関東と関西のおでん出汁の違い 特徴や作り方を関西ならではのおでんの具と合わせて解説
目次
寒い時期になると食べたくなるおでん。お雑煮のように地域によって出汁や味付け、具材もさまざまなおでんがあります。
この記事では関東と関西のおでんの違いや特徴、各地のご当地おでんをご紹介いたします。
関西おでんの出汁 その特徴とは
関西おでんの基本の出汁は昆布とかつおです。
薄口醤油を使うのが特徴で、あっさりとした味わいに仕上がっています。
関西のうどん出汁が関東のものと比べて透明感があり、薄味で出汁の風味が際立っているように、おでんの出汁も同様です。
関西では素材の風味や色味を大切にする食文化が根付いており、香りの薄いあっさりとした薄口醤油が主流となっています。
基本のおでんの作り方を解説
以下が基本的なおでんの作り方です。
1. 下ごしらえ
かつお出汁をひく
2. 具材の準備
- 大根:厚めに皮を剥き、面取りをして十字に隠し包丁を入れ米の研ぎ汁で下茹でする
- 卵:ゆで卵にする
- こんにゃく:味が染みやすくなるように格子状に隠し包丁を入れて茹で、アク抜きをする
- ちくわぶ:斜めに切り、粉っぽさをなくすために下茹でする
- はんぺん:三角に切る
- ちくわ:斜めにきる
- さつまあげ:大きすぎる場合は半分に切る
3. 煮込み
鍋に、出汁、濃口醤油、みりん、酒と具材を入れ火にかけ30分から1時間ほど煮込む
関西おでんの作り方を解説
上記の基本的なおでんの作り方とは異なり、関西おでんの作り方は以下のようになります。
1. 昆布とかつおの出汁をひく
2. 具材の準備
- 大根:厚めに皮を剥き、面取りをして十字に隠し包丁を入れ米の研ぎ汁で下茹でする
- 卵:ゆで卵にする
- こんにゃく:味が染みやすくなるように格子状に隠し包丁を入れて茹で、アク抜きをする
- ちくわ:斜めにきる
- 厚揚げ:油抜きをする
- 牛すじ:圧力鍋で20分ほど下茹でする
- タコの足:竹串をさす
3. 煮込み
鍋に、出汁、薄口醤油、塩と具材をいれ火にかける。出汁が濁らないように弱火で煮込みます。
関西ならではのおでんの具をご紹介
関西おでんといえば、クジラの舌「さえずり」とクジラの皮「コロ」が有名です。牛すじやタコの足も関西ならではの具材といえます。
関西特有のおでんの具について、以下に詳しくご紹介いたします。
関東人はびっくり「クジラのさえずりとコロ」
関東のおでんではまず見かけないクジラですが、関西では昔から庶民に親しまれてきた食材です。
「さえずり」は、クジラの舌。脂肪分が多く甘味のある味わいが特徴。部位によって味が異なります。
「コロ」は、クジラの皮下脂肪を鯨油で揚げたもので、旨味がありモチモチとした食感が特徴です。
さえずりとコロからは出汁がでるので、おでんの旨味が深まります。
関西では身近な食材「牛すじ」
関西では牛すじを家庭で調理することが多く、身近な食材。
牛すじとは牛のアキレス腱、メンブレンと呼ばれる横隔膜についている膜、その他の部位についている筋のことをさします。
煮込むと牛すじの出汁が溶け出し、おでんの出汁に旨味が増します。
食感も楽しめる「タコの足」
関西おでんの具材の具材では一般的なタコの足。
おでんの出汁がしみたタコは食感も美味しく、タコの足からも出汁がでて味に深みがでます。
関東と関西の違いについて解説
関東と関西でおでんに違いがあることは前述しましたが、以下に関東おでんと関西おでんの違いについて詳しく解説いたします。
関東おでんの出汁とは
かつお出汁に濃口醤油、酒、みりんや砂糖で甘辛く濃いめの味付けです。色が濃く不透明。
関東おでんの具材を紹介
・ちくわぶ
関東おでんでは一般的な具材です。小麦粉と塩が原料の練り物で、煮込むともっちりとした食感になります。ちくわぶ自体は淡白な味ですが、濃いめの出汁が染みて美味しくいただけます。
・はんぺん
関東おでんで人気の具材のはんぺん。白身魚のすり身に卵白や山芋を加え、空気を含ませたものを茹でた練り物で、ふわふわとした食感が特徴です。
・つみれ
イワシなどの魚のすり身が原料の練り物。スーパーで売られているつみれは固めの食感。フードプロセッサーで簡単に作れるので生姜や柚子の皮、味噌などを入れてお好みの味付けをするのもおすすめです。ふわふわのつみれが楽しめます。
・すじかまぼこ
関西おでんのすじは牛すじですが、関東おでんのすじとはサメの軟骨や筋を原料とした練り物のことです。軟骨のコリコリとした食感とモチモチとした食感が特徴です。
関西おでんの出汁とは
昆布出汁を使い薄口醤油、塩とシンプル。あっさりとした風味で、だしの色は淡く透き通った色味です。
関西おでんの具材を紹介
・ひりゅうず(飛竜頭)
がんもどきは関西では「ひりゅうず」や「ひろうす」という名称で親しまれています。関西おでんの定番の具材です。
・厚揚げ
関西おでんの定番中の定番といわれている厚揚げ。全国的に厚揚げはおでんの具材として親しまれていますが、関西から九州にかけて特にメジャーな具材です。
そのほかにも、前述した「クジラのさえずりとコロ」や「牛すじ」、「タコの足」なども、関西おでん特有の具材としてあげられます。
その他の全国各地のおでんをご紹介
真っ黒のつゆが特徴「静岡おでん」
真っ黒のつゆで有名な静岡県のおでん。
牛すじの出汁に濃口醤油が使われています。牛すじの出汁を継ぎ足しているため、真っ黒になっていきます。
静岡おでんならではの具材は黒はんぺんやなると巻き、豚モツ。だし粉と呼ばれるイワシやサバの粉と青のりをかけて食べるのが特徴です。
八丁味噌を使った「名古屋おでん」
愛知県の名産品である八丁味噌を使った名古屋おでん。
かつお出汁に八丁味噌や砂糖などで味付けした甘い汁で具材を煮込んでいきます。
特徴的な具材は焼き豆腐、角麩、豚モツ、里芋など。
屋台で売られる「福岡おでん」
福岡県のおでんは、餃子を魚のすり身で巻いた餃子巻きが入るのが一般的です。
屋台文化が根付いている博多ではおでんの屋台はもとより、ラーメンやうどんの屋台でもおでんが提供されています。
宮崎県より「都城おでん」
宮崎県都城市はおでん屋さんが多く、年中食べられているおでん。
農畜産物が豊富な土地柄から、たっぷりの野菜と豚軟骨が入るのが特徴。
キャベツや大豆もやし、とろとろの豚軟骨などを鶏ガラベースのコクと旨味の出汁で煮込みます。
かつお出汁香る「沖縄おでん」
かつお節の消費量が全国1位の沖縄県。おでんの出汁はもちろんかつお出汁です。
沖縄の伝統料理に欠かせない豚足「てびち」が入っているのが特徴です。とろとろのてびちで出汁に少しとろみがつきます。
また、沖縄おでんには青菜が欠かせません。小松菜、青梗菜、空芯菜レタスなど旬の青菜をつかいます。
まとめ
今回の記事では関東と関西のおでんの違いや特徴、ご当地おでんなどをご紹介いたしました。
同じおでんでも地域によって出汁や具材、味付けが異なります。全国各地のおでんを、旅先やお取り寄せなどでお楽しみください。
おでんを通してその土地の名産や県民性、食文化などを知ることができるでしょう。
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