Hero Image

初鰹の旬はいつ?時期の解説と戻り鰹との違いについて

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/31
更新日:2022/11/08

目次

毎年3月頃になるとスーパーに並び始める初鰹。
古くから春の訪れを告げる魚として親しまれてきました。今は冷凍技術や流通が発達し日本全国のスーパーで手軽に購入できるようになった鰹ですが、実は年に2回旬を迎えます。
この記事では1回目の旬に獲れる初鰹について解説いたします。

初鰹の旬はいつごろ?

鰹は太平洋、大西洋、インド洋にまたがり広く分布しています。南の温かい海に大きな群れを作って生きている回遊魚で、黒潮に乗って日本にやってきます。
そんな鰹には旬が2回あります。普段南の温かい海を泳いでいる鰹は、春先に餌となるイワシ等を求めて三陸沖まで北上します。この時に獲れるのが、3月~5月の春先から初夏にかけて旬を迎える、「初鰹」です。そして親潮とぶつかったところで今度は、逆向きの流れに乗り、南下を始めます。それが9月~11月ごろにかけて旬を迎える「戻り鰹」です。

初鰹と戻り鰹の違いは

獲れる時期により「初鰹」と「戻り鰹」と呼び方が異なりますが、呼び方だけではなく、鰹の栄養や味にももちろん違いがあります。

初鰹は脂質の少ない「春鰹」

初鰹は春先に黒潮に乗って北上してくる鰹ですが、この時の鰹はまだ成長途中です。その為、脂肪が少なく、さっぱりとした味わいが特徴です。身は引き締まっていて、プリっとした食感が特徴です。昔の人には春を感じさせるとても大切な存在だったようで、初鰹のことを読んだ俳句などもたくさん残っています。

戻り鰹は秋の味

黒潮にのって、北上しながら餌をたっぷりと食べた鰹は、三陸沖でUターンをし、産卵のために南下を始めます。この時の鰹は脂がよく乗っており、初鰹に比べ10倍もの脂を蓄えています。そしてさっぱりとした初鰹に比べ、成長し、身もしっかりしていることから食感はもっちりとしています。この戻る時期が9月~11月になるので戻り鰹は秋の味覚として親しまれています。

鰹の栄養価を解説

鰹は切り身や、お刺身、お寿司等になってスーパーに並んでおりとても身近な魚になりましたが、大衆魚と侮るなかれ、鰹には体が喜ぶ栄養がたっぷり含まれています。鰹は背が青く、体は銀色に光っている「青背魚」ですが、この青背魚に特に多く含まれている栄養素がオメガ3系脂肪酸と呼ばれる、DHA・EPAの不飽和脂肪酸です。特にDHA・EPAは血圧低下、血栓予防などに効果的と言われていますが、人間の体内で生成することができない為、必須脂肪酸と呼ばれており、約90~100%が魚から摂取しています。特に秋の戻り鰹はこのオメガ3系の脂肪酸が多く含まれて、鰹のお刺身100g(約1人前)で一日に必要とされているオメガ3系脂肪酸の半分以上を接種することができます。次に鰹は鉄分も豊富に含まれています。鉄分は特に女性に不足しているイメージがあるかもしれませんが、男女ともに必要な栄養素です。魚に含まれているヘム鉄は、植物に含まれている非ヘム鉄より溶けやすく吸収されやすいのも特徴です。鉄分は1日の摂取量をとることがなかなか難しいといわれていますが、鰹100gで一日の必要量の約1/3を摂ることができます。
また、5大栄養素の一つでもあるビタミンDやビタミンB群も含まれています。特に鰹にはビタミンB6が多く含まれており、このビタミンは炭水化物やたんぱく質をエネルギーに換える働きをします。そしてビタミンDは、カルシウムの吸収をサポートしてくれ骨や歯の形成に必要なビタミンの為、骨粗鬆症対策としても期待が持てます。
そしてなんといっても、鰹最大の魅力は良質なたんぱく質を多く含んでいることです。
近年筋トレブームの相乗効果で高たんぱく低脂質の食事が注目されており、漠然と筋肉にいいと思われている方もいらっしゃるかと思いますが、たんぱく質は筋肉や、臓器、皮膚などを構成するだけでなく、ホルモンなどの体の機能を調節したり、抵抗力をつけ免疫機能を高めるという大事な働きをします。
たんぱく質を構成するアミノ酸で人間の体に必要なものは約20種類あり、そのうちの9種類は体内で生成できない為「必須アミノ酸」と呼ばれています。
これらは食事から摂る必要がありますが、鰹のたんぱく質にはこの必須アミノ酸が9種類すべて含まれております。

美味しい鰹の見分け方

栄養満点の鰹を、産地や飲食店でおいしい料理を食べるのもいいですが、せっかく食べるならご家庭でもおいしい鰹を食べたいですよね。
鰹の見分け方にはいくつかポイントがあります。

丸ごと買うとき

まず、鰹1尾丸ごとで買うときは、目を見ます。
ほかの魚でも、目が澄んでいるもの、黒目がはっきりしているものが新鮮と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際その通りなのですが、保存の際に氷が直接目にあたってしまうと、目が白く白濁してしまうこともある為、目が黒いだけでは新鮮かどうかを判断するには足りません。
目が黒く、黒目の周りが透き通っていることに加え、張りがあるかも確認するといいでしょう。魚を水平から見てみると、新鮮な魚の目は盛り上がっています。そしてこの盛り上がりは時間が経つにつれ収まり、死後約2日目には埋もれてしまいます。
次に体を見ます。体に傷はないか、縦縞の濃度を見ます。可能であれば腹の部分を触ってみるといいでしょう。腹の部分が硬く張りがあるものの方が新鮮です。
これは魚の内臓は死後時間が経つにつれ、溶けていきます。つまり柔らかく、ブヨっとしているものは、時間が経っており内臓が溶け始めている可能性があります。
また、水揚げ時に鰹の身が船体などにぶつかってしまうと傷ができそこから痛み始める為、なるべく傷がないものを選びましょう。
もし、パック詰めされていない鰹であれば、エラを持ち上げてみてみるのもいいでしょう。エラがきれいな赤色であれば、鮮度がいい証拠です。時間が経つにつれ、鮮度は落ちエラは赤黒く変色していきます。

切り身で買うとき

次に切り身で買うときは、まずドリップが出ていないことを確認しましょう。そして、パックなどであれば加工日が記載されていますので、加工を確認し当日に加工したものを購入しましょう。スーパー等で割引シールが貼ってある場合は切り身にしてから、時間が経っていることが考えられます。少しでも新鮮なものをと考えるのであれば値引きシールが貼っていないものを選びましょう。
現在は産直、朝どれの魚を売りとするスーパーもありますが、スーパーで並んでいるものは水揚げから流通、加工という工程を経るので、店頭に並ぶまでに時間がかかり多少鮮度が落ちるのは仕方がないでしょう。

鰹のおすすめの食べ方

鰹を食べる際のおすすめの食べ方ですが、まずは新鮮な鰹が手に入ったならお刺身やたたきで食べるのが一般的です。
ただし、鰹は劣化が早い魚としても有名です。お刺身やたたきで食べるのは購入したその日のうちにし、もし翌日以降で食べるときは火通しをしたり加工したりするのがいいでしょう。

漬け丼

漬けといえば、マグロやサーモンを思い浮かべる方もいいかもしれませんが、鰹も漬けにとてもよく合います。元々漬けの調理方法は保存技術が発達していなかった時代に、鮮度の劣化が早い魚を醤油漬けにし、日持ちさせるというアイディアから生まれました。鰹などの青背魚は鮮度が落ちるのも早いので、漬けにはもってこいの魚ですね。

たたき

鰹といえば、たたきを連想させるくらい有名な食べ方ですよね。
ただきの起源は諸説あり、鮮度が落ちた鰹の表面を殺菌するという説や食中毒が流行っていた時に魚の生食を禁止されて際に、表面だけ炙って焼き魚に見せかけた説などがあります。起源はどれかわかりませんが、藁で炙ることによって、表面の殺菌効果にプラスして、藁の香りが鰹に移る、身の脂が溶け出し濃厚な味わいになる、また、戻り鰹の場合は余分な脂を落とすなどの効果があります。
ただし、たたきは火で炙っているといっても、加熱しているのは表面のみで中は生のままですので、早めに食べきるのがいいでしょう。

竜田揚げ

大きな節や切り身で購入すると、お刺身もたたきも漬けも楽しんでもまだ食べきれない量が残る場合があります。
そんな時、もっと他の調理法を思う方には竜田揚げもおすすめです。
もちろん、竜田揚げ用に味をつけてもいいですが、漬けをリメイクし、衣をつけて揚げると、中まで味が染み染みのおいしい竜田揚げが作れます。

まとめ

今回は鰹についてご紹介しました。
今はどこのスーパーでも気軽に手に入る身近な存在ですが、旬が春と秋の2回あり、古くより旬の訪れを告げる魚として親しまれてきました。
そしてそんな鰹は実は老若男女に必要な栄養が満点でぜひ食事に取り入れたい食材でもあります。鰹の難点は劣化が早いことですが、調理法次第では当日だけではなく翌日も楽しむ方法がありますので、ぜひ試してみてください。

関連記事:
秋カツオとは 初カツオと戻りカツオの違いもあわせて解説

Hero Image

この記事をシェアする

Hero Image