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飲食店はアレルギー表示義務があるの?アレルギー表示の解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/03
更新日:2022/10/19
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目次

アレルギーは、日本のみならず欧米などの先進国でも大きな問題となっています。食事や環境の変化により今では国民の3人に1人はなんらかのアレルギーを持っているといわれていて、深刻な問題といえるでしょう。
スーパーのお惣菜・お店でのテイクアウト・冷凍食品・外食などお家以外で調理されたものを食べる機会も多く見られますが、アレルギーがあると思うように好きなものが食べれなかったり、表示が正しいのか不安になることも。
この記事では、飲食店でのアレルギー表示の義務をはじめ食品アレルギーの症状・原因からコンタミネーションを防ぐための方法まで解説いたします。

飲食店のアレルギー表示は義務ではない

基本的に容器包装に入れて食品販売する際は必要になりますが、ばら売りや量り売りなどで容器包装に入れずに販売する場合や、飲食店で提供する場合にはアレルギー表示の義務はありません。しかしながらニーズに応えるために飲食店でも自主的にアレルギー表示をしているお店もございます。このアレルギー表示は食材だけではなく調味料や加工品まで確認することは簡単ではありません。多くの方がアレルギーをもっているといわれる中、メニューにアレルギー表示を記載している飲食店があると「助かる」という声があるのも事実です。
参考:厚生労働省:食品表示について

食品アレルギーの症状と原因

本来ウイルスや細菌が体に入った場合に排除しようと働いてくれているのが免疫ですが、特定の食べ物を食べたり触ったりした際、免疫学的反応が過剰に働くことがアレルギーの原因といわれています。多くの食品アレルギーは即時型アレルギー反応といい、摂取した食べ物が抗原性を残したまま腸で吸収され血液を介しアレルギー反応が起こるため、摂取後2時間以内程度で起こることが多いといわれています。

症状は個人差が大きく蕁麻疹・かゆみ・湿疹・結膜症状などの皮膚結膜症状から、下痢や嘔吐・悪寒などの消化器症状、口腔粘膜やのどのかゆみや鼻水・くしゃみといった上気道症状、そして一番怖い症状は血圧低下やショック症状・アナフィラキシーショックなどの全身性反応です。

アレルギー表示の特定原材料について

過去に一定の頻度で呼吸困難や血圧低下・意識障害などの重篤な健康気害がみられた症例の中でその際に食べられていた食品の中で明らかにされた原材料をアレルギー物質を含むものを「特定原材料」として指定されています。

現在28品ある中で表示義務となっているのは7品で卵・乳・小麦・エビ・カニは症例数が多く、そば・落花生については症状が重いことが特徴の一つです。
7品目の中でも卵・乳・小麦の使用頻度は飲食店やご家庭で多いですが、最近はそれらを使用せずに作るパンやケーキ・お菓子などを販売するお店も増えてきています。
残り21品はイカ・アワビ・イクラ・サケ・サバ・鶏肉・豚肉・牛肉・大豆・ゼラチン・オレンジ・キウイ・モモ・リンゴ・山芋・まつたけ・ごま・くるみ・バナナ・カシューナッツ・アーモンドとなっており、症例が少ないため義務には至りませんが表示を推奨しています。28品の中でも重篤度等に差があるため、表示を義務づけるものと推奨するもので区別されています。

食物アレルギーは1歳未満の乳児で発症することが最も多いですが、厚生労働省の調査によると子供に限らず大人まで幅広く認められています。最近は果物や野菜のほかイモ類なども増加していて今後品目数が増える可能性もあるのでこまめに確認しましょう。
参考:厚生労働省 アレルギー表示について

飲食店ですべきアレルギーへの対処

外食・中食は今現在アレルギーの表示や情報提供が義務づけられていませんが、国は自主的な情報提供を推進しています。

メニュー表示の工夫

アレルギーを持っている方が外食してまず困るのが、アレルギー食材が入っているのかメニュー表を見ただけでは判断できないところです。アレルギー表示で一番の課題とされているのは表示ミスともいわれ、入っていないと書いているのに混入していた場合、命にかかわることになりかねません。また表示する場合は原材料名をすべて記載した後「一部に○○、○○、○○を含む」などと書かれる一括表示や、原材料名ごとの後ろに「○○を含む」と記載する個別表示があります。対してアレルギー食材を全く使用していないのか、7品目を使用していないのかを明確に表示することで安心して食事を楽しむことができます。

専用メニューの作成

飲食店で最近見かけることが増えたアレルギー除去メニューや飲食店オリジナルのアレルギー専用メニューは特にお子様のいるご家庭で重宝されています。1歳未満が1番多いとされるアレルギーですが、お店でアレルギー対応のメニューがない場合場合自宅から持ち込んだり、外食を控え店舗に訪れる事を諦めてしまうご家族もいるでしょう。しかし、ただ厨房の大きさやスタッフの人数により通常メニューと完全に分けることが難しい環境の飲食店も多く、実際に対応しているお店は多く見受けられない実態です。
すべてをお店で対応することが難しい場合、付け合わせのパンはアレルギー対応して作っているお店に外注するなど用途に合わせて工夫することもいいでしょう。

スタッフ全体への教育とルール作り

お店でアレルギー対応メニューを考えるとき一緒にスタッフ全体で研修などを実施し、お客様から質問があったとき正確に応答できるように準備が必要です。アレルギーは個人によって大きく症状も異なるため詳しく聞き取り厨房と連携を取りましょう。
また食材のみならずドレッシングや調味料などの加工品に含まれるアレルギー食材にも把握し漏れがないように説明することでお店の信頼につながります。
万が一アレルギー症状が出た場合を想定し食物アレルギーの緊急時対応マニュアルをチェックしておきましょう。症状が軽い場合は経過観察で済むこともありますが、緊急性が高い場合躊躇せず救急車を呼ぶなど従業員の中で意思疎通しておくことで迅速な対応が可能となります。

コンタミネーションを防ぐ

原材料としてアレルギー食材を使用していないにもかかわらず、アレルギー物質が混入してしまうことをコンタミネーションといいます。同じお湯で湯がいたり同じ油を使用したり、食材を触った手で他の食材を触ったりすることで起きます。コンタミネーションには表示義務がないため、食材が入っていないと安心して食べたのにアレルギー反応が出たなど、そのような経験をされた方は多くみられます。コンタミネーションを防ぐためには「同じ鍋茹でています」や「○○と同じ場所で製造しています」など一言メニューに載せることで不安解消につながります。何か1つの食材がアレルギーで除けば大丈夫なのか、エキスが少しでも入ると命に関わるのかなど個々によって症状も違うので注文時にアレルギーがあると言われた場合はどの程度なのかしっかり聞き取りましょう。

参考:アレルギー物質を含む食品に関する表示について

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まとめ

飲食店でのアレルギー表示は義務ではありませんが、自主的に表示するように推奨されていること。国民の3人に1人はアレルギーを持っていて今後飲食店でも柔軟に対応していくことが求められます。
アレルギーは体の免疫が過剰に働いてしまうことが原因で、症状の個人差が大きく最悪の場合命を落とす危険性もあります。

飲食店でメニュー表示やアレルギー専用メニューの作成・従業員の研修を行うことで安心して外食することが可能になる分、忙しいときでもコンタミネーションを防ぐことを意識して料理を提供しましょう。

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