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七草粥食べる意味と七草の解説 春夏秋冬それぞれの七草について

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/15
更新日:2022/11/24

目次

七草粥は、1月7日(人日の節句)に食べる、春に芽吹く7種類の野草が入ったおかゆのことです。
その日の朝に「春の七草」が入ったおかゆを食べると一年間を無病息災で過ごせるとされており、お正月の豪華な料理で疲れた胃腸を休め、冬に不足しやすいビタミンも補える役割もある理にかなった料理です。今回は、七草粥の由来や作り方、季節ごとの七草、地域ごとの違いなどを解説します。

七草粥とは

七草粥とは、一年の最初の節句「人日の節句」である1月7日に食べる行事食のことです。
平安中期頃に中国から伝わり、江戸時代になって庶民の間に広まったと言われています。
古来中国では、七日正月といって7日間をひとつの節目をしており、元旦は鶏の日、2日は犬の日、3日は猪の日、4日は羊の日、5日は牛の日、6日は馬の日、7日は人の日とし、8日に新年の運勢を見立てていました。
唐の時代になると、7日目(人の日)に7種類の若菜を入れた七種菜羹をいう汁物を食べ、無病息災を願う習慣が広まりました。
そこから日本へ伝わり、平安期は日本も汁物を食べていましたが、15日に小豆粥を食べていた風習と結びつき室町期頃に汁物から粥になったといわれています。
七草粥を食べる理由として

  • 正月の祝膳やお酒で弱った胃腸を休める
  • 冬に不足しやすい生鮮野菜を食べてビタミンを補う
  • 七草の若芽を食べて、植物がもつ生命力を取り入れることで一年の無病息災を願う

などの意味が込められています。

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七草粥の種類とそれぞれの意味

春の七草

芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)、仏の座(ほとけのざ)
一般的に七草粥と呼ばれるのは、春の七草を用いたお粥のことです。
芹(せり)
芹は春になると、新芽が競うように伸びます。この育っていく様にかけて「競り(せり)勝つ」という願いが込められています。独特の強い香りが食欲をそそります。

薺(なずな)
薺は諸説ありますが、「愛でる草」という意味の「撫で葉」が変化して薺になったと言われています。
別名「ぺんぺん草」とも呼ばれ、邪気を払う、難病を遠ざける、撫でて汚れを払うという意味がこめられています。
熱や帰り、腹痛を解消するほか、生理不順や便秘など女性を悩ませるトラブルを改善する効果があると言われています。
 
御形(ごぎょう)
御形は「仏様のからだ」という意味もある縁起物です。
鎮咳作用があり、風邪予防や喉の痛み、咳・痰の改善に良いと言われています。
植物全体の白い毛が植物を覆う様子を母親が我が子を包み込むことになぞらえ、母子草(ハハコグサ)とも呼ばれています。
 
繁縷(はこべら)
繁縷は、「はこべ」とも呼ばれており、「繁栄がはびこる」という意味合いが込められています。
昔から、腹痛薬として使用されており、胃炎や歯槽膿漏に効果があると言われています。
 
菘(すずな)
菘は、現代の蕪(かぶ)のことで、神を呼ぶ鈴という意味合いが込められています。
胃腸を整え消化を促進する効果があると言われています。
 
蘿蔔(すずしろ)
蘿蔔は、現代の大根(だいこん)のことで、大根の白さから「けがれのない精白」の意味合いが込められています。
消化不良や二日酔い、頭痛、発熱、胃炎などに効果があると言われています。
 
仏の座(ほとけのざ)
仏の座は、葉の形が仏様が座っている蓮の台座のように見えることから名づけられ、
「仏の安座」という意味合いが込められています。
整腸作用や高血圧予防に効果があると言われています。

夏の七草

葦(よし)、藺(い)、沢瀉(おもだか)、未草(ひつじぐさ)、蓮(はちす)、河骨(こうほね)、鷺草(さぎそう)

秋の七草

萩(はぎ)、薄(すすき)、桔梗(ききょう)、撫子(なでしこ)、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)

冬の七草

冬の七草は、春や秋のように古典に基づくものはなく、諸説あります。
一つは、葱・白菜・大根・春菊・ほうれん草・キャベツ・小松菜があり、一般的によく使用されている野菜です。
その他には、明治41年に書かれた「園芸十二か月」に『植物学者伊藤篤太郎博士が、先年冬の七草を選定した』とするものがあり、款冬の薹(ふきのとう)、福寿草(ふくじゅそう)、節分草(せつぶんそう)、雪割草(ゆきわりそう)、寒葵(かんあおい)、寒菊(かんぎく)、水仙(すいせん)の七つと言われています。

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地域による違い

七草粥は、地域によって食べる習慣がないところもあれば、少し違った内容で食べるなど様々です。
例えば、北海道や東北など雪の多い地域では、1月に青物を摘めないことから食べることが少ないようです。
山形県の一部では、七草粥の代わりに「納豆汁」を食べる習慣があります。又、近畿地方では、七草のいずれかが葱や春菊に置き換わる場合があります。
おかゆでないものを食べる地域も多く、栃木や千葉では白米に刻んだ七草を加えた菜飯が食べられており、
九州では、具沢山の雑炊になる場合もあり、ブリの切り身や鶏肉などが入ることもあります。

まとめ

七草粥は、1月7日に食べる、春に芽吹く7種類の野草が入ったおかゆのことです。
一年間の無病息災への願いが込められており、お正月の豪華な料理で疲れた胃腸を休めてくれる役割もあります。
平安期頃に中国から日本へ伝わり、室町期頃に汁物から粥に変化していったと言われています。
七草粥は春の七草を使用したお粥のことを指しますが、夏・秋・冬にもそれぞれ七草があり、地域によって食べ方や具材が異なることもあります。
現代は食の欧米化が進み、昔と比べて行事食を食べる習慣も少なくなってきていますが、昔の人々の願いや食の伝統を大切にし、後世に継承していくこともとても大事なことでしょう。

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