食品衛生管理者とは仕事内容と取得の仕方の解説
目次
普段私たちの身近な存在である飲食品は、食品衛生管理者によって品質・安全が保たれています。近年需要の高まる飲食業界において、食中毒や重大事件の発生は、消費者側はもちろん、従業員側にとっても絶対に発生させてはならない事案です。そのため食品衛生管理者は国家資格として、必要とされる施設での配置が定められています。自らが講師となり育成・教育するなど、その知識は飲食品の衛生面を守る上で無くてはならない存在であると言えるでしょう。
本記事では食品衛生管理者の主な業務内容や資格取得までの流れ、食品衛生責任者との違いについて、具体的に解説いたします。
食品衛生管理者の仕事とは
食品衛生管理者の仕事は、昨今人気や需要の高まる飲食業界で高い注目を集めている職種です。食品衛生管理者は、必要とされる施設での衛生を管理し、食品衛生管理者としての正しい知識を従業員に教育しなくてはなりません。その中でも、特に大きな業務は「食中毒の防止」です。
どの職場でも、衛生管理は確り行う必要があります。しかし、食品を扱う施設にとって、消費者に食中毒や、健康上の問題が起きてはいけません。食品衛生管理者は、従業員に対して、油断や事故に繋がることがないよう教育する義務が求められています。しかし、万が一にも食中毒や、事故が起きた際、食品衛生管理者は迅速かつ正確な指示をその場で取り仕切る必要があります。そして、食品衛生管理者は従業員の健康管理や、体調不良者が働いていないかどうかの管理も行う必要があります。こういった衛生面に関わる全てのことに対して細かい管理を食品衛生管理者が徹底することで、消費者や従業員に対しての信頼・安心に繋がります。
食品衛生管理者とは
食品衛生管理者とは、食品衛生法第48条に基づき、食品を製造、加工する施設への配置が義務付けられた国家資格です。
全粉乳(容量が1400g以下である缶に収められたもの)、加糖粉乳・調整粉乳・食肉製品・魚肉ハム・魚肉ソーセージ・放射線放射食品・食品油脂・マーガリン・ショートニングなど、これらの食材を製造、加工する場合、食品衛生方施行令第13条において、食品衛生管理者を配置する必要があります。
しかし、講習や研修を受ければ、誰でもその資格をし取得できるというものではありません。
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師などの資格をすでに取得している人や、食品衛生管理者の設置義務がある施設での衛生管理業務従事経験が3年以上ある方が、食品衛生管理者登録講習会を修了することによって、食品衛生管理者の資格を取得することが可能となります。
食品衛生責任者との違い
食品衛生責任者とは、食品を取り扱う施設ごとに、必ず一人配置することが義務付けられています。
飲食店や販売店、食品製造施設などには、食品衛生責任者の資格を持つ人が配置されます。レストランやスーパー、コンビニエンスストアなどのたくさんの食品を取り扱う施設でも食品衛生責任者が配置され、複数の店舗をまとめて一人の責任者が兼任することはできません。必ず、一店舗に一人の食品衛生管理者を設置することが義務付けられています。
食品衛生管理者との違いは、講習会を受講しなくても食品衛生責任者の資格を取得ができる場合があるということです。
しかしその場合は、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を有している人に限られます。
それぞれ名前は似ていますが、食品衛生管理者は国家資格であり、食品衛生責任者は公的資格です。そのため、食品衛生管理者は食品衛生責任者より上位資格になります。食品衛生管理者は食品衛生責任者の役目を果たすことができますが、食品衛生責任者は食品衛生管理者の役目を果たすことはできません。
仕事内容
食品衛生管理者の資格は、食品メーカーや食品製造加工工場などで必要とされます。
特定の食品を製造、加工する施設での衛生管理を徹底し、その正しい知識を従業員に教育し、育成します。また、食中毒の防止や、万が一にも食中毒や、重大事件が発生した場合に速やかに対処する必要があります。
食品衛生管理者は、職場の衛生管理全般に関わることが主な業務内容となり、その責任は大きいと言えるでしょう。
資格取得方法
食品衛生管理者の資格取得方法は食品衛生法に基づき、高校卒業相当以上の方であること、食品衛生管理者を配置している施設での衛生管理業務従事経験が3年以上あること、そして、各都道府県知事の登録を受けて開催される食品衛生管理者登録講習会を受講する必要があります。
また、大学に通うことが難しい場合でも「最終学歴が高校卒業以上であること」、「指定の施設で衛生管理業務の経験が3年以上あること」といった条件を満たしていれば、食品衛生管理者の資格取得を目指すことができると言えるでしょう。
食品衛生管理者試験の受験資格
- 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
- 学校教育法に基づく大学、専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
- 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
- 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
引用:食品衛生管理者 (mhlw.go.jp)
食品衛生管理者は国家資格にあたります。そのため、食品衛生法に基づき、上記のいずれかに該当する人でなければ資格を取得することができません。
また、一般共通科目を必ず受講し、食肉製品関係または添加物関係科目のいずれかを受講する必要があります。
給与の相場
食品衛生管理者はそれぞれの職場によって、給与が変わってくると言われています。また、食品衛生管理者以外に携わる業務によっても変わってくるため、一概的に平均給与を算出することは難しいと言えるでしょう。
例として、東京都の2022年の食品衛生管理者の平均的な年収は、約400万円〜600万円ほどと言われています。
参考:食品 衛生管理の仕事・求人情報|求人ボックス (xn--pckua2a7gp15o89zb.com)
働く上でのメリットとデメリット
食品衛生管理者として働くメリット:食品衛生管理者として働くことでのメリットは、専門的なスキルが身くことや、安定した環境で働くことができると言われていることです。
食品衛生管理者は、食品衛生のスペシャリストとも言われています。そのため、様々な経験や、知識を発揮することができ、専門的な知識が身につくと言えるでしょう。また、シフトや住居などの環境の変化や、業務内容の変更がほぼないと言われており、安定した環境で集中して業務を行いたいという人にはおすすめできると言えるでしょう。
食品衛生管理者として働くデメリット:食品衛生管理者として働くデメリットは、責任の大きさや、業務内容が多いこと、業務が固定されると言われていることです。
食品衛生管理者は、職場の衛生管理に関する業務を徹底して行わなくてはなりません。その責任から、様々な業務を任されることとなります。さまざまなケースへの迅速な対応や、自らが講師となり衛生面に関する教育や育成をしなくてはなならないため、その重圧からストレスを感じてしまうという人もいるようです。
まとめ
食品衛生管理者は、国の定める国家資格です。そのため、誰もがその資格を取得できるというものではありません。
一方で、食品衛生責任者は公的資格であり、食品衛生管理者が「加工・製造」の管理を行うことに対して、食品衛生責任者は「販売・製造」に対する管理を行う仕事になります。
食品衛生管理者の業務内容や役割は多岐に渡り、特定の食品加工や製造を行う上で必ず求められる有資格者です。近年様々な形で需要を高める飲食業界で、食品衛生管理者の資格を目指し、キャリアアップや食品に関する仕事の幅を広げていくためにも食品衛生管理者の資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。