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なぜ土用の丑の日にうなぎを食べるのか解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/10/02
更新日:2022/11/02

目次

土用の丑の日といえば、うなぎを思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜなのか、よく知らないという人もいるでしょう。

土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜか、その理由や歴史、うなぎの栄養価などについて詳しくご紹介します。

土用の丑の日とは?

土用の丑の日にはどんな意味があるのかについて、詳しくご紹介します。

土用の意味を解説

土用の説明をする前に、古代中国の思想である五行説について説明します。五行説とは、すべてのものは、木、土、水、金、火の5つの要素から成り立ち、互いに影響を与え合い、隆盛を繰り返しながら変化し、循環しているという思想です。

土用とは、五行説の中で季節の変わり目をさす雑節(ざっせつ)のひとつ。雑節とは季節の変わり目を表す特別な暦で、土用のほかに節分や彼岸、八十八夜などがあります。その中でも土用は、四季の四立と呼ばれる立春、立夏、立秋、立冬の直前18日間のことをいいます。

丑の日の意味を解説

丑の日とは、十二支の丑にあたる日のこと。十二支は古代中国で生まれました。木星が約12年で天球を一周する運行から1年を12に分け、それぞれに縁起の良い生き物をあてはめたのが十二支です。

十二支は十干と呼ばれる10日を1旬と名付ける方法と合わせて、カレンダーである暦を作りました。1旬は月を10日ごとに分けて、上旬、中旬、下旬と呼ぶように現代でも広く使われています。

丑の日には、夏や冬に特別な行事を行う風習があります。夏の土用の丑の日は、脂肪の多いうなぎを食べることで、夏バテを防止するという説が一般的。冬は、寒中丑の日と呼ばれ、紅を付けると口から入る疫病や虫を殺す効果があるとして、昔は紅花を原料とする口紅を薬のように使う風習がありました。

土用の丑の日は年に複数回ある?

土用の期間内には十二支があてはめられており、丑にあたる日のことを「土用の丑の日」といいます。
土用の丑の日といえば夏が有名。

しかし、暦の上で土用の丑の日は一年に平均6〜7日間、中でも夏の土用では丑の日が1〜2日あります。夏に丑の日が2回ある年は、それぞれ「一の丑」「二の丑」と表します。

夏以外は季節ごとに、春、秋、冬の土用の丑の日があります。

うなぎを食べるようになったきっかけを解説

土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜなのか、うなぎを食べるようになったきっかけについてご紹介します。

奈良時代には健康食として知られていた

うなぎは日本では新石器時代から食べられており、縄文時代の遺跡からうなぎを食べていた証拠となるものが出土したとされています。

奈良時代には夏バテ防止の健康食として食べられていました。奈良時代末期の日本最古の和歌集である、万葉集に、「夏痩せした人はうなぎを食べるといいですよ」と伝えた歌が残されています。

この時代のうなぎの食べ方は現在とは異なり、ぶつ切りにしたうなぎを串に刺して炙ったものを、塩や山椒味噌で味付けするといった食べ方でした。

定着のきっかけは江戸時代

諸説ありますが、うなぎが一般的に食されるようになったのは江戸時代頃といわれています。その当時の江戸では、どじょう、天ぷら、寿司、うなぎの4つの食材について、現代の食べ方につながる調理法が誕生。中でもうなぎは高い人気がありました。

うなぎを食べるのが土用の丑の日になったきっかけは、当時のうなぎ屋が医者である平賀源内に「うなぎは食あたりしない」という宣伝を頼み、宣伝した日が土用の丑の日だったことから習慣が始まったとされています。

江戸時代後期には醤油やみりんで味付けることが流行。現在のかば焼きの原型が生まれました。みりんの甘味が加わったことで、風味や香り、味わいが格段に上がったといわれています。

土用の丑の日に「う」が付く食べ物をたべて健康維持

土用の丑の日には「土用の食養生」という習慣があります。土用の食養生とは、季節の変わり目に体調を崩しやすくなる頃に、食べ物で体調管理をしてきたという古くからの知恵のことをいいます。

それぞれの土用の丑の日に、食べると健康維持に良いといわれる食材は以下の通りです。

【春の土用の丑の日】

  • 「い」が付く食べ物:いんげん、いわし、いもなど
  • 白い食べ物:ごはん、大根、かぶなど


【夏の土用の丑の日】

  • 「う」が付く食べ物:うなぎ、梅干し、うどんなど
  • 黒い食べ物:黒ゴマ、黒豆、ごぼうなど


【秋の土用の丑の日】

  • 「た」が付く食べ物:鯛、玉ねぎ、たくあんなど
  • 青い食べ物:青魚、甘エビの卵など


【冬の土用の丑の日】

  • 「ひ」がつく食べ物:ひらめ、干物、ひじきなど
  • 赤い食べ物:りんご、唐辛子、マグロなど

うなぎの注目すべき栄養価を紹介

うなぎの栄養価は非常に高く、良質なタンパク質以外にビタミン類が豊富に含まれています。
うなぎに含まれる栄養素とその働きについては、以下の通りです。

  • ビタミンA:免疫力を高める、目の働きをよくする
  • ビタミンB:疲労回復、糖と脂質をエネルギーに変える
  • ビタミンB2:髪、爪、皮膚などを健やかに保つ、糖と脂質をエネルギーに変える
  • ビタミンD:骨や歯を丈夫にする
  • ビタミンE:抗酸化作用、血行促進、細胞の老化防止
  • DHA(ドコサヘキサエン酸):動脈硬化予防、悪玉コレステロールを減らす
  • EPA(エイコサペンタエン酸:コレステロール、中性脂肪を減らす
  • カルシウム:骨を丈夫にする、ストレス抑止
  • 亜鉛:免疫力の強化、新陳代謝を活発にする

高齢者の栄養補給にも最適

うなぎは栄養面が優れているだけでなく、身がやわらかく咀嚼しやすいため高齢者に最適。また、飲み込みやすいことも高齢者におすすめできる理由です。
魚が好きな高齢者も多く、醤油ベースの甘い味付けも好まれるでしょう。

カルシウムやビタミンDが豊富であることから骨を丈夫にする働きがあり、高齢者に多い骨粗しょう症の予防にもなります。その他にも、血流を促すビタミンE、DHA、EPAが豊富なのも、脳梗塞や心筋梗塞などの病気予防にも役立ちます。

食べ過ぎには注意

うなぎは栄養価が高く、天丼に比べてカロリーは低め。また、魚特有の不飽和脂肪酸は、コレステロールや中性脂肪を減らす働きがありダイエットに向いています。ビタミンB群により糖と脂質をエネルギーに変える働きもダイエット向きでしょう。

しかし、うなぎはコレステロール値が高めなので食べ過ぎには注意が必要です。

食べすぎ注意の理由は他にもあります。

うなぎの中でもニホンウナギは絶滅危惧種IB群として、近い将来絶滅の危険性があるとされています。ニホンウナギだけでなく、アメリカウナギ、ヨーロッパウナギなども絶滅危惧種に。現在日本で食されているうなぎのほとんどは、稚魚から養殖されたものです。うなぎの生態系を保護していかなければ、将来うなぎを食べられなくなってしまうかもしれません。

まとめ

土用の丑の日になぜうなぎを食べるのかについてご紹介しました。うなぎを食べる歴史は古く、奈良時代から食べられていたとされています。うなぎはその栄養価の高さから、夏バテ防止効果が高いとして、江戸時代に夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が広まりました。うなぎの中には絶滅危惧種に指定されているものもあります。うなぎの生態系を守りながら、歴史ある食文化を維持することがとても重要です。

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