飲食店の売上管理において気をつけることとは 必要項目とその理由、最適な管理方法
目次
飲食店の経営者には、店舗運営を円滑に行い、利益を上げることが求められます。
売上が多ければ店舗は儲かり、利益も上がっていきますが、どうすれば売上を安定させることができるのでしょうか。
この記事では、売上管理とはなにかから、必要項目とその理由、最適な管理方法について解説いたします。
売上管理とは
売上管理とは、店舗の売上、経費や利益などの金額を集計し、その数値を分析することで店舗の課題や改善点を洗い出し、適切な対策を図るための作業のことです。
分析や洗い出しを行うためには、日々の売上を欠かさずに記録していくことが不可欠です。売上の記録をきちんと整理し、必要な情報を確認できる状態にしておくことが、売上管理の基本です。
売上管理の必要性
売上管理は時間と手間がかかる業務ですが、売上目標を達成するためには欠かせない業務になります。
日々の売上を計算して記録していくことで、全体の売上が少ない日や多い日の確認はできますが、それだけでは売上が落ち込んでいる時期の根本的な原因を探ることは難しいでしょう。
例えば、8月の売上が芳しくない場合、台風の発生や、気温が高い日が多かったのに暑さに対応したメニューを用意していなかったなど、さまざまな要因を推測できてしまい、課題点を絞ることが困難になります。そのため、商品ごとの売上や広告費、原価など、さまざまなデータを残して活用していく必要があります。
問題の洗い出しと解決策の考察
飲食店の経営を行う上で、月次・期次・年次などの売上目標に対する達成率を、数値で明確に示し、進捗状況を把握して問題を洗い出し、解決策の考察に役立てていきます。
売り上げ目標の達成率が低い場合には当然ですが、好調な場合であっても、その要因について分析しておくと、さらに売上を伸ばす施策につなげることができます。
損益データ等の把握
損益は、損益計算書(Profit and Loss Statement)とも呼ばれる、企業の一定期間の経営成績を「収益」「費用」「利益」から見ることができるものを確認します。
一定期間で、どれだけの売り上げがあって(収益)、どれだけ仕入れや人件費などでお金を使って(費用)、どれだけ残っているのか(利益)がわかるようになっています。
損益計算書を作成している場合、赤字であれば、あと収益をどのくらい得れば黒字になるのか、逆に黒字であれば、どのくらい売上が下がれば赤字になるのかも把握することができます。
人件費やコストのムダを削減
損益データを確認することで、どれだけの「費用」をかけているのか把握することが可能です。
費用の中には、仕入れや人件費、広告費などが含まれています。従業員の人員配置の見直しや、宣伝の方法を変えるなどの対策をとって、コスト削減につなげることができます。
売上管理における必要項目とは
仕入高
仕入高とは、損益計算書の勘定科目のひとつです。
商品を販売するために、購入した原材料や商材の仕入れを勘定した項目のことで、単に仕入れの金額を指すだけでなく、仕入れに伴う手数料などの費用も含まれています。
売上高
売上の総額は「売上高」と呼ばれます。あくまで売れた金額についての数字であるので、利益とイコールではありません。 金額だけでなく、売れた日時・顧客の情報・売れた製品の情報などを記録しておくことで、後々の分析に役立ちます。
売上目標
売上目標は、年間・半期・四半期・月といった一定の時間単位で設定します。売上高の数字と並べて考え、どの程度まで達成できているかが一目でわかるようにすると良いでしょう。 売上目標は、過去の実績から問題なく達成できそうな数字よりも、少々高い数字に設定するのが一般的です。
売上が予想を大きく上回って好調、または不調な場合は、上方修正または下方修正を行い、現実的に目指せる範囲で再設定することも必要になります。
売上目標に対する達成状況
売上高と売上目標の情報から、売上目標に対する達成状況を確認することができます。
前月や前年比の売上
前月や前年の売上に対しての増減を知ることで、実施した施策の効果を把握することができます。
増えていれば現在の方向性に確信が持て、減っていれば施策を練り直す必要があるかもしれないというように、営業戦略の妥当性を判断する指標となります。
人件費
人件費とは、企業の経費の中で、労働に対して支払われる給与や、各種手当てなどのことです。人件費に含まれるものは、給与・各種手当・賞与・退職金・社会保険料や労働保険料の企業負担分である法定福利費・慶弔金や社員旅行費などの福利厚生費・現物支給されている通勤定期券代や社宅の費用などがあり、幅広い範囲となります。中でも、法定福利費は健康保険や厚生年金保険、介護保険を含む社会保険料を指し、人件費の中でも大きな割合を占めます。
FL比率とは
FL比率とは、飲食店の売上高に占める、FLコスト【Food(食材費)と人件費(Labor)の合計金額】の比率のことです。FL比率=(食材費+人件費)/売上高で計算できます。
飲食店の経営においては、最も大きなコストといえる「食材原価」と「人件費」を抑えられるかということが、利益を出し続けられるかどうかに直結しています。
FL比率は、50%程度が一般的な目安となります。内訳は、Fコストは30%以内、Lコストは20%以内が目安の数値となっています。
また、最近はFLの他にR【Rent(家賃)】も一緒に考えるようになってきています。FLRコストやFLR比率などと呼ばれており、いくらまでの物件を借りることができるのかという目安を知ることができます。
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売上の管理方法
売り上げの管理方法は、一般的に以下の方法があります。
手書き帳簿
手書き帳簿は、帳簿をパソコンではなく手書きでノートなどにつけることです。
書き間違いが多い、天災などで焼失する可能性があるなど、デジタル化の進んでいる現代では賛否両論ありますが、未だに多くの企業・個人事業主の間で取り入れられている方法です。
エクセルでの管理
エクセルという表計算ソフトを使用して売上管理票を自作することができます。
エクセルで売上管理票を自作する場合は、自由にカスタマイズした売上管理票のフォーマットを作成できることが利点です。また、エクセルは様々な会社や教育現場でも使われており、扱える人が多いことも利点です。
POSレジとの連動
POSレジには、レジとしての機能に加えて、「売上管理機能」が備わっているものもあります。
POSレジは、取扱商品とその金額を、事前に設定して利用するため、販売商品ごとの売上金・販売個数も簡単に確認できます。さらに時間・曜日・月・年など、自分の調べたい範囲での売上を分析することも可能です。
また、POSレジでは、商品とその値段を事前に登録するので、レジの打ち間違いを防ぐことができます。そしてPOSレジの多くは、自動精算機との連携が可能になっているので、受け取った金額の数え間違い、釣銭の渡し間違いといったヒューマンエラーも防止することができます。
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まとめ
飲食店を経営する上で、売上管理は欠かせない業務です。売上管理は時間と手間がかかる業務ですが、安定した経営を維持していく為には手間を惜しまずに、日々の売上などを欠かさずに記録していきましょう。
売上目標に対する達成率を、数値で明確に示し、進捗状況を把握して問題を洗い出し、解決策の考察に役立てることができます。