おせち料理の献立とは 種類や意味、詰め方について解説
目次
新年を祝うお正月の料理といえばおせち。
重箱の中で種類豊富な料理がきれいに並んでいるおせちは、味はもちろん、目で見て楽しむことができます。
おせち料理に使われている食材には意味があり、由来や詰め方を知ることで、おせちをより深く、楽しむことができるでしょう。
この記事ではおせちの献立や意味、由来について解説いたします。
おせち料理 献立の種類や意味とは?
おせち料理は「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」の五種類に分類されます。
それぞれの意味と実際に出される料理について、以下に解説いたします。
祝い肴(いわいざかな)
祝い肴とは、邪気を払い長寿を願うお屠蘇(おとそ)と一緒に食べる酒の肴のことです。
お正月の祝い膳の正式な順序はお屠蘇、おせち料理、お雑煮です。
関東地方では「数の子」「田作り」「黒豆」、関西地方では「数の子」「田作り」「たたきごぼう」が代表的。
祝い肴三種があれば、お正月が迎えられるといわれるほど、おせちには欠かせない重要なものです。
口取り(くちとり)
室町時代の武家によるおもてなし料理を本膳料理といいます。
口取りとは、本膳料理でお吸い物と一緒に出す肴のことで、口取り肴とも呼ばれています。
おせちの口取りは、伊達巻きや昆布巻き、栗きんとんなど、甘味のある料理です。
焼き物
祝い事には欠かせない鯛や、「立身出世」の願いが込められた出世魚の鰤(ぶり)、腰が曲がっていることから長寿を願った海老など、縁起物の海の食材を使ったおせちのメインとなる料理です。
酢の物
おせちは酢を使用することで、日持ちがするように工夫されています。
お祝い事の水引を連想させる「紅白なます」、邪気を払うとされる菊のように飾り切りされた「菊花かぶ」、漢字で「長老喜」と表す「ちょろぎ」には長寿の願いが込められています。
煮物
おせち以外にも節句や祝い事に出されている縁起物の煮しめ。
色々な具材を同じ鍋で煮ることから、家族が仲良く末長く繁栄するようにと願いが込められています。
おせちとはそもそのまにか
古来、日本で重要視されてきたおせち。
ここではおせちの由来や考え方について解説いたします。
おせちの由来を紹介
日本の宮廷において、季節の節目にあたって祝い事をする日「節日(せちにち)」に「節会(せちえ)」という宴会を催しました。
平安時代の宮廷では元日を含む「五節会(ごせちえ)」が大切にされ、おせちの語源である「御節供(おせちく)」と呼ばれる料理を神様にお供えしていました。
後に五節会の中で、人日の節句が最も重要視されたことから、御節供は正月料理を意味するようになったのです。
なぜおせちを食べるのか?
おせちとは、新年の豊穣をもたらす歳神(としがみ)さまにお供えする料理。
神様と人が同じものを食べることで、神様と親密になりご守護をいただく「神人共食(しんじんきょうしょく)」という考え方があります。
神人共食をもとに、供物のおせちを分け合って食べることで、その年の恩恵を授かるといわれています。
また、お正月に料理を控え、年末に日持ちするおせちを作るのは、歳神さまがいるときに騒がしくせず、台所に宿るといわれている「かまどの神様」に休んでもらうためです。
おせちに使われる食材の意味
おせちに使われる食材にはそれぞれ意味や、五穀豊穣、子孫繁栄、長寿などの願いが込められています。
祝い肴三種
- 黒豆:まめ(勤勉・健康)に暮らせるようにと願いが込められています。
- 田作り:鰯の肥料で米が豊作だったことから五穀豊穣を願ったもの。
- 数の子:卵の数が多いため、子孫繁栄を意味しています。
- たたきごぼう:根っこを張るごぼうのように、家業が根付くように願ったもの。
口取り
- 紅白かまぼこ:初日の出を表現する縁起物とされています。
- 伊達巻き:形状が書物に似ていることから、学業成就の願いが込められています。
- 昆布巻き:「よろこぶ」の語呂合わせで縁起物。
- 栗きんとん:黄金に例えて金運を願ったもの。
焼き物
- 鯛:「めでたい」の語呂合わせで鯛は縁起物とされています。
- 鰤:出世魚である鰤は、立身出世を願ったもの。
- 海老:腰の曲がった老人を連想させる海老は、長寿の象徴。
酢の物
- 紅白なます:お祝い事に使用される水引を表現したもの。平安と平和の祈願。
- 酢れんこん:穴があることから、先行きが明るく見通せるようにと願われています。
- 菊花かぶ:邪気を払うと言われている菊に見立て、長寿を表現。
煮物
- 手綱こんにゃく:戦いに備えて、気を引き締めるという意味があります。
- 里芋:親芋から子芋が多くつく里芋は、子孫繁栄を願ったもの。
- 人参:「寿」を意味する赤い色味の人参は飾り切りで、縁起のいい梅の花に見立てます。
おせちの詰め方と意味について解説
長寿や子孫繁栄や五穀豊穣などの願いが込められたおせち料理を、「福が重なるように」「おめでたいことが重なるように」と重箱に詰めます。
最近では三段の重箱が一般的ですが、五段の重箱に詰めるのが正式です。
詰める料理もお重ごとに決まっており、詰め方にもしきたりがあります。
各段に詰める料理やその詰め方について、以下に解説いたします。
祝い肴を詰める「壱の重」
おせちの代表格である祝い肴三種の数の子、田作り、黒豆を詰めます。
たたきごぼうを壱の重に詰める地域もあります。
口取り・酢の物を詰める「弐の重」
伊達巻きや紅白かまぼこ、栗きんとん、なますや菊花かぶなどが入るので弐の重は色彩豊か。
焼き物を詰める「参の重」
縁起物とされている焼き物を参の重に詰めます。
鰤の照り焼きや海老のうま煮、鯛の塩焼きなどの海の幸が代表的です。
煮物を詰める「与の重」
山の幸を使った煮しめや、金柑の甘露煮などの煮物を詰めます。
四は忌み数とされ、「与」の漢字が使われています。
控えの重と呼ばれる「五の重」
五の重は控えの重と呼ばれ、歳神さまから授かった福を詰めるために、空にしておくのが習わしです。
まとめ
今回の記事ではおせちの意味や由来、お重の詰め方について解説いたしました。
歳神さまにお供えするおせちには、ひとつひとつの食材に意味があり、五穀豊穣や子孫繁栄などの願いが込められています。
時代と共におせちも変化していますが、意味や由来を知ることで、おせちをより一層美味しく、楽しむことができるでしょう。
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