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飲食店におけるメニュー開発のポイントと必要性の解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/28
更新日:2022/11/07
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目次

長く続いてる飲食店は、料理の味がお客さんに気に入られていることはもちろん、メニュー開発にも力を入れているところが多いです。飲食店にとってメニュー開発は重要な仕事の一つです。
今回の記事はメニュー開発の必要性やメニュー開発をする上でのポイント、気を付けることなどについて解説いたします。

飲食店のメニュー開発

私たちは、お客という立場で飲食店を訪れたとき、新しいメニューが出ていると気になります。もちろん、好きでリピートしたいメニューもあるでしょう。しかし、何年通っても同じメニューしかないお店だと飽きてしまうかもしれません。時々、いつもと違う料理を食べてみたいと思う人が多いためです。
飲食店がメニュー開発をする目的や必要性について考えてみます。

新メニュー開発の必要性

飲食店のメニューには、リピート率の高い定番メニューがあります。定番メニューの他に季節限定や数量限定、希少な食材を使用したメニューなど普段とは異なるメニューが存在します。そのようなメニューが出てくると、顧客の中にはいつもとは違うメニューを頼んでみようと思う人もいます。
飲食店にとって、通常の業務に加えて行う新メニュー開発は、時間と労力を要し、大変な仕事(タスク)の一つであることは間違いありません。しかし、それでも飲食店の多くが新メニューを開発しています。新メニューを開発する必要性について具体的にみていきます。

新規客の獲得

飲食店にはリピーター(既存顧客)と新規顧客がいます。新メニューは新規の顧客を獲得できるチャンスです。
これまで足を運んだことのなかった飲食店でも、気になるメニューがあれば行ってみようかなと思うのが顧客の心理だからです。新規顧客がお店に来てくれて、メニューを気に入ってくれた場合、他のメニューも食べてみようと再度訪れる可能性もあります。将来的には常連のお客さんになることもあるので、新規顧客の獲得は飲食店にとって非常に重要なポイントとなります。

リピーターの満足度向上

新メニュー開発の目的は新規顧客のためだけではありません。既存の顧客に新メニューを提示して、気分転換してもらう、新鮮さを味わってもらうことができます。また、定番のメニューをブラッシュアップする形でのメニュー開発では、「いつもの味を楽しみつつ、さらにおいしくなった」という良い印象を与えることができ、顧客満足度を高められます。
リピーターが多いお店の場合は、新メニューの感想を聞いたり、アンケートを取ったりして、顧客の満足度をさらに高めることも可能です。

メニュー開発の流れ

実際にメニュー開発はどのように行えば良いのでしょうか。やみくもに、思いつきのままメニューを開発しても良いものはできません。順序立てて、行っていく必要があります。

リサーチ、企画コンセプト

新しいメニューを漠然と考えていても、なかなか良いものは思い浮かびません。まずは、メニューのコンセプトを考えます。コンセプトを考える上で、お客さんのニーズをリサーチすることも大切です。
飲食店側が「このような料理をお客さんに食べてもらいたい」「食事を通してこのような体験をしてもらいたい」といったお客さんにしてもらいたいことを考えると、食材や調理法を選びやすくなるかもしれません。
また、ビジネスの面でいうと、飲食業界のトレンド、お客さんの層、周りの飲食店のメニュー傾向などをリサーチすることも欠かせません。トレンドのものを取り入れて、流行りに乗るのか、周りの競合飲食店が提供しているメニューと同じようなメニューで戦うのか、といった点についてもビジネス、売上げの面から考える必要があります。

開発(試作、試食、改良)

実際にコンセプトや作りたい料理が決まったら、開発に入ります。どのような食材を使って、どのように調理するのか、が決まるまで、試作→試食→改良を繰り返していきます。
試作を繰り返し、1度良いものができた場合に注意したいのが、「どのシェフでも作れるか」という点です。試作をしたシェフ以外、そのメニューを再現できないとしたら、お店で出す時にお客さんの注文ニーズに答えられなくなってしまいます。飲食店、特にランチなどでは、次々と注文が入り、シェフがひたすら作っていく状況が多いので、どのシェフでも再現できる料理に仕上げる必要があります。もし全員のシェフが再現できなかったとしても、必ず新メニューを提供できるよう、その日のシェフの中で少なくとも一人は新メニューを作れる必要があるでしょう。

広告、販促

新メニューができたら、宣伝のための広告や販促イベントを行います。新しいメニューを開発しても、宣伝しなければ、お客さんに新メニューがあることが伝わりません。広告を打つ場合、TVCM、誌面、デジタル(ソーシャルメディアを含む)など様々な方法があります。そのお店の顧客層にあった方法で広告を選ぶのが重要です。
地域のお客さんが圧倒的に多い場合、地域の人が見る誌面や地域の人が使う電車やバスなどに広告を出したり、コミュニティラジオなどで紹介しても良いかもしれません。一方、遠方からの顧客もそれなりにいるお店の場合はマスメディアを使ったデジタル広告、SNSを利用した口コミで広げてもらうなどの工夫が必要でしょう。
販促イベントの場合、試食会などの実施も良いでしょう。試作メニューとして、会員、常連客などに食べてもらい、その感想を元に最終調整を行えます。顧客側は、一足先に新しいメニューが試せる嬉しさと味を判断する面白さを体験できますし、飲食店側は顧客のニーズをしっかりと直接聞き、メニューにいかせるメリットがあります。

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メニュー開発のポイント

メニュー開発を行う上で外せないポイントをみていきます。

ニーズの把握、他店との差別化

飲食店側の思いだけでメニューを開発しても顧客の満足度が高まるとは限りません。顧客のニーズ(トレンドや既存顧客の好みの傾向など)を把握することが肝要です。
また、トレンドを取り入れる場合、注意が必要です。競合の飲食店と同じメニューを作っていると、顧客は「どこのお店も同じようなものばかり出している」という印象をもってしまうため、分散してしまいます。トレンドを取り入れてもお店のオリジナル感が出せる工夫をすることが大切です。

コンセプトの明確化

コンセプトが明確でないまま、メニュー開発を進めた場合、顧客は「結局このお店は何をお客に提供したいのか」「どのような意図があって新メニューができたのか」など不安に感じるかもしれません。
このような質問が顧客からきた場合にも、明確に答えられるようにコンセプトとポリシーを持ってメニュー開発にあたることが重要です。お客さんに●●を味わってもらいたい、楽しんでもらいたいというストーリーや背景がコンセプトを作る基礎となります。
例えば、季節の食材を使用したメニューの場合、こだわりの地域から季節の食材を仕入れることで、普段は味わえない特別な体験をお客さんに感じてもらいたい、という想いがあれば、コンセプトが明確になり、その食材をメインにメニュー開発を進めるられるでしょう。
しかし、なんとなく季節の食材を入れておけばいいか、という点で開発をすると、季節の食材は入っていても味がいつもと同じ、感動がない、といったこだわりのない曖昧なメニューになってしまうかもしれません。

メニュー開発の際に気を付けたいこと

メニュー開発を行う上で気をつけなければならないことがいくつかあります。

現状の設備で作れるかどうか

いくら素敵なメニューができても、現状の設備で作れなければ、余計に資金がかかってしまい、赤字になる可能性が高いです。
設備とは、調理器具だけではなく、食材の保管場所なども含まれます。多くの食材を大量に仕入れなければ完成しない新メニューの場合、顧客の注文が入るか入らないかわからない状態でも多くの食材を保管しておかなければなりません。そうすると、保管のための設備や温度調節などで余計にコストがかかってしまいます。

食材が安定して仕入れられるか

季節もの、こだわりの地域食材、人気のあるトレンドの食材などは安定した仕入れができるかという点を確認しておく必要があります。せっかく新メニューが人気になっても食材がなかなか手に入らず、提供できないとなると顧客の心はすぐに離れていってしまいます。
特に最初が肝心です。新メニューを宣伝し、それを目当てに来たお客さんに対して、「食材不足で提供できません」と断っていると、足が遠のいてしまいます。手に入りやすい食材で安定的に仕入れられるかという点は非常に重要です。
また、食材自体は安定していても、価格が高すぎると赤字になってしまうため、原価計算も大切です。原価が安すぎると品質が劣ってしまう可能性があるため、良いメニューが開発できても味の質が落ちてしまいます。また、原価が高すぎると、コストがかかり、メニューの提供数量が限られてしまう欠点があります。

提供時間の計算

メニューへの期待が高く、こだわりを持ってメニュー開発を行うことは良いですが、再現するのに非常に時間がかかるメニューは避けた方が無難です。
お客さんは基本的にお腹を空かせてお店に来ています。その状態で、通常より待ち時間が長いと他のメニューを頼んでしまうでしょう。全てのメニューが短時間でできなくても、お客さんが待てる時間内に提供できるメニューを開発することで、顧客の注文リピート率が増えます。
また、調理時間自体はあまり長くかからないとしても、それまでの仕込みに時間がかかるメニューの場合も注意が必要です。開店する前の仕込み時間が通常よりも大幅に長くなってしまっては、シェフへの負担も大きくなり、労働時間も長くなってしまうからです。料理の提供が遅れたり、営業開始時間が後ろ倒しになったりしては意味がありません。

店のコンセプトに外れていないか

メニューのコンセプトが大切であると旨は前述しましたが、お店のコンセプトとずれがないかも気をつけなければならない点の一つです。
例えば和食店で、通常は和食が中心なのに、新メニューだけが急に洋食やインドカレーなどが出てきたらお客さんは戸惑います。この場合、メニューのコンセプトとして、「和食店でも色々な味を楽しめる」を掲げていたとしても、ジャンルが異なりすぎて、お店としての一貫性がなく、顧客は困惑することでしょう。
お店にきてくれる顧客はどのような層で、どんなメニューが人気なのかをしっかりとリサーチして、その傾向に沿ったメニューを開発する必要があります。

まとめ

飲食店のメニュー開発は時間と労力、コストがかかり、正直、非常に大変です。やらないで済むならやりたくないという飲食店も多いでしょう。しかし、どの飲食店もメニュー開発を行うのには、それ以上のメリットがあるということです。
情報があふれている現代だからこそ、目新しいもの、特別なものがより注目されます。お店とお客さんにあったコンセプトでメニュー開発ができれば、既存顧客の満足度を高めるだけではなく、新規顧客の獲得、リピートにつながる可能性も大いにあるのです。ぶれないコンセプトでメニュー開発をすることが非常に大切です。

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