コールドテーブルの特徴や種類、導入することのメリットを解説
目次
飲食店を開業するにあたり、厨房のレイアウトをどうするか、機器はなにを揃えるかは大事な検討事項です。
設置に大きな場所を必要とし、金額も張るのが冷蔵庫。慎重に選びたいと考える人も多いかと思います。
そこで今回は、冷蔵庫と作業台を兼ねた厨房機器「コールドテーブル」について解説します。
コールドテーブルの特徴や種類、使い勝手などを紹介していますので、ぜひ冷蔵庫選びのご参考ください。
コールドテーブルとは
コールドテーブルとは、ひとことで言うと冷蔵庫と作業台が一体化したものです。
家庭で使われることはほとんどないので、飲食店で働いた経験がない人にはなじみがないと思いますが、カフェやレストラン、ホテルの厨房など、さまざまな飲食店の厨房で使われています。
業務用冷蔵庫というと、縦型で大型のものが主流ですが、スペースの問題で大型の冷蔵庫が置けない場合もあるかと思います。
また、作業台から冷蔵庫が遠いと、作業効率や動線に影響が出てしまいます。そんなときに活躍するのがコールドテーブルです。
コールドテーブルは横長の冷蔵庫や冷凍庫で、天板が作業台として使用できるようになっています。
高さが一般的な作業台と同じく80cmなので、作業台の下が冷蔵庫になっていると考えればよいでしょう。
コールドテーブルのおもな特徴
作業台と冷蔵庫、両方の機能をあわせ持ったコールドテーブル。コールドテーブルを使うことでどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
専用スペースを必要としない
コールドテーブルの最大の特徴は省スペースです。
縦型の大きな業務用冷蔵庫は設置スペースをかなり必要とします。ドアの開閉も考えると厨房の大きな面積を冷蔵庫に持っていかれてしまうのです。
その点、コールドテーブルは作業台と一体化しているので、実質的にスペースをとられることはなくなります。
縦型冷蔵庫が入らないような狭い厨房でも設置ができるので、店舗選びの幅も広がるでしょう。キッチンカー内への設置も可能です。
作業効率が上がる
作業台のすぐ下に食材の保管場所がある。これもコールドテーブルの利点です。
作業台と冷蔵庫が別々の場所に設置されている場合、調理中にわざわざ冷蔵まで食材を取りに行く必要があります。
コールドテーブルであれば、作業台のすぐ下が冷蔵庫になっていますから、食材を取りに行く手間が省けます。
そんな少しのことくらい、と思うかもしれませんが、1日に何度もとなると結構なストレスです。
コールドテーブルなら、かかる時間もストレスも少なくすることができます。
動線がスムーズになる
コールドテーブルにするとスタッフの動線がスムーズになることもメリットのひとつです。
作業台と冷蔵庫を行き来することがないので、人の動きが最小限ですみます。
また、コールドテーブルを採用することで大きな冷蔵庫設置する必要がなくなりますから、厨房内のスペースに余裕ができます。
スペースが広く人の動きが少なければ、複数人が厨房で作業する環境においてもスタッフ同士がぶつかることなどがなくなり、事故の発生を防ぐことにつながるのです。
コールドテーブルの種類と選び方
コールドテーブルは搭載している冷蔵庫の種類によって、冷蔵庫だけの「冷蔵コールドテーブル」、冷凍庫だけの「冷凍コールドテーブル」、冷凍庫と冷蔵庫が両方ついた「冷凍冷蔵コールドテーブル」に分けることができます。
サイズはどのメーカーでもだいたい同じ規格になっています。
- 高さ:80cm
- 奥行:45cm/60cm/75cm
- 幅:120cm/150cm/180cm
奥行、幅は、厨房の広さ、入れるものの大きさ、作業に必要なスペースなどを考えあわせたうえで選ぶことが大切です。
冷蔵庫と冷凍庫の配置(左右)、ドアの枚数もチェックポイントです。
広い扉は大きなものの出し入れがしやすいですが、その反面、ドアの開閉にスペースが必要になります。複数人が立つ厨房では作業の妨げになる場合もあるでしょう。
少しの違いが動線を複雑にしたり作業時間に影響します。実際に作業するシーンを想定して、慎重に選ぶことが大切です。
次に、形状の違いからコールドテーブルの種類と特徴を見ていきましょう。
サンドイッチコールドテーブルの特徴
天板にホテルパン(食品を小分けする容器)をはめ込める形状になっていて、切った食材などを入れて冷やしておくことができます。
冷やした食材にすぐ手が届くので、その都度冷蔵庫を開ける手間が省け、効率的に調理できるのが利点です。
サンドイッチコールドテーブルはその名の通り、サンドイッチ専門店、ピザ屋などで多く使われています。
ドロワーコールドテーブルの特徴
ドロワーとは引き出しのこと。ドロワーコールドテーブルは、冷蔵庫の部分が何段かの引き出し式になっていて、その中のホテルパンを収納して使うタイプです。
食材やメニューごとに引き出しを分けて食材を保存しておけるので、作業効率が上がります。
冷蔵だけでなく、冷凍タイプのドロワーコールドテーブルもあり、居酒屋やファミリーレストランで多く用いられるタイプです。
舟形シンク付コールドテーブルの特徴
コールドテーブルの上が舟形シンクになっているタイプです。
舟形シンクは通常のシンクと少し形状が違い、全体に浅く手前の部分のフチが低くなっていて、シンクの中にまな板を置いて調理するのに便利な構造になっています。
冷蔵からすぐまな板へ、そして水で洗い流しながらの調理が可能な舟形シンク付コールドテーブルは、寿司屋、和食屋など、鮮魚を多く扱う店舗で用いられます。
パススルー型コールドテーブルの特徴
前後、両方の面にドアがあり、両面から出し入れできる形状のコールドテーブルです。
奥行が90cmのものもあり、作業台が広く使えるのも特徴です。
両面から開閉ができることで作業効率が上がるだけでなく、食材の先入れ先出しの徹底がしやすい、下処理側から調理側への食材の移動がスムーズといったメリットもあります。
スライドドア型コールドテーブルの特徴
冷蔵庫のドアが手前に開くタイプではなく、スライドドアになっているコールドテーブルです。
厨房が狭く、ドアを開けるスペースが十分に取れない場合に重宝します。キッチンカーでコールドテーブルを使いたい場合にもスライドドア型は便利です。
まとめ
コールドテーブルは冷蔵庫(冷凍庫)の天板が作業台として使える形状になっているもので、一番のメリットは省スペースが実現できること。スペースが限られているキッチンカーに設置することも可能です。
冷蔵庫だけのものと冷凍庫も併設されたものがあり、幅や奥行きもいくつか用意されています。
天板で食材を小分けにして冷やせる「サンドイッチ型」、冷蔵庫が引き出しになっている「ドロワー型」、上部にシンクの付いた「舟形シンク型」、両面から開閉できる「パススルー型」など、形状も豊富です。
コールドテーブルの選び方ひとつが作業効率に大きく関わってきます。
厨房の広さ、作業する人数、動線など、実際に作業するシーンを当てはめて考え、最適なものを選びましょう。
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