シェフとコックの違いの解説 役割の違いや年収の違いを紹介
目次
私たちが普段足を運んでいるレストランやカフェでは、美味しい料理や綺麗に盛り付けをされたデザートが数多く取り揃えてあります。料理が提供されるまでの過程では、シェフとコックの二つの位置づけにより、食品を調理し、お客様のテーブルに並ぶまで、それぞれの役割を果たします。シェフとコックでは仕事内容や責任が大きく異なるため、二つの言葉の意味についてよく理解しておかなければいけません。本記事では、シェフとコック、それぞれがどのような役割を果たしているのか、求められる資格やスキルなどについて詳しく解説いたします。
シェフとコックの違い
「シェフ」とはフランス語で「コック」たちをまとめる総料理長のことを言います。一方で、「コック」とはオランダ語で「料理人」のことを示す言葉です。
レストランやホテルなどの厨房において、コックは主に調理に関するあらゆる作業を担当します。そのため、規模の大きなレストランやホテルには一つのお店に複数人のコックが在籍している店も珍しくありません。そして、コックたちをまとめ、メニューの組み立てや、メニューに対するレシピや材料の定義、コックの育成や教育などの担当を行う役割をシェフといいます。コックとは異なり、シェフはリーダー的役割を示しているため、お店には一人しか在籍していません。
シェフとコックの語源の違い
コックは英語で「クック(cook)」と言われていますが、日本語のコックの語源は、オランダ語の「コック(kok)」から来ています。コックとは調理スタッフ全般のことを意味しており、調理人や料理人のことを示します。日本語のシェフとはフランス語が語源である、「シェフ・ド・キュイジーヌ(chef de cuisince)」から来ている言葉です。「シェフ(chef)」はリーダーを示し、「キュイジーヌ(cuisince)」は台所、厨房のことを表現します。つまり、シェフとは「厨房のリーダー」を示す言葉です。
シェフとコックの仕事内容の違い
シェフの仕事内容
シェフの仕事内容は、コックたちの総料理長の役割です。料理の組み立てや開発、人員配置、料理の材料の定義、料理のクオリティーのチェックなどを行います。シェフは調理に関する全ての責任を果たします。また、大規模なレストランやホテルなどの厨房ではコックが複数人在籍しています。コックの教育だけでなく、コックの見習いの育成もシェフが行う仕事です。お店の経営者がシェフであることも多く、その場合には「オーナーシェフ」と呼ばれます。個人店の場合はシェフが、オーナー、コックの役割を全て果たす事が一般的です。シェフは、レストランやホテルだけでなく、カフェなどにも在籍しています。すべてにおいて「料理を作ること」は共通しているものの、勤務先によって求められる仕事内容が異なるものです。大規模なレストランやホテルではたくさんのコース料理を時間内に提供しなくてはいけません。そのため、時間配分や味を均等にするなどと言った配慮が必要です。一方でカフェや小さなレストランであれば、価格や料理のデザインなどといった点を重視しなくてはなりません。シェフは勤務先によって、お客様のニーズに合った料理の考案する必要があります。
コックの仕事内容
コックの仕事内容は、調理に関する全ての業務を行うことです。シェフの指示のもとでコックは食品を調理し、お皿にきれいに盛り付けをし、お客様に提供します。大きなレストランやホテルでは複数人のコックが在籍していることが一般的です。しかし、小さなレストランやカフェなどではコックが一人で調理をするといったことも珍しいことではありません。コックはシェフの指示通りに食品を調理し、お客様の期待にそった料理を提供できる腕が求められています。
シェフとコックの求められる資格の違い
シェフとコックはどちらとも必須となる学歴や資格はありません。飲食店などで料理人として雇用されれば、誰でも料理人として働くことができるでしょう。しかし、多くのシェフやコックは「調理師免許」を取得しており、調理理論や公衆衛生学、栄養学などといった調理師法に基づいた知識を学んでいます。調理師免許は国家資格にあたります。取得するためには二つのルートがあるとされており、一つは「調理師試験に合格し、免許を申請・取得する。」、もう一つは「調理師養成施設を卒業し、免許を申請・取得する。」といった方法です。
調理師試験に合格し、免許を申請・取得する場合:食堂や飲食店などの指定された施設での2年以上の調理実務経験を有し、各都道府県が実施する調理師の国家試験を受験、合格し、調理師免許の交付を申請することで取得可能です。
調理師養成施設を卒業し、免許を申請・取得する場合:まず、厚生労働省が指定する調理師学校で学び、卒業します。卒業と同時に調理師免許の資格保有者となり、調理師免許の交付を申請することで免許取得可能です。
調理師免許を取得することで、「調理師」として働けます。店舗によっては調理師免許を取得していることで、コックになるまでの見習いの期間が多少免除される場合などがあるようです。正しい知識を実務として活かすことができ、独立・開業した場合にも調理師免許を取得して損はないと言えるでしょう。また、実績を積み、シェフやコックが独立、開業をするとなった場合には食品衛生責任者の資格が必要となります。
求められるスキル
経験やスキルにおいて、シェフとコックではそれぞれ異なります。
コックとしての調理経験を十分に積み、シェフとなることが一般的とされています。一部のケースでは10年以上の下積みを経てシェフになったという人も珍しくありません。シェフを目指すかどうかにかかわらず、まずはコックとして一人前になる必要があります。現在では、高校卒業後、大学や調理師学校に入学し、コックを目指すのが一般的です。社会人を経て、調理師学校で新たに学び、コックやシェフとしての道を目指す人も多い傾向にあります。昔は中学校・高校を卒業した後にレストランに勤め、料理の腕を磨き、修行することがコックになるための近道とされていました。いつの時代でも、最初はコックになるためのあらゆる経験や勉強を積み重ね、徐々に料理に関するスキルを身につける事が重要です。そして、海外での修行を経て、日本で一人前のコックやシェフを志す人も珍しくありません。味付けや盛り付けなどの料理に関するさまざまな技術が認められることで、副料理長、シェフに昇格する点は、どの地域や国境に関わらず共通しています。
年収の違い
シェフはコックよりも上の立場であることから年収が高い傾向にあります。シェフはコックや見習いに対しての教育から、お店の看板とも言える料理の考案など、幅広い業務を一人で行うため、年収もそれぞれ異なります。テレビやSNSなどに取り上げられる有名シェフとなれば、シェフの料理を目当てにたくさんのお客様が来店するでしょう。また、コンビニやスーパーなどでコラボ商品として開発されることも多いです。年収はその実力や腕前によっても大きく異なります。
シェフの平均年収:470万円〜550万円
コックの平均年収:330万円〜350万円
(参考:平均年収.JP)
まとめ
コックは厨房での調理に関する業務を担当し、シェフはコックに対して指示を行います。また、料理の考案・構成をするなどといったリーダー的存在です。
また、シェフとコックのどちらとも必須となる資格は特にありません。しかし、調理師免許を取得することで、就職や実務において有利になります。そのため、取得して損のない資格です。
料理に関する腕を磨くため、コックからシェフを目指すことが一般的とされており、さまざまな経験や実績を積み重ねていくことで、一人前のコック、そしてシェフとなります。
近年では、さまざまな飲食店が拡大し、多くの店舗が競争を繰り広げています。周囲との差をつけるためにも調理師免許の取得や料理に関する知識を身につけていくと良いでしょう。
関連記事:
スーシェフとは なるためのステップとスーシェフから転職するには
コックとは なるためのステップとコックから転職するには
調理師とはどんな仕事? 仕事内容や調理師資格についても解説
調理員とは給与と仕事内容の解説