フランス 料理の様々な用語を紹介
目次
フランス料理は世界三大料理の一つで、2010年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。世界中で格式の高い料理として認識され、日本でも人気の高い料理の一つです。
今回の記事では、フランス料理について、歴史や用語をはじめ、どのような料理があるかについて解説いたします。
フランス料理の用語について
フランス料理の歴史や用語について確認しておきましょう。
歴史について
フランス料理は中世の時代、宮廷内だけの食文化で、作法も今ほど確立はされていませんでした。ナイフやフォークを何本も使い分け、料理が順番に出てくるスタイルではなく、直接手づかみで食べることもあったほどです。
現在のフランス料理の形になったのは16世紀に入ってからです。1533年に当時のフランスの王様であったアンリ2世がイタリアのメディチ家のカトリーヌと結婚したためです。カトリーヌにはお抱えのイタリアンシェフがおり、イタリア料理やその作法をフランスに持ち込んだとされています。フォークやナイフを使う、スープは音を立てずに飲むなどの習慣はイタリアから持ち込まれたものでした。
17世紀に入り、イタリアスタイルを継承したフランス料理には独自の文化が加わりました。フランスの高級な宮廷料理モデル「オートキュイジーヌ(至高料理)」の誕生です。宮廷料理人たちが調理技術を競い、試行錯誤し、現代のような総合芸術としても評価の高いフランス料理が生まれました。当時は宮廷内でも一部の特権階級の人だけで食された料理です。
その後、フランス革命によって、宮廷で料理をしていた人たちが次々と失業し、町でフランス料理のお店を開くようになりました。こうして、庶民の間でもフランス料理が食べられるようになったのです。
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用語について
フランス料理には様々な用語が使われています。日本人には聞き慣れないものも多く存在しますが、ここでは一般的なものや頻繁に使われる用語について見ていきましょう。
食材
エスカルゴ
フランス料理で出てくる食材で有名なのがエスカルゴ(かたつむり)です。料理に使われるのは、野生のカタツムリではなく、食用のものを専門施設で育てています。
殻から身を取り出して加熱して、パセリやニンニクなどを混ぜたバターソースを絡め、焼く料理があります。ワインによく合う人気の一皿です。
フォアグラ
世界三大珍味の一つで、フランス料理には欠かせない食材です。フォアグラはガチョウやアヒルにたくさんの餌を与えて肝臓を肥大させて作ります。フランスではクリスマスや祝いごとの際の伝統料理のごちそうとして食べられています。赤ワインとの相性がよく、高級食材として用いられます。
調理方法
ポワレ
ソテーを意味します。深めのフライパンのことをフランス語で「ポワル」と言い、語源となっています。肉や魚に塩をふり、表面はカリッと、中はふっくらした状態に仕上げる調理法です。
ポシェ
フランス語で「茹でる」「煮る」といった意味があります。水やブイヨン、ワインなど液体を一度沸騰させ、弱火にしてから食材をゆっくり煮込む調理法です。 低温の油の中で、ゆっくり食材に火を通していく料理「コンフィ」も、ポシェの一種です。
グリエ
英語のグリルに似ているため、名前から想像がつく人もいるかもしれません。直火にかざして焼く料理法です。魚焼きグリルやグリルパンを使った料理もグリエと呼ばれています。 日本の七輪を使った料理(焼肉、焼き魚など)と似ています。
ソテー
油やバターをひいたフライパンで具材を炒める調理法です。日本でもポテトソテーなどの料理として親しまれています。
ブレゼ
日本料理では『蒸し煮』に近い調理法を表します。日本料理のように蒸し器に入れた鍋や容器ごと蒸気で蒸すのではなく、一つの鍋で『蒸す』『煮る』を同時に行います。魚や野菜、肉などの具材を密閉できる容器に入れ、だし汁、水、ワインなどを加えて、オーブンで加熱する調理法です。時間をかけ、蒸しながら煮ていきます。ソースに香味野菜やワインの旨味が溶け出しているので、ソースとして、そのまま食べられます。
ロティール
英語ではローストと言われます。串にお肉や鳥を刺して、直火にかけた丸焼きのことです。高温で長時間焼き上げるため、表面はしっかりと香ばしい焼き色がつき、中から肉汁が流れないため、旨味を閉じ込め、ジューシーで柔らかく仕上がります。
フリール
日本料理でいうところの『揚げる』にあたるのがフリールです。油をたっぷりと使い、素材を入れて加熱する調理法です。
ラグー
シチューのようにじっくり煮込む調理法です。固めのお肉(肩肉・すね肉・ほほ肉など)を長時間かけて柔らかくします。豚の角煮のようにしっとり、とろけるようなお肉に仕上がり、食べやすくなります。
料理
テリーヌ
日本でもおなじみの用語の一つです。テリーヌはフランス語で「容器」を意味します。蓋つきの長方形の陶器の中にフォアグラや魚介類などを詰めて焼いたり湯煎したりした料理のことです。冷製で提供されることが多い一皿です。
ナヴァラン
羊肉を野菜と一緒に煮込んだ料理を指します。春野菜と一緒に煮込んだ「ナヴァラン・プランタニエール」は、フレンチの代表的な料理の一つです。
キッシュ
日本でも料理名としてよく耳にするキッシュは、小麦粉とバターで作ったパイ生地を敷いた器に、ベーコンや溶き卵、豚肉、チーズ、生クリームなどの具材を混ぜた卵液(アパレイユ)を入れ、焼き上げたものです。フランスのアルザス=ロレーヌ地方発祥の家庭料理で、「キッシュロレーヌ」とも言われています。
キャセロール
フランス語で「洋風のフタ付き厚手鍋」の意味を表します。イメージしやすいのはフランス版シチュー。鶏肉や猟の獲物などの比較的硬い肉を、野菜や調味料と一緒に煮込んだ料理です。別名でココットとも呼ばれます。
ソース
アルベール
ヒラメや舌ヒラメに用いられるソースを指します。マキシムの名給仕長の名にちなんだ名称です。エシャロットとシャンピニョンを炒めた中に、ノイリー酒を入れて煮詰め、魚のだし汁を加えて混ぜ合わせる方法で作ります。
ソース・ヴィネグレット
ヴィネガー(お酢)を使ったドレッシングのことです。お酢と油を混ぜ合わせただけのシンプルなドレッシングのため、使う材料によって味が左右されます。白・赤のワインヴィネガー、米酢、バルサミコ酢に加えて、最近ではフルーツヴィネガーを使う場合もあります。油もサラダオイル、オリーブオイル、菜種オイルなどによって異なった味わいのドレッシングとなります。
ソース・ベアルネーズ
バターと卵黄の乳化系のソースの一つです。エシャロットをワインや酢で煮詰めたもので、温かくても冷たくても使われます。お肉との相性が良い伝統的なソースなので、老舗のお店ではソースとして登場します。
デザート
コンポート
スイーツでコンポートという用語は耳にすることが多いでしょう。フランス語で「果物の砂糖煮」を意味します。果物をワインとシロップで煮込む調理法です。ジャムのように煮詰めすぎないのがポイントです。
グラッセ
お菓子や料理の表面にバターを加えた煮汁で煮るなどしてツヤを出すことや、お菓子などに糖衣をきせること、冷やして固めることを指します。
デセールフリュイ
フリュイとは果物のことで、果物の入ったデザートを指します。フルーツをふんだんに使ったゼリーが有名です。メロンやマンゴー、いちごなど色とりどりのフルーツを使うので見た目もとても華やかです。
フォンダン・オ・ショコラ
フランスではチョコレート好きの人が多いため、チョコレートのデザートが多く作られています。フォンダン・オ・ショコラは日本でも人気のデザートの一つで、チョコレートケーキの中を割ると、チョコレートソースがとろりと溶け出すようになっています。
まとめ
フランス料理は高級食材を使った特別なときに食べるもの、というイメージがあり、なかなかレストランに行きにくい、という人もいるでしょう。しかし、日本でもよく聞く料理名や食材なども多く使われており、馴染みのあるものもいくつかあります。知れば知るほど深いフランス料理ですが、知っていれば味わいもまた変わってくるはずです。料理人にならなくても、知識として頭に入れておくとより楽しめます。
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