静岡県の郷土料理について解説 特産品や伝統料理のレシピも紹介
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静岡県は日本一の高さを誇る富士山をはじめ南アルプスなどの山岳地帯と、水産資源が豊富な駿河湾を擁する美食の王国として知られています。この記事では静岡県が誇る多彩な農産物と、おいしい郷土料理をご紹介します。
静岡県の生産高が高い農産物の紹介
静岡県は本州のほぼ中央に位置する県で、富士山や南アルプスなど3,000m級の山々がそびえる北部山岳地帯をのぞいて温暖な海洋性気候に恵まれています。四季の変化がはっきりしており、季節ごとに高品質な野菜や果物が生産されています。
野菜では沢わさびの生産量が全国第1位。静岡のわさび栽培は今から約400年前、江戸時代初期の慶長年間に現在の静岡市葵区有東木(うとうぎ)の村人が渓流に自生していた野生のわさびを湧水地に移植して育てたのが始まりとされています。
一方、静岡の代名詞ともいえる茶の産地は安倍川や大井川、天竜川などの上流域から、愛鷹山や小笠山の山麓、牧之原、磐田原など県内20カ所以上。2019年度の産出額は鹿児島に抜かれて全国第2位にとどまりましたが、依然として国内シェアの多くを占めています。
また青梗菜(ちんげんさい)やセロリ(セルリー)、イチゴ、レタスなどの栽培でも静岡県は全国トップクラスの産出額を誇ります。フルーツではみかんやメロンが全国に出荷されています。みかんは糖度が高く味わい深い「青島温州」という品種が人気です。
米も静岡県の農業産出額の上位を占める生産品のひとつ。県内各所でさまざまな品種の米が栽培されています。作付け比率が約5割と最も多いコシヒカリは、温暖な気候の恩恵を受けて本州で最も早い時期に出荷されています。
畜産では鶏卵と生乳、牛肉、豚肉の生産がメイン。家畜の飼養戸数は漸減傾向にありますが、品質の良い銘柄牛や銘柄豚の開発により注目が集まっています。牛肉では「特選和牛・静岡そだち」や「するが牛」などのオリジナルブランドが人気です。
「するが牛」はJA静岡市と地元の畜産農家が共同で立ち上げた牛肉のブランド。和牛とホルスタインの交雑種で、和牛に迫る脂身とコクの深い赤身の絶妙なバランスが持ち味です。「特選和牛 静岡そだち」は黒毛和種を徹底した飼養管理で育てた最上級の牛肉です。
豚肉では静岡県のオリジナルブランド「ふじのくに」が、鶏卵ではオリジナルブランド「美黄卵」が人気です。
水産漁業も静岡県の主要産業のひとつ。500kmを超える長い海岸線と浜名湖を有し、駿河湾の沖合には「魚の宝庫」といえる豊かな漁場が形成されています。沿岸域ではサクラエビやシラス、イカ、アジ、サバなど。遠洋ではカツオやマグロ漁が行われています。
また伊豆半島沿岸の入江ではマダイやブリなどの養殖が行われており、浜名湖のカキ、ノリ、ウナギなどの養殖も有名です。内陸では富士山麓の豊富な湧水を利用したニジマスの養殖が盛んです。
静岡県の郷土料理
山葵漬け(わさびづけ)
山葵漬けは、静岡名産のわさびの葉や茎、根などを刻んで酒粕に漬けた伝統料理です。静岡における沢わさび栽培は江戸時代の慶長年間に現在の静岡市有東木地区に自生していた野生の沢わさびをふもとの湧水源に移植したことが起源といわれています。
有東木のわさびは徳川家康によって持ち出し禁止とされましたが、18世紀半ばに伊豆地域に栽培法が伝わり、その後「畳石式」という新たな栽培方式が開発されて全国に普及しました。「静岡水わさびの伝統栽培」は2018年に世界農業遺産に認定されています。
静岡の山葵漬けは、明治22年に静岡駅構内で販売されて以来、定番の静岡みやげとなっています。
作り方
新鮮なわさびの茎と根を約3mm程度に刻み、塩でよくもんで一晩おきましょう。にじみ出た水分を絞り取り、砂糖と塩をまぜた酒粕に入れてよく練り込んでなじませます。まぜ終えたら密封容器に移して数日おくと、わさびのツンとした辛みが出てきます。
生しらす丼(なましらすどん)
「しらす」はカタクチイワシの稚魚のこと。駿河湾におけるしらすの漁獲量は全国で一二を争います。シーズンは春から秋頃まで。鮮度の良い「生しらす」をはじめ、釜茹での「釜揚げしらす」、干した「しらす干し」や「ちりめん」などに加工されます。
生しらす丼は鮮度の良いしらすを生でいただく地元ならではの海鮮料理。禁漁期間の1月中旬から3月中旬以外の季節に食べることができます。
作り方
炊きたてのご飯を茶碗やどんぶりに盛り、刻み海苔を散らします。そのうえに新鮮な生しらすとわけぎを乗せ、醤油をかけていただきます。お好みでわさびを添えましょう。
静岡おでん(しずおかおでん)
「静岡おでん」は牛すじや大根、卵、はんぺんなどを串に刺して濃いめのだし汁で煮込んだ静岡市の郷土料理です。起源は大正時代とされていますが、人気が高まったのは戦後のこと。食肉加工で余った牛すじを具材にしたところ味の良さが評判になりました。
具材には駿河湾で水揚げされた魚の練り製品も使われます。静岡市周辺では家庭料理として食されるほか、駄菓子屋や惣菜屋で串刺しの静岡おでんを販売しており、子供たちのおやつとしても愛されています。
作り方
深さのある大鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら削り節を入れてだし汁を作ります。具材のこんにゃくや大根は下ゆでし、卵は硬めのゆで卵にしましょう。それらの具材を長い串に刺して鍋に入れます。
別の鍋に牛すじと水を入れて火にかけて下ゆでしましょう。煮立ったら醤油適量を加えて1時間ほど煮ます。ゆだったら煮汁ごと大鍋のおでんに加えて砂糖やみりん、醤油、酒、塩を加えて弱火で2~3時間煮込みましょう。
出来上がったおでんに青のりや魚のだし粉をまぶし、からしを添えていただきます。
まとめ
観光資源に恵まれた静岡県は美食の王国としても知られています。野菜では沢わさびやお茶。フルーツではミカンやメロンが有名です。水産漁業も静岡の主要産業のひとつ。近海で採れるしらすから遠洋のマグロまで多彩な水産物が全国に出荷されています。
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