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マグロは青魚といえるのか?「青魚」の特徴と種類を解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/11
更新日:2022/12/19

目次

水産庁の水産物消費の状況によると、我が国における魚介類の摂取は減少を続けています。
消費される生鮮魚介類の種類にも変化があり、平成元年(1989年)には、えび・いかが上位を占めていましたが、近年では鮭やマグロが上位です。

その一方で、魚介類の摂取を増やしたいという消費者の意識は高いとの調査結果があります。
その背景には、健康番組や健康診断などでよく耳にする「青魚を積極的にとるように。」という言葉の影響もあるといえるでしょう。

さばやいわしなどは青魚のイメージがありますが、消費率上位のマグロの分類ははっきりと明記されていないものが多いです。

この記事では、青魚の特徴や種類、青魚の定義、マグロが青魚に分類されるのかについて解説します。

参考:(2)水産物消費の状況:水産庁 (maff.go.jp)

そもそも青魚とは?

マグロについてお話しする前に、そもそも「青魚」とはどのような魚のことをさすのか解説いたします。

見た目

背の青い魚、腹側が白い、紡錘形(円柱形の両端が尖った形)が特徴です。

成分

最もポピュラーな成分は、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる脂肪酸です。
n-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3)に分類され、私たちの体内では合成出来ないため食品での摂取が必須となります。

DHAの特徴的な効果としては、LDL(悪玉)コレステロールを減少させ、血管壁への付着を抑制し、血液をサラサラに保つことです。高血圧や脂質異常症など動脈硬化の原因となる疾患や、脳梗塞や心筋梗塞の発症を予防する効果があります。
 
さらにDHAは、私たちの脳内の細胞膜にも多く含まれおり、国立長寿医療研究センターによると、脳の働きとも密接に関係すると考えられており、血液中のDHA濃度が高い人が認知機能低下しにくいという結果が発表されています。

EPAもDHAと同様に生活習慣病の予防に加え、炎症性サイトカインの働きが抑制されるという報告もあります。
これは、がん患者にみられる体重減少や体力の低下が予防できると期待されているものです。

参考:No.18 食事と認知機能(1) | 国立長寿医療研究センター (ncgg.go.jp)

言葉の由来

一般的には、「背中の青い魚」から青魚と呼ばれるようになったようです。
体に地色が青みとりいろを帯びた魚の総称。体色が赤みを帯びた赤物に対して用いられます。

青魚の種類とそれぞれの特徴を紹介

「青魚とはどのような魚なのか」について解説しましたが、ここでは青魚に分類される魚には何があるのか、また、それぞれの特徴についてご紹介いたします。

サバ

秋〜冬が旬です。
サバは大きく分けて、3種類「マサバ」「ゴマサバ」「タイヘイヨウサバ」があります。

一般的にサバといえば「マサバ」をさします。
「ゴマサバ」の旬は夏から秋で、見た目の違いは黒い斑点があるのが特徴です。
「タイヘイヨウサバ」は別名「ノルウェーサバ」で市場ではよく塩サバとして販売されているものが多く、背中のくの字模様が他のサバとの見分け方です。

サバは、鮮度が命なのでできるだけ新鮮なものを早めに調理して食べるのがおすすめ。
目が澄んでいて、身に張りのある丸々したものを選びましょう。
栄養成分はn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3)DHA、EPAが豊富です。

アジ

春から夏にかけてが旬です。(魚期は通年)
形は細めで硬い鱗を持っているのが特徴となります。

アジは各地でブランド化が進んでいます。以下がその例です。
・大分県佐賀関「関あじ」
水揚げしたあじを一定期間いけすに移し腹に残っている餌を消化させてから活け締めしたもの
・島根県浜田市の「どんちっちあじ」
脂肪10%を超えたものだけを選りすぐったもの

伊豆名物のくさやは、ムロアジやクサヤムロアジを保存のため魚を塩漬けしてできた塩汁を、くり返し使って発酵させた「くさや汁」に漬け、天日で干したものです。独特な匂いや特有の旨味で、お酒のつまみとして出されます。

アジは鮮度が落ちると目が白く濁ってくるため、目が澄んで黒目がはっきりしたものを選ぶと良いでしょう。
栄養成分はEPA、DHAに加え、アラニン、グリシン、グルタミン酸、イノシン酸など旨味成分も豊富に含まれています。

サンマ

夏から秋にかけてが旬です。
サンマは養殖がなく、100%全て天然物で国産の魚という点が他の魚とは大きく異なります。

数年前までは秋になると安値でスーパーに出回っていましたが、ここ数年は不漁続きとなり、高値で販売されているのを目にする機会も多いです。その要因は地球温暖化や海洋環境変化に起因する資源変動によるものとみられています。

口先の黄色いもの、手で持った時にピンと立つものは新鮮な証拠です。
栄養成分は骨を丈夫にするビタミンDが豊富に含まれています。

参考:不漁問題に関する検討会:水産庁 (maff.go.jp)

イワシ

初夏が旬です。
日本で漁獲されている「マイワシ」とアメリカから輸入している「カリフォルニアマイワシ」があります。

千葉県の「なめろう」や「さんが焼き」、石川県の「こんかい鰯」など、地方により様々な食べ方があるのも特徴です。
身が柔らかく手開きができるので、魚を捌いたことがない人でも比較的調理しやすい魚になります。

鱗が青く光り、エラが鮮やかな赤みを帯びているものを選ぶようにしましょう。
栄養成分はさばに次いでEPA、DHAが豊富であり、更に疲労回復、美肌効果が期待できるビタミンB郡も豊富に含まれています。

青魚の定義を解説

水産庁の情報によると、「青魚」の決まった定義はなく、外観や肉質からみた便宜上、事実上の概念と記載されています。

水産学上では魚は身色の違いで、「赤身」と「白身」の2つに分類されます。
体内に含まれるミオグロビンという色素タンパク質の量の違いにより身色が赤と白に分かれ、魚の運動量により身色が変わるのが特徴です。

赤身魚は、回遊し泳ぎ回っているためミオグロビンの量が多くなり赤い身となります。
白身魚は、海底や砂地に身を潜めて生息しているため、運動量が少なくミオグロビンの量が少ないため身が白いです。

従って、青魚の決まった定義は特にないといえるでしょう。

マグロは青魚に分類されるのか?

前述したように「青魚」に決まった定義はなく、「背中からみて青い魚」とすれば、マグロは背中が青いため青魚に分類されるといわれる説もあります。
しかし、身色の違いで分類される場合には「赤身魚」に分類されます。
青魚の定義が曖昧のため、マグロが青魚に分類されるかどうかについて明確な回答が出せないというのが答えでしょう。

まとめ

青魚の名前の由来は「背の青い魚」の総称で、決まった定義はない事実上の概念として呼ばれているものです。

青魚と呼ばれる魚の成分の特徴には、生活習慣病の予防効果が期待できるn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3)が豊富に含まれており、生活習慣病や認知症の予防、がん特有の有害現象の低下に効果を発揮すると期待される点があげられます。

水産学上の魚の分類は身色の違いで分けられ、「赤身魚」と「白身魚」に分類されます。身色の違いは生息状況により変化がでます。この分類となるとマグロは赤身に分類されますが、背の青い魚ともいえるため、青魚に分類されるという説もあり、明確な回答が出ていないのが現状といえるでしょう。

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