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飲食店における開業資金の平均額とは 必要な資金もあわせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/08/24
更新日:2022/11/29
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目次

新型コロナウイルスの感染対策が長期化する中で、アフターコロナやウィズコロナへの対応と経済の両立を模索する取り組みが始まっています。コロナ禍で大打撃を受けた飲食業界もその後の社会環境の変化によって新たな消費需要が生まれた一面もあります。
そこで、この記事では今の時代だからこそ飲食店を創業したいとお考えの皆様のために開業に必要な資金に着目。開業資金の平均相場や資金の内訳、資金の調達方法と開業資金を抑える方法など、さまざまなポイントについて解説いたします。

飲食店の開業資金の平均相場とは

飲食店の開業をめざすうえで開業資金の調達は最大のハードルになると言っても過言ではありません。開業に必要な費用には内外装工事費と機械什器備品費。運転資金、テナントの賃借費用と保証金などがあります。開業資金はそれらの費用の合計額です。

開業資金の平均

日本政策金融公庫の「創業の手引+(プラス)」によると、平均的な飲食店開設費用は約883万円となっています。内訳としては内外装工事が368万円。機械什器備品等が186万円。運転資金が169万円。テナント賃借費用が155万円。FCなどの営業保証金が6万円です。

このデータは2012年度の実態調査に基づくもので、その後の相場の変化は反映されていません。たとえば建築資材価格はこの10年で高騰しており、財団法人経済調査会が発表した建築資材価格指数は2015年を100として2022年7月では平均160に達しています。

機械・什器・設備費もコロナ禍やウクライナ情勢、円安などの影響を受けて上昇しました。前述の飲食店開設費用のうち内外装工事費と機械・什器・設備費の合計額は554万円。この費用だけでも現在は5割以上高騰していることを考慮しなければなりません。

一方、飲食店のテナント賃借費用は2021年度はコロナ禍の影響で下落しましたが、2022年度はリバウンド的に上昇しており、大都市圏の多くで2020年度の相場を上回っています。それらを考慮すると現在の開業資金の平均相場は1千万円を超えると見てよいでしょう。

資金の内訳

飲食店の創業資金を融資に頼る場合は事業内容と開設資金の内訳を明記した事業計画書を金融機関に提出しなければなりません。開設資金は飲食店の開業準備に必要な初期費用と事業運営に必要な運転資金がメインです。

初期費用

飲食店の開業に必要な初期費用は物件取得費用と店舗投資費用に大別できます。

物件取得費用

物件取得費用とはテナント賃貸借契約費のこと。物件を購入する費用ではありません。飲食店の賃貸借契約では保証金(敷金)が高く、月額家賃の10~12ヶ月分が相場です。また不動産会社の仲介手数料や、保証会社への保証料なども物件取得費用に含まれます。

店舗投資費用

店舗投資費用とは、取得したテナント物件を飲食店として営業できる状態にするために必要な費用のこと。内外装工費や、機械・什器・設備の購入設置費用などが含まれます。

運転資金

運転資金の内訳は変動費と固定費に分けられます。変動費とは事業を運営する中で売上高によって金額が変動する経費のこと。具体的には肉や野菜などの食材費や材料費、アルバイトなど繁忙時間に増える人件費などがあります。

一方、固定費とは売上高に影響されず定額で発生する費用のこと。正社員の人件費や店舗の家賃、保険料、業務用機器のリース代、管理費、減価償却費などが含まれます。人件費は月給制の正社員は固定費ですが、繁忙期に雇うアルバイトの賃金は変動費となります。

ほかにも開業時の集客手段としてチラシを作成したりWeb広告を出稿したりする広告宣伝費などの予算も必要です。また個人経営の飲食店では経営が軌道に乗るまでは安定した収入を得られません。副収入がない人は当面の生活費も用意しましょう。

自己資金の割合平均

飲食店の開業をする場合、資金は金融機関からの融資でまかなうのが一般的ですが、開業資金の全額融資は基本的に受けられません。飲食店に限らず新規で事業をスタートするにはある程度の自己資金が必要です。

前述した日本政策金融公庫の「創業の手引+(プラス)」に記載された日本政策金融公庫の2012年度新規開業実態調査では、飲食店開設資金の平均額は1,066万円。そのうち金融機関等の融資額は591万円。自己資金は350万円で比率は32.8パーセントとなっています。

開業融資を金融機関から受ける場合、自己資金比率は1/3以上が望ましいとされています。日本政策金融公庫の調査でも開設資金のほぼ1/3が自己資金となっていることからもわかるように、自己資金は1/3が平均的な基準と考えて良いでしょう。

資金調達方法

飲食店の融資元では日本政策金融公庫をはじめ地方銀行や信用金庫などの金融機関が地域に密着した融資制度を展開しています。また地域によっては自治体や商工会が運営する助成金制度や補助金制度の利用も可能です。

各種融資を活用

株式会社日本政策金融公庫

株式会社日本政策金融公庫は2008年に設立された財務省所管の特殊会社のひとつ。かつての国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫などを再編して創立された政策金融機関で、中小規模の事業者を対象とする小口融資を主体としています。

飲食店を新規で開業する場合は日本政策金融公庫の新創業融資制度がおすすめです。対象者の要件は、新たに事業を始めるかまたは事業の開始後に税務申告を2期終えていないこと。自己資金の要件は、創業資金総額の1割以上を確認できること、となっています。

地方銀行、信用金庫の融資制度

飲食店に限らず新規事業で大手都市銀行から融資を受けるのは容易ではありません。一方、地方銀行や信用金庫は地域に根ざした金融機関として地元企業を中心に融資をしており、事業内容によっては大手都市銀行よりも融資を得やすい可能性があります。

たとえば東京都品川区に本店を置く城南信用金庫では、地域密着型の金融機関として地場産業の課題解決に対処できる「城南なんでも相談プラザ」を開設。中小企業の創業・起業、売上アップや税務などさまざまな相談に対応しています。

助成金、補助金

一部の自治体や商工会議所では民間の創業を支援するために助成金や補助金を支給する制度を運営しています。たとえば横浜市では、創業時に必要な経費の一部を助成する横浜市創業促進助成金を制定。地域の創業を促進しています。

東京都でも創業助成事業として賃借料や広告費、従業員人件費といった初期費用の一部を支援する助成金制度を展開しています。そのほか商工会議所の小規模事業者持続化補助金など、地域の事業を支援する制度がありますので、確認すると良いでしょう。

関連記事:
飲食店における助成金の種類と補助金との違いの解説

開業資金を抑える方法

店舗物件をスケルトン(内装が全くない物件)で借り受けると内外装工費や、機械・什器・設備の購入設置費用がかかります。そこで前の店舗の内外装や什器等を残した「居抜き」物件を賃借することで開業資金を抑えられます。

「居抜き」物件では前の入居者が残した内外装や銃器類を買い取るために「造作譲渡料」を支払いますが、現物の時価額を正確に算定することはできません。そこで多くの場合、造作譲渡料は前の入居者との交渉によって決められます。

また内外装工事を全て外注せず、簡単で危険の少ない作業はできるだけDIYですませることで工事費を抑えることも可能です。

まとめ

飲食店の開業資金は日を追うごとに上昇しており、現在では小規模店でも1,000万円を大きく超える相場となっています。創業予定の飲食店が金融機関から全額融資を受けることはできません。少なくとも3割程度の自己資金が必要です。

一部の自治体は創業助成事業として助成金や補助金を支給する制度を設けています。創業を予定している方は地元自治体や商工会議所にお問い合わせください。

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