春の山菜の種類と特徴とは それぞれの解説
目次
山野に自生し、健康や美容にも良いとされる「山菜」。温室で育てる野菜と違って季節によって採れるものが変わるのも魅力の一つです。
今回の記事では、春の山菜について深堀りしていきます。春の山菜の種類やその特徴、収穫時期やどんな場所で採れるかなどについて解説いたします。
なぜ春の山菜は体に良いのか
山菜は独特な苦味を持っていて、その苦味が苦手という方もいるでしょう。この苦味の正体はポリフェノールです。ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングに重要な役割を果たしています。細胞の若返りを促す、精神的なストレスを軽減させる、代謝をアップさせる、といった効果が期待できるため、体に良いとされています。
春の山菜 特徴と効能
春の山菜にはどんな特徴や効能があるといわれるのでしょうか。
強い抗酸化力とポリフェノール
ポリフェノールは植物が光合成をすることによって生成されるため、ほとんどの植物に存在すると言われています。中でも山菜はポリフェノールを多く含んでおり、苦味もそのまま食べるため、吸収率が高くなる傾向があります。
その他の様々な効果
ポリフェノール以外にも、春の山菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。
ビタミン
他の栄養素をうまく働かせるための潤滑油のような役割を果たします。ビタミンの中には、体内で合成できないものや必要量を体内で合成できないものが多いため、食品から摂取しなければなりません。春の山菜にはビタミンA、E、Cなど様々なビタミンが含まれている食材があり、ビタミン摂取に大きな力を発揮することでしょう。
ミネラル
人の体に不可欠なミネラルは16種類あり、これらを「必須ミネラル」と呼びます。ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、カルシウムなど聞いたことがある成分が多いでしょう。ミネラルが不足すると、頭痛、食欲不振、気分の落ち込み、脱力感など体調不良になりやすくなります。ふきのとうやわらびなどの山菜に含まれているため、春の山菜を食べることでミネラルも摂取できます。
食物繊維
腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にします。発酵すると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境を整える働きもあります。
また、胃腸内をゆっくり移動して食べ過ぎを防ぐ、食後の血糖値の急激な上昇を防ぐといった健康には欠かせない要素でもあります。
春の山菜10選
春の山菜10種類を例に有効成分や食べ方を紹介します。
ふきのとう
カリウムを豊富に含んでいます。カリウムには、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。具体的にはナトリウム(食塩)を排泄してくれるので、高血圧の方やむくみがある方にはおすすめです。
灰汁が強い山菜の一つなので、下茹でが必要です。茹でる時は塩を加えると良いでしょう。下茹でしたふきのとうはおひたしや和え物にできます。また、灰汁抜きをしなくても天ぷらにすると独特の香りが楽しめ、春の味覚を楽しめます。苦味も多少ありますが、美味しい食べ方の一つです。
せり
ビタミンCやミネラルが豊富です。ビタミンCは免疫力を高め、お肌の潤いを保つ効果が期待できます。また、βカロテンや食物繊維も多く含まれています。βカロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康の維持、様々な細胞の増殖や分化に寄与します。
せりも灰汁が強いので、おひたしや和え物にするときは下茹でをした方が良いでしょう。また、ふきのとうと同じく、天ぷらでは香りが楽しめます。せりは昔からお鍋に入れる食材としても用いられてきました。お肉の臭みを消すと言われており、鴨肉などの臭みが強いものを鍋に入れるときには一緒に入れると良いでしょう。また、東北では特に鍋にせりは欠かせない食材で、きりたんぽや仙台のせり鍋などがあります。
三つ葉
日本のハーブとも言われているほど、香りが良く、食欲を増進し、消化を促してくれます。神経を安定させ、イライラの解消にも力を発揮します。また、カリウムやカロテンも豊富に含まれています。
切り三つ葉より根三つ葉の方が香りが良く、歯応えがあるので、根三つ葉があるときはそちらがおすすめです。香りを生かして、サラダや魚料理に使えます。天然物や根三つ葉が手に入ったときは揚げ物やお肉、ごまなど香りが強いものと合わせて使うと、味わいが深い料理ができます。
タラの芽
カリウムやβカロテンを豊富に含んでいます。マグネシウムやリン、鉄分などのミネラルも豊富です。
タラの芽は、ほのかな苦味があり、山菜の王様とも言われています。全国の山野に自生していますが、スーパーに出ているものは大抵ハウスで栽培されたものです。香りが重要な食材なので、新鮮なうちに食べるのが良いでしょう。天然物は特に良い香りがするので、天ぷらがベストな食べ方だと言えます。ほのかな苦味である灰汁も油で揚げることによって、旨みにかわり、栄養成分も閉じ込めるので、食材を楽しむだけでなく、栄養面でも天ぷらが良いでしょう。他にはニンニクとオリーブオイルで炒めてパスタの具材にすることもできます。
うど
癌の発生予防やメラニンの抑制などに効果が期待できるクロロゲン酸という抗酸化性の物質を含んでいます。また、アスパラギン酸も豊富に含まれており、疲労回復や抵抗力を高めてくれるでしょう。
うどの特徴はシャキシャキとした歯応えと独特の風味です。灰汁はある程度あるので、生でも食べられますが、薄くスライスすると良いでしょう。和え物、炒め物、揚げ物、焼き物、汁物などあらゆる調理法で食べられる食材です。
わらび
ビタミンEを比較的多く含んでいます。ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、体内の脂質の酸化を防ぐ役割があります。血圧の低下、動脈硬化や血栓の予防、悪玉コレステロールの減少などにつながるので、「若返りのビタミン」とも呼ばれています。また、血行促進作用があるため、皮膚の新陳代謝を高めて、メラニンの排出を促す働きもあり、シミやソバカスが気になる方は積極的に摂りたい栄養素の一つです。
わらびは灰汁が強いので、生では食べないようにしましょう。中毒を起こしてしまうことがあります。十分に灰汁を抜いてから調理します。おひたし、炊き込みご飯の具材、パスタの具材などに使うと美味しく食べられます。
ぜんまい
食物繊維が豊富に含まれているため、便通が良くなります。
灰汁が強いため、灰汁抜きが必要です。和え物、ナムル、おひたしなどでよく食べられます。油揚げなどと共にだしと醤油味で煮た煮物(おばんざい)としても美味しくいただけます。
ふき
食物繊維やミネラルが含まれています。茎や葉の部分は高血圧や大腸癌などの生活習慣病の予防に良いと言われています。山菜の中でも昔から民間療法で痰切りや咳止めなどの薬草として用いられています。
そのままでは灰汁が気になるので、下茹でをして和え物やおひたしにすると良いでしょう。クリームチーズとの相性も良いので、一緒に和えても美味しく食べられます。天ぷらや炒め物、サラダ、佃煮、肉巻きなど様々な調理法があるので、料理にも使いやすい食材です。
のびる
カリウムを豊富に含んでおり、高血圧の方におすすめです。カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分などの必須ミネラルも多く含んでいるため、骨を丈夫にし、健康維持に一役買います。
天ぷらで食べる人が多いですが、生でも食べられるので、酢味噌和えにしても美味しくいただけます。炒め物に入れるとアクセントになります。
筍
カリウムを多く含み、野菜の中でもトップクラスと言われています。血圧を安定させる効果が期待でき、高血圧の予防に良いとされています。食物繊維も多く含むため、便秘解消や大腸癌の予防などにも効果が期待できます。
筍は灰汁があるので、下茹でが必要です。酢の物、和え物、炒め物、煮物、揚げ物など様々な調理法で味わいを楽しめます。根元は繊維が多く硬いことが多いため、薄切りにしたり、おろして揚げたりすると食べやすくなります。
春の山菜の収穫時期や場所
春の山菜を採れる時期は、関東で2〜5月で、その地域の気候によって異なります。 ふきのとうは春を知らせる代表的な山菜です。
山菜採りで注意すること
初心者の山菜採りは注意が必要です。
服装
山菜は山の色々な場所に生えています。藪に入ることもあり、虫に刺されることも多いので、肌の露出は避け、長袖・長ズボン・帽子という格好が良いです。山菜にも様々な種類があるため、手袋や長靴、剪定バサミなどがあるとより山菜採りがスムーズになります。
毒草との見分け
海外に比べると毒草が少ないと言われる日本ですが、それでもいくつか見分けがつきにくい種類のものがあります。春の山菜で誤食されるものは以下のような植物です。
ドクゼリ
春の七草の「セリ」に似ているので、非常に注意が必要です。ドクウツギ・トリカブトと並んで日本三大有毒植物と言われるほどの猛毒を持っています。七草の「セリ」には特有の香りがあること、ドクゼリにはセリにあるひげ根よりももっと太い地下茎があるため、その辺りで見分けられます。
ハシリドコロ
ふきのとうによく似た植物ですが、有毒です。植物全体、特に芽や葉に副交感神経を麻痺させるアルカロイドが含まれているため、間違って食べてしまうと嘔吐、痙攣、昏睡、呼吸停止などの中毒症状が起きてしまいます。
見分け方は苞の中のつぼみです。ふきのとうの苞の中にはつぼみがたくさん詰まっていますが、ハシリドコロの芽の中は葉が重なりあっていて、つぼみは少ないです。
動物対策
山では熊に遭遇することがあります。熊除けの鈴は持っておくと良いでしょう。
また、鹿や猪に遭遇することもありますが、それ以外にもこれらの動物を捕獲するための罠が仕掛けてあることがあります。自分が罠に掛からないように注意看板や標識があるときは近づかないようにしましょう。
まとめ
山菜は栄養価が高く、季節物として美味しく食べられるため、人気のある食材です。しかし、素人で初心者の場合、山菜採りは難しい部分があります。毒草や動物など山には危険があるため、初めはプロの人や経験者と一緒に行動するのがおすすめです。
上手に山菜採りをすれば、春の味覚を存分に味わえるでしょう。
関連記事:
七草粥食べる意味と七草の解説 春夏秋冬それぞれの七草について
桃の節句の由来とは それぞれの食べ物の由来も合わせて解説
初鰹の旬はいつ?時期の解説と戻り鰹との違いについて