Hero Image

おせち料理の由来と各重箱に入れるものの解説 おせち料理の歴史もあわせて紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/10/04
更新日:2022/12/08

目次

おせち料理は、お正月に食べられる伝統的な料理です。
それぞれの具材には、一つひとつ意味が込められており、現在の形式に近いおせちが食べられるようになったのは江戸時代後期に入ってからといわれています。
本記事では、おせち料理の歴史や種類、段数や詰めかたについて詳しくご紹介いたします。

おせち料理とは

おせち料理とは、お正月に食べる祝い料理のことです。
新年を祝い、各家庭にいるとされる歳神様へお供えし、年が明けてから神様のお下がりとしていただく料理をさします。

おせち料理の由来
おせち料理は「御節供(おせちく)」と呼ばれていた節目を飾る料理が略されたことが由来です。

「おせち料理が」幅広く定着し始めたのは第二次世界大戦が終わった頃と言われています。農作を感謝し、神様への感謝の気持ちを作物で作った料理がおせち料理の始まりです。

おせち料理の歴史

おせち料理は、弥生時代に中国から始まったといわれています。縄文時代の終わりに、稲作が中国から伝来し、狩猟中心の文化から農耕中心の文化へと変化しました。

しかし、現在のおせち料理に近い形式のものが誕生したのは江戸時代後期に入ってからです。おせち=正月に食べる料理という変化を遂げ、宮中で行われていた行事が市民の間に広まり、徐々に習慣として市民の生活に取り入れられました。

ですが、市民のおせち料理は宮中で食べられるおせち料理に比べ、豪華なものを用意することは簡単ではありません。そのため、節目の中でも最も重要な日とされる正月に限り用意し、それが現在のおせち料理へと受け継がれているのです。

お正月とは、ご先祖様や農作物の神様などのさまざまな神様が集まる歳神様をお迎えする行事でもありました。歳神様は、人々に幸福を授ける神様として大切にされ、土地ごとに採れた収穫物を歳神様にお供えしてきました。
そのため、歳神様をお迎えする正月がその年の家族の健康や豊作を祈る大切な行事となったとされています。

おせち料理の種類

おせち料理は、地域や家庭によって異なりますが、20種類~30種類用意するのが一般的です。また品数は、偶数ではなく奇数にすることで縁起が良いとされてきました。
おせち料理は、下記の5種類に分けられます。

  • 祝い肴・口取り・・・かまぼこ、栗きんとん、黒豆、数の子、きんぴらごぼうなど
  • 焼き物・・・鯛やぶりなどの焼き魚、海老などの海の幸
  • 酢の物・・・紅白なますなど
  • 煮しめ(煮もの)・・・里芋や蓮根などを使った煮物、筑前煮など


その中でも代表的なものをいくつか紹介いたします。

黒豆

御節料理に黒豆あ入っている理由は、「まめに働く」や「まめに暮らす」などの意味が込められています。
「まめ」という言葉には、元気・健康・丈夫といった意味があり、昔から欠かせないおせち料理の一品です。
また、黒豆の調理方法は関東や関西などで異なります。関東ではシワがつくように煮る、関西では柔らかく丸くなるように煮るなど地域によって差があるようです。

数の子

数の子はニシンの卵ぼことをさします。
ニシンは漢字で二親と表記し、多くの卵を持つことから「たくさんの子宝に恵まれますように」「我が家が代々栄えますように」という意味を込められて使われます。

数の子は、地域差なく幅広く使われる具材です。縁起物として食べられることはもちろん、お酒にも相性の良い食材としておせち料理の定番と言えるでしょう。

伊達巻

伊達巻は、卵とはんぺんから作られる料理です。見た目が華やかで、書物の巻物に似ていることから「知識が増える」という意味が込められています。
また、鮮やかな見た目と派手な卵焼きという意味で、おしゃれ・派手を意味する「伊達」が由来だとされる説があります。

煮しめ

煮しめは、日本古来より伝わる家庭料理です。旬の食材や山の幸を使用して作られ、祝い事や節句などの人が集まる時に振る舞われる料理です。おせち料理に欠かせない料理でもあり、重箱の3段に入れる定番料理と言えるでしょう。こんにゃくや鶏肉、椎茸、などのさまざまな具材を一緒の鍋で煮込むことから、「家族仲良く一緒に結ばれ、末長く繁栄しますように」という意味が込められています。
さらに、煮しめには入っている食材一つひとつに意味があります。

  • 里芋・・・種芋にたくさんの子芋がつくことから「子宝に恵まれますように」という意味が込められています。
  • ごぼう・・・ごぼうは、地中深くまで根を張るため「家族や家業の土台が安定し、その土地に根を張って末長く繁栄しますように」という意味が込められています。
  • れんこん・ふき・・・穴が空いて先が見えることから、「将来の見通しが良くなりますように」という意味が込められています。

さらに、ふきは漢字で「富貴」と書くことから、生活の豊かさを願う意味も込められているようです。

  • 椎茸・・・昔は、椎茸は高級品であったことから祝い事や正月などの縁起物として用いられました。

椎茸を亀の甲羅のように飾り切りし、「鶴は千年、亀は万年」というように、「長生きできますように」という意味が込められています。

おせち料理の段数や詰め方の意味

おせち料理の段数や詰め方には、それぞれ意味があります。
昔は四段重が基本でしたが、現在のおせち料理は三段重が多い傾向にあります。格段ごとに詰める物がやその意味について詳しく見ていきましょう。

一の重
「一の重」は、お重の1番上にくる段です。正月にふさわしい「祝い肴」や酒のつまみとなる「口取り」に部類する料理が詰められます。
お重を開けた時にまず最初に目に入る一の重には、できるだけたくさんの料理を隙間なく少しずつ詰めるのが基本です。
特に、数の子・田作り・黒豆を「三つ肴」と呼び、おせち料理に欠かせない料理として用いられます。
しかし、関西では黒豆でななくごぼうが使われることが多く、数の子・田作り・たたきごぼうが「三つ肴」として詰められます。

二の重
二の重は焼き物が中心の段です。
縁起物のぶりや鯛、海老などの海の幸を詰め、食事のメインといえるでしょう。

さまざまな種類の料理を入れるのではなく、一つひとつの具材を多くして入れるのが一般的です。
また、海の幸ではなく、焼いた肉やフライを入れる場合も二の重を使います。

三の重
三の重は煮ものが中心です。
れんこんやふき、ごぼうや里芋などの煮物、筑前煮といった山の幸を詰めます。他の重のように、さまざまな具材を入れるのではなく、煮物のみを詰めるのが基本です。
色合いが気になる場合は、葉物を敷いたり散らしたりすると良いでしょう。

与(四)の重
与の重は、酢の物や箸休めになる料理を詰めるのが基本です。紅白なますや菊花などを入れ、スペースが余る場合は、三の重に入らなかった煮物を入れても良いでしょう。
また、四の重は「与の重」と呼ばれ、これは「四」が「死」を連想させ縁起が悪いと言われていることが理由です。

五の重
五の重は、何も入れず空の状態にしておきます。年神様から授かる福を詰める場所という理由から、できるだけたくさんの福が入るように何も入れないのが基本です。
しかし、地域によっては、それぞれの家庭の好きな料理を入れる場合もあるようです。

三段重や四段重を使う場合
三段重を使う場合は、焼き物を詰める二の重に隙間を作り、酢の物も一緒に入れます。また、四段重を使う場合は、空となる五の重を省くだけで良いでしょう。段数が変わっても、一の重と三の重に入る具材は変わりません。
このように、おせちにはそれぞれの段によって詰めるものが決められています。
しかし、近年では中華風のものや洋風おせちなどさまざまな種類のおせちがあります。
昔からの伝統や基本を意識しつつ、家族で楽しめるおせち料理を作ると良いでしょう。

まとめ

おせち料理には、それぞれの料理に一つひとつ意味が込められています。
おせち料理の歴史は長く、日本のお正月の伝統に欠かせないものといえるでしょう。
近年ではデパートやネット通販などで気軽に注文できるものも多く、子供も食べやすいおせち料理が増えています。
家族の好みに合わせたおせち料理を選んだり、家庭で作ってみるのもみるのも良いでしょう。

関連記事:
お正月におすすめの献立を紹介 定番のものから一風変わったものまで
鏡餅とは 供え方と飾りの意味について解説
おせち料理の献立とは 種類や意味、詰め方について解説
お正月ならではの食べ物を由来とともに解説

Hero Image

この記事をシェアする

Hero Image