韓国の食事文化 日本との違いや定番料理なども合わせて解説
目次
韓国料理は日本でも大変人気があり、実際に食べたことがあるという人も多いでしょう。
韓国料理は日本料理と似ているところもありますが、全く異なる食文化を持っています。
韓国料理について、食に対する考え方や特徴的な食材、食事マナーなどについて詳しく紹介いたします。
韓国の食文化「薬食同源」とその考え方とは
韓国の食文化は、「薬食同源」(やくしょくどうげん)という考え方に基づいた食文化を持っています。薬食同源とは、「食べたものが体を作るため、体に良いものを食べていれば薬を飲む必要はない」という意味です。薬食同源は、中国から伝わった食に対する考え方といわれています。
韓国では食事に多くの野菜を使用します。また、韓国ではご飯とおかずを野菜に包んで食べる習慣があり、その習慣のことを「サム文化」といいます。サム文化の影響は大きく、韓国の野菜の消費量は世界でもトップクラス。薬食同源の言葉通り、体に良い野菜を多く摂取する文化が根付いています。
韓国料理の特徴を解説
韓国では日本と同様、主食は米です。水で炊いたり、お粥にしたりして食べるのが主流ですが、雑穀や豆などを一緒に炊いて食べることも多くあります。また、日本では味噌汁がごはんとセットとなることが多いですが、韓国では牛骨や魚などの出しで作られた「チゲ」「クク」「タン」などと呼ばれるスープが用意されることが多いです。
韓国の食文化は野菜を中心に肉や魚、発酵食品などが多用されます。特にキムチは、野菜と海産物のうまみがバランスよく配合された、健康によい発酵食品です。キムチは2006年、アメリカの健康専門雑誌「ヘルス」で世界五大健康食品のひとつとして定められました。
韓国料理ならではの食材とは
韓国の食材で欠かせない代表的な食材は、唐辛子とにんにくです。
ネギや生姜などの香味野菜をふんだんに使うのも韓国料理の特徴のひとつです。
そのほかには、「ジャン」と呼ばれる味噌のような調味料やしょうゆ、ごま油、セウジョと呼ばれるアミエビの塩辛、魚醤などがよく使われます。
韓国料理の種類について解説
韓国料理は種類が多く、一般的なのは定食のようなスタイルです。主食の米、粥、麺類などとともに、多種多様なおかずが揃えられるのが特徴。おかずには、キムチと汁物(スープ)が欠かせません。野菜や魚介、牛骨などで時間をかけて丁寧に煮だした具沢山のスープが一緒に出されます。
そのほかに、「ジョン」と呼ばれる小さなお好み焼きのような料理や、刺身のように魚を生で食べたり、湯通しして食べる「フェ」という魚料理があります。生の魚は日本では醤油につけて食べるのが一般的ですが、韓国料理では、酢味噌や唐辛子味噌などにつけて食べるのが一般的です。
韓国には屋台が多くあり、気軽に食べられる料理がたくさんあります。代表的なのは「トッポッキ」と呼ばれる料理。棒状の餅をとろみのある辛いタレで煮込んだもので、韓国のどこでも食べることができます。そのほかに、日本でもブームになっているチーズ入りホットドッグの「ハットグ」、ピリ辛だしが食欲をそそる「韓国風おでん」などがあります。
韓国料理の中でも、季節や行事の時に食べる料理について紹介いたします。
韓国では旧正月(ソルラル)を祝う習慣があり、1月の終わりから2月の中頃に正月の料理を食べます。地域によって差がありますが、春雨の炒め物である「チャプチェ」や韓国風のお雑煮のような「トック」などが用意されます。
春になると、野菜の和え物である「ナムル」と呼ばれる料理を食べます。山菜やナズナ、みつ葉、ヨモギなどを使ったナムルが韓国の春の味です。日本では夏になると暑気払いにうなぎを食べる週間がありますが、韓国では鶏1羽を丸ごと煮込んだ「サムゲタン」と呼ばれるスープ料理を食べます。そのほかにも、夏の料理として海鮮鍋の「ヘルムタン」、韓国冷麺などもあります。
秋になると、ワタリガニの季節がやってきます。ワタリガニのしょうゆ漬けである「カンジャンケジャン」が有名です。また、大正海老や太刀魚などの海の幸を煮込んだ料理も秋のグルメとして人気があります。日本の秋と同じく、松茸料理も食べられています。
秋が終わり、厳しい冬がやってくる前に韓国全土で「キムチ」を漬ける「キムジャン」と呼ばれる作業が始まります。キムジャンは、春が来るまでの間に食べるキムチを大量に漬ける作業のことをいい、2013年ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。キムジャンは年に一度の大仕事で、韓国の初冬の風物詩となっています。
定番の付け合わせや調味料を紹介
韓国料理のお店では、注文しなくてもたくさんの付け合わせがずらりと並びます。定番の付け合わせについて紹介いたします。
・キムチ
キムチには、白菜だけでなく大根、きゅうりなどがあります。キムチに使う唐辛子は粗挽きや粉状のものを使用。そのほかに塩麹、甘みにはりんごを使うことが多いです。地域や家庭によって作り方の違いがあります。また、昆布出しにしょうがやはちみつなどの調味料を入れたスープに漬け込む、水キムチもあります。
・ナムル
定番の付け合わせには、辛い料理だけでなく季節の野菜を使ったナムルが多く用意されます。ほうれん草やもやし、なすなどの野菜を出しと塩、ごま油などで味付けしたナムルが一般的です。ナムルにできない野菜はないほど、どんな野菜でもナムルにして提供されます。
・チヂミ
チヂミとは、韓国風お好み焼きのことです。チヂミは、小麦粉と片栗粉にだしを合わせたものに、野菜や魚介を入れてごま油で焼く料理です。チヂミは四角い一口大に切って、酢醤油や唐辛子入りのしょうゆダレにつけて食べます。野菜をたっぷりと食べられる韓国の定番料理のひとつです。
韓国の食文化やマナーの日本との違いを解説
韓国料理は、豚肉の焼き肉である「サムギョプサル」や鶏肉の鉄板炒めである「タッカルビ」などのように、大きな鉄板で複数人数で食べる料理が数多くあります。また。鶏のスープ鍋料理の「タッカンマリ」や、豚肉の煮込み料理である「カムジャタン」など、鍋料理も多種多様で、鉄板や鍋を囲んで大人数で食べる食文化があります。
また、代表的な韓国料理の石焼ビビンバやビビン麺のように、混ぜて食べるとおいしくなる料理も多いです。日本では盛りつけられた料理の皿を汚さずに食べるのがマナーといわれますが、韓国では混ぜることで料理の味が完成するメニューがあります。
韓国料理では、皿を持ち上げない、取り分ける箸を使わないなど、日本と異なる食事マナーがあります。そのほかに、好きな料理や温かい料理は右側に、キムチや副菜は左側にというマナーがあります。これは、韓国では温かい料理を温かいうちに食べることが大切とされているためです。また、韓国料理のマナーとして「一口分ほど料理を残す」ことがあります。全て食べると「まだ食べたりないのか」と思われてしまうため、満足したというメッセージを伝えるために食事を残すことがマナーとなっています。
韓国では、古くから陶磁器作りが盛んに行われているにもかかわらず、金属製の食器が多く使われています。その理由は韓国の歴史にあります。韓国は他国からの侵略や内乱が多く、人々は戦況を逃れる機会が多くありました。住居を移動するとき、陶磁器は重く壊れやすいため不便でした。しかし、金属製なら軽くて壊れないため広く普及したといわれています。
韓国料理では熱い料理にも金属製の食器を使います。その理由は、食器を持ち上げて食べるという習慣がないからです。また、箸が金属製なのは韓国料理で箸は、大皿から料理を取るために使うもので実際に食べるのはスプーンを使うからです。
まとめ
韓国料理の食文化や食材などについて詳しくご紹介しました。
日本と似て非なる文化を持つ韓国料理。日本人の味覚に合う料理もたくさんあり、特に若い世代に人気があります。韓国料理は、野菜や発酵食品などを多用した料理が多く、薬食同源の考え方に基づいた食文化が今も根付いています。ヘルシー志向は世界の食のトレンドでもあるため、韓国料理は今後も注目されるでしょう。
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