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ソムリエとは なるためのステップとソムリエから転職するには

シェアダイン編集部
作成日:2022/06/14
更新日:2022/11/09
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目次

ワインに関する深い知見と洗練されたマナーで客の飲み物選びをサポートするソムリエ。ワインのキャップシールをソムリエナイフで剥がし、コルクを抜いてグラスに注ぐ手際の良さは思わず見とれてしまうほど。ワイン好きなら誰もが憧れることでしょう。

この記事ではソムリエという職業について知りたい方のためにソムリエになる方法や必要な資格、ソムリエの就職先や就業年数などについてくわしく解説いたします。

ソムリエとは?

ソムリエは厚生労働省の職業分類では「レストランにおいて、ワインの仕入れ、酒庫の管理、ワインの選択についての助言などの仕事に従事するものをいう。ウエイター・ウエイトレスを兼務しているものを含む」と定義されています。

ソムリエの語源はフランス語の「sommelier」。原義はワインなどを運ぶ荷車のこと。現代ではおもに西洋料理の一流レストランで客の好みや料理の特性に合わせて、ワインを中心に最適な飲料を提供するサービススタッフを意味します。

レストランを訪れた客に最適なワインを提供するためには、そのレストランの特性と料理に合ったワインを事前に入手しなければなりません。仕入れたワインをストックするために最適な環境を整える管理業務もソムリエの重要な仕事です。

ワインは酒類の中でも特にデリケート。温度や湿度、光や振動などの要因によって味や香りが大きく変化します。熟成が足りない赤ワインはデキャンタージュして覚醒を促すなど客にベストなコンディションのワインを提供するテクニックも必要です。

ソムリエといえば客にワインを提供するだけの仕事と思われがちですが、実際には酒類の調達や保存管理からテーブルセッティングまで幅広い業務を担当します。特にワインの品質評価と保存管理は難しく、生半可な知識や経験では歯が立ちません。

ソムリエは一流レストランで一流の客に対して最高のおもてなしができる接客のプロであると同時に、ワインを中心とした酒と料理に関する知見を極めた酒のエキスパートでもある、といえるでしょう。

ちなみに欧米の老舗レストランではメインダイニングのほかにシガールーム(葉巻の喫煙室)を併設する店舗も多く、そのようなレストランのソムリエにはシガーに合うワインの知識も求められます。

ソムリエは資格が必要?

日本にはソムリエの職能を認定する国家資格制度はありません。民間資格では日本ソムリエ協会(J.S.A.)と全日本ソムリエ連盟 (ANSA)がそれぞれ認定する呼称資格があります。

日本ソムリエ協会は1969年に設立された一般社団法人で「ソムリエ」と「ワインエキスパート」、およびその上級資格となる「ソムリエ・エクセレンス」「ワインエキスパート・エクセレンス」という4つの資格を認定しています。

ソムリエの呼称資格については、日本ソムリエ協会は次のように定義しています。

  • ソムリエとは飲食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナルを言う。
  • ソムリエの役割は、飲食店もしくは酒類・飲料を販売する施設におけるそれらの提供、ならびに商品の適切な紹介とサービスを中心に、啓蒙・普及・研究・教育を目的とした専門的なアドバイスや清潔で衛生的な食事環境の維持など広範に及ぶ。
  • ソムリエの資格はここで言う定義・役割・求められる能力に適うと認められた者に対して、然るべき機関(我が国においてはJ.S.A.)により認定される。


参考:一般社団法人日本ソムリエ協会のホームページより「J.S.A.呼称資格の定義」

日本ソムリエ協会が認定するソムリエ資格は、すでに飲食業や酒販業務などワインに関連する業務に従事している者で、プロのソムリエに求められる飲料と料理全般の専門知識とテイスティング能力を持ち合わせていることが受験資格となります。

また「ワインエキスパート」は飲料と料理全般の専門知識とテイスティング能力を認定する資格です。ワインエキスパートは ソムリエ資格と違って職業は問われませんので、一般のワイン愛好家でも挑戦できます。

次に全日本ソムリエ連盟 (ANSA)は、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)の下部組織で、「ワインコーディネーター/ソムリエ」と「ワインナビゲーター」という2つの資格の講習と認定試験を行っています。

「ワインコーディネーター/ソムリエ」はプロのソムリエを対象者とする認定資格ですが、検定では飲食業における従事経験の有無を問いませんので、ソムリエ業務の未経験者でも受験可能です。

また「ワインナビゲーター」は趣味としてワインを楽しむ一般消費者向けの資格で、受講者向けのワイナリーツアーや認定セミナーなどのイベントも開催されています。

ちなみにワインの本場フランスでは、ソムリエは国家資格となり、資格レベルI(Diplôme National d’œnologue)からレベルV(MC Sommellerie) まで5段階のクラスで認定されます。

またイタリアでは、イタリアソムリエ協会(Associazione Italiana Sommelier=AIS)がワインソムリエ資格を認定。AISの認定ワインソムリエはコースレベル1からレベル3まで3段階の資格制度です。

AISの認定ワインソムリエは「テイスティング」と「料理とワインの合わせ方」のふたつのメソッドを中心に講義と技能検定を行います。基本的にはイタリア国内で養成コースの講義を受講することが条件ですが、現在は日本でも受講可能です。

日本でのレッスンは半年に1度、3月と9月に東京と大阪で1レベルずつの講義を行います。講師はイタリアから来日。本場ならではのメソッドを習得できます​。

ソムリエの就業先・勤務先

ソムリエのおもな就業先としてはワインの消費が多い西洋レストランやワインバー、本格的なワインセラーを備えた高級リカーショップなどがあげられます。企業の勤務先ではホテル・旅館業の料飲部門やワインの輸入商社が中心です。

平均的な就業年数

厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査によると、ソムリエの平均年齢は39.5歳。ソムリエの平均的な就業年数を示すデータはありませんが、ソムリエの仕事は経験と知見の蓄積を要することから、就業年数は他の飲食業従事者よりも長くなります。

また経験を積んだソムリエが自らの知見と接客技術を生かしてレストランやワインバーなどを開業するケースも多く、そうしたオーナー兼業者まで含めるとソムリエの平均就業年数はさらに延びることが予想されます。

転職を志すとき・どんな理由?

ソムリエの志望理由で最も多いのは「ワインが好きだから」「人と接する仕事がしたいから」という理由です。他には「レストランでソムリエの心遣いに惹かれた」という人や「有名ソムリエにあこがれて同じ道をめざした」という人も少なくありません。

ホテル・旅館業や飲食店業界の中でもソムリエの人気は高く、キャリアアップのためにソムリエ資格を取得する人や、単純にホール・キッチンスタッフよりも給料が多いから、という経済的な理由で転職を志す人もいるなど理由や動機はさまざまです。

まとめ

ソムリエはワインを中心とした酒と西洋料理のエキスパートです。国家資格はありませんが、民間資格を取得することで技能レベルの証明が可能。おもな就職先は高級レストランやワインバー、旅館業やワインの輸入販売業など。

ワイン人気の高まりによってソムリエの採用需要も確実に増える見通しです。

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