商品回転率とは 計算の仕方もあわせて解説
目次
自社の在庫状況を把握し適切に管理することは、コストの削減やキャッシュフローの改善に役立ちます。
しかし「適切な在庫管理をするために何をすれば良いのかわからない」という企業も多いのではないでしょうか。
在庫管理を最適化させたいなら、まずは「商品回転率」を理解することが大切です。商品回転率を理解すれば、顧客ニーズやよく売れている商品、長く売れ残っている商品を把握することができます。
そこで、この記事では商品回転率とはどのような指標なのか、どのように算出されるのかといった基礎的なことから、商品回転率を上げるための具体的な方法までを解説いたします。
記事を通して商品回転率について学べば、適切で効率的な在庫管理をするヒントになるでしょう。
商品回転率とは
商品回転率は「一定期間の間に商品の在庫が入れ替わった回数」を示す数値のことで、在庫回転率や棚卸資産回転率とも呼ばれます。
商品回転率が高いとその商品はよく売れていることを示し、反対に商品回転率が低いとその商品の売れ行きは悪く、在庫として残るリスクが高いということです。
基本的には商品回転率が高いほど在庫が効率よく売れていることを意味しますが、商品回転率が高すぎる場合も注意が必要です。
極端に商品回転率が高い場合は、在庫切れを起こし、機会損失につながっている可能性があるからです。
計算方法はこのあと詳しく解説しますが、売上高(売上原価)を平均在庫高(平均在庫金額)で割ることで算出できます。
商品回転率の計算方法
商品回転率の計算方法は、売上などの金額から算出する方法と、在庫数などの個数から算出する2種類の方法があります。
金額を基準とした計算方法
金額を基準とした商品回転率の求め方は「売上金額 ÷ 平均在庫金額」です。
例えば、ある商品の年間売上金額が1500万円、年間平均在庫金額が500万円の場合、計算式は以下のようになります。
1500万 ÷ 500万 = 3(商品回転率)
基本的に金額から商品回転率を求める場合、対象期間は1年間になります。
個数を基準とした計算方法
個数を基準とした商品回転率の求め方は「出庫数 ÷ 平均在庫数」です。
例えば、ある商品を1ヶ月に出庫した個数が100個、期間内の平均在庫数が25個の場合、計算式は以下のようになります。
100 ÷ 25 = 4(商品回転率)
平均在庫数は、求めたい期間の初めの在庫数と期末の在庫数を足して2で割ったものを用います。
対象期間の初めの在庫数が30個、期末の在庫数が20個であれば、「(30 + 20)÷ 2 = 25個」が平均在庫数です。
金額による計算は1年間の数値をもとに算出するのに対し、個数による計算は1ヶ月や1週間など、対象期間がさまざまです。
在庫数を数えればいつでも算出できるので、こまめに計測できるのがメリットとなります。
商品回転率を把握するメリット
商品回転率を把握すると、以下のようなメリットがあります。
- 顧客ニーズを把握し、店舗効率を向上させられる
- 在庫不足や在庫過多を防ぎ、コストを減らす
- キャッシュフローを改善できる
顧客ニーズを把握し、店舗効率を向上させられる
商品回転率を把握することは、顧客ニーズや売れ筋・死に筋の商品を把握することにもつながり、経営判断に活かす事ができます。
特に小規模店舗の場合、大型店舗に比べて商品を置ける棚が少ないというハンデを背負っているため、商品回転率を高めて少ない商品数で効率よく売上を高めることが重要です。
在庫不足や在庫過多を防ぎ、コストを減らす
売れ残った商品は最終的に安売りをするか、廃棄するしかありません。
商品回転率を高めれば、売れ残りを減らし、安売りによるコストや商品の廃棄自体を減らすことができます。
また、需要はあるのに在庫が不足しているため売れないという機会損失も、商品回転率を把握し、適切な仕入れをすれば防ぐことが可能です。
キャッシュフローを改善できる
商品回転率が高ければ短期間で商品を現金化できるため、キャッシュフローが改善されます。
キャッシュフローが改善すれば、仕入れや給料に必要な資金も潤沢に手元に残り、経営の改善やさらなる業務拡大に着手することができます。
商品回転率を上げるためのポイント4つ
商品回転率を上げるためのポイントは以下の4つです。
- 目標商品回転率を設定する
- 在庫状況をこまめに把握する
- リードタイムを短縮する
- 販売計画を見直す
それぞれ詳しく解説いたします。
目標商品回転率を設定する
まずは、在庫ごとに明確な目標商品回転率を設定しましょう。
具体的な目標がないと、「どのように」、「どれくらい」改善すればいいのか計画することができません。商品回転率の改善には現場スタッフの協力が大切になることもありますので、その場合にも具体的な目標があったほうがモチベーションに繋がるでしょう。
また、自社の過去データや同業他社のデータも参考にすると、より具体的な目標が立てやすくなります。
在庫状況をこまめに把握する
商品回転率を適切にするには、在庫状況をこまめに把握することが大切です。
期間在庫として残っているものがあると、新たな商品を入荷させることができず、商品回転率が低くなってしまいます。
できれば月に1回や週に1回などこまめに在庫状況を把握し、在庫数は適切な個数に保たれているかを確認しましょう。
また、在庫数を確認すると同時に商品回転率も算出しデータに残しておくのがおすすめです。将来的により客観的な分析が可能になり、これまで気づかなかった問題点を見つけることができるかもしれません。
リードタイムを短縮する
リードタイムとは、商品の発注から納品までのさまざまな工程にかかる時間のことで、顧客満足度に直接影響する大事な要素です。
例えば原材料を発注してから届くまでの時間を「発注リードタイム」と呼び、他にも生産にかかる時間を指す「生産リードタイム」や、商品が届くまでの時間を指す「納品リードタイム」が存在します。
どんなサービスでも、注文をしてから実際にサービスを受けられるまでの時間は短ければ短いほど良いでしょう。
したがって、リードタイムを短縮することで顧客満足度を向上させ、商品の販売機会を増やすことで、商品回転率の向上が期待できます。
販売計画を見直す
商品回転率が低いというのは簡単に言えば商品が売れていない状況ですので、より商品を購入してもらいやすいよう販売計画を見直す必要があるかもしれません。
販売計画の中でも、とくにわかりやすいのが「販売価格」です。価格を下げることで販売を促進し、商品回転率を高めることができます。
もちろん販売価格をさげると商品1個あたりの売上は減少しますが、長期間在庫として残り、経年劣化した結果価格をさげて販売するよりも、早い時期から価格を見直し商品回転率を高めた方がメリットは大きいでしょう。
値下げをすることによる損失か、在庫として残り商品回転率を低くすることの損失か、どちらが大きいかを判断した上で、販売価格を見直してみてください。
まとめ
適切な在庫管理は、健全で効率的な経営に欠かせない要素です。効率よく在庫を管理することで安売りや廃棄などのコストを減らし、また在庫が少なすぎることで起こる機会損失も減らすことができます。
その上でとても重要になる指標が商品回転率です。商品回転率をこまめにチェックすることで、よく売れている商品と長く売れ残っている商品が把握でき、在庫費用の削減やキャッシュフローの改善にもつながります。
商品回転率を改善する方法は、在庫状況の把握や販売計画の見直しなどさまざまですので、まずは自社の現状を客観的に分析することからはじめてみてください。
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