フレンチとはなにか 歴史と特徴の解説
目次
フレンチと聞くと、テーブルマナーに厳しい格式高い料理、というイメージをする方も多いようですが、実際にはどうなのでしょうか。この記事では、フランス料理の歴史やマナー、食材について解説します。
フレンチとはそもそもなにか
「フレンチ」とは、元々フランス国民やフランス語を表す言葉ですが、日本ではフランス料理のことをさすことが多いでしょう。
フランス料理は、中華料理やトルコ料理と並んで世界三大料理と称されています。フランス料理と聞くと、「フルコースの格式高い料理」がイメージされることも多いですが、実際には14世紀頃までテーブルに並べられた料理を手づかみで食べており、現在のようなマナーはなかったそうです。フランスは地理的にドイツ、イタリア、スペイン、スイス、オランダなど、様々な国が陸続きで隣接しており、周辺の国から食文化も影響を受けています。
コース料理だけでなく、サンドウィッチやフライドポテト(フレンチフライ)、クレープ(ガレット)もフランス料理と言えますし、もっと素朴な家庭料理もあり、様々な食文化を取り入れた多様性にあふれているのがフランス料理です。
フランス料理の歴史
フランス料理の歴史はそれほど過去にさかのぼらず、14世紀頃にフランスの宮廷料理が生まれたとされています。その当時は現在のようなテーブルマナーが存在せず、大皿に盛りつけられた料理を手づかみで食べていました。その後16世紀頃に、当時のフランス王がイタリアのメディチ家のカトリーヌという女性と結婚したことで、フランス料理が一気に発展します。カトリーヌはフランスに嫁ぐ際にイタリアの料理人を一緒に連れてきており、そこからナイフとフォークを用いる食事作法が広がりました。
それまでの素材を焼くだけだった料理が、様々な香辛料や、砂糖、ソースを使用した料理に変わっていき、「スープは音を立てずに食す」という作法なども取り入れられていきます。イタリア料理の基本を取り入れた上で、フランスの宮廷料理人たちがクオリティを高めていき、現代のような上品で繊細なフランス料理が確立していきました。
また、料理を1皿ずつ運ぶスタイルが定着したのは19世紀頃のロシア料理の影響です。
フレンチとイタリアンの違い
フランス料理はイタリア料理の影響を強く受けていますが、使用する食材や調理法がかなり異なります。
まず料理に使用するオイルですが、オリーブオイルの一大産地であるイタリアは、炒める時にはもちろん、蒸し料理やドレッシング、料理の仕上げにもオリーブオイルを使います。一方フランスは酪農が盛んな為、オリーブオイルも使われることはありますが、基本的にはバターが多用されます。
調理法には気候が影響します。イタリアは温暖な気候ということもあり、あまり手を加えずに素材の味を活かした調理をするのが基本です。食材の臭み消しや風味付けで、ハーブやニンニクなどがフレンチと比べるとよく使われます。フレンチはソースが命だと言われ、調理工程が複雑で凝った料理が多いです。これにはフランスの気候が関係しており、フランスはイタリアに比べると涼しいことから、食材の保存が効き、酪農が盛んなことから乳製品や肉が多いので、長期保存ができる加工品や乳製品を使ったソースが進化していきました。
また、主食にも違いがあり、フランスはパン、イタリアはパスタです。
フランス料理の特徴
フランス料理の食材
肉類は日本と同様に牛肉、豚肉、鶏肉は食されており、鴨、ウサギ、鹿なども使われます。魚介類では鯛、ヒラメ、イワシなどの他、オマールエビ、ムール貝、牡蠣なども使われますが、フランスでは魚より肉の方が好まれているようです。
生クリームやバターなどの乳製品も好んで使われており、小麦粉と牛乳で作るベシャメルソースや、バターと生クリームで作るブールブランソースが有名です。また、フランスではチーズも有名で、フレッシュなチーズからハードタイプ、白カビ、青カビなど、そのまま食べるだけでなく料理にもよく使われています。
フランス料理のマナー
フランス料理を食べる際には様々なテーブルマナーがあります。
*カトラリーは外側から使い、床に落とした場合はスタッフに拾ってもらいます。自分で拾うのは禁止です。食事中はナイフとフォークをお皿の上に「ハの字」になるように置き、食べ終わったらナイフとフォークは揃えて置きます。
*サラダなどの生野菜のカットが大きかった場合、ナイフとフォークで使って折りたたんで食べます。
*スープはスプーンを奥から手前にすくって食べます。スープが少なくなったら、お皿の奥の方を浮かせます。
*手づかみで食べるのは禁止です。
*ナプキンは二つ折りにして、折り目を自分の方に向け、太ももの上に置き、口や手を拭く時には、ナプキンの内側の端を使います。
フランス料理のコースを解説
フルコースでも、一般的なフルコースから最も格式高いフルコースまで存在しており、メニューの数も異なってきます。ここでは一般的なフルコースを解説します。
- 前菜
- スープ
- 魚料理
- 口直しのソルベ
- 肉料理
- デザート
- コーヒーと小菓子
この他に、サラダ、チーズ、フルーツなどもコースに入ることがあります。
代表的なフランス料理
フランスには煌びやかなコース料理の他にも、様々な地域色の強い郷土料理や家庭料理も存在しますので、いくつか紹介します。
- キッシュ・ロレーヌ…パイ生地に様々な具材を入れ、生クリームと卵をベースにした液体を注いでオーブンで焼き上げた、ロレーヌ地方の有名な料理です。
- バスクチーズケーキ…フランスとスペインの両国にまたがる位置にあるバスク地方の、表面を黒く焦がした特徴的なチーズケーキです。
- カスレ…ラングドック地方の、肉類やソーセージと野菜、豆類を煮込んだボリュームのある煮込み料理です。
- クイニーアマン…ブルターニュ地方の、バターをたっぷり使って焼き上げるサクッとした生地の甘いパンです。
まとめ
フレンチと一口に言っても、格式高いフルコースだけでなく素朴な家庭料理もフランス料理です。イタリア料理の要素が取り入れられて料理の内容やマナーが発展したフランス料理ですが、気候的な差から使用する食材にも違いがあり、独自の進化を遂げてきました。フレンチに興味を持つ機会があれば、料理だけでなくテーブルマナーや作法も学びましょう。
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