調理員とは給与と仕事内容の解説
目次
調理師とよく似た言葉で、調理員という言葉もよく耳にします。しかし、その具体的な仕事内容や必要な資格に関して、よく知らないという人も多いのではないでしょうか。
調理の仕事は幅広く、レストランやホテルの料理人の他にも、介護施設や給食施設などで働く従業員も、調理師や調理員と呼ばれます。
本記事では、調理員と調理師の違いや必要な資格、給与について詳しく解説いたします。
調理員とは 主な仕事内容
調理員とは、栄養士が立てた献立に基づき、食事を作る人のことをさします。
調理員の主な仕事内容は、栄養士の立てた献立をもとに調理をすることです。
高齢者福祉施設や障害者関係施設などの社会福祉施設で、それぞれの施設の内容に合わせた料理を調理します。
そのため、施設のニーズによって作る料理は異なります。
0歳児保育実施園での仕事内容
離乳食作り
成長に伴い育児用ミルクや母乳だけでは補えないエネルギーや栄養素を摂取できる食事です。
徐々に幼児食へ移行する過程で、消化の良い食べ物に少しずつ慣れてもらう目的があります。
1歳から5歳児保育実施園での仕事内容
1歳から2歳児用の乳児食
ご飯や肉類、魚類などの食材を柔らかくした食事を提供します。
少しずつ固形のものが食べられるようになるため、成長に応じて硬さを調節する必要があります。
3歳から5歳児用の幼児食
大人の食事に移行するための準備をする食事を提供します。
離乳食を終えても、幼児は噛む力や消化能力、味覚が完全に発達している状態ではありません。
発達に応じた調理方法や味付けを工夫した料理を作りします。
高齢者福祉施設での仕事内容
利用者の年齢や健康状態に沿った料理を作ります。
通常の食事に加え、きざみ食やミキサー食、流動食などの介護食を作る必要があるでしょう。
障害者関係施設での仕事内容
普通食からムース食まで、利用者に合わせた食事を作ります。
利用者さんに楽しんでもらうため、お菓子作りやデザート作りを頻繁に行うこともあるでしょう。
調理員は栄養士との意見交換や献立なののアドバイスなども行いながら食事を作ります。
年齢も幅広く、乳幼児から高齢者まで、それぞれのニーズや健康状態に沿った料理を作る必要があります。いずれにしても、利用者それぞれの状態に合わせた食べやすい食事を提供することが大切です。
調理員と調理師の違いとは
調理師と調理員の違いは、調理師免許を持ってるか持っていないかの違いです。
調理師は、都道府県知事が行う調理師試験に合格することで取得できる資格ですが、調理員は資格を持っていなくても働くことができます。
一般的に調理員は、短時間パートで勤務している人をさし、主婦などの家事経験者が多い傾向にあります。
調理師
資格:調理師免許
厚生労働大臣が指定する、調理師養成施設を卒業することで取得できる国家資格です。
飲食店や給食施設などで2年以上調理の経験をし、調理業務従事証明書が発行され、調理師試験に合格することで取得できます。
調理員
資格:なし
多くの調理員は、主婦や家事の経験者です。そのため、家での家事の経験から調理に関する基本的な作業がスムーズに行える場合が多く、調理師や栄養士たちの心強いお助け要因と言えるでしょう。栄養士や調理師などの資格を必要としないため、料理が好きな人や子供の保育に興味がある人なども調理員を望みます。
一般的に、それぞれの社会施設では、調理員はパートやアルバイトとして雇用します。
これらの施設では、利用者の年齢や健康状態などのニーズに合わせた献立を考える必要があります。
それぞれの対象者に合った食事を提供するには、栄養学や施設に合ったの専門知識を身につけなければなたなく、資格を持たない調理員が献立の考案などを行うことはできないのです。
対して調理師は、経験や専門知識に基づき調理をメインに作業を行います。
調理員はその下準備や調理以外の補助を行うことが一般的でしょう。
栄養士と管理栄養士と同様に、調理師と調理員では採用基準が異なるため、求人を探す際は注意しましょう。
必要な資格とは
一般的に、調理員として働くために必要な資格はありません。
しかし、学校給食や保育園の給食調理員などにおいては、社員とアルバイト・パートで資格の必要性が異なります。
正社員として給食施設で働く場合は、調理師免許か栄養士免許が必要です。
正社員は、他の従業員の調理師指導や献立を考案する必要があるため、調理師や栄養士、管理え栄養士などの国家資格が必要となります。
主な職場となる場所
調理員の職場は、食事提供を行なっている施設全般です。
高齢者を対象とした施設
自立している人から介護が必要としている人まで幅広く利用している施設
- デイケア
- デイサービスなど
比較的元気な高齢者が対象の施設
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
- ケアハウス
- グループホーム
- 介護老人保健施設
- ショートステイなど
介護が必要な高齢者が多い施設
- 介護付き有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 病院など
高齢者を対象とした施設では、高齢者の健康状態や介護状態によって作る料理が異なります。
ゼリー食やきざみ食、ソフト食などの、幅広い介護食も作ります。
また、食事を楽しんでもらうためのイベントや工夫が施された食事の提供なども行う場合が多いでしょう。
障害者関係施設
- 障害者更生施設
- 生活施設
- 障害者支援施設
- グループホーム
- 特別支援学校など
障害者関係施設では、利用者の状態に合わせた食事の提供を行います。
通常の食事からペースト食などの細かい食事形態に対応した食事を作ります。
障害者関係施設では、高齢者福祉施設と同様に、クリスマスやお正月などのイベントに合わせた食事やケーキバイキングなど、楽しく食事をしてもらえる料理も多く提供する場合が多いでしょう。
児童福祉施設
- 助産施設
- 保育所
- 児童更生し施設
- 児童養護施設など
児童福祉施設では、スタッフ全員が子供たちの養育者としてサポートします。
子供の成長に必要な栄養バランスに沿った料理を提供することが大切です。
中には、基本的な生活習慣が身についていない子もいるため、栄養士や調理師が食事指導や生活習慣の改善を行います。調理員は、栄養士や調理師が立てた一人ひとりの状態に合わせた食事を作るサポート役と言えるでしょう。
調理員の給与相場
調理員の給与の相場は、勤務する職場や雇用形態によって異なります。
アルバイト・パート・・・時給897円
正社員(給食調理員などの有資格者)・・・月給17万円 年収277万円
派遣社員・・・時給1050円 月収19万円 年収222万円
参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査
勤務する職場にもよりますが、一般的な調理員の平均的な給与は低い傾向にあります。
介護業界では、さらに低い水準となっており、国家資格を保有している調理師でも年収300万円未満といわれています。
派遣社員は、時給は高い傾向にありますが、昼食や夕食などの比較的忙しい時間帯で募集される場合が多いでしょう。
しかし、調理員が働く介護施設や給食施設などでは、その日に提供する食事の仕込みや作りおきはしません。そのため、飲食業界でありがちな調理時間外での労働や休日出勤などはなく、労働時間が大幅に長くなるといった問題はないでしょう。
まとめ
調理員は、調理師と違い、無資格・未経験から働くことができる仕事です。
栄養士が立てた献立に沿って調理のサポートや補助役を行います。
レストランやホテルなどの厨房ではなく、高齢者福祉施設や障害者関係施設、病院といった社会施設で勤務する調理スタッフを指します。
一般的には、アルバイトやパートで求人を募集していますが、調理師や栄養士などの資格を取得しておくことで正社員として働くことも可能です。
将来調理師や栄養士、管理栄養士などの資格取得を目指す人や料理が好きな人は、まず調理員として働いてみるのも良いでしょう。
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