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桃の節句の由来とは それぞれの食べ物の由来も合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/06/20
更新日:2022/10/24

目次

3月3日は【桃の節句】と呼ばれ、雛人形を飾って女の子の健やかな成長を祈願する文化があります。
「ひな祭り」とも呼ばれ、ひなあられやちらし寿司を食べるこの日は、日本人にとって身近な文化の一つですが、具体的にどういった由来で、どんな理由があって行われている行事なのかを詳しく知らない方も少なくないでしょう。
この記事では、桃の節句とは、その由来について、桃の節句で食べるものとはについて、解説させていただきます。古くから存在する習わしには、それぞれ大切な理由が存在します。
その由来と意味を知ることで、記念日を更に大切に過ごすことが出来るようになるでしょう。


桃の節句とは・その由来について


冬から春にかけての梅の花が咲き終わり、春の季語でもある桃の花が咲き始める3月3日を桃の節句と呼び、雛人形を飾って女の子の健やかな成長を祈願します。

日本では平安時代より前から、親は女の子が産まれると人形を作り、その子の健やかな成長と良縁に恵まれる願いを込めると言われており、雛人形を飾る由来はその子に降りかかる災いを引き受け、その身代わりとなってくれるように、という意味合いがあるのです。

また、将来良縁に恵まれ、幸せな結婚が出来るように、という意味で結婚式の場面を表している意味合いもあると言われています。
共に飾られる菱餅や白酒などにはそれぞれに意味合いがあり、これらは身代わりを引き受けてくれる雛人形へのお供え物という事になります。
3月3日を桃の節句という呼び名については、古来より桃の枝や花には魔よけの効果があるとされていることが由来とされます。
桃が持つ魔よけの効果から、女の子の健やかなる成長を願い、ちょうど春に咲き始める桃の花の美しさと呼び名の響きの美しさ、二つを兼ねていることから桃の節句と呼ばれるそうです。
また、百歳(ももとせ)まで生きられるよう、という長寿の願いが込められているとも言われています。こういった言葉遊びのような意味の掛け合いは、日本語独自の美しい風習といえるでしょう。

桃の節句で食べるものとは

桃の節句に食べるものについては、それぞれに意味が込められています。

菱餅

上から、赤(ピンク)、白、緑の順で、その名の通り菱形に作られた菱餅は、雛人形と共に飾られることが多いことから、桃の節句を代表するもののひとつです。
飾られる意味合いとして、女の子に降りかかる厄災を引き受けてくれる雛人形へのお供え物、ということになりますが、菱餅にはその鮮やかな色合い、形状、原材料のそれぞれに込められた理由があります。
菱餅の三つの色には、

  • 赤(ピンク)…色付けに使われるクチナシの実には解毒作用があることから【魔よけ】
  • 白…菱の実は繁殖力が高く、血圧を下げる効果があることから【子孫繁栄】【長寿】
  • 緑…色付けに使われる蓬の新芽に増血作用があることから【健康】【厄除け】

と、それぞれに意味があり、見た目鮮やかな菱餅には、女の子の子孫繁栄や無病息災への願いが込められています。
また、色のイメージとして、
赤(ピンク)は桃の花、白は雪や残雪、緑は新緑や新芽を、それぞれ意味することで、

雪の中より新緑が芽吹き桃の花が咲く
という、春の訪れがイメージされている、ともいわれることもあります。

菱餅の形状と原材料
菱餅の特徴である菱形は【菱の実】がイメージされたものです。
菱の種子は菱餅の原材料ともなるものですが、この菱の実は固いとげで覆われていることから【魔よけ】の効果があるとされており、また、強い繁殖力も持ち合わせることから【子孫繁栄】への願いも込められています。
菱餅の特徴的な菱形は、菱餅の色が持つ意味と同じように、女の子の子孫繁栄、無病息災を願う縁起物としての意味を持ち合わせているのです。

ひなあられ

ひなあられは菱餅と同様、雛人形と一緒に飾られる場合が多いことで有名なことから、菱餅と並んで桃の節句を代表するような存在ともいえます。
その菱餅との関連性も深く、ひなあられの起源は菱餅を砕いて屋外でも食べやすくしたものであるという説が有力です。
その昔、女の子たちは天気が良くなると雛人形を外に持ち出し、一緒にお出かけを楽しんでいたとされており、その際に持ち歩きやすいよう、菱餅を砕いてあられにしたことがひなあられの誕生の由来となっています。
これが、雛人形には菱餅と一緒にひなあられが飾られていることが多いという理由です。
また、菱餅が赤、白、緑の3色なことに対し、ひなあられはその3色に黄色を加えた4色である場合もあります。
これには理由があり、基本の3色はそれぞれ、

  • 赤…血や魂などのような生命のエネルギー
  • 白…雪の積もった地面のような地面のエネルギー
  • 緑…緑の木々を表したような自然のエネルギー

を、意味すると言われています。
そこへ黄色が加わることで、赤は春、夏は緑、秋は黄、冬は白というように、それぞれが春夏秋冬を表すという風な意味合いが加わります。
それを食べることで、四季折々の自然が持つエネルギーを体内へ摂取し、女の子が一年を通して健康に過ごせるように、という願いが込められているのです。
菱餅同様、女の子の健やかな成長への願いが込められた縁起物であることがお分かりいただけるかと思います。

はまぐりのお吸い物

はまぐりは貝の中でも特に強い旨味を持つことから、老若男女を問わず人気のある貝ですが、桃の節句ではまぐりのお吸い物が用いられるのは単に美味しいからというだけではありません。
はまぐりの貝殻は、その一対でのみ、ぴったりと合うように出来ており、他の物と組み合わせても合うことはなく、平安時代には、「貝合わせ」という遊びに用いられていたといわれるほどです。
このことから、将来、一人の伴侶と末長く結ばれるように、仲の良い夫婦となれるように、という願いが込められているもにになります。
また、古くから春に行われている「磯遊び」という行事では、家族や仲間と近くの浜や磯で遊んだり飲食をしたりするという風習があり、そこで採れた貝を神様に供えて祝うということも由来の一つです。
古来より二枚貝はその見た目から、お姫様を表す象徴ともされ、はまぐりはちょうど3月~4月の春頃に旬を迎えます。
透き通ったお吸い物は、先が見通せるようにとお祝い事の際に用いられることも少なくありません。
良縁を招くとされる縁起の良いはまぐりは、桃の節句には欠かせない食材といえます。

ちらし寿司

桃の節句での食事のメインとして食べられることが多い、具沢山で色鮮やかなちらし寿司ですが、その由来については諸説あるといわれており、

  • 海や山の様々な食材を一緒に盛り合わせることで自然のエネルギーを取り入れる
  • 江戸時代に一汁一菜が命じられた際、一度の食事で様々な食材を食べられるように
  • 【寿を司る】ことから縁起が良く、大人数で一緒に分け合って食べる事が出来る

など、どれも縁起をかついだものばかりです。
ここでは、ちらし寿司に入れられる具の理由について、それぞれ紹介していきます。

  • 海老…火を通すと曲がることから、腰が曲がるまで長生きできるように。また、赤い色が魔よけの効果に。
  • れんこん…穴が開いていることから、将来が見通せるように。
  • 豆(きぬさや)…マメ(勤勉)に働き、マメ(苦労なく)に暮らせるように。
  • 錦糸玉子…財宝が貯まるように。
  • 人参…根を張るように(生活が安定するように)。

他にも、春らしい菜の花や、桃の花に見立てた田附(でんぶ)を入れたりすることもあります。
地方によっても様々な違いがあるちらし寿司ですが、基本はおせち料理と同様、縁起の良い食材を盛り込み、華やかな料理を大勢で分かち合って食べることで、健康や繁栄を末永く願うという意味が込められたものになります。

まとめ

3月3日、桃の節句は女の子の誕生を祝う日であり、縁起の良いとされる食材を食べることで、今後の健やかな成長、無病息災や良縁を願う日にちとなっています。
雛人形と共に飾られることの多い菱餅とひなあられは、その鮮やかな色合いと使われる原材料から【無病息災や子孫繫栄】を、
はまぐりのお吸い物は、一対の貝殻としか組み合わないことから、【良縁を招き、仲睦まじい夫婦となれるように】、
ちらし寿司は、縁起の良い食材を盛り合わせることで【健康長寿、安定した生活】を、それぞれ意味しています。
どれも、見た目の特徴や名前、材料の色などからそれぞれ縁起の良さを見出したものです。
この言葉遊びのような文化は日本語独自のものであり、引き継いでいくべき美しい文化の一つであるといえるでしょう。

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