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お店を開くのに必要な資金とは 相場と資金調達例も合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/08/14
更新日:2022/11/29
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目次

お店を開くためには、必要な準備項目が多く、準備の進め方に迷うこともあるでしょう。
中でも資金計画は非常に大切です。

この記事では、お店を開く際に必要な準備について具体的に解説いたします。
記事を通して、お店の開業資金や手続き、開業までの流れを把握し、準備に役立てることができます。

お店を開くために必要な資金の相場は

お店を開くには、多額の資金が必要となり、まずは相場を把握することが重要です。
「日本政策金融公庫」による2012年の実態調査によると、不動産を購入した企業を除き飲食店開業時の資金の平均は、総額で883万であったと報告されています。
開業の際は、自己資金と金融機関等からの融資を利用するのが一般的です。

 参考:sougyoutebiki_food_1405.pdf (jfc.go.jp)

資金の内訳について解説

一口に「資金」といっても、開業資金と運転資金に大きく分けられます。

まず、開業資金としてあげられるのが、物件取得費と設備費です。
物件取得費は、物件取得に必要な費用の総称で、金額が大きくなる傾向があります。
具体的には、家賃、仲介手数料、家賃を滞納した場合に備えての保証金等です。物件によっては礼金が課されることもあります。
設備費は、内装工事費などの設備にかかる費用です。

運転資金は、事業を維持するのに必要な費用全般をさします。
具体的には、仕入れ費、光熱水費、宣伝広告費、求人活動費等です。
開業直後は、売上から運転資金を調達できない可能性もあります。
そのため、一般的に6か月分の運転資金を開業前に用意しておくことが推奨されます。

資金調達の方法は

様々な融資制度を利用する

様々な機関による融資制度があり、以下にその例をご紹介いたします。
・日本政策金融公庫
日本政策金融公庫には、新規開業者や事業開始後7年以内の事業者が使える「新規開業資金」という融資制度があります。
新規事業者や、税務申告を2期終えていない事業者は、新規開業資金の融資に加え、「新創業融資制度」も利用できる場合があります。新創業融資制度とは、事業開始後の設備資金や運転資金として無担保かつ無保証で融資を受けられるお得な制度です。飲食店を開業する前の融資として利用しやすいです。
・信用保証協会
信用保証協会は、新規開業者向けの融資制度を提供する公的機関です。
信用保証協会が新規開業者の保証人となり、民間の金融機関からの融資を受けやすい状態にします。したがって、直接、民間の金融機関にて融資の申し込みをするよりも審査に通過しやすくなります。
ただし、申し込みの際には信用保証協会に対して保証料を支払うことが条件です。
・自治体
各都道府県でも、自治体の制度融資を実施しています。
制度融資とは、自治体と民間の金融機関、信用保証協会が提携し、低金利で開業への設備資金や運転資金を融資する制度です。主に、中小企業の創業支援を目的としています。
ただし、融資額が小さく、融資実行までに時間が掛かります。

助成金、補助金を利用する

返済義務がないのが大きなメリットですが、給付までに時間を要するため、開業時の資金としての利用は難しい点に注意しましょう。
助成金は条件を満たせば必ず受給できる一方、補助金は審査を通過してはじめて受給が可能です。
助成金・補助金の一部の例を、以下にご紹介いたします。
・キャリアアップ助成金
厚生労働省による、非正規雇用労働者のキャリアアップ促進を目的とした助成金です。
・人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
厚生労働省による、雇用管理制度(諸手当等制度、研修制度、メンター制度、健康づくり制度等)を導入して雇用改善を行うための助成金です。
・創業補助金
中小企業庁による補助金で、飲食店開業の際にも多く利用されています。
・小規模事業者持続化補助金 
経済産業省による、小規模事業者への生産性向上サポートを目的とした補助金です。

ほかにも各自治体等が管轄となる、様々な助成金・補助金制度があります。

関連記事:
飲食店における助成金の種類と補助金との違いの解説

資金を抑えるための方法

資金の調達も重要ですが、資金を抑える方法も活用しましょう。

資金を抑える方法のひとつ目は、居抜き物件を取得し物件取得費用を抑えることです。
「居抜き物件」とは、以前に飲食店を経営していたことにより、予め飲食店に必要な設備が揃っている物件です。前のオーナーに対する造作譲渡料が発生する場合もありますが、設備を一から揃えるよりも安く抑えられます。

ふたつ目は、中古設備の導入です。厨房機器などは、新品でなく中古の良品を利用することで資金を抑えられます。

開店までの流れ

まずは、お店のコンセプトを固めるために立地、サービス、ターゲット等を明確することが重要です。
コンセプトが固まった後は、融資制度申し込みの際に提出する「事業計画書」の作成にも取り組みましょう。
次に物件が見つかり次第、物件を仮押さえして、事業計画書を作成します。
事業計画書完成後は、融資制度に申し込み、資金調達。

資金調達後は、開業への準備あるのみです。内装工事、厨房機器等の導入、メニューの開発、資格や手続きの準備を進めていきます。

必要な資格、手続きについて解説

飲食店を開業する際は、「食品衛生責任者」の資格を持つ人が、各施設に1人必要です。 
食品衛生責任者の資格は、都道府県の食品衛生協会による講習を受講し、選択式の試験を受けて取得できます。
更に、収容人数が30名以上の飲食店に関しては、「防火管理者」の資格を持つ人が必要です。防火管理者には「甲種」と「乙種」があり、延床面積が300㎡以上のお店は甲種、300㎡未満のお店は甲種または乙種が必要となります。
都道府県知事や市町村の消防庁等による防火管理者講習を受講し、効果測定試験に合格することが資格の取得条件です。

飲食店を開業する際には各種手続きも必要です。
所得税法により、個人事業主としてお店を開業した際は「個人事業主の開業・廃業等届出書(開業届)」を税務署に提出する決まりがあります。行う時期は、開業後1か月以内です。 開業届を提出することによるメリットは、以下の通りです。
・個人事業主向けの支援制度が利用できる
開業届により個人事業主であることを証明すると、利用できる支援制度があります。
・確定申告の際に優遇制度を利用できる
開業届と「青色申告承認申請書」を提出すると、個人事業主の優遇制度「青色申告制度」が利用でき、税金が安くなります。
・事業の口座を開設できる
開業届提出に伴い、「屋号」を取得でき「屋号と自分の氏名」を名義とした銀行口座開設が可能です。事業用の口座を作ることで、事業収入や経費を管理できます。

関連記事:
飲食店の開業に必要な届けと資格の解説

まとめ

お店を開くにあたっては、まず、資金調達の課題を乗り越えることが大きな関門です。必要な手続きや資格についても、取りこぼすことがないよう注意することが重要かと思います。
開業準備をするにあたり、余裕を持って取り組むことやリスク管理も大切です。
お店を開くまでの道のりは決して楽ではありませんが、経営者としてお店を営業することは、大きなキャリアアップに繋がります。

関連記事:
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