SV(スーパーバイザー)とは SVの仕事内容の解説
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グローバル化の進展により企業の役職名が英語化されるケースが増えています。SV(supervisor:スーパーバイザー)もそんな役職名のひとつ。意味がわかりにくいうえに業界によって同じSVでも仕事内容が変わるため誤解をしないように注意が必要です。
たとえばコールセンターにおけるSVはスタッフの指導監督を行う管理職のこと。一方、外食チェーンなど多店舗展開の飲食店ではエリアマネージャーと実質的に同じです。この記事では飲食業界におけるSVの仕事内容や必要な資質などについて解説していきます。
SV(スーパーバイザー)とはどんな意味か
「スーパーバイザー(supervisor)」は英語で「監督者」「管理者」といった役職や仕事を意味するビジネス用語です。「バイザー(visor)」は「ひさし」や「日よけ」の「バイザー」と同じスペルですが、SVの「visor」はラテン語が由来で「見る」ことをあらわします。
「super」もラテン語を語源とする言葉で「上」という意味です。「supervisor」は「上の立場で見る人」をあらわし、英語では「監督者」「管理者」「上司」のほか学校の指導教官、テレビ番組制作の監修者など「監督・管理する人」の仕事や役職をあらわします。
SVの仕事とは
SV(スーパーバイザー)は日本でもさまざまな業界で管理職や監督者、指導者の役職名として用いられています。一般的には社員やアルバイトスタッフの指導育成や管理・監督などを行う役職ですが、細かい仕事内容は業界や企業によって異なります。
飲食業界におけるSVの仕事内容
飲食業界におけるSVは、外食チェーン企業の本部スタッフとして担当エリア内で営業する複数の店舗を巡回して売上管理や人材育成指導、ブランドマネージングなどのマネジメント業務全般を行う役職のこと。「エリアマネージャー」とも呼ばれます。
外食チェーン企業では、各店舗の売上アップやコスト削減、アルバイトスタッフの教育指導などは店長が行うのが基本です。SVは本部の管理職として担当エリア内の全店舗を包括的にマネジメントしてトータルでの売上向上をめざします。
具体的には、担当エリア内の店舗が売上目標を達成できるように各店舗を個別に巡回。料理やドリンクの売上高と利益率が目標を達成できているか、調理方法や食材の在庫管理は適正か、マニュアルに沿った接客対応ができているか、などのポイントの確認です。
また企業ブランドのマネージングや期間限定の企画内容などを店長に伝えたり、現場スタッフとコミュニケーションをとりながら各店の課題を洗い出して改善策を検討したり、新人スタッフの指導教育やアドバイスを行ったりして、売上目標の達成を支援します。
企業によっては各店舗の巡回を兼ねて食材や什器などの搬入を行ったり、仕入れ業者との対応を行う場合も。現場で得た情報は本部にフィードバックしてPDCAを回し、個々の飲食店経営を成功に導くためにさまざまなマネジメントを行うのもSVの仕事です。
現場スタッフの採用は基本的に店長の仕事ですが、SVも本部の監督として採用面接に立ち合うことがあります。また未出店エリアに進出、逆にエリアを限定して出店するドミナント戦略を選択するなどのエリアマーケティングもSVの重要な職務になります。
SVは本部の経営幹部ですが、小規模チェーン企業ではSVが店舗運営を兼任するケースも珍しくありません。店長を勤めながらSVとしてチェーン全店のグランドメニューやワインリストの更新などブランド運営の根幹に関わる業務に携わることもあります。
エリアマネージャーとしてのSVの仕事内容は外食産業だけでなく、コンビニや百円ショップ、サービス業など他業種の全国チェーン企業でも基本的に同じといっていいでしょう。
SVに求められるスキルや経験、資質
外食チェーン企業のSVになるためには、店長よりも一ランク上の指導力と管理能力が求められます。ここではSVに求められるスキルや経験、資質について解説いたします。
経営管理能力とリーダーシップ
SVは本部の経営陣が決めた運営方針に従って現場スタッフの協力を得ながら結果を出す能力が求められます。そのためには自社のブランド運営に精通した経営管理能力と、担当エリアのスタッフを適切に采配できるリーダーシップが必要です。
プレゼンテーション力とヒアリング力、コミュニケーションスキル
SVは本部と現場の間を取り持つ役割を担っています。そのため本部の運営方針や戦略を現場スタッフに理解させるプレゼンテーション力と、現場の課題を聞き出すヒアリング能力、本部と現場の意識を統一して課題解決に導くコミュニケーションスキルは必須です。
実務経験とデータマネジメントスキル
SVは企業の経営幹部として担当エリア内の複数店舗の管理監督を担う役職です。そのため店舗経営に関する実務経験は欠かせません。また担当エリアの売上や利益をデータ分析して改善計画を立案実施できるデータマネジメントスキルも求められます。
情報収集力と軽快なフットワーク(行動力)
SVが担当するエリアは多くの場合、広範囲です。エリア全体の売上向上と業務効率の改善を図りながら同業他社の動向を調査したり、担当店のトラブルに迅速に対応したりするには高い情報収集力と軽快なフットワークが必要です。
コンサルティング力とコーチング力
SVの仕事で注意すべきは同じエリア内の店舗でも同じ経営手法が通用するとは限らないこと。駅前と住宅地の店舗では距離は近くても客層が異なりますし、自社の直営店と、社外オーナーが経営するフランチャイズ店が混在する場合も同じ対応はできません。
そうした地域特性や経営形態の違いに対応して個別に指導できるコンサルティング力もSVに必須の資質と言えるでしょう。また、現場スタッフの採用や指導、評価などを的確に行うことができるタレントマネジメント力もSVには欠かせない資質のひとつです。
スーパーバイザーの平均年収
SV(スーパーバイザー)は管理職ですので年収は概して低くはありません。ただし企業規模や業種によって差が大きいことも事実です。大手求人サイトの求人広告を参照すると飲食業界のSVは大手企業で1000万円前後、小規模チェーンで350万円程度になります。
前述したように小規模チェーンでは店長がSVを兼ねるケースが多く、その場合の収入は店長の給与にSVの資格手当が上乗せされる形となります。業種全体の平均年収は500万円前後と考えて良いでしょう。
SVになるためには
SVになるためにはまず志望するチェーン企業に就職して、現場スタッフから副店長、副店長から店長へとキャリアアップを重ねてSVに昇格するのが一般的です。SVに必須の公的資格はありませんが、各企業で独自の社内認定制度を導入しています。
SVの仕事内容や必要なスキルは業界や企業によって異なるため、異業種からSVに転職するのは簡単ではありません。同業他社で店長を経験した実績があれば転職は可能ですが、基本的には一定期間店長の職務を経験してからSVに昇格する形になります。
まとめ
SV(スーパーバイザー)は一般的に社員の指導育成や管理・監督を行う役職ですが、飲食業界では外食チェーンの本部スタッフとして担当エリア内の店舗を巡回してマネジメント業務全般を行う「エリアマネージャー」と同じ肩書きを意味します。
SVは店長や現場スタッフを指導して売上目標の達成を支援する役職ですので、店長経験者が昇格するのが一般的です。
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