アジアン料理とは 地域別の代表的な料理も合わせて解説
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暑い夏に人気のアジアン料理。アジアン料理といえば、香辛料が豊富に使われた辛い料理やパクチー、ナンプラーなどを使った東南アジアの料理を思い浮かべる人が多いかと思います。
一方、アジアン料理とエスニック料理は似ていますが、その2つには大きな違いがあることは、あまり知られていません。
最近では台湾や韓国の料理が流行し、アジアン料理のイメージは大きく変わってきました。
この記事では、アジアン料理の本来の意味、アジアン料理とエスニック料理の違い、代表的なアジアン料理などについて詳しく解説いたします。
アジアン料理とは
アジアン料理のアジアンとは「アジアの」という意味。アジアン料理とはアジアで食されている料理をさし、アジアは東アジアから西アジアまで5つの地域に分類されます。
アジアは広大で地域ごとに調理法や使う食材もさまざまです。日本や台湾、韓国などを含む東アジアや、中国と国境を挟むモンゴルやベトナムでは中国料理の影響を大きく受けています。醤油や味噌、ジャンと呼ばれる独特の調味料を使うという共通点が多いです。
ヒマラヤ山脈を挟むインドやネパールでは中国の食文化の影響は弱まり、スパイスや油、乳製品などを使う食文化が盛んです。また、新疆ウイグル自治区から西の中央アジアでは、ロシアやインド、遊牧民の料理などが混ざり合った独特の食文化が発展しました。
これらの地域のすべての料理をアジアン料理といいます。
意外と知らない、エスニック料理とアジアン料理の違い
エスニック料理の「エスニック」とは「民族的な」という意味。エスニック料理とは、国や地域に伝わる民族独自の料理を指し、中近東や中南米、アフリカの料理もエスニック料理に分類されます。
アジアン料理はアジアで食される料理をさしますが、アジアン料理は正確にはアジア系のエスニック料理ということになります。
代表的な国と料理を紹介
日本も位置する東アジア地域
東アジアは、日本、中国、台湾、韓国などを含む地域。 日本の寿司、台湾の小籠包、韓国のキムチなどは世界的にも有名です。東アジアに大きな影響を与えた中国料理は、地域によって4つに分類されています。代表的な料理は以下です。
- 広東料理:ふかひれの姿煮、チャーシュー、飲茶
- 四川料理:麻婆豆腐、エビチリ
- 江蘇料理:上海ガニ、八宝菜、東坡肉
- 山東料理:北京ダック、水餃子
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アジアン料理の定番 東南アジア地域
東南アジアは、タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポールなどの地域。アジアン料理の定番といえるメニューが数多くあります。
- タイ:トムヤムクン、パッタイ
- ベトナム:フォー、バインミー
- インドネシア:ナシゴレン、ソトアヤム
- シンガポール:チキンライス、ラクサ
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スパイスをふんだんに使う 南アジア
南アジアは、インド、ネパール、スリランカなどを含む地域。辛いスパイスをふんだんに使った料理が特徴です。
- インド:カレー、チャパティ
- ネパール:ダール、モモ
- スリランカ:ロティ、インディアッパー
共通点は「ピロフ」 中央アジア地域
中央アジアは、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンなどを含む地域で、中央アジア全域で食される「プロフ」が有名。プロフとは、油と人参を米と一緒に炊く、炊き込みご飯のような料理でピラフの原型といわれています。
- ウズベキスタン:プロフ、シャシリク
- カザフスタン:シシカバブ、ラグマン
- キルギス:マンティ、サムス
- タジキスタン:ショルパ、クルトッブ
トルコもい位置する 西アジア地域
西アジアは、トルコ、イラン、サウジアラビアなどの地域。トルコ料理は世界三大料理の一つとされています。また、ナンはインドの食べ物というイメージですが、イランが発祥の地とされています。
- トルコ:ケバブ、キョフテ
- イラン:ナン、ドルマ
- サウジアラビア:カプサ、シャワルマ
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地域別の特徴的な食材を解説
東アジアでは、しょうゆや味噌、醤(ジャン)と呼ばれる調味料を使う国が多くあり、東アジア全域で使われています。日本では、鰹節と昆布を使った「だし」、中国では紹興酒や八角などのスパイス、韓国ではコチュジャンや粉唐辛子など、それぞれの国に特徴的な調味料があります。
東南アジアでは、魚を塩漬けにする製法で作られ魚醤が特徴です。魚醤は、ベトナムではヌクマム、タイではナンプラーと呼ばれています。魚醤は日本にもあり、秋田県の名産品です。
南アジアではスパイスが特徴で、インドやネパール、スリランカで作られるカレーには20~30種類のスパイスが使われています。カレーはインドではおもにナンやチャパティ、ネパールやスリランカ、ブータンではおもに米を食べます。
中央アジアの国々の代表的な料理は互いに類似しており、羊や馬、乳製品が使われる料理が多いです。中央アジアの国々で食されるプロフにはクミンが使われます。また、ウォッカのお供に背脂の塩漬けである「サーロ」という料理が好まれ、馬の乳製品で作られるクミスという酒はカザフスタンやキルギスで作られています。
西アジアでは肉料理が多く、羊肉が多用されます。また、チーズは西アジア周辺が発祥の地という説が有力。現在でも山羊や羊のチーズが作られています。西アジアはトルコ料理の影響が大きく主にオリーブの実、オリーブオイル、ヨーグルトを使い、ギリシャでは、レモンやワインなどが豊富に使われる食材です。
いま注目されているアジアン料理とは
最近の日本では、アジアン料理が注目されています。台湾のタピオカや韓国のチーズタッカルビなど、特に若い世代からの人気を集めています。また、台湾で大人気のルーロー飯や台湾スイーツの豆腐花、シンガポールチキンライスなどが新たに注目を浴びているアジアン料理です。
また、外国人観光客の増加とともに、イスラム教徒のための「ハラール料理」が注目されています。ハラール料理とは、イスラム法で合法な食材を使った料理をさします。ハラールの食品の中で全面的に禁止されているのは豚肉とアルコール。調味料やエキス、だしに使われているのもNGとされています。そのため、みりんやしょうゆもNG。牛や羊鶏肉はOKですが、イスラムの教えにのっとった方法で食肉加工されていることが求められ、ハラールの食材を見分けるにはハラール認証マークがついている食材を選ぶ必要があります。
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まとめ
アジアン料理とは、アジア全域で食される料理のことをいいます。日本ではタイやベトナムなど東南アジアの料理を指すことが多いですが、インドのカレー、中国料理、トルコのケバブもアジアン料理といえます。
アジアは5つの地域に分かれています。東アジア、東南アジアは中国料理の食材や調理法、南アジア、中央アジアはインドのスパイス文化、西アジアはペルシア、地中海料理の影響を強く受けた料理が多いのが特徴です。
最近のアジアン料理は東南アジアのイメージだけにとどまらず、台湾や韓国の料理やスイーツなどが流行。新たなアジアン料理として注目されています。また、外国人観光客の増加に伴いハラール料理が注目されています。
アジアン料理はアジア全域で受け継がれてきた多種多様な食文化を表し、今後も発展を続けていくでしょう。