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土用の丑の日由来とは うなぎを食べる理由の解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/15
更新日:2022/07/29

目次

土用の丑の日が近づくと、ニュースなどで「うなぎを食べましょう」という声が聞こえてきます。うなぎ屋さんが1年の中で最も忙しくなる一日となっていますが、なぜ土用の丑の日にはうなぎを食べることが良いとされているのでしょうか。この記事では土用の丑の日の由来やうなぎを食べる意味について解説します。

土用の丑の日の由来

日本で「暑い時期を乗り切るために、栄養価の高いウナギを食べる」という習慣は万葉集にも詠まれているように、かなり昔から浸透している食習慣です。土用の丑の日に食べる習慣が根付いたのには諸説ありますが、最も有名な説を解説していきます。

土用の意味

昔の中国では「自然界は『木』『火』『土』『金』『水』の五つで成り立っている」という「五行説(五行思想)」という考え方がありました。春夏秋冬の四季にこの5つを当てはめようとしたところ、「土」だけが残ってしまいました。そこで「土」を四季に振り分けて、各季節の終わり約18日間を「土用」とすることにしたそうです。つまり、1年の間に「土用」は4回あり、季節の変わり目である「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の直前の約18日間がそれにあたります。さらに、十二支は年にもありますが、1日にもあり、12日ごとに繰り返されます。すると約18日間の土用の期間中に、丑の日が1~2回発生します。これが土用の丑の日ということになります。
ちなみに、土用の間は地面に穴を掘るなど、土を動かすことは慎むべきこととされています。

うなぎを食べる理由

春夏秋冬で1回ずつ、年に4回ある「土用」ですが、今では立秋の前の「土用」、つまり「夏の土用」だけが知られています。日本では昔から、夏の土用の期間は暑さで食欲もなくなり、夏バテしやすいことから、「丑の日」に梅干し・うり・うどん等の、身体に良い「う」のつく食べ物を食べる「食い養生」という風習がありました。
これにうなぎが加わった由来には、諸説ありますが、その一つが蘭学者の平賀源内の宣伝文句が由来という説です。今でこそ、夏の味覚として「うなぎ」を食べることは一般的になっていますが、当時は味の濃い、こってりとしたうなぎの蒲焼きは、暑い夏にはあまり売れませんでした。そこで、夏に売上が落ち込んでいた知人のうなぎ屋のために、平賀源内が「本日、土用の丑の日」と書いて、店頭に貼り紙を出したところ、大繁盛したそうです。優れたキャッチコピーを考えてもらったおかげで売り上げが上がり、それを見ていた他のうなぎ屋も真似ていったことから「土用の丑の日にうなぎを食べる」という文化が浸透していきました。
 

うなぎの栄養価の特徴

栄養満点でスタミナ食として知られるうなぎですが、うなぎは古くから滋養強壮食品として薬膳的にも様々な効果があるとして食されてきました。
うなぎには、身体の抵抗力を高めるビタミンAが豊富に含まれているのが大きな特徴です。うなぎ1匹で、成人が1日で必要とする量のビタミンAが補えるほど豊富に含まれており、免疫力を高めて、ウイルスや細菌への抵抗力を強くしてくれる効果もあります。
疲労回復に良いビタミンB1や、口内炎や髪、爪、皮膚など粘膜系の健康維持に効果的かつ美肌や美容のためのビタミンと言われているビタミンB2も含まれています。これらのビタミンは、それぞれ糖と脂質をエネルギーに変えるときに必要となるビタミンであり、特に ビタミンB1が不足すると、疲労やイライラといった症状が起こりやすくなります。昔からうなぎが「スタミナの素」言われるのは、これらビタミンB群が豊富だということも理由の1つです。
さらに、うなぎはビタミンD、ビタミンE、カルシウム、DHAやEPAなども含んでいます。ビタミンEによる老化予防や、DHA、EPAによる血管系の病気の予防など、様々な健康効果が期待できます。また、うなぎの独特のぬめりには「ムコ多糖類」という成分でできており、胃腸の粘膜を強化する効果もあります。
このように様々な栄養が摂取できるうなぎは、栄養素の宝庫とも呼ばれています。
1000年以上も前に発行された万葉集に、このような歌があります。
「石麻呂に 吾物申す 夏痩せに よしと云ふ物ぞ うなぎ取り召せ」(大伴家持)
意味は「痩せているきみは、夏痩せにはうなぎを食べるといい」ということを友人である石麻呂という人物に伝えた歌です。痩せている人に、栄養をとるにはうなぎが良いですよ、と伝える歌が詠まれるほど、うなぎは栄養が豊富だと昔から知られていたのですね。
 

うなぎの料理紹介

暑い夏を乗り切るために、スタミナのつくうなぎ料理を紹介します。

蒲焼

うなぎ料理で最も一般的で有名な蒲焼ですが、蒲焼とは、魚を開いて中骨を取り除き、串を打って、素焼きたのちに濃口醤油、みりん、砂糖、酒などを混ぜ合わせた濃厚なたれをつけて焼く魚料理のことを言います。
江戸時代に、現代のような形の蒲焼が食べられるようになりました。うなぎの蒲焼そのものは、江戸時代より前からありましたが、当時はうなぎをぶつ切りにして串刺しにして焼き、味噌や塩をかけて食べていたそうです。その様子が蒲(ガマ)という植物の穂に似ていることから、ガマ焼きと呼ばれるようになったという説があります。それが少しずつ訛っていき「蒲焼」と呼ばれるようになりました。
もともとは長い魚の専用の焼き方でしたが、現在はいろいろな食材に使われています。
また、蒲焼には山椒が添えられているのが定番ですが、これはうなぎの生臭さを消すためや、山椒が胃腸の働きを助けてくれるためと言われています。

ひつまぶし

ひつまぶしは、うなぎの蒲焼を応用した料理で、名古屋の郷土料理の1つです。
蒲焼にしたうなぎの身を切り分けて、おひつなどに入れたご飯にうなぎを乗せた(まぶした)ものを、食べる人が自分で茶碗などに取り分けて食べます。これが料理名の由来となっているそうです。
そのまま通常のうなぎ飯として食べてしまうこともできますが、一般的にはワサビや刻み海苔・刻みネギなどの薬味と、出汁やお茶などを添えて提供されます。これらを好みに合わせて取り分けたうなぎ飯にかけたり、お茶漬けにしたりして、味の変化を楽しみながら、様々な食べ方で食べることができる料理になっています。
ひつまぶしの誕生の由来は諸説ありますが、1つは料理屋の賄いの食事として生まれたという説で、蒲焼としては出せないような小さくて質の悪いうなぎや、うなぎの端っこを細かく刻んで、ご飯にまぶしてお茶漬けにして食べたのがはじまりといわれています。

まとめ

土用の丑の日にうなぎを食べるのが一般的になったのは、平賀源内が秀逸なキャッチコピーを考えて、それが広まっていったことが理由でした。
ビタミンやカルシウム、DHA、EPAなど、栄養満点でスタミナ食として知られるうなぎですが、うなぎは古くから滋養強壮食品として薬膳的にも様々な効果があります。夏バテに効く栄養がたっぷり含まれているうなぎを食べて、暑い夏を乗り切りましょう。

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