家族がノロウイルスにかかったら出勤できる? 症状や予防法、欠勤した場合の保障についても合わせて解説
目次
ノロウイルスと聞いてよくイメージされるのは、「カキを食べると起こる食中毒」「冬季にかかりやすい」「集団食中毒のニュースでよく観る」などの印象でしょう。
ノロウイルスによる感染症は、食中毒患者の約半分を占めるといわれています。
また、感染力が非常の強いことから自身が気をつけるだけはなく、家族や周囲の人が感染した場合も対処が必要です。
特に、外で働いている人にとっては、自身や家族がノロウイルスに感染した場合、どういった扱いになるのかも気になるところです。
この記事では、ノロウイルスに自身や家族が感染した場合に、どういう対応をとればいいのかを分かりやすく解説いたします。
家族がノロウイルスにかかった場合はどうすればよい?
看病することにより、病気が感染してしまうというケースはよくある話です。
ノロウイルスも同じで、飛沫や接触により簡単に家庭内感染が広がるため、もしも家族の中に感染者が出た場合、「感染者の飛沫を吸い込まない」「汚染されたものを触れない」など、最新の注意をはらって生活をする必要があります。
下記は、ノロウイルスによる家庭内感染を防ぐ基本的な方法です。
【ノロウイルスによる感染症の家庭内感染を防ぐ方法】
- 飛沫感染や空気感染を防ぐためにマスクやエプロンをする
- 汚物を触れる時は使い捨てゴム手袋などを着用する
- こまめに石鹸を使った手洗いを行う
- 共通のタオルを避ける
- 感染者が触ったものは消毒剤で消毒する
そもそもノロウイルスとは?
ノロウイルスとはどんなウイルスか
ノロウイルスという言葉は発見された地名が由来したもので、2002年8月に国際ウイルス学会で生まれました。
ノロウイルスによる食中毒は、年間の約7割が11月〜2月に発生しているため、冬季にかかりやすいとされています。
ただ、乾燥や熱にも強く、自然環境下でも長期生存が可能なことから、決して冬季だけに限らず、年中発生する可能性があります。
ウイルスの構造は、直径30〜40nm前後の遺伝子が含まれた球形のタンパク質です。
年間の食中毒の患者の約半分はノロウイルスといわれているほど、患者数が多い食中毒です。
感染力が非常に強い点や、長期免疫が成立しないため何度もかかる人もいる点、食中毒の集団発生が起こりやすい点などが感染者が多い要因でしょう。
ノロウイルスはどのようにしてかかるのか
ノロウイルスによる食中毒では、ノロウイルスに汚染された食品、とくにカキを代表とする2枚貝が原因食品とされています。
また、感染者の便や吐しゃ物により二次感染が起こるので、感染者が用便後などに手洗いが不十分なまま調理をすることにより、食品から感染し、二次感染が起こるケースも多いようです。調理従事者がノロウイルスに感染し、二次感染が引き起こると集団感染の足がかりとなってしまいます。
その点から調理関係の職場では、調理従事者はカキを食べること自体禁じられているところも少なくありません。
ノロウイルスのおもな症状とは
ノロウイルスは人の体内に入り、小腸の上皮細胞で増殖して、胃の運動神経を低下・麻痺させることにより、発症するウイルスです。
潜伏期間は24〜48時間で、おもな症状は吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などです。
個人差はありますが、3日以内で回復する場合が多く、後遺症はありません。
ノロウイルスに感染したとしても、必ず重症度に発症するわけではなく、風邪のような軽度ですむ場合もあります。
発症・重症化するリスクが高いのは子供やお年寄りで、特に抵抗力が落ちている人や乳幼児は、ノロウイルスに感染すると重症化する可能性が高いです。
ワクチンがないので、予防対策はしっかりしたいところでしょう。
また、治療も輸液などで、特効薬はないため、重症化しやすい人は注意が必要です。
ノロウイルスに感染した場合の出勤はどうすればよい?
法律でのノロウイルスによる感染症の扱いとは
感染症法第18条では、ある一定の感染症にかかった場合、出勤停止の措置をとることが義務付けられています。
感染症は危険性などの観点から5つに分類されておりますが、その中で就業制限を受ける対象とされているのは、1〜3類の感染症と新型インフルエンザのみです。1〜3類の感染症には、感染時のリスクが高く、広がると甚大な被害につながるといわれているエボラ出血熱やコレラなどが分類されています。ノロウイルスは5類に分類されており、感染症法上は、就業制限がされることはありません。
労働安全衛生法68条にも感染症の就業禁止について書かれていますが、感染症第18条と同じく、ノロウイルスは就業制限の対象には該当しません。
法律上、基本的にはノロウイルスによる感染症により就業制限を受けることはありませんが、飲食店や給食施設などの一部の施設では、厚生労働省から出勤停止の指導を受けます。調理従事者がノロウイルスに感染することで、大規模な食中毒を起こす場合があるためです。法律ではありませんが、法律に準じた強制力があり違反すると罰則が生じる指導です。
参考:感染症法に基づく医師の届出のお願い |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
会社の規則でのノロウイルスによる感染症の扱いとは
法律上はノロウイルスによる感染症による就業制限は基本的にはありませんが、各会社の就業規則では、就業制限を定めている場合があります。
その場合、就業規則に「診断書に基づき、医師の指定する期間、勤務を禁止する場合がある」などの規則が書かれています。
福祉、医療施設では、ノロウイルスの感染症による重症化のリスクが高い高齢者や子供と関わることから、従業員に対して、特に厳しい規則を設けていることが多いです。
本人の家族が感染した場合の出勤はどうなる?
本人同様に、法律でノロウイルスによる感染症の就業制限はありません。
ただ、会社や職種によっては家族がノロウイルスに感染した場合、厳しく出勤停止をする会社もあります。
特に、調理に携わる会社では、家族が完治したとしても数日自宅待機となる会社も存在します。これは、ノロウイルスには潜伏期間が24〜48時間あるため、発症に時間がかかるケースもあるからです。
本人の家族がノロウイルスに感染した場合は、会社の判断によるところが大きいので、会社に相談し、出勤の可否の判断を仰ぐことが重要です。
欠勤中の給料はどのような扱いになるのか解説
ノロウイルスなどの感染症により、会社の指示で自宅療養が必要になった場合は、労働基準法第26条に基づき、「休業手当」として賃金の6割を会社に請求することができます。
会社の就業規則により、自宅療養を命じられた場合、有給を取ることもできますが、有給自体が少ないなどの理由で有給を使いたくない場合、法律上では会社に「休業手当」を請求するという選択肢もあるということです。
ただし、就業規則でノロウイルスによる感染症による出勤制限が定められている、または、会社より自宅療養を指示された場合に限りますので、事前に会社に確認する必要があります。
まとめ
ノロウイルスは食中毒の約半数がノロウイルスといわれるほど、感染者の多いウイルスです。
飛沫や接触により簡単に広範囲に感染してしまう恐れがあるため、家族が感染した場合は、生活する上でも細心の注意が必要です。
ノロウイルスは、カキを代表とする2枚貝が主な原因食品です。潜伏期間は24〜48時間で、症状は吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などです。個人差はありますが、3日以内で回復する場合が多く、後遺症はありません。
ノロウイルスに感染した場合、法律上は就業を禁止するルールはありませんが、会社の就業規則などで会社より自宅療養が命じられるケースも多いです。
自分自身が免疫力を高めることも大事ですが、万が一、自分や家族が感染してしまった場合、重症化してしまう人のことも考えて、さらに感染が広がらないように気をつけて生活することが大事でしょう。
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