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「ミキサー粥は危険」は本当? ミキサー食の作り方やポイントも合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/14
更新日:2022/12/19

目次

ミキサー食は、食を摂取するための機能が低下した人に食べられる食事です。
おもに、高齢者を中心に需要が高く、「食べる」という楽しみや、健康を維持するために必要不可欠な食事方法といえるでしょう。また、食材によってはミキサー食に適さない食材も多くあります。

本記事では、ミキサー食に関する正しい知識や作り方、注意点などについて詳しく解説いたします。

ミキサー食とは? 概要を解説

ミキサー食とは、噛む機能や飲み込む機能が低下した人が食べやすいように、ペースト状にした料理です。
通常の食事をミキサーにかけることでペースト状にし、さらにとろみ剤などを加えることで、より食べやすい状態にします。
しかし、単にミキサーにかけただけでは水分が多く、誤嚥などを引き起こしやすいため、注意が必要です。

ミキサー食は、高齢者や病気の人以外にも、乳幼児の離乳食としても用いられます。
また、似たような食事方法で、ペースト食やムース食、ソフト食と呼ばれるものもあります。
以下に詳細を解説いたします。

・ペースト食
水分を極限まで省いた状態でミキサーにかけたもの。
粒などの原型がない状態になるまでミキサーにかけるのが特徴。

・ムース食
通常の料理をすりつぶし、とろみ剤を使って再び料理の形に整えたもの。
見た目、味、香り、食感を楽しむことができる。
舌で潰せるくらいの柔らかさが特徴。

・ソフト食
柔らかく調理した食材のこと。
通常の料理よりも柔らかく、誤嚥を防ぐためにとろみ剤が加えられることもある。

介護職として食べられることが多いミキサー食は、固形のものが食べづらい人や十分に飲み込むことができない人に適した介護食です。ソフト食やムース食と異なり、ポタージュ状にすることで、さらに飲み込みやすいように作られます。

ミキサー食の作り方とポイントを紹介

ミキサー食は、その名前の通り、食材をミキサーにかけて調理します。
主食・主菜・副菜土に分けて、具体的な作り方を以下に紹介いたします。

ミキサー食の作り方を紹介

ここでは、主食と主菜、副菜にそれぞれのミキサー食の作り方をご紹介いたします。

・主食
主食は、炊いたご飯をミキサーにかけるのではなく、お粥をさらにミキサーにかけて作るのが一般的です。
米に対しての水分量によって滑らかさや柔らかさが異なるため、重湯で硬さの調節をするとさらに食べやすくなるでしょう。

・主菜、副菜
汁気がない食材は、ミキサーにかける前にだし汁を加え、食材の形状がなくなるまでミキサーにかけます。
食材がコーンポタージュ状になったら、とろみ剤をつけてさらに飲み込みやすくします。
食材をスプーンで垂らした時に、すぐに落ちる程度のとろみが目安です。

とろみ調節食材を使用する場合、加熱する必要はなく、食材を入れて30秒ほどかき混ぜれば完成です。
片栗粉を使用する場合は、加熱して、よくかき混ぜて調理する必要があります。

食材の向き不向きについて解説

ここでは、ミキサー食に適した食材、また、適さない食材について解説いたします。
ミキサー食を作る際には、食坐剤の選定にも注意する必要があるのです。

【ミキサー食に適した食材】

  • ほうれん草などの葉物
  • 芋や豆などのデンプンが多く含まれているもの
  • トマトやにんじんなどの繊維が少ない野菜
  • 肉や魚などの脂肪分を多く含んでいるもの


これらの食材は、柔らかく、食材が口の中に残ることも少ないため、ミキサー食に向いている食材です。

【ミキサー食に適さない食材】

  • キノコやこんにゃくなどの弾力のある食材
  • ごぼうやアスパラガスなどの繊維が多く含まれる食材
  • 脂分が少ない肉や魚


喉越しが悪く、口の中に残りやすい食材はミキサー食に適していません。
特に繊維の多い野菜は、ミキサーにかけても完全にポタージュ状にならないため、注意しましょう。

ミキサー食を作る際のポイントを紹介

ここでは、ミキサー食を調理する際に気をつけるポイントを紹介いたします。

・飲み込みやすいようにとろみをつける
ミキサー食は水分を多く含むため、そのままでは誤嚥を招きやすくなってしまいます。
片栗粉やコーンスターチなどで適度なとろみをつけ、ポタージュくらいのとろみがつくとちょうど良いでしょう。
しかし、粘度をつけすぎてしまうと、かえって飲み込みにくくなってしまうため注意が必要です。

・彩りを配慮する
ミキサー食は、食の原型を持たないため、見た目が悪くなってしまう場合が多くなってしまいます。
食の楽しみ食欲を奪わないためにも、彩はとても重要です。
盛り付けの工夫や、できるだけ同じ色の食材をミキサーにかける、料理別にお皿を変えるなどといった工夫をしてみましょう。

ミキサー食のレシピ例を紹介

肉、魚、野菜を使用したミキサー食のレシピ例を以下にご紹介いたします。

肉を使ったミキサー食レシピを紹介

【ハンバーグ】
材料(1食分)

  • お湯 100ml
  • ミキサーゲル 1.5g
  • ソース 適量
  • 片栗粉 適量


作り方

  1. ハンバーグを小さい塊にし、ミキサーに入れる
  2. お湯を加えてミキサーを回す
  3. ミキサーゲルを加えてさらにミキサーを回す
  4. 容器に盛り付け、片栗粉でとろみをつけたソースをかける

魚を使ったミキサー食レシピを紹介

【煮魚】
材料(1食分)

  • 煮魚(骨や皮を取り除く) 100g
  • お湯 100g
  • ミキサーゲル 1.5g


作り方

  1. 魚とお湯の割合を1:1にし、ミキサーを回す
  2. ミキサーゲルを加えてさらにミキサーを回す
  3. 容器に移して粗熱を取る

野菜を使ったミキサー食レシピを紹介

【トマトサラダ】
材料(1食分)

  • トマト 200g
  • ミキサーゲル 3.0g


作り方

  1. トマトを1㎝~2㎝程度にカットし、ミキサーにを回す
  2. ミキサーゲルを加えてすぐ30秒程度混ぜ込む
  3. 2、3分ほど膨潤させてからさらに30秒程度かき混ぜる


参考:かいご食レシピ (miyagen.net)

ミキサー粥のメリットとデメリットについて解説

お粥の粒が飲み込めなくなった場合に食べられるのが、「ミキサー粥」です。
しかし、ミキサー粥はもともとのご飯の粘り気に加え、ミキサーにかけることでさらに粘度が増します。
飲み込みにくく、誤嚥の危険性が高くなってしまうため、大変危険です。

ミキサー粥のメリットとデメリットについて、以下に詳しく解説いたします。

ミキサー粥のメリットとは?

お粥には、タンパク質やビタミンB6、ミネラルなどの白米由来の栄養素が含まれています。
そのため、ミキサー粥としてお米を摂取できることで、今までと同じように主食としてお米の栄養素を摂取づることができるでしょう。

また、お米が完全に消化できるまでの時間は、個人差もありますが24時間から72時間ほどかかるといわれています。
そのため、消化に必要なエネルギーも多く消費することになるのです。
お粥をペースト状にすることで、消化に必要なエネルギーを抑えることができ、栄養の吸収も早いため、摂取した栄養をすぐに体内で役立てることができるでしょう。

ミキサー粥のデメリットとは?

噛む機能や飲み込む機能が低下した人でもミキサー粥として主食成分を摂取できる一方で、注意点やデメリットもあげられます。
以下にミキサー粥のデメリットを紹介いたします。

・お米が粉砕しすぎてまとまりにくい
お粥をミキサーにかけることで、お米が粉砕しすぎて食べづらくなってしまいます。
お米にはデンプンが多く含まれているため、ミキサーにかけることで固くなってしまう可能性があります。
十分な水分を加えてミキサーにかけることが大切です。

ゼリー状にする製品やデンプンを分解する酵素などを使って、飲み込みやすい適切な状態にする対処法もあります。
また、とろみ剤には独特な風味やクセを感じるものもあります。好みにあうものをいくつか試してみるのが良いでしょう。

・低栄養に注意する
ミキサー粥は、固まることを防ぐため、多くの水分を必要とします。
食べやすくするため、水分を加えてとろみをつけるため、水分によって栄養価が低下してしまいます。
そのため、水分が多くなりすぎないように調整したり、栄養価の高いパウダーなどで栄養を補助することが重要です。

まとめ

ミキサー食は、おもに「噛む機能や飲み込む機能が低下した人」が食べやすく食事をするためのものです。

ミキサー食は、食材の原型を残さず、ミキサーでポタージュ状にしてしまうため、どうしても見た目が悪くなってしまいます。
そのため、ミキサー食を作る上で重要なのは、彩りやお皿などの見た目に配慮することです。

また、誤嚥を防ぐためにも、適度なとろみをつけて食べやすくする必要があるでしょう。
お粥をミキサーにかける「ミキサー粥」では、栄養の偏りやお粥がデンプンで固まってしまい、危険な場合もあります。

食材をミキサーにかける際は、どの食材が適していて、どの食材が適していないのか事前に注意することが大切です。
食の楽しみや食欲が低下しないよう、ひと工夫を忘れずミキサー食を作りましょう。

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