飲食店経営に役立つ資格を紹介
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専門的な知識や難しい資格がなくてもお店を開業することは可能です。一方で、オープンしても3年以内に閉店してしまう店が7割、10年以内に閉店する店は9割ともいわれています。また、ここ3年ほどはコロナの影響も受けてより多くの店が閉店に追い込まれている状況です。
厳しい世界と分かっていても飲食関係に勤めていると、いつかは自分のお店を持ちたいと思っている方が多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、飲食店経営する際に必要な資格からあると役立つ資格まで解説いたします。
飲食店経営に役立つ資格とは?
持っていないといけないことはありませんが、役立つ資格は複数あります。その中でも一番オススメな資格は日商簿記検定です。
簿記を学ぶことで経理業務する際に財務状況の把握が可能になるため、ご自身で経営する場合勉強しておいて損はありません。税理士に任せることにしていても、内容を把握することができる方が安心でしょう。
また、個人事業主が確定申告する際に簿記ができると帳簿をつけることができるため、税理士に頼むことなく進めることができます。複数の要点がありますが、所得から最大65万円の控除を可能にすることができる青色申告特別控除では、添付する必要のある損益計算書や貸借対照表は簿記を勉強していれば困ることはありません。最大65万円の控除を受けるためにはその他にもe‐Taxで申請もしくは電子帳簿保存を利用するなど何点か注意が必要なので、確定申告する際はしっかり確認しましょう。
日商簿記検定は年に3回行われていて、まずは3級を勉強することで基礎を知ることができます。
また、お金の流れを勉強するという意味でファイナンシャルプランナーも人気の資格となっています。
飲食店経営に必要な資格2つを紹介
飲食店を経営する際に忘れてはいけない資格は2つあります。
万が一資格がないまま営業をスタートした場合は営業停止になる可能性もあるので注意が必要です。
食品衛生責任者
お店に必ず1人必要なのが食品衛生責任者ですが、食品に関わる製造や販売を行う飲食店では必須な資格です。お店に1人資格を取る必要があり、店に常時いる人が資格をとることが基本的で、店舗が複数ある場合1人がほかの店舗とかけ持ちは禁止です。
食品衛生責任者の役割は、お店の衛生管理をはじめ、スタッフの体調管理、手洗いなどのチェックなど衛生的に問題ないか日々気にかけて清潔な環境を維持します。
食品衛生責任者の資格をとるためには都道府県で行われる講習会に受講することが必要で「食品衛生協会 ○○県」と検索すると概要が記載されています。
また、栄養士・調理師・製菓衛生士・食鳥処理衛生管理者と畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者・船舶料理師などの資格を保有している場合は受講免除のため申し込みで資格を取得することが可能です。
資格詳細:
食品衛生責任者 |「食品衛生の窓」東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp)
資料3-1 食品衛生責任者(厚労省) (mhlw.go.jp)
防火管理者
店舗の収容人数が従業員含め30人以上の場合店舗ごとに1人防火管理者が必要で、火災発生の防止や火災が実際に起きてしまった際、最小限に被害を抑える目的としての講習を受けて資格を取る必要があります。講習で学んだ後、店舗の消防用設備の見直しや実際に訓練して避難する際のルート確認などをしておくことでお客様が安心して過ごすことができます。
収容人数や広さによって資格の種類が異なります。
店舗の延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」といわれ2日間で計10時間の講習が必要となり、店舗の延床面積が300平米未満の場合は「乙種防火管理者」といわれ1日間で計5時間の講習となります。
また、300人以上の収容人員においては乙種防火管理者として選任されている方が5年以内ごとで再受講のするように義務付けられていますが、講習以外で資格を取られた方は受講義務はないとされているので注意しましょう。
資格詳細:
防火管理制度とは (ageo.lg.jp)
甲種防火管理再講習とは (osaka.lg.jp)
ちなみに食品衛生責任者と防火管理者の兼務を同一人物がしても問題ありません。
食品衛生責任者・防火管理者に設置した人が急な退職をした際に困ることもあるので、1番安心なのは経営をするオーナーや店長などが取得しておくといいでしょう。
持っていると役立つ資格を紹介
調理師免許
専門学校へ通った場合最短1年で取得することのできる資格で、調理実習のみならず座学では食品学・栄養学・食品衛生学・公衆衛生学などを学ぶことができるため、学校卒業後正しい知識を身につけた状態で就職できるため人気の資格にもなっています。
飲食店経営する際必要な資格で記載している食品衛生責任者の資格についても、調理師免許を保有していると受講免除になるところもポイント。飲食店経営を目指す際、もし厨房に別の方を雇う場合も、自身が調理師資格をもっていることで気づけることも多いでしょう。
また、専門学校へ通わない場合でも、現場で2年以上の実務経験を積むことで都道府県によって年に1度〜2度実施される調理師試験を受験することができます。必ず必要というわけではありませんが、飲食店を経営される場合は取得しておくことが望ましいです。
ソムリエ
ワインの専門家ともいわれ、専門知識を持っていることの証明ともなるソムリエの資格を取る飲食店関係者が増えています。
レストランやホテルなどには、ソムリエがいる場合が多く見られ、お客様の好みに合ったワインの提案や料理に合うワインを紹介するだけでなく、ワインの歴史や使うグラスなどの知識も必要となります。質問に答えたり知識を伝えたり、その分お客様とのコミュニケーションを取ることは必須となりますが、お店にソムリエがいるというだけでお店の武器となり信頼度がグッと上がることで、イメージアップへも繋がるでしょう。
ソムリエの資格は、国家資格ではなく民間団体が認定する資格で「日本ソムリエ協会認定資格」または「全日本ソムリエ連盟認定資格」のどちらかで取得することになります。日本ソムリエ協会認定資格でソムリエの資格を希望する場合ワインに関する実務経験が3年以上必要で試験を受験する際現職である必要があります。3年未満の方はいきなりソムリエの試験を受けることが難しいため、ワインエキスパートという資格を取得することをオススメします。
また、全日本ソムリエ連盟認定資格でソムリエ資格を取得希望の場合は、20歳以上であることが条件となり実務経験は問わないため実務経験が3年未満の方でも受験可能となっています。日本ソムリエ協会は国際ソムリエ協会にも加盟しているため、3年の実務経験を積むかまずはワインエキスパートの資格を取る方が多いです。
資格詳細:
呼称資格認定試験│一般社団法人日本ソムリエ協会 (sommelier.jp)
全日本ソムリエ連盟(ANSA) | ワインコーディネーター/ソムリエを認定 (ansa-w.com)
まとめ
飲食店経営はスタートしやすい印象にあるが、開業から3年以内に7割が廃業と厳しい世界。そこでうまく経営していくためにもみずから日商簿記の勉強をすることで財務状況の把握ができるだけでなくコスト削減ができる可能性もあります。
飲食店を経営する際必ず必要な資格は食品衛生責任者と防火管理者の2つで、資格を取得せず営業している場合は営業停止になる可能性があるので開業前に確認しましょう。
必須ではありませんが、調理師免許やワインソムリエなどの資格を持っていることがお店の強みに繋がることもあるでしょう。
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