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人件費は売上の何パーセントであるべき? 適正割合や改善方法も合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/15
更新日:2023/01/26
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目次

経営不振になった企業が真っ先に行うのがリストラ。それだけ人件費はコストがかかるということです。そもそも人件費は売上に対してどのくらいの割合を当てれば良いのか、そして人件費率をどのように計算するか、疑問に思う方も多いでしょう。

本記事では、飲食店における人件費について詳しく解説いたします。

そもそも「人件費」とは?

人件費とは「従業員に支払われる給与」だと思っている人が多いかもしれません。
しかし、厳密には、人件費は給与以外にも「人の労働」に関わる費用全般のことをさします。

経理上の代表的な勘定科目として、人件費という言葉がありますが、詳細内容は以下のようなものです。

・給与手当
一番わかりやすいのが給与手当です。雇用契約を基に従業員に支払われる給与や報酬、諸手当のことです。正社員、契約社員、アルバイトやパートの方までその企業で働いている人全員に対する給与を含みます。
また、給与といっても、基本給以外に通勤手当、残業手当、休日手当、住宅手当、役員手当なども含まれます。
住宅手当や引っ越し手当などは、会社によっては福利厚生費に分類されることもあります。会社が従業員用に一括で借り上げているマンションやアパートがある場合は福利厚生費、住宅は従業員が個々で探し、定額を手当として補助するような場合は給与手当として、処理されることが多いです。

・賞与
年に2~3回あるボーナスが賞与に当たります。
ボーナスとは、定期的な給与とは別に従業員に支払われる臨時の給与のことです。

・役員報酬
取締役、執行役員、監査役など、特定の役職を持った従業員に支払われる報酬のことをさします。
役員報酬は定款の規定や株主総会での承認によって決まり、一般の従業員のような各種手当金は支給されないのが普通です。
定期同額給与、事前確定届給与、利益連動給与のいずれかに該当するものが多く、該当しないものは役員賞与等に分類されます。

・福利厚生費
企業が福利厚生を目的として支払う費用全般をさします。
具体例は、社員旅行費、会社負担の忘年会費、健康診断費、冠婚葬祭費(結婚・出産祝い金、慶弔金)、借り上げの社宅費用などです。

・法定福利費
法律に基づいて企業が負担すべき費用(義務付けられている費用)をさします。
健康保険、厚生年金保険、介護保険等の社会保険費用、労災保険や雇用保険などといった労働保険料の一部、あるいは全部を会社が負担して支払う費用です。

・退職金
役員や従業員が退職する際に支払われるお金です。
退職までの勤務に対する功績や勤務年数などに応じて金額が決定され、「退職一時金」と呼ばれます。
また、企業年金制度から給付される退職年金も退職金に含まれるのが一般的です。

人件費は売り上げの何%であるべき?

人件費の計算には、「売上高人件費率」と「労働分配率」の2つの指標があります。

・売上高人件費率
売上高人件費率= 人件費÷売上×100

売上高に占める人件費の割合です。総売上のうち、人件費が占める割合を計算し、割合が高ければ高いほど、経営における人件費の負担が大きくなっていることがわかります。人件費率が高すぎる場合は、売上高が少ないか、人材へのコストが高すぎるかが原因(両方が原因の場合もある)です。

人件費は少ないほうが良いと考えがちですが、あながち低ければ良い、というものでもありません。社員への還元が適正ではない場合、社員の仕事に対するモチベーションが下がり、サービスやパフォーマンスが下がる可能性があるからです。また、離職者も多くなれば、会社の評判にも関わってくるでしょう。

売上高人件費率の平均は小売店で20~30%、サービス業で40~60%とされています。

・労働分配率
労働分配率=人件費÷付加価値額×100

付加価値額に対して人件費が占める割合をさし、生産性を測る指標として用いられます。「付加価値額」とは、元値に対して企業が付け加えた価値のことです。例えば、1,000円で仕入れた製品を1,500円で売った場合は500円が付加価値額です。

ある企業の人件費の合計が400万円、利益が1,000万円の場合の労働分配率は、人件費(400万円)÷付加価値額(1,000万円)×100 = 40%となります。

人件費率が高すぎれば経営の負担となり、低すぎれば従業員のパフォーマンスに影響してしまいます。すべての飲食店経営者にとって適正な人件費率を保ちながら売上を最大化していくことが求められます。そんな飲食店事業者さまにシェアダインがご紹介するのが「スポットシェフ」です。

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アルバイト採用、正社員雇用と違い、必要なときにだけスポットでシェフを依頼することができ、固定費の効率化を図ることができます。また利用分のみの支払いのため、初期費用や月額費用はかかりません。

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人件費率を管理するために必要な指標について解説

人件費が高いか低いかの計算方法は前述の通りですが、実際にどのくらいの値が適正なのかを知らなければ計算しても意味がありません。

労働分配率の平均値は一般的に40~60%です。「2021年経済産業省企業活動基本調査」では50.7%という数字が出ています。業種によっても人件費の比率は異なっており、製造業50.8%、卸売業49.5%、小売業50.0%という結果が出ています。

参考:2021年経済産業省企業活動基本調査(2020年度実績) 経済産業省 (meti.go.jp)

平均値と比べて、人件費の比率が高い場合は、売上高の割に人件費の比率が高くなっているため、非効率な部分がないかの見直しが必要です。逆に、人件費の比率が低すぎる場合は、労働環境が悪い可能性があるため、労働環境(特に人件費)の改善を図る必要があります。

適正な人件費率にする方法を紹介

労働分配率や売上高人件費率を計算して、人件費が経営を圧迫している場合は、以下の手段により改善する必要があります。

・売上高をあげる
商品価値や商品価格の見直しを行い、利益率をあげる必要があるでしょう。
もちろん、商品の原材料のコストを減らし、価格をキープするという方法もあります。ただし、原材料はいつどのタイミングで価格が高騰するか分からないため、コストカットのみで売上高をあげていくのは難しい場合もあるでしょう。
また、人件費も企業の方針では力及ばないところで余儀なく変更される場合(国の法律など)もあるため、商品そのものの価値を高める、販売数や単価を増やす、など売上をあげる方向性も考えておく必要があります。

消費者は値上げに対して敏感なため、競合他社と差異をつけたり、付加価値をアピールしたりすることが大切です。商品そのものに価値があることを知ってもらい、値上げをしても消費者が気持ちよく支払いができるのが理想です。

・人件費の計算は時間単位で行う
人件費の計算を日数で行っている場合は時間単位で行うと、無駄な部分が見えてきます。工数管理をしっかりと行えるためです。
従業員の中に正社員ではなく、アルバイトやパートに切り替えられる人がいないか、時間だけかかって作業効率が悪いものは外部に委託できないか、従業員の数をどこまで増やせるか(あるいは減らせるか)などについて検討し、常に適正な人数と雇用形態で運営することを心がけることが大切です。

・最新の設備やシステムの導入
初期費用はかかりますが、長い期間で見た場合、新しいシステムや設備を導入した方が人手削減になることがあります。
飲食店の券売機やレジの自動化などが進んでいる店舗もよく見かけますが、これも人件費削減のための施策です。

まとめ

人件費とひとくくりにしても、給与以外の勘定科目が含まれているため、まず人件費としてどのくらい費用がかかっているか調べる必要があります。売上高に対して、人件費率が高いか低いかを算出し、高すぎる場合、低すぎる場合、それぞれ見直しを行います。人件費は売上高に対して、可能な限り適正割合になるよう、定期的に確認することが大切でしょう。


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