアイスクリームと違い、乳脂肪分が少なくさっぱりとしていますが、空気の含有量が少ないため、濃密でなめらかな口当たりで、果汁や果肉などの素材の味をしっかりと感じられることが特徴です。レストランで食事のあとのデザートとして食べられるだけでなく、ジェラートの専門店「ジェラテリア」も数多く存在し、日常的に食べられているドルチェです。
イタリア料理店の種類
イタリアの料理店は料理内容や値段、雰囲気など、お店の形態ごとに呼び名が分かれています。種類は以下の通りです。
- 「リストランテ」格式高い、高級なレストランで、コース料理で提供されます。ドレスコードがある場合が多いです。
- 「トラットリア」リストランテよりもカジュアルなレストランで、気軽にコース料理や郷土料理が楽しめます。
- 「オステリア」居酒屋や食堂のような庶民的な料理店です。トラットリアとの違いはそれほどないようです。
- 「エノテカ」ワインを専門に扱うお店です。ワインの販売店やワインバーのことを示しています。
- 「ピッツェリア」ピッツァ専門店です。お手軽にピッツァを楽しめます。立ち食いやテイクアウトのお店もあります。
- 「バール」喫茶店のようなお店で、コーヒーやちょっとした軽食を食べることができます。立ち飲みのカウンターがあるところが多いです。
以上のような名称を参考にすると、目的に合わせてお店を選ぶことができます。
まとめ
地域ごとに風土や伝統文化が異なるイタリアでは、料理も地域により様々に発展してきました。郷土料理を大切にするイタリア人の郷土愛が、現在のイタリアの多彩な食文化を形成しています。