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お正月ならではの食べ物を由来とともに解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/05
更新日:2022/12/08

目次

お正月は1年のスタートとなる最も重要な行事として、日本人の生活習慣の中でも特別な意味を持つ祝日です。郷里を離れて暮らす人は帰省して年末年始を家族で過ごし、おせち料理や雑煮といった特別な料理を楽しむのが伝統的なお正月の過ごし方といえるでしょう。

今回は、日本のお正月に今なお欠かせないおせち料理に注目。おせちにはどんな意味があり、具材にはどんな願いが込められているのか。それらの由来をくわしく解説するとともに、お正月に食べられるお雑煮や寿司などおせち以外の料理も紹介いたします。

お正月に食べるものとは?

お正月は親戚や家族が一堂に会して初日の出を眺めたり、初詣をしたりして新年を祝うのが日本の恒例行事です。
食文化では、おせちをはじめ正月ならではの特別な料理が伝統的な行事食として定着しています。

次の章からは、お正月ならではの伝統料理、食材をその由来とともにご紹介いたします。

「おせち」の由来を解説

おせち料理の「おせち」は漢字で「御節」と書きます。「御節」は「季節の節目に神に供える食べ物」を意味する「御節供(おせちく・おせつく)」が語源です。「節供(節句とも)」は古代中国の陰陽五行説に由来する言葉で、暦の上での季節の節目を意味します。

日本では奈良時代に朝廷の行事として折々の節供で「節会(せちえ)」という宴会を催しました。江戸時代になると、幕府が公的な行事として「人日(じんじつ)・上巳(じょうみ)・端午(たんご)・七夕(たなばた・しちせき)・重陽(ちょうよう)の五節句を設定。その中で、元旦や人日の「御節供」が「おせち」として庶民の間に広まりました。おせちに関連する伝承は地域によって差がありますが、基本的には新年の幸福をもたらす「歳神(としがみ)」への供え物として床の間にめでたい食べ物を飾ったのが由来です。

お正月の料理は膳に盛る本膳料理が主流でしたが、やがて重箱入りの料理が登場。明治時代には本膳料理を「おせち」、重箱料理を「食積(くいつみ)」と呼びました。その後、「おせち」と「くいつみ」が融合して意味が逆転し、重箱料理が「おせち」として定着しました。

おせち料理のレシピやスタイルもまた地域によって異なります。例えば、3種の祝い肴として、関西では数の子・黒豆・たたきごぼう、関東では数の子・黒豆・ごまめが用いられます。そのほかに、酢の物、煮しめ、焼き物など、酢漬けや濃い味つけで日持ちする料理が加わります。

おせちは年末に作り置きして正月まで保存するのが基本です。その理由には諸説あり、正月は歳神様とともに迎えるため火を神聖なものとして使用を避ける風習があったとする説や、正月は女性を家事から解放するために料理を作り置きした、とする説があります。

現在では冷凍食品のように長期保存の技術が進み、おせちには和洋中華を問わず多種多様な料理が供されるようになっていますが、重箱の数は縁起の良い奇数にするなど、伝統的な決まり事や、料理を構成する食材や具材のルールも守られています。

おせちによく使われる食材をご紹介

伝統的なおせちによく用いられる具材は、数の子、ごまめ、黒豆、たたきゴボウなどでしょう。
以下に詳しくご紹介いたします。

・数の子
数の子はニシンの魚卵や卵巣のこと。文字通り卵の数が多いことと、ニシンは「二親」の読みに通じることから、子孫繁栄を願ったものとされています。

・ごまめ
ごまめはカタクチイワシの幼魚を乾燥したもの。煮干し(いりこ)に似ていますが、ごまめは煮ないで素干しにしています。イワシは群れで回遊するため豊漁が多く、食べきれないものを肥料として田に埋めたところ豊作となったことから「田作り」とも。

・黒豆
黒豆の黒は魔除けの色とされ、この一年も無病息災で真っ黒に日焼けするほどマメに(元気に)働けることを願ったものとされます。

・たたきごぼう
たたきごぼうは、皮をむいたごぼうをゆでた素朴な伝統料理です。調理の際にごぼうをたたいて繊維を柔らかくするため「たたきごぼう」と呼ばれます。ごぼうは葉が大きく、太い根を地中に深く伸ばすことから、その土地に根付いて安泰に暮らすことを願う意味や、薬効にも優れることから延命長寿や開運を象徴する意味もあるとされています。

お正月に欠かせない「お雑煮」の由来とは?

お雑煮は古くから全国に伝わる料理で由来は定かではありませんが、近世以前から食された料理で、神事の際にその土地の作物を神仏に捧げて五穀豊穣を願う意味があったと考えられます。

現在でも新潟や長崎、熊本などに正月のお雑煮を「なおらい」や「のうらい」と呼ぶ地域があります。これらの呼び名は神事で神とともに神酒や神饌をいただく「直会(なおらい)」という行事が語源です。また、武家社会では野戦料理としても親しまれていました。

政治の実権が天皇や貴族から武士に移ると、お雑煮は野戦料理から儀礼的な料理へと発展。やがて正月料理として一般庶民に広がりました。現在でも地域によっては正月に限って「雑煮」と呼び、他の時期には「餅吸物」「おつけもち」などと呼び分けています。

彩りあざやかな「ちらし寿司」

「おせち」以外の正月料理では、ちらし寿司が定番です。作るのが簡単で見た目も華やか。正月に帰省した家族ともども大勢で食卓を囲む料理として最適です。宅配寿司も人気が高く、大手寿司チェーン店が 年末年始限定のスペシャルメニューを用意しています。

一家団欒(だんらん)の象徴「すき焼き」

すき焼きもまた、おせちや寿司とならぶ正月料理の定番といえるでしょう。家族全員で鍋を囲んで子供たちがお肉の取り合いでお箸を戦わせたりして、にぎやかに楽しめる家庭料理です。

おせちには欠かせない「伊達巻(だてまき)」

伊達巻は、形が巻物に似ていることから、学業成就の願いを込めて食されます。色も華やかで見栄えも良いため、練り物の進化とともに、おせちをはじめ正月料理の定番となりました。

年越しそばならぬ「年明けうどん」

年末が年越しそばなら、年始はうどん。というしゃれのような意味合いで、最近は年明けうどんも人気です。年の初めに純白のうどんをいただいて気持ちを新たに新年を迎える意味もあるとされています。
お正月には不老長寿の縁起ものとして海老の天ぷらを加えた海老天うどんや、卵を割り入れて初日に見立てた、月見うどんならぬ初日見うどんをいただくのも良いでしょう。

まとめ

お正月は日本人にとって一年の計となる重要な節目の祝日です。またお正月にはおせちなどの伝統料理をいただく習慣も継承されています。伝統的なおせちには黒豆や数の子、ごまめ、たたきごぼうなど、保存性が高く縁起が良いとされる食材が使われています。

正月の料理文化が一般庶民に根づいた江戸時代のおせちは本膳料理が主流でしたが、戦後の高度経済成長期に豪華で贅沢な重箱料理に発展しました。現代では食生活の西洋化や多様化にともなって、お正月の料理はおせちなどの伝統を残しつつも変容を続けています。

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