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飲食店のplの見方・書き方を解説 損益計算書の各項目とは

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/13
更新日:2022/12/19

目次

飲食店の経営をはじめたのはいいが、どうも財務系の話は苦手でよくわからないという人も少なくないでしょう。
しかし、利益を出しながら店を長く続けるためには、経営状況を把握することは大変重要です。
 損益計算書は経営状況を測る指標とされる帳票です。大企業だけに必要なものじゃないの?と思う人もいるかも知れませんがそうではありません。
 今回は、損益計算書からわかることや、どうして飲食店で損益計算書が重要かといったことを解説いたします。
 損益計算書のことを初めてきいた人でも理解できるようまとめております。 

損益計算書(P/L)とは (P/Lの意味、何を表す計算書かにてついて)

損益計算書とは財務諸表のひとつです。簡単にいうと「損」と「益」、すなわち「入ってきたお金」と「出て行ったお金」を計算した書類です。
英語表記の「Profit and Loss Statement」を略して「P/L(ピーエル)」とも呼ばれています。
損益計算書には、一定の期間内にどれだけの収益がありどれだけの費用を使ったのかが記載されています。
売上はいくらでその売上げをつくるためにいくらかかったのかがひと目で確認できるのです。
 
損益計算書と同じく財務諸表のひとつに「貸借対照表」があります。こちらは「B/L(ピーエル: Balance sheetの略)とも呼ばれる書類で、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
こちらは現時点における会社の資産と負債が記載されたものです。
 
損益計算書と貸借対照表の違いを簡単にすると、損益計算書は会社の経営成績を示すもの、貸借対照表は会社の財務状況を示すものということになります。
どちらの書類も、青色申告をしている企業や個人事業主は、決算書類として提出する必要があります。
 

飲食店で損益計算書が重要な理由とは

では、損益計算書が飲食店の経営に必要な理由を考えていきましょう。
確定申告時に必要になるから、というのはもちろんですが、それ以外にも損益計算書を作成することによる利点があります。

自店舗の経営状況をしっかりと把握するため

損益計算書を作成することで、なににどれだけ費用がかかったのかが一見してわかります。
 
原価、人件費、家賃などの費用が項目別に記載されますので、どの費用がどれだけを締めているのかが明確に確認でき、改善すべき点が見えてきます。
今後の戦略を立てるにあたり、損益計算書はおおいに役立つのです。
 

競合他社との比較ができる

損益計算書を同業種の会社と比較することで、自店舗との違いが見えてきます。そこから経営のヒントを見つけることもできるでしょう。
 
上場企業や大企業は、決算報告書を開示することが義務付けられています。
決算書類は企業のホームページ上に公開されています。規模が大きい会社の情報にはなってしまいますが、見ておいて損はないでしょう。
 

融資申し込みの際に必要

飲食店を経営していく中では、店舗拡張などで金融機関からの借り入れを検討することもあるでしょう。
融資申し込みの際には、会社の経営状況等を確認するために、損益計算書を含む決算書類の提出が必要になります。
 

損益計算書の見方について

では、損益計算書の各項目と何をあらわすかを紹介いたします。
 

  • [売上]本業の収益:料理やドリンクの売上額
  • [売上原価]売上に直接関係する費用:材料費、容器の仕入れ代金など
  • [販売費及び一般管理費]間接的に売上げに関係する費用:店舗の家賃、人件費など
  • [営業外収益]本業には関係のない収益:株の配当金など
  • [営業外費用]本業には関係のない費用:借入金の利息など
  • [特別利益]臨時で発生する収益:設備や道具の売却費など
  • [特別損失]臨時で発生する費用:災害による損失など
  • [法人税等]税金:法人税、住民税など

 
この各項目から利益を計算していきます。
 
【売上総利益】
売上総利益 = 売上げ - 売上原価
 
料理の代金から材料費などの原価を引いたものが売上総利益です。
 
【営業利益】
営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費
 
売上総利益から家賃や人件費などを引いたものが営業利益で、飲食店として利益がどれくらい出ているかを示すものです。
 
【経常利益】
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
 
営業利益に営業に関係のない損益を差し引きしたものが経常利益で、事業としての成績を表すものです。
例えば借入金が多い場合は支払利息が大きくなり、経常利益が減ります。
 
【税引前当期純利益】
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
 
経常利益から特別損益を差し引きしたものが税引前当期純利益で、税金を支払う前の最終的な利益です。
特別損益は定例的に発生するものではないため、大きな出入りがあった年は純利益に影響が生じます。
 
【当期純利益】
当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等
 
税引前当期純利益から税金を差し引いたものが当期純利益で、最終的な経営成績になります。
 
飲食店では特に「営業利益」「売上総利益」に着目すると改善すべき点が見えやすくなります。
  

損益計算書の作成方法

 
損益計算書の作成方法は大きく3つ「手書き」「表計算ソフト」「会計ソフト」があります。それぞれの特徴をご紹介いたします。
 

帳簿に手書き作成

ノートなどに手書きで作成する方法です。
 
手書きで作成する利点は、簿記や財務の知識が自然と身につくということでしょう。簿記の経験がある人や、パソコンが苦手な人は手書きで作成するのも一案です。
 
半面、作成に時間がかかるのが手書きのデメリットです。記載ミスや計算ミスが起こる恐れもあります。
また、意外に保管がしにくいということもあります。保管場所がわからなくなったり、うっかり廃棄してしまわないよう注意が必要でしょう。
 

表計算ソフト

EXCELなどの表計算ソフトを利用して損益計算書を作成するのもスタンダードな方法のひとつです。
 
いったんフォーマットを作ってしまえば、あとは数字を入れていくだけなので都度計算する手間が省けます。計算ミスの心配がないのもメリットでしょう。
 
デメリットとしては、初期段階の準備に多少時間がかかることがあります。フォーマットを自分で作成しなくてはならないので、表計算ソフトを使ったことがない人はとまどうかもしれません。
その場合は、インターネット上で無料配布されているフォーマットを利用してもよいでしょう。
 

会計ソフト

会計ソフトを使うメリットは、システムが組まれているので使う側は数字を打ち込んでいくだけでよいという点です。
他の財務諸表も合わせて、会計ソフトが自動的に作成をしてくれるので時間短縮になりますし、簿記の知識も必要ありません。
 
会計ソフトを利用する際のデメリットは大きく2つ考えられます。

ひとつめは費用がかかることです。無料で使えるものもありますが、基本的には利用料が必要になります。
 
ふたつめは、別のソフトに移行したくなった場合、引継ぎが出来ない場合があることです。
何かの事情で会計ソフトを変える必要が出た場合には、不便を感じることがあるかも知れません。
 

まとめ

損益計算書は入ったお金と出たお金が記載された帳票で、飲食店の経営状況を把握するのに役立ちます。
売上げと経費のバランスを見ることで、経営が上手くいっているかの判断や、どこを重点的にテコ入れしたからよいかなどを考える材料になります。
 
会計ソフトを利用すれば簿記が苦手な人でも容易に作成することができます。

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