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シンガポール料理とは 特徴や伝統料理を合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/08/23
更新日:2022/12/01
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目次

シンガポールは、街中での罰金罰則が非常に厳しいことや、世界的にトップクラスの日本に並ぶ治安の良さ、口から水を吐く姿が有名なマーライオン、地上200メートルの高さで船が浮かぶような姿のマリーナベイ・サンズなどで有名な、東南アジアの国家のひとつです。
中国系やマレー系、インド系を中心とした多民族国家であり、様々な民族や文化が共存している経済発展国ですが、それに伴って、シンガポールの料理は様々な文化が混じりあい独自の発展を遂げてきた、非常に興味深い料理の歴史をもっています。
この記事では、シンガポール料理の特徴、シンガポール料理とは、主なシンガポール料理について、それぞれ解説させていただきます。
専門店やレストラン、街中に並ぶ屋台まで、様々な食の文化が並ぶシンガポールに、興味を持つきっかけになりましたら幸いです。

シンガポール料理の特徴

シンガポールは中国系やマレー系、インド系を中心とした多民族国家であることから、料理の面においても様々な民族の文化が混ざり合って形成されていった特殊な食文化のひとつです。
代表的なものとして、中国系の文化とマレー系の文化が融合したプラナカン料理(ニョニャ料理)は、中国の食材をインドネシアやマレーシアのスパイス技術で調理したものを指し、シンガポールのババニョニャ民族(中華系の男性とマレー系の女性の混血)に代々受け継がれている、独自の家庭料理になります。
シンガポール料理として有名な”海南鶏飯”(ハイナンジーファン)は、タイのカオマンガイと非常によく似たものですが、中国南部の海南島からの移住者が伝えたものとされていますし、同じくシンガポールやマレーシアで有名な”ラクサ”はスパイシーな麺料理ですが、地方によって見た目や味、使われる食材も大きく異なるなど、同じ料理ひとつをとっても、地方、お店、作る人によって、種類は多岐にわたる点が大きな特徴といえます。

シンガポールの料理について

シンガポール料理の特徴は様々な文化の融合であることは上記の通りですが、もうひとつ、シンガポールの家庭での食文化として大きな点が外食志向です。
基本的にどの家庭も毎日外食をすることは普通で、朝昼晩の三食を外食で済ませる方も少なくありません。
シンガポールにはホーカー(Hawker)と呼ばれる、東南アジアで見かけることの多い屋台を一か所にまとめた屋台街があり、経済発展国で物価の高いシンガポールのなかでも低価格で食事がとれることから、国民の方が日常的に利用する施設になります。
ホーカーとは英語で行商人を意味し、無許可で不衛生な環境で営業する屋台問題を解決するために、政府が主導となって作られた食堂のような場所で、デザートやコーヒーなどを売るお店もあり種類が豊富、時間も朝早くから夜遅くまで営業していることが特徴です。
日常的にホーカーで食事を済ますことが出来ることから、シンガポールでの女性の就業率が高くなっている一因であるともいわれ、シンガポールの食文化を語る上では外せない、重要な無形文化のひとつです。

シンガポール料理の歴史

多民族国家であるシンガポールは、その7割を中国系が占め、次いでマレー系、インド系と続きます。
中国南部の、多くの島が存在し、漁業が盛んな福建から人民が移ってきた際には、魚や乾物を利用して出汁を取る手法やニンニクを多用し嗅覚から食欲を刺激する方法、
19世紀ごろに、海南から移民がやってきた際には、今やシンガポール料理の名物となった海南鶏飯、
マレーシア料理に多く用いられる唐辛子の文化や、インド料理の特徴である風味豊かなスパイスの利用法など、それらの様々な方法が混ざり合い、独自の食文化が形成されていったものとされています。
日本でも有名なものですが、中国料理の食文化の考え方には医食同源というコンセプトがあり、これは日頃の食事バランスを心がけることで未然に病気を防ぐこと、食とは医と同義なのだというものですが、シンガポール料理とは香辛料やスパイスを多用する文化が集まる環境に、中国系の医食同源という考えが加わったものです。
結果として、シンガポールは健康寿命世界1位になった経歴もあり、これは日頃の食事と気づいてきた食文化によるものであるともいわれています。

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地域別の伝統料理

多文化が根付くシンガポールでは、同じ名前の料理でも使用する食材や香辛料が異なることがあります。

ラクサ

マレー料理で有名な、香辛料を効かせたヌードル料理である”ラクサ”は、地域によって違いが如実に表れる料理の一つです。
基本的には魚の出汁をベースに作られることが多くなるものですが、その種類は地方やお店によって様々。いくつかご紹介いたします。
カトンラクサ
シンガポールでもっともポピュラーなものが”カトンラクサ”です。
ココナッツスープと海老などの海鮮から取られたスープをベースに、米麵や玉子麺などの麺が用いられ、添えられた中国系の辛味噌のようなペーストを溶かして食べる、ココナッツの風味と独特のスパイシーさが特徴の料理となり、ホーカーでは外すことの出来ない、シンガポール料理の代表の一つです。
カレーラクサ
マレー系に近くなるとポピュラーなのが、このカレーラクサです。
ココナッツベースに魚介スープを使う点はカトンラクサと似ているものの、複数種類の香辛料が感じられる風味のあるスープに、大量のパクチーが乗るような、よりエスニックに近い印象になります。
同じスパイシーという風味でも、中国系とマレー系では中身の印象が異なるのが特徴的です。
アサムラクサ
アサムラクサはペナンラクサとも呼ばれ、シンガポールと同様にマレー系、中国系、インド系と様々な文化性が見られるマレーシアのペナン発祥のラクサです。
アサムとは香辛料のタマリンドを指し、タマリンドの持つ甘酸っぱさと独自の風味に、未熟パイナップルやミント、青魚のスープと合わせる、さっぱりとした印象になります。
日本では馴染みの少ない組み合わせのため、好き嫌いがはっきりと分かれやすく、好きな人はとことんはまってしまうような点が特徴です。

よく使われる食材

ココナッツ
東南アジアで生産が盛んなココナッツはシンガポール料理に多く用いられる食材の一つです。
ココナッツをベースにしたスープに辛さを加えた麺料理”ラクサ”や、ココナッツミルクで米を風味良く炊き上げ、辛味噌や小魚などと一緒に食べる”ナレシマ”、ココナッツミルクに砂糖と玉子を加えてゆっくり煮詰め、甘く香り高いジャムにしたものをトーストに挟む”カヤトースト”など、使用方は多岐にわたります。
日本ではスイーツや美容に使われることの多いココナッツは、シンガポールをはじめとする、東南アジア諸国の経済を支える柱のひとつです。
スパイスや香辛料
四季ではなく雨季と乾季に分かれる東南アジア諸国は、年間を通じて高気温高湿度になることが特徴です。
シンガポールも例外ではなく、スパイスや香辛料や多用される理由として、”産地”だからという点はもちろんのこと、それらを摂取することで体内の発汗効果による体温調整、食欲増進や消化促進効果を促すためという側面もあります。
”サンバル”というスパイスを効かせた調味料が好まれているように、インド系やマレー系、中国系など、スパイスや香辛料を多用する国の文化とも融合してきたことによって、独自の文化が発展してきたというわけです。

飲み物やスイーツ

紅茶
シンガポールでのお土産の定番となるものが、世界各国のホテルで数多く提供されている紅茶のブランド”TWG”(ティーダブリュージー)です。
19世紀、シンガポールは西洋と東洋の貿易の中間地点であり、西洋が欲しがる東洋のスパイスや茶葉の貿易を盛んに行い発展してきたとされており、日本でもTWGの紅茶は特に香りがよく、格式と伝統のある一級品として数多くの方から愛されているブランドになります。
コーヒー
シンガポールではコピと呼ばれ、多くの方に愛されている飲み物の一つです。
コピに使われる豆は苦みが強いのが特徴なため、砂糖やバターと一緒に焙煎され、飲む際にもミルクの代わりにコンデンスミルク(練乳)を入れるといった、甘く濃厚で強い味わいがあるものになります。
値段も手頃なことからホーカーには必ず売っており、シンガポールの食文化に欠かせない存在です。
スイーツ
他民族が共生し、多文化が融合することで発展してきたシンガポールは、一年中蒸し暑い熱帯の国であることから冷たいスイーツの種類も豊富になります。
たくさん小豆の入ったかき氷や南国フルーツであるマンゴーはもちろんのこと、中国系スイーツならエッグタルト、日本でも人気な台湾系スイーツの豆花(トウファ)、ココナッツミルクと砂糖を煮詰めたインド系スイーツのバルフィなど、レストランからストリートの屋台まで、楽しみ方とその種類は様々です。

主なシンガポール料理

海南鶏飯(ハイナンジーファン)

海南鶏飯は、鶏の油で炒めた米を鶏の出汁で炊き、茹で鳥のトッピングに甘辛いソースと鶏のスープと共に食べる料理です。
鶏の旨味を存分に活かしたこの料理ですが、シンガポールでは専門店が存在するほか、屋台で手軽に食べることが出来たりと、多くの国民と観光客にも愛される、シンガポールを代表する料理のひとつになります。

肉骨茶(バクテー)

肉骨茶はシンガポールやマレーシアで多く食されている料理で、豚バラ肉の塊をぶつ切りにし、内臓肉や骨、ショウガやニンニク、たくさんの香辛料と共に煮込んだ料理になります。
シンプルながら豊かな風味と奥深い旨味を兼ね備える薬膳スープで、日本人にも食べやすいことから人気がある、シンガポールのローカルフード的存在です。

まとめ

シンガポールは、中国系、マレー系、インド系などを中心とする他民族国家であり、それに伴ってそれぞれの文化が融合しあうことで発展を遂げてきた独自の文化を持つことが特徴です。
食文化においても同様で、シンガポールの料理として代表的なプラナカン料理(ニョニャ料理)は、中国系の文化とマレー系の文化が融合したは、中国の食材をインドネシアやマレーシアのスパイス技術で調理したものを指し、シンガポールのババニョニャ民族(中華系の男性とマレー系の女性の混血)に代々受け継がれている、独自の家庭料理になります。
食と医は同義であり、日頃の食事バランスを心がけることで病気を未然に防ごうという中国料理の医食同源という考え方がありますが、シンガポール料理とは香辛料やスパイスを多用する文化が集まる環境に、中国系の医食同源という考えが加わったものであり、シンガポールが健康寿命世界1位になった経歴を持つのは、独自に発展してきた食文化があるからこそ、といえるでしょう。

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