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飲食店開業資金についての解説 開業に必要な資金と資金調達について

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/16
更新日:2022/11/08
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目次

飲食店のスタッフや料理造りが好きな方で「いつか自分の店を開いて自慢の腕をふるいたい」と考える方は少なくありません。ゼロから飲食店を開くのはハイリスクではありますが、料理と接客と経営のスキルがあれば成功する可能性は多いにあります。
飲食店を開業するうえで最大の関門となるのは「先立つもの」、つまり開業資金です。そこでこの記事では飲食店の開業に必要な資金とその調達方法について解説いたします。

飲食店の開業資金の相場とは

飲食店を開業するために必要な資金の相場は店舗の所在地や業態によってさまざまです。20坪程度の比較的小規模な店舗では坪あたり50~80万円を相場として1,000~1,600万円程度は必要です。20坪以下でも1,000万円以上が相場と考えて良いでしょう。

ランニングコストを含めた平均額は1,000万円前後

まず先ほど述べた1,000万円という金額の根拠について補足します。飲食店への融資実績が多い日本政策金融公庫の「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+」という資料によると飲食店開設費用の平均合計額は883 万円となっています。
この額は2012年度の新規開業実態調査によるものであり、現在の水準よりも低いと言えるでしょう。コロナ禍やウクライナ情勢などの影響で資材価格が高騰している現状では、ランニングコストを含めた開業資金は最低でも1000万円前後は必要と考えられます。

開業に必要な資金の大半を占める項目

前述した日本政策金融公庫の「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+」によると、飲食店開設費用の内訳は内外装工事が41.7%、機械什器備品等が21.1%、運転資金が19.1%、テナント賃借費用(物件取得費用)が17.5%となっています。
飲食店の開設費用は物件取得費用や店舗投資費用などの初期費用と、人件費や物件賃貸料などの運転資金に分けられます。次にそれぞれの費用の内訳について解説しましょう。

物件取得費用

物件取得費用とはテナントの賃貸借契約に必要な費用のこと。物件の購入費用という意味ではありません。賃貸借契約費が高額なのは契約時の保証金(敷金)が高いため。住宅の敷金は月額家賃の1~2ヶ月分が相場ですが、店舗の保証金は10~12ヶ月分が一般的です。
そのほか不動産会社に支払う仲介手数料が家賃の1ヶ月分相当。さらに保証会社への加入が求められる場合は、家賃+管理費の0.5~1ヶ月分にあたる保証料を支払います。

店舗投資費用

店舗投資費用とは、店舗の内外装の設計施工費用や、調理器具とテーブル、椅子、食器類といった什器備品の購入費用など、飲食店として営業できる状態にするために必要な設備投資費のことです。
スケルトン(内装が全くない物件)では間取りや内装の設計施工から手がける必要があります。逆に前の店舗の内装や什器備品を残した「居抜き」物件を賃借する場合は店舗投資費用を抑えられますが、その場合は前の入居者に造作譲渡料を支払うのが一般的です。

運転資金

運転資金とは、事業の継続に必要な資金のこと。内訳は材料費など売上に連動する変動費と、家賃など売上に影響されない固定費に分けられます。人件費については正社員の場合は月給制なので固定費となり、繁忙期にアルバイトを雇う場合は変動費となります。
開業当初の飲食店は売上の予測がむずかしく、変動費は概算で予算を組むしかありません。固定費は開業後半年分は事前に用意したほうが良いでしょう。開業直後は思ったほど利益が出ない場合があります。運転資金に余裕があれば資金ショートを避けられます。

その他

そのほか開業時に必要な費用としては、チラシやWeb広告などの広告宣伝費や販売促進費なども準備する必要があります。また個人経営の店舗では売上がなければ収入を得られません。副収入なしで開業する人は当面の生活費も忘れずに準備しておきましょう。

資金調達の方法

飲食店の開業資金を自己資金で調達できない場合は、日本政策金融公庫をはじめ銀行や信用金庫などから融資を受けるのが一般的です。

自己資金+融資が基本

金融機関から融資を受けるには代表者などの保証と不動産などの担保が必要です。店舗が賃貸で担保物件がない場合や事業者としての取引実績がない場合は、ある程度の自己資金がなければ融資を受けるのは非常に難しいと言わざるを得ません。
飲食店の開業資金は自己資金+融資が基本。そこでこの項では小規模飲食店のおもな融資元として日本政策金融公庫と地方銀行・信用金庫の融資制度、および自治体などの助成金や補助金について解説します。

日本政策金融公庫の融資制度

株式会社日本政策金融公庫は財務省が所管する特殊会社で政府系金融機関のひとつ。国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が解体・統合して設立された政策金融機関で、子規模事業者を対象とした小口融資が主体です。
新規で事業を始める場合は新創業融資制度が利用可能。融資条件は開業時に開業資金総額の10分の1以上の自己資金を有すること、事業計画が適正と認められること、などがあげられます。金利は融資期間や条件によって異なる利率が適用されます。
日本政策金融公庫と国民生活事業では、ほかにも女性や若者、シニアの方や、過去に廃業歴等があり再チャレンジで創業する方など、幅広い方の創業を支援する新規開業資金を用意。条件に該当すれば通常よりも有利な条件で融資を受けられます。

地方銀行、信用金庫の融資制度

新規事業で民間金融機関から融資を受けるのは簡単ではありませんが、地方銀行や信用金庫は地元に根づいた融資制度を導入しており、担保や自己資金の比率、事業計画の将来性によってはメガバンクよりも融資を得やすい傾向があります。

助成金、補助金

飲食店の開業を支援する自治体などの補助金や助成金制度があれば申請したほうがお得です。ここではそのような助成金と補助金の例として東京都の創業助成金と、日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金について解説いたします。

東京都の創業助成金(東京都中小企業振興公社)

東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社では、都内で創業予定の個人で東京都における創業のモデルケースになりうる中小事業者に対し、賃借料や従業員の人件費など、創業初期の経費の一部を助成する創業助成事業を実施しています。
対象となる事業者は都内で創業を予定しているか創業後5年未満の中小企業経営者のうち一定の要件を満たす人。助成金額は300~100万円です。

小規模事業者持続化補助金( 一般型 )

小規模事業者持続化補助金( 一般型 )は日本商工会議所の支援制度です。小規模事業者が今後直面するさまざまな制度変更に対応するために持続的な経営計画にもとづく販路開拓や業務効率化などの取り組みに必要な事業資金の一部を補助します。
飲食店では販促用のチラシ作成などの広告費用や店舗改装費が補助金の対象となります。

関連記事:
飲食店における助成金の種類と補助金との違いの解説

まとめ

飲食店の開業資金は小規模店でも1,000万円程度は必要です。費用の内訳は内外装工事費や機械什器備品費、運転資金、物件取得費用など。新規開業予定の飲食店が金融機関から融資を受けるのはむずかしく、ある程度の自己資金が必要です。
飲食店の開業資金を調達する場合は日本政策金曜公庫の新創業融資制度などが利用可能。地方銀行や信用金庫なども地元に根づいた融資制度を導入しており、メガバンクよりも融資を得やすい傾向があります。

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