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食品ロス(フードロス)の解説と自治体の生ゴミ処理機助成金について

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/26
更新日:2022/11/28
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目次

食品ロス(フードロス)とは、まだ食べられるのに捨てられる食品のこと。「フードロス」とも呼ばれます。消費者庁のデータによると、日本国内で生じる1日の食品ロスは国民1人あたり茶碗にして約1杯分。毎日茶碗一億杯以上の食品がゴミとして廃棄されている計算です。
食品ロスを減らすことは資源の有効活用や環境負荷の削減に効果があるだけではありません。事業活動で生じる無駄を見直すことで飲食業の経営改善につながる効果も期待できます。そこでこの記事では飲食店と家庭での食品ロスについて解説いたします。

食品ロスとは

食品ロスとは、本来は食用になるはずだった食品や食材を廃棄すること。具体的には家庭や飲食店などで発生する食べ残しや、本来なら食べられる部分まで調理過程で廃棄する過剰除去。賞味期限が近いなどの理由から廃棄される食品などを意味します。

日本における食品ロスの現状

政府広報オンラインによると、日本国内における令和元年の食品ロスは年間570万トン。これは日本人1人あたり年間約45キログラムに相当します。
570万トンのうち事業系ゴミは309万トン。おもな発生原因は規格外製品や返品、消費期限が近い売れ残りや食べ残しなど。家庭系は261万トンで、食べ残しや過剰除去、手つかずのまま捨てられる直接廃棄などがおもな発生原因となっています。
日本における令和2年度の食品ロスの推計値は522万トン。前年度に比べて48万トン減少しました。要因としてはコロナ禍の影響も考えられますが、食品ロス問題の周知が進んだ効果もあって、日本における食品ロスは平成27年度から減少傾向にあります。

食品ロスの原因

食品ロスの原因がわかれば、問題解決の対策案の立案にも役立ちます。そこで飲食店と家庭における食品ロスの原因について、さらにくわしく解説していきましょう。

飲食店での原因

飲食店の食品ロスで最も多いのが食べ残しです。食べ残しは飲食店の売上に影響するわけではありません。そのため問題視されにくい傾向もありますが、地球環境への影響を考慮して食べ残しの削減に取り組むことが必要です。
2番目の原因は仕込みが多すぎること。飲食店の来客数は完全予約制でなければ正確に予測できません。しかも飲食店の多くは料理が「ヤマ(品切れ)」になるよりは余る方が良いと考えて余分に仕込むため、客が少ないと処分することになってしまいます。
客足の予測が外れやすい場合は、仕込みの過不足を毎日データ化してその原因を究明しましょう。季節や気象条件、時間帯、周辺でのイベントの有無などを細かくチェックすることで来客数予測の精度を高め、食品ロスを減らす仕込みを実現しましょう。
3番目の原因は食品や食材を仕入れすぎること。業務用の食品や食材を仕入れる場合は箱買いなど単位が大きくなりますが、食材の多くは長期保存ができません。使いきれない量を仕入れてしまうと、当然ながら食品ロスの増加につながります。
ある程度の期間は保存できる食材でも、保存方法や管理によって損傷を早めてしまう場合も。食品ロスによる損失を削減するには、仕入れの適正量を見極めることと、食材ごとに最適な保存方法を実践することが重要です。

家庭での食品ロスについて

家庭内で食品ロスが発生する原因も飲食店と同じで、最も多いのは食材や食品を買いすぎること。冷蔵庫に在庫があるのについ買い足してしまうのは誰にでもあることですが、使い切れないまま消費期限が過ぎてしまうと捨てるしかなくなります。
スーパーやネットの特売でついつい多めに買ってしまうのも同じです。買いすぎた食材を消費しようと料理を作りすぎて結局食べ残しを増やしたり、余った料理の保存に失敗したりすることも食品ロスの原因となります。
家庭料理に多い食品ロスとしては、調理の技術や認識不足で食べられるものまで廃棄してしまうこと。果物やジャガイモなどの皮を厚めにむいたり、工夫すれば使える野菜の茎や芯などを捨ててしまうと食品ロスを増やすことになります。

家庭で食品ロスをなくすためにできること

家庭で食品ロスをなくすには「もったいない」の精神が必要です。食材や食品を買いすぎる人は買物の前に在庫の有無をチェックするように心がけましょう。買物の前に戸棚や冷蔵庫の中をスマホで撮影すると買い物中に在庫確認ができます。
コンビニやスーパーで食品を買うときは賞味期限が気になりますが、その日のうちに使う食材は棚の奥から取ったりせず、手前から取りましょう。賞味期限が近い商品は未開封でも廃棄されるため、お店の食品ロスを増やことにつながります。
購入した食品や食材の保存方法も重要なポイント。不適切な方法で保存すると食品の劣化を早めてしまい、結果的に食品ロスを増やすことになりかねません。食材は小分けして保存するなど無駄なく保存する工夫をしましょう。
料理を作るときは家族の体調や各自の日程などを考慮して量を調整し、食べ残しを出さないように工夫しましょう。余った料理を冷凍できるなら保存して食べきるように心がけてください。

自治体の生ゴミ処理機助成金について

家庭での食品ロス削減に関連して、全国の自治体が生ゴミ処理機の助成金制度を導入しています。生ゴミは水分を多く含むため燃えにくいだけでなく、ゴミステーションで腐敗して悪臭を放ったり、害虫や害獣が繁殖したりする原因にもつながります。
一般家庭でも生ゴミの臭いやハエなどの繁殖に悩まされるケースが多いのではないでしょうか。そんなトラブルの解決に役立つのが生ゴミ処理機です。市販の家庭用生ゴミ処理機は乾燥方式とバクテリア方式に大別されます。
乾燥方式は生ゴミを電気的に乾燥させることで悪臭や細菌、害虫などの発生を防ぐ仕組みになっています。家庭用の小型機種では数時間で乾燥させることが可能。そのままゴミとして捨てることができます。
バクテリア方式はバクテリアの力で生ゴミを分解して堆肥などに変換する方式です。野菜作りが好きな方は「コンポスト」という巨大なポリバケツを伏せたような生ごみ処理機をご存じのはず。マンションのベランダにも設置可能な小型機もあります。
家庭向けの生ゴミ処理機はタイプやサイズによって価格が異なりますが、おおむね3~10万円前後。その費用の一部を助成する制度を全国の自治体が設けています。東京都の場合、千代田区では3万円を上限として、購入費用の3分の2まで助成します。
助成する金額は区によってまちまちで、品川区では2万円を上限として購入費用の3分の1まで助成します。一方、助成金制度がない区も多く、中央区、新宿区、文京区などは助成しません。23区以外でも助成金制度がなかったり、あっても条件が違ったりします。
なお生ゴミ処理機の一種で台所から出る生ゴミを粉砕して下水道へ流す「ディスポーザ」という装置もありますが、自治体によってはディスポーザーを生ゴミ処理機助成金の対象外としているため注意が必要です。
くわしくはお近くの市役所や区役所など自治体の窓口にお問い合わせください。

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まとめ

食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられる食品のこと。日本国内における令和元年の食品ロスは年間570万トンに達します。食品ロスはもったいないだけでなく、世界的な食糧難や地球環境の悪化につながります。
飲食店における食品ロスの原因は客の食べ残しや料理の仕込みすぎ、食材の仕入れすぎなどがあげられます。家庭では食品の買いすぎや過剰調理などが食品ロスの原因となります。
家庭での食品ロス削減に関連して、全国の自治体が生ゴミ処理機の助成金制度を導入しています。

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