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個人事業の開業・廃業等届出書の書き方について解説 提出するメリットや注意点も合わせて紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/01
更新日:2022/11/30
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目次

確定申告の際、青色申告をする場合には、事前に税務署に個人事業主としての届出を提出しなければなりません。それが「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれるものです。

この記事では、煩雑でわかりにくい「個人事業の開業・廃業等届出書」の書き方についてポイントを解説いたします。

個人事業の開業・廃業等届出書 書き方と申請について解説

「個人事業の開業・廃業等届出書」は国税庁のホームページからダウンロードできます。
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁 (nta.go.jp)

各項目の書き方についての解説は以下の通りです。

①左上に提出先を記入します。
・○○税務署長→開業届を提出する管轄の「税務署名」を記入します。納税地を所轄する税務署に提出します。所轄の税務署がわからない場合は国税庁のホームページで調べることが可能です。

・○年○月○日提出→提出日を記入します。

②右側には納税地を記入します。
・納税地→「住所地・居所地・事業所」の中から該当するものを選び、丸を付けます。対象となる郵便番号、住所、電話番号を記入てください。

住所地とは、実際に住んでいる住民票と同じ場所のことです。自宅兼事務所(店舗)の場合には住所地を選択し、自宅の住所を記入します。
居所地とは、住民票の住所ではない場所に一時的に住んでいる場合、これに該当します。
事業所とは、事務所や店舗として事業を行う場所のことで、自宅以外の場所を借りて事業を行う場合は事業所を選択します。

・氏名、生年月日、個人番号、職業氏名、生年月日、個人番号、職業を記入してください。氏名の横には押印が必要です。個人番号はマイナンバーカードに記載されている12桁の個人番号を記入します。屋号がある場合には、職業の隣に記載してください。

・届出の区分→所得の種類→「開業」を選択します。

・所得の種類→基本的には「事業所得」を選択。不動産投資がメインの収入の場合は「不動産所得」を選択します。

・開業・廃業等日→開業日を記入します。

・開業・廃業に伴う届出の提出の有無→「青色申告承認申請書」も同時に提出する場合は、上段で「有」を選択。下段は消費税課税事業であるかの確認のための書類です。

・事業の内容→具体的な事業内容を記載します。(カメラマン、翻訳など簡潔に)

・給与等の支払の状況→青色事業専従者、従業員に給与を支払う場合は記入してください。

開業・廃業届とは 概要を解説

開業・廃業届は、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転したとき又は事業を廃止したときの手続きです。個人が事業を始めたこと、または廃止したことを税務署に知らせる書類と考えるとわかりやすいでしょう。

開業・廃業届の概要を以下に解説いたします。

・提出が必要な対象者
手続きを行うのは、事業を始めた本人です。届出書を税務署に持参するか、送付により提出します。持参した場合は、本人確認のため、マイナンバーの提示が求められます。郵送の場合は、届出書とマイナンバー確認書類のコピー、返信用封筒を同封して税務署宛に送ります。後日、受付印が押印された開業届の控えが返送されます。

・開業届書の入手方法
税務署のホームページから「個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)」をダウンロードできます。
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁 (nta.go.jp)

・手数料
不要

・提出期限
事業を開始して1か月以内

・提出先
納税地を所轄する税務署長

開業届を提出するメリットを紹介

開業届を提出することは義務付けられていますが、提出しなくても罰則はありません。
しかし、開業届を提出することで得られる様々なメリットがあります。以下にご紹介いたします。

・税金の優遇
事業を始めると青色申告事業者になる人が多く、開業届を提出する際、青色申告承認申請書を併せて提出します。青色申告事業者になると、税金面で白色申告事業者よりも優遇措置を受けられます。具体的には、令和2年より適用要件が変更になり、「e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存」を行った場合は65万円の控除を受けられます。

・赤字を繰り越せる
青色申告事業者は、赤字を最長で3年繰り越せます。

・屋号で銀行口座が作れる
個人事業主として事業を行っていると、取引先とのやりとりで銀行口座を提示することがあります。個人の銀行口座で対応するより、屋号の銀行口座の方が信頼が高まります。経理処理の面でも「屋号付きの銀行口座」を開設する方が便利です。

・法人用のクレジットカードが作れる
銀行口座と同様、開業届を出せば法人用のクレジットカードが作れます。事業を始めたときは信用度も低く、準備のための出費が多くなるため、法人用のクレジットカードが役に立つでしょう。

また、法人用のクレジットカードには様々なサービスが付帯されています。交通費、交際費の面では、JALやANAの航空券、JR新幹線の予約、じゃらんでの法人限定の安価なシークレットプランなどが利用可能です。また、オンラインの会計ソフトに利用明細データを取り込み、会計処理を自動的に行うことができます。小規模な個人事業者にとっては、会計業務が大きな負担となることもあるため、その作業を大幅に軽減することができるでしょう。

提出にあたり注意するポイントを紹介

様々なメリットのある開業届ですが、そもそも、配偶者の扶養に入っている人が開業する場合は注意が必要です。
おもな注意点について以下に解説いたします。

・所得税に関して
所得が年間で38万円を超えると、扶養から外れてしまいます。所得は(収入ー必要経費)で求められます。例えば、年間100万円の売り上げがあり、必要経費が70万円だった場合、所得は30万円となり「扶養内で収まる」ということになるのです。

・社会保険に関して
扶養主が加入している健康保険組合によって、条件が異なります。開業届を出して個人事業主として働くだけでも扶養と認められない組合もあれば、一定の収入までなら個人事業主として働くことを認めている組合もあります。開業届を提出する前に扶養認定の基準を調べておきましょう。

また、扶養面以外で開業届を出すにあたって注意が必要なのは、失業保険が受けられなくなる点です。開業届を提出した時点で、その人は個人事業主となります。失業保険は、失業した人が次の仕事に就くまでサポートする保険です。そのため、個人事業主になった時点で失業しているわけではないため、失業保険を受けることはできません。

個人事業主か会社に就職するかで迷っている場合は、開業届を急いで出さない方がよいでしょう。開業届を出して、失業保険を受給した場合は不正受給となります。

開業届に関する、よくある疑問点についてお答えします

開業届を出す際によく出てくる疑問点がいくつかあるので、お答えさせていただきます。

・副業の場合も開業届を提出するべきかどうか
開業届は本業か副業かは関係ありません。事業を始めた場合は開業届を提出するという義務が発生します。原則として開業届は提出しましょう。ただし、会社に就職する可能性がある場合は、すぐに提出せずに様子を見るという選択肢もあります。

・開業届の提出が期限を過ぎた場合はどうなるか
開業届は開業から1か月以内が提出期限です。しかし、もし遅れてしまっても後から提出することもできます。その場合は税務署の担当者にただし、確定申告の期限である3月15日以降に提出した場合は、その年度の青色申告はできないため、白色申告を行います。控除額が変わるため、青色申告を行う場合には早めに提出しましょう。

まとめ

個人事業主の開業届の書き方や提出ポイントについて解説いたしました。
税務署に提出する書類なので難解な印象があるかもしれませんが、基本的には事業の内容や拠点場所などを記載して提出すれば良いので、そこまで難しくはありません。
青色申告の控除を受ける場合は早めに開業届を提出する点に留意しましょう。

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