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ガストロノミーとは その成り立ちや日本の「美食」との違いについて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/03
更新日:2022/11/01

目次

近年、「ガストロノミー」という言葉をよく耳にするようになりました。ガストロノミーとは、料理やワインなどの食事全般を、文化や芸術のレベルで考えることです。もともとは、食事に関する論理展開とされてきましたが、食事を追求することで環境や医療などの社会的な場面にも発展するとも考えられます。そのため、ガストロノミーのの定義は人によって違うといえるでしょう。

本記事では、ガストロノミーの一般的な定義や歴史、ガストロノミーレストランについて、詳しく解説いたします。

そもそもガストロノミーとは?

ガストロノミーとは、「食事と文化の関係を考察すること」をさす言葉です。

また、ガストロノミーレストランとは、上質な素材やテクニックが求められ、高いクオリティーの料理を提供するレストランのことです。一般的には、記念日などの大切な日や旅行先での食と旅の思い出として、事前に予約が必要なお店がガストロノミーレストランと呼ばれます。お店によっては、ドレスコードが必要なケースもある、格式高いレストランをさす言葉です。贅沢な空間と、美しいお皿や料理、ソムリエなどのプロによる、特別で優雅なサービスを楽しめるのが、ガストロノミーレストランの醍醐味といえるでしょう。

ガストロノミーは、フランスが発祥の言葉といわれています。しかし、フランスと日本とではそれぞれの意味に違いがあります。

日本の「美食」との違い

ガストロノミーは、日本語で「美食学」と呼ばれることが一般的です。

フランスにおけるガストロノミーは、格が高いフランス料理のレストランや高級食材店である証明として用いられます。こうした傾向は、イタリアをはじめとするヨーロッパの幅広い地域の料理を扱うレストランにも共通しています。

一方で、日本における「美食」の概念は、美味しい料理やお酒と共に、味わいを表現する姿勢であることが一般的です。食事だけを楽しむ空間や、お酒だけをメインで味わうようなお店は該当しません。
また、昨今の日本では、ガストロノミーが食料の生産部分に対しても用いられるようになっています。オーガニックなどの人気により、日本の農業は大きな注目を集めています。

ガストロノミーの歴史

フランス語の「ガストロノミー(gastronomie)は、ギリシャ語の「ガストロニミア(gastronomia)」が語源です。
17世紀前半から使用され始めた言葉とされており、ガストロノミーは元々「胃袋(gastro)」と「規範(nomie)」から作られた言葉です。「胃袋を支配する」ことを意味し「フランスの食文化」として根付いている言葉といえるでしょう。

レストランの発展との関係

19世紀は、フランスでレストランの人気が高まった時期です。それまでは、一部の人にしか行き渡ることがなかった「美食」が、お金を払うことで幅広い層に楽しんでもらえるようになりました。
19世紀から20世紀は、ガストロノミーの本が盛んに出版され、身分や職業に関わらず、それぞれの視点から、フランス料理の食文化について書き著されました。
こうしたフランスでのレストラン人気を背景に、ガストロノミーへの考察の対象が広がったといえるでしょう。

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旅とガストロノミー

19世紀末から20世初頭に、「旅と食の楽しみ」についての本が出版されました。
それまでの旅のイメージは、目的地に到着することだけを目的とし、交通手段も少なかったため、「食の思い出」を作るという概念はありませんでした。しかし、19世紀後半には自動車や鉄道などの開発により、交通の利便性が大きく高まったことで、旅を「レジャー」として楽しむ考えが生まれ、「食」が旅の思い出の一部になったのです。

地方主義と工業化

19世紀末は、産業革命によって工業化が盛んに行われました。
工業化が進んだことにより、加工食品や大量生産が可能となり、人々は「効率性」を重視するようになります。生活の利便性は高まった一方、都心部と地方での経済格差を心配する声もあがりました。フランス各地の個性や文化が失われるのでは無いかという懸念が大きくなっていきます。
こうして、各地域の文化的・経済的な豊かさを求め「地方主義」が誕生しました。当時の美食家たちも「地方主義」に賛同し、フランス料理の多様性や芸術性の復興を目指す活動が始まったのです。

ガストロノミーレストランとは

ガストロノミーレストランとは、祝い事などの特別な日に過ごすレストランをさします。
一般的には、フランス料理を扱うお店が多く、色鮮やかで上品な料理が添えられているレストランです。お店によっては、海に囲まれた空間や自然の中で料理を楽しむことができるなど、料理やサービスだけでなく、空間も一緒に楽しめるレストランもあるでしょう。

基本的には、ゆったりとした時間を過ごす場所とされています。フランスでは、ガストロノミーレストランで食事をするということは、平均3時間から4時間はテーブルで過ごすことを意味します。

また、近年では「ビストロ」と融合された言葉である「ビストロノミー」と呼ばれるレストランも誕生しました。

ビストロとは、ガストロノミーよりもカジュアルで庶民的な場所を意味します。地方料理や伝統料理、家庭料理を食堂的な感覚で味わうことができる空間です。ガストロノミーの上質なテクニックや料理が、庶民的な価格で楽しめるのが「ビストロノミー」です。
質の良い食材を使用し、カジュアルながら上質な料理とコストパフォーマンスを両立することで、近年高い人気を誇ります。

「ビストロノミーレストラン」は、飲食業態における重要な一角を占めているといえるでしょう。

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まとめ

ガストロノミーとは、料理やワインなどの食事全般を、文化や芸術のレベルで考えることです。
「食事を文化や芸術の域まで到達させた理論展開」がガストロノミーといえるでしょう。

一方で、食事全般を文化や芸術の域まで理論展開するためには、どうしても一般生活との間に疎遠が生じます。
そこで、上質な食材を安価に提供する業態として「ビストロノミー」という新しい言葉が誕生しました。

ガストロノミーレストランでは、ワインの歴史や食材の質、技術、調理法など深く追求することができるでしょう。
記念日などのハレのひや旅先での思い出の一つに、ガストロノミーレストランで特別な空間を体験してみてはいかがでしょうか。

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