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飲食店の開業に必要な届けと資格の解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/04
更新日:2022/10/25
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目次

飲食店を開業したいと考えている人は沢山います。ただ、実際どうやって開業するのか、開業に必要な資格は何か、費用はどれくらいかかるのかなど、わからないことは多いと思います。
この記事では飲食店開業に必要な知識を解説いたします。

飲食店を開業するには

まずは飲食店を開業するまでの簡単な流れを説明いたします。
飲食店を開業するのに必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火責任者」です。
この資格を取得した上で、「営業許可証」「開業届」各種保険の手続きなどを行います。手続きを行うには保健所や消防署など店舗を統轄する行政機関に届出が必要です
開業したい飲食店の種類によっては、お酒を提供する届出など他にも必要な手続きがあります。調理師免許を取得していなくても飲食店は開業できますが、開業したい飲食店の種類によって、持っていると便利な資格もあります。

飲食店開業に必要な資格

食品衛生責任者

飲食物を提供するお店は必ず「食品衛生責任者」を置いて、保健所に届け出をする必要があります。「食品衛生責任者」とは食品衛生上の管理運営を行うための資格です。飲食店営業許可を受けるために必ず必要な資格なので、事前に取得しましょう。
1人の「食品衛生責任者」が職務を務めることができるのは1店舗です。
「食品衛生責任者」になるには、都道府県が実施する講習を受けなくてはなりません。栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格がある人は講習が免除されます。
講習は1日で、受講料は約10,000円です。

防火責任者

収容人数が店舗スタッフを含め30人以上の店舗の場合、防火責任者を選任する必要があります。店舗の広さによって講習を受講して、修了試験に合格する必要があります。飲食店開業に必要な資格です。
延床面積が300平米以上なら、甲種防火管理講習、延床面積が300平米未満なら、乙種防火管理講習を受けます。
講習は、甲種が2日、乙種が1日、受講料は約8,000円です。

飲食店開業に主に必要な届け出

営業許可証

営業許可証は飲食店を開業する上で必ず必要な許可証です。保健所に申請して、無事受理されると保健所の担当の職員によって、飲食店を開くのにあたって、設備が整っているかどうか検査が実施されます。
具体的な流れとしては、保健所に事前相談をし、営業許可の申請を行います。次は日程を調整した上での施設検査です。申請が無事通った場合、申請から2~3週間で営業を開始することができます。
営業許可にかかる申請料金は、約15,000円~20,000円です。
検査では、厨房の床やシンクのサイズ、厨房ないの蓋つきゴミ箱の設置など設備の衛生面や安全管理の面が確認されるのでよく注意してお店作りをしましょう。
施設検査で不備が見つかると営業許可が出ません。不備が見つかり営業許可が出ない場合、再度工事のやり直しなどが必要となるため、気になることがあれば申請前に保健所に相談するとよいでしょう。
飲食店の営業許可の種類は料理内容によって細分化されています。「飲食店営業」が一般的な飲食店営業許可の種類ですが、「喫茶店営業」や「惣菜製造」、「菓子製造業」など提供したい料理の種類によって、営業許可の種類が違うので、あらかじめ確認が必要です。

個人事業の開廃業等届出書

個人事業主として飲食店を経営すると所得税が発生します。所得税の申告のために必要なのが「開業届」で、税務署への提出が必要です。
開業届の申請場所は店舗の出店場所管轄の税務署です。申請用紙は全国の税務署、国税庁のHPからダウンロードできるので開業の一か月以内に提出しましょう。
【開業届取得に必要なもの】

  • 個人事業の開業届出・廃業届出
  • 印鑑
  • 個人番号がわかるもの
  • 青色申告承認申請書

この「青色申告承認申請書」は開業届とセットで必要になります。

各種保険の加入手続き

健康保険と社会保険
飲食店を開業する場合、国民健康保険に加入することになります。
雇用した従業員は、社会保険に加入することになれば、会社から半額負担のある健康保険と厚生年金に加入することができるでしょう。社会保険に加入しない場合は国民健康保険と国民年金に加入することになります。
どういった場合に社会保険に加入するかというと大まかにいえば、法人か個人かによって変わります。法人登記をして飲食店を開業していれば、従業員がいなくても社会保険への加入は必要です。個人事業主として飲食店を開業すれば、従業員が何人いても社会保険への加入は必須ではありません。
また、社会保険の加入条件には、1週間の労働が20時間以上であることや労働期間が1年以上見込まれること、月額の賃金が80,000円以上であることなどがあります。
【加入手続き方法】
国民健康保険は異動があった日から14日以内に、医療保険課か市民センターの窓口で国民健康保険の資格取得の届出を行うことで加入することができます。
社会保険は、加入義務の事実が発生してから5日以内に、事業所の所在地がを統括する年金事務所へ行き、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」と「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を窓口か郵送で提出することで加入することが可能です。

労働保険
労働保険には労災保険と雇用保険の2種類があります。
労災保険は、従業員が1人でも加入する必要があり、雇用保険は1週間の労働が20時間以上であること、31日以上の勤続の働く見込みがある場合は従業員、パート、アルバイトが加入する義務があります。
【加入手続き方法】 
労働保険の加入条件は業者によって異なりますが、基本的には農林漁業、建築業以外の業種であれば、まず事業所の地域の統括する労働基準監督署に「労働保険 保険関係成立書」と「労働保険概算・確定保険料申告書」を提出することが必要です。
その後、事業所の統括する地域の公共職業安定所で、雇用保険の加入手続きをすることで加入することができます。

深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書

「深夜酒類提供飲食店」の届出は深夜0時以降にお酒を提供し、お酒の提供がメインとなる営業形態となる飲食店を開業する場合に必要となります。
お酒の提供がメインの営業形態なので、ファミリーレストランやラーメン屋など、お酒を提供していても、お酒がメインではない場合、「深夜酒類提供飲食店」の許可が必要ない場合があります。迷った場合は事前に相談しておくと良いでしょう。

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飲食店における助成金の種類と補助金との違いの解説

飲食店開業に役立つその他資格

調理師免許など料理食材に関する資格

調理師
調理師は国家資格です。調理師免許を取得するには、国が指定している調理師養成施設を卒業するか実務経験を2年積み、調理師試験に合格する方法があります。
調理師資格を持っていると、飲食店開業に必要な食品衛生責任者の講習が免除されます。
栄養士・管理栄養士
栄養士・管理栄養士とは、食事を栄養面からアドバイスしたり、献立を考えたりして、あらゆる人の健康管理をサポートするための資格です。
栄養士になるには、大学や短大、専門学校などの栄養士養成施設を卒業する必要があり、その施設を卒業と同時に取得することができます。管理栄養士は管理栄養士養成施設を卒業し、国家試験に合格するか栄養士として実務経験を積み、国家試験に合格することで取得することができます。
栄養士・管理栄養士が飲食店にいることで、栄養バランスを考えたメニュー作りができるのと、健康志向のお客様に安心感を与えることができるのが強みになるでしょう。
製菓衛生師
製菓衛生師とはお菓子づくりに特化した資格です。
製菓衛生師養成施設を卒業して製菓衛生師試験に合格するか、2年間実務経験を積んで製菓衛生師試験を受けることで取得できます。
安全にお菓子をつくることができる証明にもなるので、菓子店を開業するのにオススメの資格です。
惣菜管理士
惣菜の品質の向上と普及や食生活の豊かさを推進することを目的とされた資格で、1級から3級までがあります。飲食店に惣菜管理士がいると、食材の製造や衛生面管理の上でお客様に安心感を与えることができるのが強みです。

ソムリエなどお酒に関する資格

ソムリエ
ソムリエとは、お客様の相談にのり、お客様の希望に沿ったワインを提案・提供するための資格です。女性の場合はソムリエールと言います。
日本では国家資格ではありませんが、日本ソムリエ協会と全日本ソムリエ連盟がソムリエの資格試験を実施しています。
高級レストランやワインバルなどを開業する場合は、重宝される資格です。
ワインエキスパート
ワインエキスパートとは、ソムリエ協会が行っているソムリエ資格試験の実技試験を除いたもので、20歳以上であれば誰でも試験を受けることができます。
ワインへの知識がかなり高いレベルまで必要な為、この資格を取得することでワインの知識の面でかなり役立ちます。
ワインの提供するお店を開業するのであれば、持っていて損はありません。
ビアテイスター
ビアテイスターとは、ビールの味や品質などを評価するための資格です。日本ビール協会が実施する講習を受け、認定試験に合格すると認定されます。
ビアバーや居酒屋などでビアテイスターがいると、お客様の好みのお酒を紹介しながら提供できたり、美味しい飲み方を教えることが可能です。

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まとめ

飲食店を開業するのに必要な資格や届出
食品衛生責任者
・防火責任者
・営業許可証
・開廃業等届出書
健康保険、労働保険
・深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書
・その他の資格(必要であれば)
お店の場所やお店の雰囲気、メニュー作りなども大事ですが、必要な手続きも多く、時間もかかります。
計画的に取り組むのが良いでしょう。
ただ、それらの資格や届出を地道にこなしていけば、自分の飲食店を持つことができます。

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