フレンチとイタリアンの違いについて解説 それぞれの歴史や調理法、テーブルマナーも合わせて紹介
目次
日本でも人気が高い洋食の定番と言えば、フランス料理とイタリア料理です。
どちらもヨーロッパの国の有名な料理ですが、フランス料理とイタリア料理の具体的な違いについて具体的に説明しようとすると、難しいと感じる方も少なくないかと思います。
この記事では、フランス料理とイタリア料理の違いについて解説いたします。
フレンチとイタリアンの違いについて解説
フレンチとイタリアンには共通点もありますが、違いもたくさんあります。
それぞれの特徴や違いについて解説いたします。
イタリアンとフレンチのルーツは?
実はフレンチとイタリアンのルーツは同じで、フレンチの原点がイタリアンなのです。
1553年にフランスのアンリ2世とイタリアのカトリーヌ・デ・メディシスが結婚した際に、カトリーヌがイタリアから料理人や料理の技術、調理法やマナー、そして食器などを持ち込んだことがきっかけです。今や高級料理のイメージが強いフレンチですが、それまでのフランス人はフォークやスプーンを使わず手づかみで食べていました。その様子を嘆いたカトリーヌが毎晩のように晩餐会を開き、フランス宮殿の料理人たちは日夜腕を磨いたと伝えられています。
したがって、フレンチの歴史は中世からですが、イタリアンの起源は古代ローマ帝国の時代であるため、歴史の長さに大きな違いがあります。そして、ルーツは同じですが、時代と共に2つの料理は変化し、違いが生まれてきたのです。
使われる食材、調味料の特徴を解説
フレンチといえば、白い食器に食材やソースがきれいに盛り付けられている高級なイメージを持つ人が多いでしょう。
対するイタリアンは、トマトソースやチーズなどの色鮮やかな料理が思い浮かぶのではないでしょうか。
フレンチはソースが決め手となる料理が多いのが特徴です。バター・チーズ・ブイヨン・生クリームなどを使い、手間をかけてソースを作り、食材に変化を加えていきます。ソース以外にも、ムニエル・ポワレ・ソテー・コンフィなど、食材は同じでも調理方法を変えることでバリエーションが豊富です。
イタリアンはオリーブオイルやバルサミコなどのシンプルな味付けを施し、食材が本来持っている味を楽しむというような調理法が中心です。フレンチと比較すると魚介類が少なく、郷土の野菜を使った料理が多くあります。イタリアンの中でも南イタリアと北イタリアとでは食材や味付けが全く異なることも特徴のひとつです。
イタリアは新鮮な食材が手に入りやすいですが、フランスは新鮮な食材を手に入れることが難しいため、フランス人は調味料に研究を重ねてきたことも、現在の2つの料理の違いにつながっています。
炭水化物については、フレンチがパン主体なのに対して、イタリアンではパスタ・フォカッチャ・ピザなどさまざまです。フレンチではバケットやカンパーニュなどのハード系でシンプルなパンが人気。イタリアンのピザは、モッチリとした生地が特徴のナポリ風、薄いクリスピー生地のローマ風など、ピザ生地も地方によって違いがあります。
イタリアンとフレンチの料理、調理法の違いを解説
前述したように、フランスは食材の流通が不便で、新鮮な食材を手に入れることが困難でした。そのため、フランスの料理人たちは美味しい料理に仕上げるためにソースや香り付けなどの料理の技法を研究したのです。こうして、「フレンチはソースが命」とまでいわれるようになりました。フランスは涼しい気候なので食材の保存がしやすく、酪農が盛んなため乳製品や肉が豊富。そこで、保存しやすいハムやソーセージなどの加工食品や芸術的ともいえる盛り付けなどが生まれ、繊細な料理へと進化していきました。
一方、地中海に囲まれているイタリアは気候が温暖で、新鮮な食材に恵まれています。そのため、新鮮な食材の素材を存分にいかした素朴な料理が多いのが特徴です。魚介類は、温暖なイタリアでは傷みやすいので、魚介を丸ごと使った料理やハーブやニンニクを使って臭みを消したり風味を増したりする工夫をします。
ちなみに、イタリアンとはイタリア各地の郷土料理の総称で、地域によって使われる食材には違いがあります。
スイスやフランスと隣接するイタリア北部ではバターや生クリームを使った料理や、肉や乳製品を使った料理がたくさんあります。
ナポリなどのイタリア南部ではオリーブオイルやトマトをたっぷり使った料理が多く、パスタやピザも南部料理です。北部と南部の間に位置する中部イタリアは、北と南の料理をミックスした料理が多いです、イタリアンは地域によって調理法や食材に大きな違いが生まれることが徴です。
それぞれの料理や調理法を一言でいえば、フレンチはソースや味付けを重視した料理、イタリアンは新鮮な食材を生かした料理です。
テーブルマナーに関する違いを解説
フレンチに比べるとイタリアンにはカジュアルなイメージがありますが、もちろん格式が高いイタリアンレストランではきちんとしたマナーが求められます。フレンチとイタリアンのテーブルマナーは異なりますので注意しましょう。
イタリアンとフレンチが食される際には、どちらもスプーンとフォークを使いますが、使い方には大きな違いがあります。
スープを飲むときに、フレンチでは奥から手前にスプーンを運ぶのに対し、イタリアンでは手前から奥に運びます。スープが残り少なった際には、フレンチは皿を奥の方を浮かせて傾けるのに対し、イタリアンでは皿の手前を少し浮かせて飲みやすくします。なお、どちらも音を立てて飲まないというのは共通のマナーです。
フレンチではフォークを途中で左手から右手に持ち替えてもよいですが、イタリアンでは持ち替えることはできません。イタリアンではリゾットを食べる際もフォークを使います。また、ピザを食べるときにもできるだけナイフとフォークを使って食べることが望ましいです。しかし、どうしても食べにくければ手づかみで食べても問題はありません。フレンチでは手づかみで食べることは厳禁です。
また、フレンチではフォークの背中側に料理をのせて食べてはいけませんが、イタリアンでは構いません。
フレンチではサラダなどの生野菜は、切らずにナイフとフォークで折りたたんで食べます。イタリアンではパスタを食べる際、スプーンを使わずフォークのみで食べます。
パンの食べ方にも違いがあります。フレンチはパンをちぎり、バターナイフで切ったバターをつけて一口で食べます。そして、一般的にはデザートが運ばれてくるまではパンを食べることができるのです。ソースをパンにつけるときは、パンをフォークで刺してから食べます。
一方、イタリアンではパンを一口にちぎり、塩が少し入っているオリーブオイルに浸して食べます。パンにソースをつけることも問題はありません。パンとサラダを食べるときは、自分でオリーブオイルやバルサミコ酢、塩などをかけて食べましょう。
料理を食べ終えたときの合図は、フレンチの場合だとナイフとフォークを揃え、体と水平に皿の上に置くか、皿の右側に斜めにそろえて置きます。イタリアンでは、体と垂直に揃えて置くことが合図です。
まとめ
フレンチとイタリアンの違いについて解説いたしました。
フレンチのルーツはイタリアンにあるので共通の特徴もありますが、気候や歴史によって徐々にそれぞれの料理の特徴が生まれいきました。
どちらも美味しく、世界中から愛される料理ではありますが、テーブルマナーに違いがあるため、実際にフレンチとイタリアンを食べる際には注意しましょう。
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